上 下
6 / 28
シーズン1

episode6「Face」

しおりを挟む
「皆さん!!もう犯人は見つかりました。これで安心して寝られるでしょう?」

清作さんは、俺を嘲笑うように笑いながら言った。

「信じてください!!」

そういうが誰も反応してくれない、しかし和泉さんだけ違った。

「先生!!」

彼女は俺の方に駆け寄ろうとした。

「ダメだ!!抑えろ」

そういうと他の男たちは和泉さんの腕や体を押さえて拘束した。

「いや!!離して!!」

「やめろ!!」

俺も叫ぶが、清作さんが俺の体を踏みつけて来て身動きが取れないし、苦しくなり嗚咽が出る。

「おい!!長塚探偵はなんとも言えないが、彼女まで拘束することはないだろう」

そう言ったのは海斗さんだった。

「証拠はないが、彼女まで加担したとは思えない」

「何を言い出すかと思えばそんなこと……人間をバラバラにするなんてことこの短時間でできるか?いいや、できないね。この女とも加担して二人がかりでやったんだ!!」

「そんなのわからないだろう!?」

なんだ?次は清作vs海斗が始まったのか。

「あの!!」

その時今まで黙っていた麗子さんが、言った。

「私、和泉ちゃんと一緒に温泉入ってたし、その後も一緒に話して部屋の前までついて行ったの……だから彼女は違うわ」

そう言い清作も反論できなくなったらしい黙り込んだ。

「拘束はしなくていい。疑いが晴れたわけじゃないそこだけは勘違いするなよ」

そしてみんなゾロゾロとロビーを出て行ってしまった。

「ごめんないさ先生」

「大丈夫だ。俺は殺してない……なんとかして証明してみせるよ。それまでここで頭を冷やしとくよ……」

和泉さんは頷き、ロビーを出て行った。

するとまた頭痛がして眩暈がした。………そして、俺は眠りについた。






「……せい…………!」

誰かが呼んでいる。

「せん………せい……………!」

彼女の声だ。俺は彼女を知っている。

「先生!!起きてください」

「どう……したんだ?」

「先生、起きたんですね……よかった。あまりにも返事がないからてっきり……」

相当心配していたのか涙を流していた。いや、これは俺の心配ではない。

「それで何かあったのか?」

そういうと和泉さんはハッとしたように伝えた。

「清作さんと麗子さんが殺されたんです……!!」

「なんだって!?」

そして俺たちは再び、ロビーに集合した。みんな眠れていないのか疲れ切った顔をしていた。

海斗さんに関しては麗子さんが殺されたことに対して怒りを露わにして壁などにさっきから当たっている。

「海斗さん落ち着いてください!!」

それを止めようとする山口君。

「状況を説明してくれますか?琴さん?」

今回の第一発見者は琴さんだった。ひどく怯えている。

「わ、私が清作さんにお茶を持って行こうとしてドアを開けたら……首がなくなっていたんだ頭がない首を下に両足を天井からロープで吊るされていたんだ。床には大量の血溜まりが……ゴホッ!!ゴホッ!!」

咳をし始めてしまった。

「もう大丈夫です、十分理解しまいた。水でも飲んで安静にしてください……」

するとポケットから血が滲んだ紙を出してきた。

「これは?」

「ゴホッ!死体の近くに落ちていたんです」

その紙を広げ、中を確認するとそこには信じられない言葉が書かれてあった。

''傲慢な奴の顔をもいでやれ二度と人を下に見れないように''

これは……あの時!?まさかこの事件……。

「そして私がしたいに腰を抜かしていたらノックが聞こえたんです……」

まさかそれは!!

「琴さん!!これで最後です。その時の状況を詳しく教えてください」

「確かその時、コンコンッとノックがして確か……」

なんだかモゴモゴ言っていて聞こえない。

「なんなんです!?」

「確かだぞ、場違いかもしれないが''プライド''と聞こえたんだ」

「それです!!僕の時も同じだったんですノックと英語が聞こえて来たんです!!」

ということはもう一人の方は……。

「麗子さんの方は海斗さんが……」

今にも死んでしまうのではと思うほど壁に頭を打ち付けている。

「海斗さん……お願いです……!!聞かせてください!!」

「うるせぇ!!なんでなんで彼女が!!」

話がわかっていないようだ。

「ここで証言するのは海斗さんや俺たちのためじゃない。死んでいった彼らが報われないから……俺たちが犯人を探すしかないのでしょう!?」

そういうと壁に打ち付けるのはやめたが、こちらに顔を向けずに壁を見たまま、涙交じりに言った。

「ああ、聞こえたぜノックも英語も、そしてこの紙もあった」

「じゃあ、詳しくお願いします」

そういうとすぐには答えようとはせずに、鼻水を啜ったり、涙を手で拭き取ったりした後に静かにだが怒りがこもった強い言葉。俺はそれを感じた。

「俺は彼女が好きだった。だから部屋に行こうとしたんだ。そしたら彼女の悲鳴が聞こえて急いで部屋に駆け込んだが……………遅かった彼女は死んでいて左足がなかった。そして紙が落ちていてノックが三回そしてジェラシー(jealousy)ってな」

紙を渡され見てみるとそこには''嫉妬をする奴の左足をもいでやれ二度と人を妬めないように''と書いてあった。

やはりそうだ。これは、ノックの回数が事件の順番。そして、英語はダンテ神曲の煉獄篇をなぞってあり。そして俺が記憶喪失前に聞いた。あの言葉。全ては繋がっているのかもしれないな。



シーズン1     エピソード6「顔無き傲慢」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

幻影のアリア

葉羽
ミステリー
天才高校生探偵の神藤葉羽は、幼馴染の望月彩由美と共に、とある古時計のある屋敷を訪れる。その屋敷では、不可解な事件が頻発しており、葉羽は事件の真相を解き明かすべく、推理を開始する。しかし、屋敷には奇妙な力が渦巻いており、葉羽は次第に現実と幻想の境目が曖昧になっていく。果たして、葉羽は事件の謎を解き明かし、屋敷から無事に脱出できるのか?

グレイマンションの謎

葉羽
ミステリー
東京の郊外にひっそりと佇む古びた洋館「グレイマンション」。その家には、何代にもわたる名家の歴史と共に、数々の怪奇現象が語り継がれてきた。主人公の神藤葉羽(しんどう はね)は、推理小説を愛する高校生。彼は、ある夏の日、幼馴染の望月彩由美(もちづき あゆみ)と共に、その洋館を訪れることになる。 二人は、グレイマンションにまつわる伝説や噂を確かめるために、館内を探索する。しかし、次第に彼らは奇妙な現象や不気味な出来事に巻き込まれていく。失踪した家族の影がちらつく中、葉羽は自らの推理力を駆使して真相に迫る。果たして、彼らはこの洋館の秘密を解き明かすことができるのか?

特殊捜査官・天城宿禰の事件簿~乙女の告発

斑鳩陽菜
ミステリー
 K県警捜査一課特殊捜査室――、そこにたった一人だけ特殊捜査官の肩書をもつ男、天城宿禰が在籍している。  遺留品や現場にある物が残留思念を読み取り、犯人を導くという。  そんな県警管轄内で、美術評論家が何者かに殺害された。  遺体の周りには、大量のガラス片が飛散。  臨場した天城は、さっそく残留思念を読み取るのだが――。

友よ、お前は何故死んだのか?

河内三比呂
ミステリー
「僕は、近いうちに死ぬかもしれない」 幼い頃からの悪友であり親友である久川洋壱(くがわよういち)から突如告げられた不穏な言葉に、私立探偵を営む進藤識(しんどうしき)は困惑し嫌な予感を覚えつつもつい流してしまう。 だが……しばらく経った頃、仕事終わりの識のもとへ連絡が入る。 それは洋壱の死の報せであった。 朝倉康平(あさくらこうへい)刑事から事情を訊かれた識はそこで洋壱の死が不可解である事、そして自分宛の手紙が発見された事を伝えられる。 悲しみの最中、朝倉から提案をされる。 ──それは、捜査協力の要請。 ただの民間人である自分に何ができるのか?悩みながらも承諾した識は、朝倉とともに洋壱の死の真相を探る事になる。 ──果たして、洋壱の死の真相とは一体……?

警視庁鑑識員・竹山誠吉事件簿「凶器消失」

桜坂詠恋
ミステリー
警視庁、ベテラン鑑識員・竹山誠吉は休暇を取り、妻の須美子と小京都・金沢へ夫婦水入らずの旅行へと出かけていた。 茶屋街を散策し、ドラマでよく見る街並みを楽しんでいた時、竹山の目の前を数台のパトカーが。 もはや条件反射でパトカーを追った竹山は、うっかり事件に首を突っ込み、足先までずっぽりとはまってしまう。竹山を待っていた驚きの事件とは。 単体でも楽しめる、「不動の焔・番外ミステリー」

怪奇事件捜査File1首なしライダー編(科学)

揚惇命
ミステリー
これは、主人公の出雲美和が怪奇課として、都市伝説を基に巻き起こる奇妙な事件に対処する物語である。怪奇課とは、昨今の奇妙な事件に対処するために警察組織が新しく設立した怪奇事件特別捜査課のこと。巻き起こる事件の数々、それらは、果たして、怪異の仕業か?それとも誰かの作為的なものなのか?捜査を元に解決していく物語。 File1首なしライダー編は完結しました。 ※アルファポリス様では、科学的解決を展開します。ホラー解決をお読みになりたい方はカクヨム様で展開するので、そちらも合わせてお読み頂けると幸いです。捜査編終了から1週間後に解決編を展開する予定です。 ※小説家になろう様・カクヨム様でも掲載しています。

カフェ・シュガーパインの事件簿

山いい奈
ミステリー
大阪長居の住宅街に佇むカフェ・シュガーパイン。 個性豊かな兄姉弟が営むこのカフェには穏やかな時間が流れる。 だが兄姉弟それぞれの持ち前の好奇心やちょっとした特殊能力が、巻き込まれる事件を解決に導くのだった。

ファクト ~真実~

華ノ月
ミステリー
 主人公、水無月 奏(みなづき かなで)はひょんな事件から警察の特殊捜査官に任命される。  そして、同じ特殊捜査班である、透(とおる)、紅蓮(ぐれん)、槙(しん)、そして、室長の冴子(さえこ)と共に、事件の「真実」を暴き出す。  その事件がなぜ起こったのか?  本当の「悪」は誰なのか?  そして、その事件と別で最終章に繋がるある真実……。  こちらは全部で第七章で構成されています。第七章が最終章となりますので、どうぞ、最後までお読みいただけると嬉しいです!  よろしくお願いいたしますm(__)m

処理中です...