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第37話(BL特有シーン・回避可)

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 今頃レイフはエメリナの長い髪に触れている、そう考えて京哉は灰色の目を覗き込むと唇を寄せる。舌を絡ませ合い交互に唾液を吸い合った。

「んんっ……ん、んんぅ……はあっ。だめ、だめですよ、忍さん」
「どうしてだめなんだ?」
「まだ気分が悪いんでしょう? 貴方がちゃんと治るまでお預けです」

「そこまで待っていられると思うのか。もう我慢ができん」
「僕だって我慢して……あっ、ふ……だめだったら!」

 ガウンの紐を解かれ、白い腹から胸をまさぐられて京哉は身を捩らせ霧島を押し戻した。暫し手と手の攻防がなされる。それでも霧島は年期だか執念だかが違った。

「私も、お前もこんなになっているのに、本当に我慢ができるのか?」

 素早く自分のガウンもはだけていた霧島が怒ったように互いの下半身を目顔で指した。そこは二人ともに熱く硬く成長していた。
 顔を上げて霧島が京哉を見つめる。その狂おしいような、切なくも情欲を湛えた灰色の目に京哉は溜息をついた。静かな声で告げる。

「忍さんは動かないで下さい。それなら」

 頷いた霧島はガウンの袖を抜いた。京哉も全てを晒す。
 京哉からの静かなキスは徐々に深くなる。霧島の舌を絡め取って唾液と共にきつく吸い上げ、口中をねぶりまわして舌を甘噛みした。

 その間にも霧島の象牙色の肌を愛撫する手つきはだんだん激しくなってゆく。負担をかけないように優しくするつもりが、京哉自身にも止められない欲望の奔流が堰を切ったように溢れ出していた。

「んんぅ……ん、っん……はあっ、忍さん……忍さん!」

 細い躰を霧島に重ね、肌同士を擦り合わせる。腹で霧島の熱いものを愛撫しながら胸の尖りを摘み上げて口に含んだ。舌で転がすと霧島はビクリと躰を跳ねさせる。

「うっ、あ……っく、京哉」

 上に移動して鎖骨の辺りに顔を埋めた。唇で挟んで吸い上げ、幾つも赤い印をつける。鎖骨の下に、肩に、首筋に衣服を身に着けても隠せない処まで鬱血させてゆく。

「忍さん……僕の忍さん……愛してます」
「ああ、私も……京哉、お前だけだ――」

 長めの黒髪を指でかき乱すように頭を抱き締められ京哉も霧島の躰を掻き抱いた。舌を首筋から下降させ、逞しい胸から引き締まった腹に熱く這わせる。
 更に下へ辿ると霧島の滾らせたものを掴んで口をつけた。先端を舐めてゆっくり舌を尖らせる。

 尖らせた舌を先端に差し込み、溢れた蜜をすくい取った。敏感な部分をなぞり太い茎を舐めしゃぶったのち、口いっぱいに咥え込むと唇を上下させ始める。

「ああっ、くっ……京哉!」
「んっ……ぅうん、ん……んんぅ!」

 夢中で京哉は舌を巻きつけ、唇と口内で擦り立てていた。喉を突かんばかりの勢いで扱かれ霧島は背を反らせた。鋭い快感に思考は真っ白になる。
 腰を突き上げてしまわないよう堪えるので精一杯、何度も荒い息をつく。やはり腰が浮いてしまう。

「んんっ……ん、忍さん、っん……出して……思い切りいって!」
「あっ、ふ……くうっ……ああっ!」

 にわかに自分の声とは思えないような、激しくも甘い喘ぎを発しながら霧島が見下ろすと、太いものを咥える京哉は顔立ちがノーブルなだけに酷く淫らで、余計に霧島を煽り立て追い詰めた。耐えきれずに腰を僅かに上下させる。京哉も合わせて唇で扱いてくれた。

「んんぅ、っん……んんっ!」
「んっ、だめだ、京哉……いく、出すぞ……あうっ!」

 普段ほど保たせることができず、霧島は咥えられて五分と経たず京哉の口内で達していた。
 堪えきれずに霧島が迸らせた熱く濃いものを京哉はためらいなく嚥下する。

 落ち着いたのを見計らって口を離し、扱いて滲んだものまで舐め取った。霧島の溢れさせた欲望は久しぶりだからか酷く濃くてねっとりとしていた。

 肩で息をしながら霧島は京哉の頭に手を置く。その灰色の目に先んじて言った。

「いいんです。すっごく忍さんだって感じがしましたから」
「そうか。だが……こら、京哉、お前、だめだ!」

 愛しい男を己のものにした京哉は霧島を膝立ちで跨ぎ、未だ滾ったものを自らの後ろに押し当てていた。そのまま受け入れようとしているのを知り、霧島は焦る。

「待て、京哉、それだとお前がつらい」
「つらくていい。欲しい。欲しくて堪らなかった、ずっと……んっ」

 ゆっくりと霧島の上に座るように京哉は細い腰を落とし始めた。馴らしてもいないそこに太すぎる霧島を受け容れるのは相当苦しいらしく眉根を寄せて瞑目している。

 それでも背を僅かに反らせた京哉は動きを止めなかった。

「ああん……あっ、あっ、はぅんっ!」
「うっ、く……きつい、京哉!」

 きつすぎて霧島にも痛みが走る。京哉はもっと痛いだろう。だがゆっくりと確実に霧島を体内に咥え込み、京哉は霧島で己を最後まで貫いてしまった。
 まさかと霧島も思ったくらいだが、実際に目前で己が京哉に根元まで包み込まれている。それでもやはり細い躰を揺らすこともできないらしい。

 霧島は温かくもきつく巻きつかれて眩暈がしそうだった。

 しかし本当にそのまま受け入れるとは、余程この自分を信頼してくれている象徴のように霧島は思う。そしてやはり自分にはこの男しかいないのだと考えた。

 この男もそう思ってくれているのなら、今回はどれだけ心配をかけてしまったことか。冗談のようだが自分一人の躰ではないと思えた。
 そんな風に思っていると柔らかくもきつい内襞に包まれた霧島の方が堪らなくなって、下からゆるゆると腰を突き上げだした。

 突き上げて軽い京哉を持ち上げ、粘膜の突き当たりに先端を押し付けて刺激する。そのまま何度か抉っては揺らした。

「あぅんっ……はぁん、ああんっ!」
「痛く、ないのか?」
「んっ、忍さん……気持ち、いい――」
「私も目茶苦茶、気持ちいいぞ! 京哉、もっと激しくしていいか?」

 必死で頷く京哉が愛しい。京哉の方も深く自らを引き裂くように穿った熱い楔からは、快感が与えられ始めていた。そっと細い腰を持ち上げ、離れてしまう寸前でまた腰を落とす。
 
 その動きに合わせて鋭く霧島が腰を突き上げた。京哉の思考は白く灼け理性が蕩かされる。欲しくて堪らなかった、夢にまで見ていた快感だった。

「あっ、んんっ……すご、い……ああっ!」
「っく……私も、京哉、気持ちいい……最高だ!」

 何度も腰を浮かせては落とす京哉に応じて突き上げる霧島も、温かく絡みつく内襞からもたらされる快感だけに支配され、気分の悪さなど吹き飛んでいた。
 
 半ば以上を引き抜かれては埋め、擦り包まれる感触に目が眩みそうだった。自分で言った通り思い切り激しく力強く腰を動かす。擦れて抉り鋭すぎる快感が湧いた。

「忍さん……もう、だめ……ああんっ!」
「あっ、く……一緒に、私も、いかせてくれ!」

 長めの髪を揺らし白い喉を仰け反らせて訴える京哉は妖艶で、霧島も急激に昂ぶる。京哉に包まれた霧島が己を膨れ上がらせた。粘膜で感じ取った京哉が叫ぶ。

「お願い、忍さん……早く、いく、いっちゃう……あうっ!」
「うっ、あ……くっ!」

 躰の奥深くを霧島に熱く濡らされながら、京哉も霧島の腹から胸にかけて幾度も弾けさせていた。思わず自分の放ったものの上に京哉は倒れ込む。
 二人は身を重ね合い互いの吐息を聞きつつ余韻を味わった。抱いた愛しい存在に霧島は声を降らせる。

「大丈夫か?」
「はい。でも忍さんは、まだ?」
「我慢していたんだ。そんなお前を見たら一度や二度で治まりなどつくものか」
「いいですよ、してあげる……あっ!」

 二度放ってなお、霧島は滾らせたもので京哉の粘膜をいっぱいに押し広げていた。だが京哉が動き出す前に霧島は素早く上体を起こして細い躰を抱き締めていた。

「いい、私がしてやる」
「そんな、無理するとまた具合が悪くなりますよ」
「もう治った。お前が一番の薬だ」
「ああっ……あっ、ふ……はぅんっ!」

 苦しいほどに深く交わり下から楔を穿たれ貫かれて、京哉は気が遠くなりかける。

 あぐらをかいた上に座らされ、向かい合って抱き締められ、真下から思い切り突き上げられていた。隙間なく満たした霧島に充血した粘膜を擦られ、容赦なく躰を揺らされて、京哉は悲鳴のような喘ぎを絶え間なく洩らす。霧島しか知らない処まで届かされていた。

「苦しい、か?」
「んんぅ……気持ち、いい、あぅんっ!」

 力強く突き上げる霧島の動きが激しさを増す。意識が遠のきそうな快感に京哉は理性をとばした。思い切り腰を浮かしては落とし始める。霧島が涼しい表情を崩した。

 締めつけられ、擦られて、霧島は端正な顔を歪める。

「くっ……京哉、お前こそ、無理をするな!」
「無理じゃない……いい、すごい……忍さん、僕の忍さん!」

 こじ開けられ突き立てられながらも、熱い霧島を自らに穿つ京哉は象牙色の逞しい躰に縋りついた。飽くことなく自分を揺らす霧島が愛しくて堪らない。
 繰り返し力強く腰を揺らされ、瞑ることもできなくなった澄んだ黒い瞳から涙が溢れ、霧島の引き締まった腹に零れる。

 怜悧さを感じさせる端正な顔を精一杯見つめようとするも、視界が滲んで……。

「どうした、京哉、泣いているのか?」
「だって、もう、忍さんと、こんな……はぁん……できないって」
「馬鹿言え、こんなに色っぽいお前を独りにしておけるものか」

 目茶苦茶に細い腰を上下させる京哉も、思い切り突き上げ貫いて掻き回す霧島も、いつしか完全に理性をなくして互いの躰にのめり込んでいた。
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