Human Rights[人権]～楽園６～

第28話（BL特有シーン・回避可）

　起きたハイファはシドの大腿部に跨ると綿のシャツのボタンを外してゆく。全て外して前をはだけ引き締まった腹筋から胸に指を這わせた。
　胸の小さな尖りを摘む。

「う……っく……んっ」
「ここ、そんなに感じる？」

　返事の代わりにシドは目を瞑って深い息を洩らした。上体を倒して抱きついたハイファに胸を噛まれてシドは躰を僅かに跳ねさせる。
　舐めねぶられ、摘んで押し込まれ痛いほどに嬲られたそこから電流が走るように下半身に疼きが溜まってゆく。

　熱い舌が鎖骨から首筋を往復した。柔らかい唇が鎖骨の下を挟み強く吸い上げる。滑らかな象牙色の肌に幾つも証しを穿たれながら、しなやかな背を抱き締めた。

「ん……ハイファ……っあ」

　甘い痛みに鼓動は速くなりシドは吐息と共に喘ぎが洩れるのを止められない。

　はだけたシャツの襟を掴まれ、上体を僅かに起こされてキスを受ける。
　唇と歯列とを割って入り込んできたハイファの熱い舌に口中を探られ、ねだられた舌を差し出すと、絡め取られて痺れるくらいに吸われた。何度も唾液を要求されて応える。

「んんっ……んっ……っく、はあっ！」

　上手く呼吸ができなくなるくらいの深い口づけにシドは眩暈を覚えて喘いだ。解放されて肩で息をしている間に、ハイファにベルトを緩められていた。

「こっちにもキスさせてよ」

　コットンパンツと下着とを足首近くまで下ろすと、ハイファはシドの身動きもままならない膝下辺りに跨ってシド自身を握る。
　ゆるゆると扱くと蜜が溢れ出た。音を立ててねぶり、口に含んだハイファは先端に舌を這わせる。そして喉元近くまでシドを咥えて唇と口内全体でで扱き出した。

「あっ、く……んんっ……ハイファ！」

　後頭部でフラッシュを焚かれたようにシドの思考は真っ白になる。世界の全てが遠ざかったような気さえした。もう疼きは痛いくらいに溜まっている。

「あっ、うっく、はあっ……ハイファ、だめだ」
「んっ……んんぅ……んんっ」

　攻めるハイファもシドの反応に昂ぶり喉の奥から喘ぎが洩れるのを止められない。とっくに張り詰めていた先端から蜜を滴らせシドの脚に擦り付け象牙色の肌を汚す。
　腰を突き上げてしまいそうになるのを目を瞑り、必死で堪えているシドの表情は堪らなく色っぽかった。その表情に嗜虐心を煽られハイファは容赦なく攻め立てる。

　こんな荒っぽい攻め方でハイファから挑まれることは珍しく、シドは幾らも経たず限界を訴えた。身を捩るもハイファは許さず咥えたシドを離さない。

「んぅ、すっごい、んっ、んっ、シドが美味しい――」
「ハイファ、頼む、離し……ああっ……あうっ！」

　いつにない激しい喘ぎを洩らしながら、とうとう堪えきれずにシドはハイファの喉にぶつけるように欲望を迸らせた。
　何度も痙攣して放たれ、口内に溢れた濃いものをハイファは残らず嚥下する。口を離し扱いて滲んだものまで舐め取った。

「ハイファ……すまん」
「何で謝るのサ？　でもまだ貴方、こんなにしてる」

　笑ってそれを指先でなぞったハイファは、肩で息をするシドを見上げる。脱力して僅かに仰け反らせた喉から顎のラインが匂い立つような男の色気を放っていた。
　ハイファは堪らず身を起こすと膝立ちでシドの躰に跨る。にじり寄ってハイファは馴らされてもいない我が身にシドを押し当てた。

「お願い、シド……こっちにも欲しいよ」
「ちょっと待て。それだと、お前が――」
「いいよ、つらくて構わない」
「こら、ハイファ……だめだ、やめ……うっ！」

　そのまま受け入れようとしているのだ。シドの熱いものを掴んだハイファは己に当てがったまま、止めるシドの声も聞かず座り込むように細い腰を落としてゆく。

「あっふ……あ、あっあっ、つうっ！」
「だめだ、ハイファ、傷つける……だめだって、あうっ！」
「いい、このまま……痛くされたい……あっ、んんっ！」

　強引に咥え込んだだけでなく、自らの体重を落としシドを全て呑み込んだ。
　根元までシドを咥え込んでハイファは自ら深く穿った熱い楔に捕らえられ、やはりすぐには動けないようだった。

　おそらく相当痛いだろう。奥深くまで届かせられたシドも強い締め付けに耐えている。苦しさと痛みとを共有し二人は何度も息をついた。

「あぅん、シド……僕に、頂戴――」
「ゆっくりだぞ、それ以上無茶するとマジでお前……あっく、ああ――」
「気持ちいい？　もっと良くしてあげるから……んんぅ、あふっ！」

　躰の横に投げ出されていたシドの手に自分の両手指を絡ませ、ゆっくりハイファは細い腰を浮かし始めた。最初は少しずつ、徐々に浅く深く、幾度も腰を浮かしては落とす。離れてしまう寸前まで引き抜いては、これ以上ない深い処まで自身で貫いた。

　苦しさと紙一重の快感にハイファは細くしなやかな躰を仰け反らせて酔う。

　長い髪を揺らし、自分の中を擦り上げる大きなシドの存在に喘ぐこともできずのめり込んでいるハイファは美しくも妖艶、堪らなくなってシドも腰を突き上げ出した。

　途端に感じていた痛みが反転、快感が鋭いものとなって二人を襲う。

「はぁんっ、シド、いい……すごい、やあんっ！」
「くっ……ハイファ、まだきつい……すっげぇいい」
「シド、シド、僕を……目茶苦茶に……はぅんっ！」
「目茶苦茶に、されてぇんだな？」
「んっ、お願い！　誰よりも、痛くして！」

　半ばしゃくりあげながら訴えるハイファにシドは傷ついて血を流す心を見た。

　細い躰を思いやれば無茶な挿入後にどうかとは思ったが、本心から望むものを与えてやりたい想いで思い切り攻め始める。
　きつい粘膜を引き裂くように下から激しく腰を揺らし、掻き混ぜこね回した。先端できつく抉り、反り返りで激しく擦り立てる。

　一方的な行為ではなく、勿論シドも理性が飛ぶような快感を味わっていた。細い躰を己のものが貫いている光景は淫らすぎ、シドはハイファの粘膜を突き破ってしまうのではないかと思うほど捩り擦っては腹の上のハイファを鳴かせた。

「ああん、シド、深いよ……はうんっ！　今日のシド、すっごい、ああんっ！」
「っく……ハイファ、痛いだろ……くうっ！」
「いい、痛くてもいい、気持ち良すぎて……シド、そこ、ああん！」　

　攻められるばかりでなくハイファも乱れ細い腰を上下させていた。二人は腰をぶつけ合った。ハイファの内襞はシドに絡みついて締めつける。
　ぬるみきった粘膜が酷くいやらしい音を立てた。絡ませた手にハイファの爪が食い込む。

　まるでシドが受け入れるような姿勢で深く深くハイファの奥に届いていた。快感に浸りきって互いに動けないまま、ハイファの充血した粘膜はシドの予兆を捉える。

「はぅん、いく、いっちゃう……あうっ！」
「俺も、一緒に……あっ、くっ！」

　二人は同時に弾けさせた。幾度も身を痙攣させて放つ。
　シドに熱く濃く濡らされながらハイファはシドの喉元にまで迸らせていた。手を封じられていたシドの支えが間に合わず、ハイファは自分の放ったものの上に倒れ込む。

　力の抜けた指を解くとシドは自分に体重を預けきっているハイファを抱き締めた。反応がないので胸に押し当てられていない方の頬に触れたが若草色の瞳を見せない。

「ハイファ……おい、大丈夫か？」
「……」

　どうやらハイファは失神したか、急激に深い眠りに入ったようだった。