53 / 55
第53話
しおりを挟む
三連休の初日。
京哉は朝五時半に叩き起こされて着替えさせられ、寝惚け眼に寝ぐせ頭のまま衣服と煙草の入ったショルダーバッグを持たされ、すっかり左腕も治った霧島に担がれ運ばれて白いセダンに乗せられた。霧島が運転して向かったのは貝崎市方面だった。
茫洋と霧島を眺めると急な呼び出しに対応するため休日でも殆どドレスシャツにスラックス姿の男が今日は珍しく洗い晒したダンガリーのシャツにコットンパンツで、生成の麻ジャケットを身に着けている。淡くブレナムブーケの匂いも漂わせていた。
ちなみに京哉も綿シャツとジーンズに紺色のパーカを着せられている。
海岸通りに出ると初夏の海が眩くて京哉もやっと目が覚めた。煙草を二本吸い思考力も取り戻したところで霧島がコンビニの駐車場にセダンを駐める。
だがてっきり朝食を調達するだけと思っていたのに霧島は食料や飲料に調味料まで次々とカゴに放り込み始めて京哉を戸惑わせ、山積みの買い物をレジに持ち込んでバイトの兄ちゃんを仰け反らせた。
大きな袋ふたつを提げて車に戻ると再び海岸通りを走り始める。更に霧島カンパニーの保養所も通り過ぎ数分で左折した。
そこはマリーナだった。護岸まで進入し突端近くでセダンを駐めて二人は降りた。
「忍さん、そろそろ種明かししてくれてもいいでしょう?」
「前に言ったプレゼントだ。今日から三日間お前は私とクルーザーで過ごす」
「えっ、海の上で二人きりですか?」
「そうなるな。ただ……お前がクルーザーを嫌がるなら別コースにするが」
「嫌じゃないです! 忍さんと一緒なら無人島でも月面でも嬉しいですよ!」
本当に嬉しくて霧島に抱きつきたいくらいだったが、見事な好天でヨットハーバー利用者が他にも少なからずいたので今は我慢する。代わりに率先して荷物を出した。
「ラミア号も直ってるみたいですけど、どっちの船に乗るんですか?」
「男の子はやはり大きな方に乗るべきだろう。エキドナ号を出す予定だ」
「じゃあ早く食料品を載せないと暑さで傷んじゃいますよ」
二人で荷物をエキドナ号のキャビンに運び食料を小さな厨房の冷蔵庫に収めプラグを繋いでしまうとセダンをヨットハウスの駐車場に駐め、エキドナ号まで駆け戻ってもやいを解く。アンカーをオートでガラガラ巻き上げるといよいよ出航だ。
操舵室で見事な操舵を披露する霧島に訊くと一級小型船舶操縦士の資格を持っているという。何でもできるのを京哉が羨ましがると「空は飛べん」らしかった。
「何処まで行くんですか?」
「取り敢えず事件の呼び出しが掛からない所までだ」
マリーナを出て堤防が見えなくなると京哉はもう我慢できずに霧島の背に抱きついた。海は凪いでいたので霧島はオートパイロットをセットし、振り向いて京哉を抱き締める。
キスを交わした二人だったが朝食も抜きだったので同時に腹の虫が自己主張し顔を見合わせて笑った。
「飯でも食うか。そのあとで約束を果たしてやる」
「約束って何ですか?」
「忘れたのか? 獲物を釣って見せろと夫に要求したのはお前だぞ」
「あっ、そうでした。僕にも釣り方を教えて下さい。先にご飯の準備してきます」
近海は船舶が多く衝突の危険があるので霧島は操舵室に居残りだ。
キャビンを経由して京哉が駆け込んだ厨房は非常に狭かったが小綺麗で使いやすかった。最近は主夫業も霧島と同じくらいスマートにこなせるようになっている。購入した食料があるので今はインスタントコーヒーを淹れるだけだが。
水道水も舐めてみて塩辛くなく新鮮なのを確認してから小鍋で湯を沸かした。銀のトレイに各種サンドウィッチとコーヒーカップふたつを載せて操舵室に戻る。
「お待たせしました、ご飯ですよ」
操舵しながらでも食事を取れるよう小さなテーブルとチェアを操舵席に寄せ、トレイを置いて自分はチェアに腰掛けた。
食事を始めたはいいが霧島の左腕が使えなかった時の癖で食べたい物をいちいち聞いてはセロファンを剥がす京哉を霧島は笑う。
「そう世話を焼かずとも、もう自分で食える」
「分かってますけど、勝手に手が動いちゃうんですよ」
「心配しなくてもお前の立ち位置は確立されているぞ?」
「それも分かってます。でもこれも結構愉しくて」
「だが愉しいところに水を差して悪いが、どうやらあとをつけられている」
口調も変えず告げられて京哉はそれを脳ミソに染み込ませるのに時間が掛かった。
「あとを……海の上なのに尾行されてるんですか?」
「まあ、そういうことだな」
「何を暢気に……新・暗殺肯定派の最後の悪足掻きだったらどうするんですか!」
「私もお前も本部長特令で銃は持っている。そう心配は要らん」
「どうしてそんなに落ち着いていられるのか、謎なんですけど」
「仕掛けてきたら返り討ちにするまでだ。一人か二人殺れば逆に脅しになるだろう」
淡々と言ってのけた霧島の顔を京哉は凝視する。まるで常態の男に静かに訊いた。
「忍さん。貴方が人を殺すんですか?」
「殺したいくらいだが積極的に殺しはせん。これでもサツカンだからな」
「殺したい相手はいるんですね?」
「当然だ。私はこれでも本気で怒っている。今更蒸し返して悪いがお前をあんな目に遭わせた奴ら全てを撃ち殺したい。分かっている。これは義憤でなく私怨だ」
霧島の本気は京哉にも伝わる。光の加減で薄い灰色になった切れ長の目が煌めき、形のいい唇の端が吊り上がって思わず見入ってしまうほどにその笑みは凄絶だった。
だが京哉はその右頬を無造作に摘んで引っ張る。
「はにふふんだ、京哉!」
「僕の知っている忍さんはそんな笑い方しません。いつもの忍さんに戻って下さい」
「戻るも何も私はいつもと変わらん」
「機動捜査隊長の霧島警視はいつも誰かに殺意を抱いているんですか? 正直、僕も貴方がそこまで怒ってくれて嬉しい。でも自らが信じる警察官としての存在意義を懸けて機捜のみんなと僕を助けてくれた、あの時の貴方に殺意はなかったでしょう?」
「誰しも心に黒い部分くらいあるだろうが」
今度は京哉に対して腹を立てたらしい。溜息をついて京哉は言葉を重ねた。
「貴方が僕を助けた件は貴方の計画の一部に過ぎなかった。懲戒を食らうという大きなハンデは背負いましたが、それすらも貴方自身の計画のうちでしたね、巨大な敵を油断させるために」
「……分かっていたか」
「貴方自身がヒントをくれたじゃないですか。とにかくあれだけの大ごとを最初から最後まで全て事前に計算し全幕思い通りに動かしたのは貴方でした。そんな驚異的な頭脳と実行力を持ち合わせた人間がその気になれば殺れちゃうんですよ、誰にも知られず何人でも。おまけに加減を知らない。それが僕は怖いんです」
単に説得するための詭弁ではなく、京哉は何のフィルタも通さずに霧島を見て冷静に判断した結果を語っているのだ。真摯なそれは霧島本人にも伝わる。
「そうか……なるほど」
「だから防衛本能以外、特定の相手に対する殺意なんか捨てちゃって下さい。そうじゃないと僕も機捜の皆も貴方を信じるより監視しなきゃならない。そもそもご自分が警察キャリアになった理由を忘れていなければ殺意なんてものは不要、むしろ邪魔でしかないとお分かりになる筈です!」
「すまん。悪かった、目が覚めた」
語気も激しく言い切った京哉に霧島は頭を下げた。誰より復讐心に燃えてもおかしくない被害者の京哉に逆に諭されて、改めて四歳下の小柄な男を手放すまいと思う。冷静にこの自分が通るべき道を見極め、踏み誤る前に軌道修正してくれる鳴海京哉という男を。
「やはりお前は私の選んだパートナーだな。自慢の妻だ」
「今更何を……それより本当に仕掛けてくるまで放置ですか?」
「ああ。こちらの航路をずっとトレースしているらしいが、たっぷり一海里は離れているからな。仕掛けるそぶりを見せれば分かるだろう。大して心配は要らん」
「じゃあ、食べたら予定通りに魚釣りですね」
「約束を守ってやる、大物を期待していろ」
京哉は朝五時半に叩き起こされて着替えさせられ、寝惚け眼に寝ぐせ頭のまま衣服と煙草の入ったショルダーバッグを持たされ、すっかり左腕も治った霧島に担がれ運ばれて白いセダンに乗せられた。霧島が運転して向かったのは貝崎市方面だった。
茫洋と霧島を眺めると急な呼び出しに対応するため休日でも殆どドレスシャツにスラックス姿の男が今日は珍しく洗い晒したダンガリーのシャツにコットンパンツで、生成の麻ジャケットを身に着けている。淡くブレナムブーケの匂いも漂わせていた。
ちなみに京哉も綿シャツとジーンズに紺色のパーカを着せられている。
海岸通りに出ると初夏の海が眩くて京哉もやっと目が覚めた。煙草を二本吸い思考力も取り戻したところで霧島がコンビニの駐車場にセダンを駐める。
だがてっきり朝食を調達するだけと思っていたのに霧島は食料や飲料に調味料まで次々とカゴに放り込み始めて京哉を戸惑わせ、山積みの買い物をレジに持ち込んでバイトの兄ちゃんを仰け反らせた。
大きな袋ふたつを提げて車に戻ると再び海岸通りを走り始める。更に霧島カンパニーの保養所も通り過ぎ数分で左折した。
そこはマリーナだった。護岸まで進入し突端近くでセダンを駐めて二人は降りた。
「忍さん、そろそろ種明かししてくれてもいいでしょう?」
「前に言ったプレゼントだ。今日から三日間お前は私とクルーザーで過ごす」
「えっ、海の上で二人きりですか?」
「そうなるな。ただ……お前がクルーザーを嫌がるなら別コースにするが」
「嫌じゃないです! 忍さんと一緒なら無人島でも月面でも嬉しいですよ!」
本当に嬉しくて霧島に抱きつきたいくらいだったが、見事な好天でヨットハーバー利用者が他にも少なからずいたので今は我慢する。代わりに率先して荷物を出した。
「ラミア号も直ってるみたいですけど、どっちの船に乗るんですか?」
「男の子はやはり大きな方に乗るべきだろう。エキドナ号を出す予定だ」
「じゃあ早く食料品を載せないと暑さで傷んじゃいますよ」
二人で荷物をエキドナ号のキャビンに運び食料を小さな厨房の冷蔵庫に収めプラグを繋いでしまうとセダンをヨットハウスの駐車場に駐め、エキドナ号まで駆け戻ってもやいを解く。アンカーをオートでガラガラ巻き上げるといよいよ出航だ。
操舵室で見事な操舵を披露する霧島に訊くと一級小型船舶操縦士の資格を持っているという。何でもできるのを京哉が羨ましがると「空は飛べん」らしかった。
「何処まで行くんですか?」
「取り敢えず事件の呼び出しが掛からない所までだ」
マリーナを出て堤防が見えなくなると京哉はもう我慢できずに霧島の背に抱きついた。海は凪いでいたので霧島はオートパイロットをセットし、振り向いて京哉を抱き締める。
キスを交わした二人だったが朝食も抜きだったので同時に腹の虫が自己主張し顔を見合わせて笑った。
「飯でも食うか。そのあとで約束を果たしてやる」
「約束って何ですか?」
「忘れたのか? 獲物を釣って見せろと夫に要求したのはお前だぞ」
「あっ、そうでした。僕にも釣り方を教えて下さい。先にご飯の準備してきます」
近海は船舶が多く衝突の危険があるので霧島は操舵室に居残りだ。
キャビンを経由して京哉が駆け込んだ厨房は非常に狭かったが小綺麗で使いやすかった。最近は主夫業も霧島と同じくらいスマートにこなせるようになっている。購入した食料があるので今はインスタントコーヒーを淹れるだけだが。
水道水も舐めてみて塩辛くなく新鮮なのを確認してから小鍋で湯を沸かした。銀のトレイに各種サンドウィッチとコーヒーカップふたつを載せて操舵室に戻る。
「お待たせしました、ご飯ですよ」
操舵しながらでも食事を取れるよう小さなテーブルとチェアを操舵席に寄せ、トレイを置いて自分はチェアに腰掛けた。
食事を始めたはいいが霧島の左腕が使えなかった時の癖で食べたい物をいちいち聞いてはセロファンを剥がす京哉を霧島は笑う。
「そう世話を焼かずとも、もう自分で食える」
「分かってますけど、勝手に手が動いちゃうんですよ」
「心配しなくてもお前の立ち位置は確立されているぞ?」
「それも分かってます。でもこれも結構愉しくて」
「だが愉しいところに水を差して悪いが、どうやらあとをつけられている」
口調も変えず告げられて京哉はそれを脳ミソに染み込ませるのに時間が掛かった。
「あとを……海の上なのに尾行されてるんですか?」
「まあ、そういうことだな」
「何を暢気に……新・暗殺肯定派の最後の悪足掻きだったらどうするんですか!」
「私もお前も本部長特令で銃は持っている。そう心配は要らん」
「どうしてそんなに落ち着いていられるのか、謎なんですけど」
「仕掛けてきたら返り討ちにするまでだ。一人か二人殺れば逆に脅しになるだろう」
淡々と言ってのけた霧島の顔を京哉は凝視する。まるで常態の男に静かに訊いた。
「忍さん。貴方が人を殺すんですか?」
「殺したいくらいだが積極的に殺しはせん。これでもサツカンだからな」
「殺したい相手はいるんですね?」
「当然だ。私はこれでも本気で怒っている。今更蒸し返して悪いがお前をあんな目に遭わせた奴ら全てを撃ち殺したい。分かっている。これは義憤でなく私怨だ」
霧島の本気は京哉にも伝わる。光の加減で薄い灰色になった切れ長の目が煌めき、形のいい唇の端が吊り上がって思わず見入ってしまうほどにその笑みは凄絶だった。
だが京哉はその右頬を無造作に摘んで引っ張る。
「はにふふんだ、京哉!」
「僕の知っている忍さんはそんな笑い方しません。いつもの忍さんに戻って下さい」
「戻るも何も私はいつもと変わらん」
「機動捜査隊長の霧島警視はいつも誰かに殺意を抱いているんですか? 正直、僕も貴方がそこまで怒ってくれて嬉しい。でも自らが信じる警察官としての存在意義を懸けて機捜のみんなと僕を助けてくれた、あの時の貴方に殺意はなかったでしょう?」
「誰しも心に黒い部分くらいあるだろうが」
今度は京哉に対して腹を立てたらしい。溜息をついて京哉は言葉を重ねた。
「貴方が僕を助けた件は貴方の計画の一部に過ぎなかった。懲戒を食らうという大きなハンデは背負いましたが、それすらも貴方自身の計画のうちでしたね、巨大な敵を油断させるために」
「……分かっていたか」
「貴方自身がヒントをくれたじゃないですか。とにかくあれだけの大ごとを最初から最後まで全て事前に計算し全幕思い通りに動かしたのは貴方でした。そんな驚異的な頭脳と実行力を持ち合わせた人間がその気になれば殺れちゃうんですよ、誰にも知られず何人でも。おまけに加減を知らない。それが僕は怖いんです」
単に説得するための詭弁ではなく、京哉は何のフィルタも通さずに霧島を見て冷静に判断した結果を語っているのだ。真摯なそれは霧島本人にも伝わる。
「そうか……なるほど」
「だから防衛本能以外、特定の相手に対する殺意なんか捨てちゃって下さい。そうじゃないと僕も機捜の皆も貴方を信じるより監視しなきゃならない。そもそもご自分が警察キャリアになった理由を忘れていなければ殺意なんてものは不要、むしろ邪魔でしかないとお分かりになる筈です!」
「すまん。悪かった、目が覚めた」
語気も激しく言い切った京哉に霧島は頭を下げた。誰より復讐心に燃えてもおかしくない被害者の京哉に逆に諭されて、改めて四歳下の小柄な男を手放すまいと思う。冷静にこの自分が通るべき道を見極め、踏み誤る前に軌道修正してくれる鳴海京哉という男を。
「やはりお前は私の選んだパートナーだな。自慢の妻だ」
「今更何を……それより本当に仕掛けてくるまで放置ですか?」
「ああ。こちらの航路をずっとトレースしているらしいが、たっぷり一海里は離れているからな。仕掛けるそぶりを見せれば分かるだろう。大して心配は要らん」
「じゃあ、食べたら予定通りに魚釣りですね」
「約束を守ってやる、大物を期待していろ」
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
とりかへばや捜索任務激闘七日間~Barter.24[番外編]~
志賀雅基
BL
◆愛し君追ひ刻の彼方より来りて我ら救ひし/県警機動捜査隊長なる者ありけり◆
キャリア機捜隊長×年下刑事バディシリーズPart24[全48話]
同性愛者を公言する機捜隊長・霧島ではなくバディでパートナーの京哉に見合いが舞い込む。同時に時空警察なる怪しい男二人が現れ、京哉に子供が出来たら宇宙が滅ぶと言い出し……見合い三連チャンの覗き見もとい尾行・宇宙レヴェルの特別任務・ミスって跳ばされ平安時代!? な、スラップスティックコメディ!
▼▼▼
【シリーズ中、何処からでもどうぞ】
【BL特有シーンはストーリーに支障なく回避可能な仕様です】
【Nolaノベル・小説家になろう・ノベルアップ+・ステキブンゲイにR無指定版/エブリスタにR15版を掲載】
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
【完結】捨てられ正妃は思い出す。
なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」
そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。
人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。
正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。
人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。
再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。
デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。
確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。
––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––
他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。
前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。
彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。
ブレスレットが運んできたもの
mahiro
BL
第一王子が15歳を迎える日、お祝いとは別に未来の妃を探すことを目的としたパーティーが開催することが発表された。
そのパーティーには身分関係なく未婚である女性や歳の近い女性全員に招待状が配られたのだという。
血の繋がりはないが訳あって一緒に住むことになった妹ーーーミシェルも例外ではなく招待されていた。
これまた俺ーーーアレットとは血の繋がりのない兄ーーーベルナールは妹大好きなだけあって大いに喜んでいたのだと思う。
俺はといえば会場のウェイターが足りないため人材募集が貼り出されていたので応募してみたらたまたま通った。
そして迎えた当日、グラスを片付けるため会場から出た所、廊下のすみに光輝く何かを発見し………?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる