33 / 43
第33話
しおりを挟む
随分と経ってから部屋のドアが開け閉めされる気配がしたのち、急に騒がしい気配が近づいてきて薫が戻ってきたのを知る。戻ってきたということは一度は出て行ったということだ。
さっきの今で馬鹿かと思ったが自分の指示も上手くなかったのだと思い直す。もし薫が尾行され、この部屋まで敵に突き止められていたらアウトだが、こうなった以上は割り切って、その場その場で対応するしかない。
「恭介、何処撃たれたの!? 嫌だ、すごい血……死んだ?」
「ふざけるな。これで死ねるほど器用じゃない。いいからそいつを寄越せ」
内線でコンシェルジュに頼めば外出せずとも手に入ったであろう救急箱とコンビニの袋に入った品々を風呂場の床にぶちまける。必要と思われる物が揃っているのを確かめてジャケットを脱ぎにかかった。薫が手を貸してくれる。どうせ血塗れ、袖を切っても良かったが、もし代替品が手に入らなければ困るハメになる。
だがドレスシャツの損傷は激しすぎたので温存は諦め、力任せに右手で引き裂き毟り取った。すると傷は左上腕に二ヶ所。掠めた箇所より三センチほど上に被弾したまま抜けていない。まずはこいつを取り出す作業だ。
薫がコンビニで買ってきた品物群を漁る。曖昧な『良く切れそうな刃物』なるリクエストに工作用のカッターナイフと鞘付きの果物ナイフがあった。両方を掴むと恐る恐る見ている薫に押し付け、外装を開封して貰う。
「あのさ、あんまり答えを聞きたくないんだけど……それどうするの?」
「弾を体内に入れっ放しにしておくと金属探知機で居場所を特定される」
「え、マジで!?」
「そんな訳あるか。埋めておくと鉛毒だの余計な心配事が増えるから出すだけだ」
「今日は四月一日でもないのに……何か僕にも手伝えること、あるかな?」
「なら今から一分間、目と耳を塞いでおいてくれ」
言う通りにしたのかどうか恭介は確認もせず、まずはカッターナイフでチャレンジし、次に果物ナイフの先でリベンジしたのちに、救急箱のピンセットで弾丸を摘出するのに成功した。神経を圧迫していたらしく、取り出すと同時に勢いよく血は溢れたが痛みは随分と軽くなる。ひしゃげた弾丸はおそらく38口径SP弾。敵の得物はリボルバだった可能性が高い。
ホッとしたのはいいが見た目は惨憺たる有り様で、おまけに『裁縫セットを買ってこい』と言い忘れたために傷を縫い閉じることもできない。仕方なく消毒液をありったけぶっかけておいて薫に「新しいタオルくれ」と言ったが、薫の方こそ真っ白な顔色をして倒れそうな風情だった。
だが恭介が自分で動こうとすると薫は弾かれたように出て行って、すぐに洗面所に積んであったタオルを持ってくる。それで出来る限りの血を拭ってから思い切り圧迫止血に挑みつつ、これも薫に命じて救急箱の医療用紙テープを十センチほどの長さに切ったものを何本も用意させた。あとはガーゼも開封させる。
タオルを剥がすと同時に抗生物質入りの塗り薬をチューブ一本分、盛大に塗ったガーゼを当て、更にガーゼと何本もの紙テープで厳重に固めて塞いだ。二ヶ所の傷が近かったので一度に覆った形である。伸縮包帯で薫にグルグル巻きにして貰って、取り敢えず出来る範囲の治療は終了だ。
「くそう、思ったより出血したな」
「一旦、全部脱いでよ。血だらけだし拭いてあげるからさ。服はスーツだけ水洗いしてから干してみるし。身体、拭いたら寝てた方がいいよ、顔が真っ白だよ?」
「顔色に関しちゃ薫、お前も白いぞ。……まあいい、任せる。それとスーツは水洗いしてから内線でコンシェルジュにかけてクリーニングサーヴィスに頼んでくれ」
「分かった。じゃあ、ほら」
脱いでシャワーで流せるだけ流し、後は薫に拭いて貰ってホテル備え付けの夜着を着ると窓側のベッドに潜り込む。薫が後始末をする水音を聞いているうちに寒気が襲ってきて仕方なく起き、エアコンで室温を上げた。
暫くしてドレスシャツの腕捲りを戻しつつ部屋に入ってきた薫が、
「暑っ! 何この熱帯。砂漠? ラクダ?」
などと愚痴りながら寄ってくる。恭介は自分が常人より丈夫にできていて銃創も治りは早いと分かっていたが、やはり人間辞めたつもりもないので正常な反応として、撃たれて大量失血したショックから発熱したと気付いていた。
「コンシェルジュに電話、ついでに熱発グッズも頼む」
「ねっぱつ、ネッパツ……?」
「すまん、オツムが弱かったんだな。熱が出た。医者は呼ぶな。もういいか?」
「オツムはともかく、ごめん。寝てていいから」
しかし何かと勝手の分からない薫にはこのあとも複数回にわたって疑問が湧き、素直に「あのさ」とその疑問をぶつけてくる。それを解消してやれるのは無論、恭介しかいないので落ち着いて眠れる体制が整う頃には既に窓外は日差しで満ちていた。
夜型人間の恭介には却って都合のいい睡眠が取れそうな時間になった訳だが、ここにきて空腹第二弾がやってくる。睡眠不足&大量失血の吸血鬼はここでも薫の意見は訊かず、アホみたいに大量のルームサーヴィスを注文してベッドに倒れ込んだ。
やがて部屋のチャイムが鳴ってインターフォンからルームサーヴィスが届いたとの言葉が流れた。腹にグロックを忍ばせた薫を傍に立たせて、恭介がドアロックを解くと僅かにドアを開けてホテルメイドと彼女が押すワゴンを確認し室内に入れる。
ホテルメイドにはとっとと退出を願い、ワゴンを二台のベッドの間にゴロゴロと移動させると、恭介はものも言わずに朝飯だか何だか分からぬ飯を食い始めた。薫も反対側のベッドに腰掛けて負けじと食い始める。
ワゴンには上の段だけでは載せきれなかった料理が順当に下の段にも満載されていたが、おそらく記録的なスピードで全ての料理は見事、二人の腹に収まった。恐るべきことに薫もキッチリ半分を受け持っていた。
禅僧以下の食卓を長く経験してきたので食べ物を無駄にしないというより却って食い意地が張っているのである。
食い終えるなりまたベッドに倒れ込み、潜り込んで恭介は今度こそ急速に深い眠りに落ちた。その整いすぎるほど端正な寝顔を眺めたのち、薫はワゴンを廊下に出す。勿論、警戒して腹にグロックを呑んでおくのも忘れない。
気を利かせたつもりでドアの外側に『don't disturb』の札も下げておいた。
そこまでしてしまうとやることもなくなり、暫くTVを眺めていたがニュースでも繁華街でボヤだのホテルで銃撃戦だのというネタも流れず、飽きて自分も寝ようと思う。軽くシャワーを浴びて夜着に着替え、開いている方のベッドに上がろうとして思い直し、眠っている恭介を覗き込むと素早くキスを奪った。
深く考えもしない行動の後に空いたベッドに横になる。すぐにウトウトと眠りに引き込まれ、だがどのくらい経ったかも分からないまま目を見開いた。
「な、恭介。あんた……」
被った布団の上からのしかかられ、傷付いた左腕で右肩を押さえつけられていた。更に恭介の右手は薫の右耳辺りを強く押さえて、つまりは薫の右首筋を露出させた形だった。その態勢で怖いくらいに綺麗で白い顔をした恭介が見下ろしている。
その吐息はやや荒く、抑えに抑えた切ない目をしていた。
さっきの今で馬鹿かと思ったが自分の指示も上手くなかったのだと思い直す。もし薫が尾行され、この部屋まで敵に突き止められていたらアウトだが、こうなった以上は割り切って、その場その場で対応するしかない。
「恭介、何処撃たれたの!? 嫌だ、すごい血……死んだ?」
「ふざけるな。これで死ねるほど器用じゃない。いいからそいつを寄越せ」
内線でコンシェルジュに頼めば外出せずとも手に入ったであろう救急箱とコンビニの袋に入った品々を風呂場の床にぶちまける。必要と思われる物が揃っているのを確かめてジャケットを脱ぎにかかった。薫が手を貸してくれる。どうせ血塗れ、袖を切っても良かったが、もし代替品が手に入らなければ困るハメになる。
だがドレスシャツの損傷は激しすぎたので温存は諦め、力任せに右手で引き裂き毟り取った。すると傷は左上腕に二ヶ所。掠めた箇所より三センチほど上に被弾したまま抜けていない。まずはこいつを取り出す作業だ。
薫がコンビニで買ってきた品物群を漁る。曖昧な『良く切れそうな刃物』なるリクエストに工作用のカッターナイフと鞘付きの果物ナイフがあった。両方を掴むと恐る恐る見ている薫に押し付け、外装を開封して貰う。
「あのさ、あんまり答えを聞きたくないんだけど……それどうするの?」
「弾を体内に入れっ放しにしておくと金属探知機で居場所を特定される」
「え、マジで!?」
「そんな訳あるか。埋めておくと鉛毒だの余計な心配事が増えるから出すだけだ」
「今日は四月一日でもないのに……何か僕にも手伝えること、あるかな?」
「なら今から一分間、目と耳を塞いでおいてくれ」
言う通りにしたのかどうか恭介は確認もせず、まずはカッターナイフでチャレンジし、次に果物ナイフの先でリベンジしたのちに、救急箱のピンセットで弾丸を摘出するのに成功した。神経を圧迫していたらしく、取り出すと同時に勢いよく血は溢れたが痛みは随分と軽くなる。ひしゃげた弾丸はおそらく38口径SP弾。敵の得物はリボルバだった可能性が高い。
ホッとしたのはいいが見た目は惨憺たる有り様で、おまけに『裁縫セットを買ってこい』と言い忘れたために傷を縫い閉じることもできない。仕方なく消毒液をありったけぶっかけておいて薫に「新しいタオルくれ」と言ったが、薫の方こそ真っ白な顔色をして倒れそうな風情だった。
だが恭介が自分で動こうとすると薫は弾かれたように出て行って、すぐに洗面所に積んであったタオルを持ってくる。それで出来る限りの血を拭ってから思い切り圧迫止血に挑みつつ、これも薫に命じて救急箱の医療用紙テープを十センチほどの長さに切ったものを何本も用意させた。あとはガーゼも開封させる。
タオルを剥がすと同時に抗生物質入りの塗り薬をチューブ一本分、盛大に塗ったガーゼを当て、更にガーゼと何本もの紙テープで厳重に固めて塞いだ。二ヶ所の傷が近かったので一度に覆った形である。伸縮包帯で薫にグルグル巻きにして貰って、取り敢えず出来る範囲の治療は終了だ。
「くそう、思ったより出血したな」
「一旦、全部脱いでよ。血だらけだし拭いてあげるからさ。服はスーツだけ水洗いしてから干してみるし。身体、拭いたら寝てた方がいいよ、顔が真っ白だよ?」
「顔色に関しちゃ薫、お前も白いぞ。……まあいい、任せる。それとスーツは水洗いしてから内線でコンシェルジュにかけてクリーニングサーヴィスに頼んでくれ」
「分かった。じゃあ、ほら」
脱いでシャワーで流せるだけ流し、後は薫に拭いて貰ってホテル備え付けの夜着を着ると窓側のベッドに潜り込む。薫が後始末をする水音を聞いているうちに寒気が襲ってきて仕方なく起き、エアコンで室温を上げた。
暫くしてドレスシャツの腕捲りを戻しつつ部屋に入ってきた薫が、
「暑っ! 何この熱帯。砂漠? ラクダ?」
などと愚痴りながら寄ってくる。恭介は自分が常人より丈夫にできていて銃創も治りは早いと分かっていたが、やはり人間辞めたつもりもないので正常な反応として、撃たれて大量失血したショックから発熱したと気付いていた。
「コンシェルジュに電話、ついでに熱発グッズも頼む」
「ねっぱつ、ネッパツ……?」
「すまん、オツムが弱かったんだな。熱が出た。医者は呼ぶな。もういいか?」
「オツムはともかく、ごめん。寝てていいから」
しかし何かと勝手の分からない薫にはこのあとも複数回にわたって疑問が湧き、素直に「あのさ」とその疑問をぶつけてくる。それを解消してやれるのは無論、恭介しかいないので落ち着いて眠れる体制が整う頃には既に窓外は日差しで満ちていた。
夜型人間の恭介には却って都合のいい睡眠が取れそうな時間になった訳だが、ここにきて空腹第二弾がやってくる。睡眠不足&大量失血の吸血鬼はここでも薫の意見は訊かず、アホみたいに大量のルームサーヴィスを注文してベッドに倒れ込んだ。
やがて部屋のチャイムが鳴ってインターフォンからルームサーヴィスが届いたとの言葉が流れた。腹にグロックを忍ばせた薫を傍に立たせて、恭介がドアロックを解くと僅かにドアを開けてホテルメイドと彼女が押すワゴンを確認し室内に入れる。
ホテルメイドにはとっとと退出を願い、ワゴンを二台のベッドの間にゴロゴロと移動させると、恭介はものも言わずに朝飯だか何だか分からぬ飯を食い始めた。薫も反対側のベッドに腰掛けて負けじと食い始める。
ワゴンには上の段だけでは載せきれなかった料理が順当に下の段にも満載されていたが、おそらく記録的なスピードで全ての料理は見事、二人の腹に収まった。恐るべきことに薫もキッチリ半分を受け持っていた。
禅僧以下の食卓を長く経験してきたので食べ物を無駄にしないというより却って食い意地が張っているのである。
食い終えるなりまたベッドに倒れ込み、潜り込んで恭介は今度こそ急速に深い眠りに落ちた。その整いすぎるほど端正な寝顔を眺めたのち、薫はワゴンを廊下に出す。勿論、警戒して腹にグロックを呑んでおくのも忘れない。
気を利かせたつもりでドアの外側に『don't disturb』の札も下げておいた。
そこまでしてしまうとやることもなくなり、暫くTVを眺めていたがニュースでも繁華街でボヤだのホテルで銃撃戦だのというネタも流れず、飽きて自分も寝ようと思う。軽くシャワーを浴びて夜着に着替え、開いている方のベッドに上がろうとして思い直し、眠っている恭介を覗き込むと素早くキスを奪った。
深く考えもしない行動の後に空いたベッドに横になる。すぐにウトウトと眠りに引き込まれ、だがどのくらい経ったかも分からないまま目を見開いた。
「な、恭介。あんた……」
被った布団の上からのしかかられ、傷付いた左腕で右肩を押さえつけられていた。更に恭介の右手は薫の右耳辺りを強く押さえて、つまりは薫の右首筋を露出させた形だった。その態勢で怖いくらいに綺麗で白い顔をした恭介が見下ろしている。
その吐息はやや荒く、抑えに抑えた切ない目をしていた。
1
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
なんか金髪超絶美形の御曹司を抱くことになったんだが
なずとず
BL
タイトル通りの軽いノリの話です
酔った勢いで知らないハーフと将来を約束してしまった勇気君視点のお話になります
攻
井之上 勇気
まだまだ若手のサラリーマン
元ヤンの過去を隠しているが、酒が入ると本性が出てしまうらしい
でも翌朝には完全に記憶がない
受
牧野・ハロルド・エリス
天才・イケメン・天然ボケなカタコトハーフの御曹司
金髪ロング、勇気より背が高い
勇気にベタ惚れの仔犬ちゃん
ユウキにオヨメサンにしてもらいたい
同作者作品の「一夜の関係」の登場人物も絡んできます
フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。
完結・虐げられオメガ側妃なので敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン溺愛王が甘やかしてくれました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
悩める文官のひとりごと
きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。
そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。
エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。
ムーンライト様にも掲載しております。
キンモクセイは夏の記憶とともに
広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。
小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。
田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。
そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。
純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。
しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。
「俺になんてもったいない!」
素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。
性描写のある話は【※】をつけていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる