エイリアンコップ～楽園14～

第5話（BL特有シーン・回避可）

　黒髪の頭を抱き締めて口づける。するとシドは飢えていたかのように激しい勢いで唇をこじ開け歯列を割って舌を侵入させてきた。ハイファは口内を蹂躙されて喘ぐ。

「んんっ、ン……ぅうんっ、はぁん」
「チクショウ、色っぽいな」

　呟いて立ち上がろうとしたシドを押し留め、ゆっくりとハイファはシドの上衣のボタンを外した。その間にも赤い唇はシドの頬に、頬から顎のラインを伝って首筋へと滑ってゆく。
　喉の隆起を軽く吸い上げ、前をはだけて露わになった象牙色の肌を味わうように舐めねぶった。逞しい胸から引き締まった腹へと舌を這わせると、シドが喉の奥で呻く。

「……うっ、く……」

　下腹部まで辿り着き、パジャマのズボンの前にキスを落としたハイファは、シドの下衣を下着ごと押し下げた。現れたそこは既に勃ち上がりかけている。

「ねえ、シド……頂戴」
「ああ、お前のものだ。好きにしろよ」

　愛し人のそれにハイファは頬ずりをしたのち、数回扱いてから口をつけた。
　先端に尖らせた舌を差し込むと幾らも経たないうちにとろりとした蜜が溢れ出してくる。舌先ですくい取り音を立てて舐め啜った。

　敏感な部分を濃厚にねぶりながら指先でも優しく扱く。されるがままのシドの表情を窺うと、黒い目は狂おしくも切ない色を湛えていた。
　手の中で充分に成長させたものをハイファは赤い唇を開いて口に含む。

「んっ……あっ、く……」

　苦痛に堪えるかのようなシドの声を耳にして更に深く咥え込んだ。ハイファ自身も苦しいくらい硬く太いものを口いっぱいに頬張っている。
　張り詰めた茎に舌を巻きつけて唇を上下させるとシドの喘ぎが甘くなった。

「うっ……くっ……ぁあ――」

　今はもうハイファの薄い両肩を掴み、開いた両脚を突っ張るようにして、シドは腰を突き上げてしまうのを必死の思いで堪えていた。全てがハイファの舌づかいに支配されていた。
　太いものを咥えるハイファは顔立ちがノーブルだけに余計に淫らで視覚的にもシドは追い上げられる。もう喘ぎを堪えきれず、あられもない声が喉から零れ出した。

「ああっ、あっ……くうっ……はあっ！」
「んんぅ……ン……ぅうんっ」

　いつになく甘い声を洩らすシドが愛しく、ハイファは自身も鼻に掛かった喘ぎを洩らしながら、更に硬く膨れ上がったものを夢中で擦り続けた。激しく、速く強く、唇で扱き上げる。

「くっ、ハイファ……だめだ、もう……あうっ！」

　逃れようとシドは肩を押したがハイファは許さない。堪えきれずそのまま達してしまう。ハイファの喉にぶつけるようにして何度も放った。
　口内に溢れた濃いものをハイファは残らず嚥下する。扱いて滲み出したものまで綺麗に舐め取った。

「でも貴方、まだこんなにしてる」

　肩で息をするシドは、それでも熱く太く滾らせたままだった。

「今度はお前の番だ、覚悟してろよ」

　挑むように言ったシドだったが、ハイファの上衣のボタンを外す手つきは優しかった。柔らかな生地の袖をするりと抜かれ、下衣も下着ごと落とされて生まれたままの姿にされたハイファは、力強い腕に抱かれてベッドに横たえられる。

　自身も潔く全てを脱ぎ晒しシドはそっとハイファに躰を重ねた。滑らかな象牙色の肌ときめ細かな白い肌がしっとりと馴染んで酷く心地いい。
　既にハイファも躰の中心を張り詰めさせている。濡れそぼったものが二人の間で擦れ合い甘い痛みが湧いて、疼きの溜まりきったハイファの躰が勝手にうねった。

「んっ、あっ……シド……はぁんっ」

　より強い快感を求めるハイファの動きをシドは軽く逸らし華奢な鎖骨から首筋のラインに顔を埋める。幾度も唇できつく挟んで吸い上げ、自分の証しを穿ってゆく。

　細い躰が悶えているのも知らぬかのように衣服を身に着けても見えてしまいそうな処にまで赤い鬱血を刻み込んで、ふいにハイファの耳朶にキス、低く囁いた。

「もう欲しいんだろ？」

　羞恥で紅潮した顔を背けたハイファだったが、若草色の瞳はこれから与えられる快感を予感して既に潤んでいた。荒々しくシドは細い脚の間に位置する。
　素早く自分とハイファのものを扱いて指を濡らし、細い躰の敏感な蕾を探った。探り当てた蕾に中指を第一関節まで潜り込ませる。

「あっ、あ……はうっ！」

　思わずビクリと背を反らしたハイファから身を起こし、シドは膝を立てた細い脚を更に押し広げた。指は挿入したまま、淡い色づきも露わな姿態を取らせる。

「もっと欲しいって、ここが動いてるぜ」
「そんな……いや、あ……んっ」
「ここは嫌なんて言ってねぇぞ、ほら――」

　指を奥まで挿し込まれ、ハイファは白い喉を仰け反らせる。ひくつく蕾はシドの指の根元を食いちぎりそうに締め付けていた。
　宥めるように片手で内腿を撫でながら、シドはハイファを傷つけないよう極端に深爪した指先で、知り尽くしたポイントを抉るように掻く。

「ああっ……シド、はぁん……ああんっ！」
「ハイファ、少し力、抜け」

　強すぎる快感に晒されてハイファは返事もできず、高い喘ぎを洩らしながら長い金髪を乱して首を振る。いつしか細い腰を前後させ始めた躰はコントロールができないらしい。
　目を瞑ることも忘れて見開かれた若草色の瞳から今にも涙が零れそうだ。

「こら、あんまり動くな、傷つける」
「あっ、ふ……傷つけて、いいから……はぅんっ！」
「くっ……そんな訳にいくか」

　そうして淫らに乱れていてもハイファはノーブルで美しかった。月読の神のように気高いその身にシドは今すぐねじ込んで放出し、汚してしまいたいのを堪える。腹の底が焦げつきそうな欲望を抑えつけて指を増やしハイファを甘く鳴かせ続けた。

　指で充分馴らしてしまうと性急にシドは指を抜く。快感を追う仕草をしたハイファが酷く愛しい。片手を熱く滾った己のものに添えほぐしたそこにあてがった。

「俺を入れてくれるか」
「うん、お願い、シド……ひとつになりたいよ」
「ああ、俺もだ。ハイファ、お前が欲しい」

　できるだけゆっくりと挿入し狭いそこに太いものが咥え込まれる様を堪能したのは半ばまでだった。温かくも柔らかな内襞の感触に思わず一気に突き入れてしまう。

「んっ、シド……あっ、あっ……あぅんっ！」
「くっ……ハイファ……きつ、い――」

　指とは比べものにならない太さのものを受け入れたハイファは、悲鳴のような喘ぎを洩らした。シドもほぐした筈のそこにきつく締めつけられて呻く。

「ハイファ……痛く、ねぇか」
「シドで、いっぱい……いいよ、動いて……突いて」

　言われずとも我慢は限界、シドは離れてしまう寸前まで己を抜くと腰をスライドさせて思い切り突き上げた。途端に頭の芯が白熱するような快感が二人を押し包む。

「ああっ、シド、すご、い……ああんっ！」
「お前もすごいぞ……俺をこんなに……くっ！」

　熱い楔の切っ先で掻き混ぜるようにシドはまとわりつく内襞を抉った。腰が蕩けそうな快感に理性が灼かれる。
　白い躰にのめり込み、もはやシドは溺れきっていた。

　激しい律動に合わせてハイファも細い腰を波打たせる。そのたびに窄まりが締まってシドを呻かせた。上下から腰をぶつけ合い、二人で快感を生み続ける。

「まだ、きつい……ハイファ、メチャメチャ気持ちいい――」
「はぁんっ、シド……いい、そこ……はうんっ！」

　最初から激しく全身を揺らされハイファは叫ぶような喘ぎを絶え間なく洩らす。のしかかるようにして自分を突き上げ貫き続けるシドを涙で滲んだ視界に映して思う。
　もうこうして自分を酔わせることができるのは、この世で唯一人この男だけなのだ。

　その背にしっかりと腕を回した刹那、更に深くを突かれて思わず爪を立てる。端正なポーカーフェイスが僅かに崩れた。それはあまりに色っぽい表情で、ハイファを急激に昂ぶらせる。

「シド、シド……もう、だめ――」
「分かった、いかせてやる」

　熱いハイファのものをシドが握り込んだ。激しく叩き付けるような腰の律動に合わせて強く扱く。前後を同時に攻められ、気が遠くなる思いの中でシドの変化を体内で感じ取った。

「ああん、シド……いく、いっちゃう……はうっ！」
「ハイファ、俺も……あっ……くっ！」

　手の中でハイファが何度も痙攣させて弾けさせると同時に、シドは細い躰の奥深くに二度目とは思えないほどたっぷりと注ぎ込んでいた。

　何も考えられない数瞬ののちシドはベッドから滑り降りるとキッチンに消え、水のグラスと湯で絞ったタオルを持ってくる。

「おい、大丈夫か？」
「ん……でも動けない、かも」

　喘ぎ疲れて酷い声をしているハイファに口移しで水を飲ませ、躰を綺麗に拭き清めると、自分は雑に拭いてハイファに甲斐甲斐しく衣服を身に着けさせた。
　ことのあとで世話をしたがるのはシドの趣味のようなもの、分かっていてハイファも好きにさせているのだ。

「シド、貴方も風邪引かないうちに服、着てよね」
「へいへい、分かりましたよっと」

　ベッドに上がり横になって自分とハイファに毛布を被せる。いつも通りの左腕の腕枕を差し出して金髪頭を載せると、ハイファがリモータで天井のライトパネルを常夜灯モードにした。

「おやすみ、シド」
「ああ」

　白い額に唇を押し当ててやると、すぐにハイファは規則正しい寝息を立てだした。片手でさらさらの長い金髪を梳きながら、シドは目を瞑って細い躰を抱き締める。

　何処からか現れたタマがベッドに飛び乗り二人の足元で丸くなった。