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シーズン2
episode5「Question」
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次はこうだ''自殺しなかった、女の子との、思い出''で行こう。
目を閉じ集中させると俺の腕は進み始める。意識は落ちる。
思い出の中へと。
・
・
・
・
・
・
それからだった。彼女とここでよく話すようになったのは。
「へぇ、長塚君って学校ではそんな感じなんだ……」
「ああ、割と人気者なんだぜ?」
今日がその日だった。あの日、僕が助けてから彼女がここに僕を呼んではいつも雑談をして帰る。それがお互いの日課になっていた。
今日はお互いの学校の話をしていた。
「じゃあ…………の方はどうなの?」
しかしそれを言ってすぐにそれはよくないことだと気がついた。
「あー、ごめん」
そうだった。彼女は学校が嫌で自殺しようとしたんだった。
「ううん、いいの……今日は私のこともっと知って欲しくてこの話をしたの」
「それって僕に自殺をした理由を聴いてほしいってこと?」
小さく頷く。
「そうか……いいよ、いくらでも聴いてやる」
彼女は少し嬉しそうに笑う。きっと今まで相談する相手がいなかったんだろう。
「私ね……」
そこから彼女が受けてきた仕打ちを全て知った。それはとても同じ人間に仕向けられた行為とは考えにくいほど酷いものだった。机に落書き、接着剤を塗られた椅子、物が盗まれる、弁当にゴミを入れられる、お金を取られる、数えるのが嫌になる程いじめの数は多かった。終いにはいじめっ子たちにやる金がなくなってそれでも金が欲しいと言われ知らない男と無理矢理やらされたことが自殺のトリガーになったらしい。
「ひどい話だな」
「うん、でもね毎日毎日受けるいじめを私逃げずに立ち向かおうとしたんだよ」
彼女はそんな誰でも逃げたくなる状況を耐えて今まで生きてきた。
「ああ、君は強いな。いじめる奴らや僕よりも全然強いよ」
「まあ、結果的に自殺って逃げたことになるんですよね?」
時には自殺は逃げだと言う人がいるな。しようと思ったことない奴が何言ってんだって感じだがな。
「でも君は踏みとどまった」
でも彼女は結局逃げずにまた辛い方へと戻ってしまった。
「うん、あの時は本当に死んでやるって思ったの。でもね」
今まで柵に手をかけていて僕に背を向けていた彼女はこちらに振り返り僕に満面の笑みを見せた。
「もう思わないよ、だってあなたがいるもの……」
「そっか、僕が君の支えになれてるならよかったし、僕も自殺を食い止めてよかったって思うよ」
気づけばかなり時間が過ぎていた。時計を見れば十九時だった。日は後少しで落ち切ろうとしてる。
「じゃあ、僕はそろそろ帰るよ」
もうすぐ帰らないと教祖様に怒られる。
「待って……」
帰ろうと次は僕が彼女に背を向けようとした時、後ろから抱きついてきた。
「お願いまだ帰らないで……」
「…………?いいよ、後少しだけね」
どれくらいそうしていただろうか、日は完全に沈み街灯が光る時間になった。屋上には電気が一つしかなくそれすらももう消えかけようと点滅していて頼りない。
「あのね、今日絶対伝えたいことがあるの」
「何?」
今まで背に抱きついていた彼女が離れて逆に彼女の方へと向けられた。向いて初めて知ったが彼女は泣いていたらしい目がまだ涙で濡れている。
「私ね、長塚君のことがね。好きなの」
そしてそれだけ伝えて彼女は背伸びをして僕の顔へと彼女の顔が近づき。唇を重ねた。突然の行動に僕は動揺したが彼女が本気であることに気づき受け入れた。
・
・
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・
・
・
気づいたら机に顔を伏せていた。能力を使いそのまま寝ていたらしい。顔を上げると樒花はコーヒーを飲みながら俺が書いた紙を読んでいた。
「ああ!!」
「うわ!!ちょっと先輩!?どうしたんですかびっくりしたじゃないですか……」
彼女に癌の書類を見られたのではないかと思ったが、そうだったあの書類は今引き出しに入れてるんだった。
「いや、すまないなんでもない」
「疲れてます?」
樒花は俺の顔を覗き込んでくる。
「大丈夫だ。数年前のあの事件の方がよっぽどキツかったさ」
「そうですか」
そうすると作っておいてくれたのだろうまだ湯気が立つコーヒーを出してくれた。もちろんミルクなしの砂糖多めでな。
「で?何か分かりそうか?」
そう聞くと彼女の眉間に皺を寄せながらコーヒーを何口か飲み紙に書かれた文章を読む。
「うーん、ただの和希の恋愛話にしか聞こえないですけどね」
「ああ、俺もそう思ったんだ。やっぱりこの話を見るのは時間の無駄か?」
すると電話が鳴り響く。誰からだろうか?
「中藤か?」
「はい、そうです」
声的に俺の知っている人間ではない。
「私は中尾と言うものです」
中尾?どこかで聴いたことのあるような……ふと机にある書類に目をやると''館の所有主である中尾は現在行方不明事件に関わりがあるとして調査中''と書いてあった。
「なんだって!?」
「今から山口を脱走させます」
淡々と言葉を一文ずつ丁寧に話す。
「お前、本当に館の所有主の中尾か?」
俺はそう言いながら樒花に逆探知をしてもらうよう促す。
「ええ、その通りです。そして山口をそこから連れ出します」
「くそ!!お前は事件に関与しているのか?それとも山口に利用されているのか!?どっちなんだ」
そう聞くと中尾は少し間を置いて喋り出す。
「私は窓のシャッターを閉じ、電話線を切り、扉に鍵をかけて皆さんを館に閉じ込めたのは………私です」
シーズン1 エピソード5「疑問」
目を閉じ集中させると俺の腕は進み始める。意識は落ちる。
思い出の中へと。
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それからだった。彼女とここでよく話すようになったのは。
「へぇ、長塚君って学校ではそんな感じなんだ……」
「ああ、割と人気者なんだぜ?」
今日がその日だった。あの日、僕が助けてから彼女がここに僕を呼んではいつも雑談をして帰る。それがお互いの日課になっていた。
今日はお互いの学校の話をしていた。
「じゃあ…………の方はどうなの?」
しかしそれを言ってすぐにそれはよくないことだと気がついた。
「あー、ごめん」
そうだった。彼女は学校が嫌で自殺しようとしたんだった。
「ううん、いいの……今日は私のこともっと知って欲しくてこの話をしたの」
「それって僕に自殺をした理由を聴いてほしいってこと?」
小さく頷く。
「そうか……いいよ、いくらでも聴いてやる」
彼女は少し嬉しそうに笑う。きっと今まで相談する相手がいなかったんだろう。
「私ね……」
そこから彼女が受けてきた仕打ちを全て知った。それはとても同じ人間に仕向けられた行為とは考えにくいほど酷いものだった。机に落書き、接着剤を塗られた椅子、物が盗まれる、弁当にゴミを入れられる、お金を取られる、数えるのが嫌になる程いじめの数は多かった。終いにはいじめっ子たちにやる金がなくなってそれでも金が欲しいと言われ知らない男と無理矢理やらされたことが自殺のトリガーになったらしい。
「ひどい話だな」
「うん、でもね毎日毎日受けるいじめを私逃げずに立ち向かおうとしたんだよ」
彼女はそんな誰でも逃げたくなる状況を耐えて今まで生きてきた。
「ああ、君は強いな。いじめる奴らや僕よりも全然強いよ」
「まあ、結果的に自殺って逃げたことになるんですよね?」
時には自殺は逃げだと言う人がいるな。しようと思ったことない奴が何言ってんだって感じだがな。
「でも君は踏みとどまった」
でも彼女は結局逃げずにまた辛い方へと戻ってしまった。
「うん、あの時は本当に死んでやるって思ったの。でもね」
今まで柵に手をかけていて僕に背を向けていた彼女はこちらに振り返り僕に満面の笑みを見せた。
「もう思わないよ、だってあなたがいるもの……」
「そっか、僕が君の支えになれてるならよかったし、僕も自殺を食い止めてよかったって思うよ」
気づけばかなり時間が過ぎていた。時計を見れば十九時だった。日は後少しで落ち切ろうとしてる。
「じゃあ、僕はそろそろ帰るよ」
もうすぐ帰らないと教祖様に怒られる。
「待って……」
帰ろうと次は僕が彼女に背を向けようとした時、後ろから抱きついてきた。
「お願いまだ帰らないで……」
「…………?いいよ、後少しだけね」
どれくらいそうしていただろうか、日は完全に沈み街灯が光る時間になった。屋上には電気が一つしかなくそれすらももう消えかけようと点滅していて頼りない。
「あのね、今日絶対伝えたいことがあるの」
「何?」
今まで背に抱きついていた彼女が離れて逆に彼女の方へと向けられた。向いて初めて知ったが彼女は泣いていたらしい目がまだ涙で濡れている。
「私ね、長塚君のことがね。好きなの」
そしてそれだけ伝えて彼女は背伸びをして僕の顔へと彼女の顔が近づき。唇を重ねた。突然の行動に僕は動揺したが彼女が本気であることに気づき受け入れた。
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気づいたら机に顔を伏せていた。能力を使いそのまま寝ていたらしい。顔を上げると樒花はコーヒーを飲みながら俺が書いた紙を読んでいた。
「ああ!!」
「うわ!!ちょっと先輩!?どうしたんですかびっくりしたじゃないですか……」
彼女に癌の書類を見られたのではないかと思ったが、そうだったあの書類は今引き出しに入れてるんだった。
「いや、すまないなんでもない」
「疲れてます?」
樒花は俺の顔を覗き込んでくる。
「大丈夫だ。数年前のあの事件の方がよっぽどキツかったさ」
「そうですか」
そうすると作っておいてくれたのだろうまだ湯気が立つコーヒーを出してくれた。もちろんミルクなしの砂糖多めでな。
「で?何か分かりそうか?」
そう聞くと彼女の眉間に皺を寄せながらコーヒーを何口か飲み紙に書かれた文章を読む。
「うーん、ただの和希の恋愛話にしか聞こえないですけどね」
「ああ、俺もそう思ったんだ。やっぱりこの話を見るのは時間の無駄か?」
すると電話が鳴り響く。誰からだろうか?
「中藤か?」
「はい、そうです」
声的に俺の知っている人間ではない。
「私は中尾と言うものです」
中尾?どこかで聴いたことのあるような……ふと机にある書類に目をやると''館の所有主である中尾は現在行方不明事件に関わりがあるとして調査中''と書いてあった。
「なんだって!?」
「今から山口を脱走させます」
淡々と言葉を一文ずつ丁寧に話す。
「お前、本当に館の所有主の中尾か?」
俺はそう言いながら樒花に逆探知をしてもらうよう促す。
「ええ、その通りです。そして山口をそこから連れ出します」
「くそ!!お前は事件に関与しているのか?それとも山口に利用されているのか!?どっちなんだ」
そう聞くと中尾は少し間を置いて喋り出す。
「私は窓のシャッターを閉じ、電話線を切り、扉に鍵をかけて皆さんを館に閉じ込めたのは………私です」
シーズン1 エピソード5「疑問」
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