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第五章 星の血統

53 卑怯な女

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 部屋の空気が一瞬にして変わった。
 二人以外、他に誰もいないという事実が、突如はっきりと意識に浮き彫りになる。

 “進めていいのか?”

『言ってませんわそんなこと。おかわいそうに、耳の中まで呪獣にふっとばされてしまいましたのね』

 ――なんて、すぐに白を切れなかった時点で、言ってないふりはできない。

「フェリータ」

 重ねられた手に体重がかけられ、寝台に沈む。ぎし、と軋む音に背筋がこわばったのを感じた。

「俺の気持ちは変わってない。食指が動かない? 動かさないように抑えつけてんのがわからないかよ」

 ロレンツィオの、もう片方の手が頬に伸びてきた。
 はたき落すのが常なのに、自由なはずのフェリータの右手は持ち上がりもしなかった。
 そのまま、男の指先が輪郭を辿るのを許してしまう。壊れ物を扱うかのように優しい手付き。本当は、掴んで骨を軋ませるだけの力があるくせに。

「だから、そっちにその気があるんなら、止める理由は、もう何もないんだよ」

 頬を滑った指先に顎を上げられる。距離がどんどん縮まっていく。

 頭が沸騰している。触るな、と言わなきゃいけない。でもどうやって言うんだかわからない。
 
「……目、閉じてくれ」

 懇願する、その吐息が唇にかかった。フェリータは完全に石になった。

 大きく開いたままの赤い目に、ロレンツィオが苦笑した。
 男のまつ毛が長い。高い鼻先がぶつからないようにか、少し顔の角度を傾けている。

 静かな部屋。近づく影。爆発しそうな心臓。
 そして、焼き切れた忍耐。
 
「け!」

 静寂を切り裂く鶏のような声に、男の動きが止まった。

「怪我の処置をしなくては!」

 フェリータは、必死にもつれそうな舌をる。

「ま、まだ王宮に行かないなら、先に腕の怪我を手当てしないといけないのでなくて!?」

 ――沈黙が、針のように全身を刺してくるのを、フェリータはどっと汗をかきながら耐えた。

 ロレンツィオは、しばらくそのままの姿勢で焦点をずらそうとする赤い目を見つめていたのだが、やがてその青い目は急速に濁り、光を失っていき。
 そして。

「……そうだな」

 そう言うと、傾けていた体を離し、寝台から立ち上がった。
 離れていく体温に、フェリータは安堵し、――そして、全身の血がどっと落ちていくような焦燥感に見舞われた。
 
(た、助かった、ですわね? 今危なかったですものね? 拒めて、良かった……)

 良かった?
 拒んで良かったのか?

 心臓は相変わらず忙しい。だがさっきとは違う、嫌な緊張感が全身を駆け巡っている。
 扉へ向かう背中を見ていると、心の内に、それは疑問となって浮かび上がってきた。

 このまま行かせるのか?
 ここが分岐点なのではないか?

(……ぶ、分岐点? なんの?)

 ベッドシーツを掴む手の平が冷えていく。

 ロレンツィオはもう扉の前にいた。カチャ、と音がして、廊下が隙間から細く覗く。
 
 自分は。
 選択肢を、間違えてはいないか――?

「待ちなさい!!!」

 無意識魔術は風の形になった。
 バタンッ、と風圧で閉まった扉に「ぅおっ」と驚きの声をあげたあと、肩越しに振り返った男の顔は、実に不愉快そうにしかめられていた。

「……レリカリオが、直ったばかりだから、小手調べがしたいところでしたの。丁度いい機会だから見せてごらんなさい」

 そう言って、ぼんぼんとマットレスの空いた場所を叩く。さっきまで、ロレンツィオがいた場所を。
 だが。

「……その気がないなら遠慮しておく」

「察しが悪いこと! 治癒してさしあげると言ってますのよ!」

「俺の気持ちに応えられないなら、今は近くに呼び寄せないでくれ」

 顔を平手で打たれたかと思った。
 もちろん錯覚だ。ロレンツィオは扉の前にいる。
 フェリータとの間には、吐息など届きようもない距離があいている。

 黙り込んだ自分の表情の変化は、実にわかりやすかったのだろう。ロレンツィオはすぐに片頬を上げた。

「気遣いどうも。またあんたの幼馴染みにデカいのをけしかけられることがあったら、そのときはお願いするよ」

 皮肉とは裏腹に、声は柔らかく変化した。
 それがフェリータの焦りを膨らます。
 ロレンツィオは数秒前の、あの距離感をなんでもない日常の中に埋没させるつもりだ。フェリータのために。
 
 そんなことを、自分は望んでいないのに。

(……なら、わたくしの望みってなに?)

 機能しなくなった頭に問いかけた一瞬。
 引き潮に取り残された石のように、それはくっきりと目の前に現れた。
 
 同時に、再び、男の手が扉の取っ手にかかった。「そう、報告から帰ったら、あんたの魔力のことで確認しておきたいことがある」なんて言いながら、その手に力が籠められる。

「待って行かないで」

 さっきとは比べ物にならないくらい、勢いも声量も落ちていた。けれど、扉の開く音はしなかった。

「さっきのは、その、近さにびっくりして……。怪我は本当に手当てした方がいいと思いますけどっ、でもそうではなくて」 

 詰まりそうな喉を奮い立たせる。別人みたいに話下手な自分が信じられない。頭の中が真っ白で、言うべき言葉が全然並ばないのだ。

 けれどここで彼を行かせたら、二人の関係は膠着したままだ。その予感が、フェリータに場を改めることを良しとしなかった。

 そうだ、自分は、この関係の変化を望んでいる。

 ロレンツィオはフェリータに何も強いない。
 好きであることは絶対否定しないのに。周りを巻き込み自分も奔走し、それで助けたフェリータに、見返りを求める言動をとらない。

 彼の献身は、諦めと表裏一体だ。
 フェリータが自分を愛さないまま、自分だけが愛し続けることを覚悟している。
 
 さっきの近さは、その覚悟をひっくり返させるチャンスだった。
 でもフェリータが拒絶してしまった。もう向こうからは来ない。来てはいけないと思われている。

 ――訂正しなくては。
 今度は自分から動かないと、開いた距離はこの先ずっと埋まらない。
 
「は、話しを逸らしたのは、やめてほしかったわけではないの。期待していたから」

「期待?」

 何への、だなんて残酷な質問だ。
 けれどフェリータはどうにか言葉をもぎりだした。国王に初めて謁見したとき以上の緊張に耐えながら。

「……ここ最近持て余してた、自分でもよくわからない苛立ちの正体が、わかるかと」

 ロレンツィオが呆れたように鼻から息を吐いた。
 それでも出ていかないでいてくれることに希望を見出す。

「……わたくし、自分ではちゃんとなんでも知ってるつもりでしたの。リカルドのことも、恋の何たるかも」

 かつて、自分は順風満帆の人生を歩んでいると思っていた。
 だがそれは、何も知らなかったからこそ、そう思えただけなのかもしれない。

 リカルドのことも。
 そして、恋のことも。

「恋は、穏やかで楽しくて、柔らかくて、安心していられるものだと思っていました。リカルドといるとそうだったから」

 たとえ作り物の姿だとしても、それは事実だった。
 フェリータはその居心地の良さを、自分がリカルドに恋をしているからだと思っていた。

「でもそれは、勘違いでした。思い知りましたの。あの子ども部屋で、はっきりと思い違いを突き付けられた」

 彼のプロポーズの言葉が欲しかったのは、きっとそのことに心のどこかで気づいていたからだ。甘え合って許し合って、依存し合う関係を、恋という尊い感情だと言える根拠が欲しかった。
 形にこだわったのは、中身が別物だったからこそだ。

 ロレンツィオは無言のまま、こちらを見ている。
 足は動かない。遠ざからない代わりに、寄っても来ない。
 まさしく、二人の関係そのもののようだ。

「……あなたは、わたくしを好きだと言ったけれど、だからといって楽しそうではない」

 それはもしかしたら、恋がそんなに優しい感情ではないからなのかもしれない。

「わたくしも、好かれているはずなのに、ちっとも楽しい時間がない」

 天敵だからだと思っていたけれど、以前とは明らかに怒りの種類が違う。
 それは今まで感じたことのない、未知のもどかしさだった。リカルドがオルテンシアと婚約したときの困惑とも別物。

 母の言葉が今ならわかる。不安だったのだ、ロレンツィオのことも、自分の気持ちもわからなかったから。

「思われるのは嬉しいはずなのに、どちらかといえば、苛立っていることの方が多いし、もやもやするの。……なんで」

 つばを飲み込む。
 この感情に、名称を当てはめるのは勇気がいる。

「なんで、好きって気持ちを、行動に表してくれないのって……」

 この苛立ちが、渇望に根付いていると認めるのは、とてもしんどい。
 さっきの距離感が、嫌じゃなかったと認めるのは、とても後ろめたい。

 過去もプライドも何もかも抑えつけないとさらけ出せない欲望が、身の内に巣食って存在を主張しているのがたまらなく辛い。

 顔を見れなくて俯いていると、ロレンツィオがまたため息を吐く気配があった。

「それで、“ひと思いに進めればいい”か……。なぁフェリータ」

 足音はほとんど絨毯に吸われている。
 けれど、男が寝台に近づいてきているのは伝わってきて、顔が茹で上がる感覚がこみ上げてきた。

「女がそう思うときの理由はさ、大まかに二つに分けられると思うんだが。……ひとつは、秋波を送ってくる男を振るため。見込みはないと、思い知らせる機会を欲しがっている場合」

 新たな気まずさに襲われた。心当たりがある。
 でもそれだって、悩んで混乱して照れ隠しで思っただけだ。
 実際に強引に迫られたら、堂々殴って応戦するどころか、ビンタひとつ出来やしなかったのに。

「もうひとつは、相手に強引に奪ってもらうため」
 
 さっきの比ではない緊張感が心臓を襲った。

 ロレンツィオは寝台には座らず、近くの椅子を引き寄せてきた。
 たったそれだけのことが気になって仕方がない。どうしてさっきと同じ位置に座らないんだと責めたくなる。
 でも“してくれないこと”を責めると、“してほしいこと”を懇願することになる。怒れば、欲がバレる。

 何を言われても、冷静でいないと。男の口が動くのを見て、フェリータは静かに覚悟を決めた。

「……“この展開は自分の本意ではないけれど、男が強引にしてきたから仕方なく”って理由がほしい、人のせいにして被害者ぶって満足感だけ得ようとする卑怯な女のやり口だと思ってる」
 
「誰が卑怯ですって!?」

「誰だろうな」

「……」

 やられた。
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