サクラメント[赦しの秘跡]～楽園15～

第39話（BL特有シーン・回避可）

　捩るように唇を貪られ、侵入してきた熱い舌に届く限りの口内を舐め回される。歯の裏まで探られてから痺れるくらいに舌を吸い上げられた。

「んんぅ……ン、んっ……はぁん」

　深いキスと少し荒っぽく躰をまさぐる手つきにハイファはもう甘く鳴いてしまう。そんな反応を愉しみながらシドは男の持ち物とは思えぬほど華奢な、鎖骨から首筋のラインに舌を這わせた。

　濃厚に舐めねぶりつつ至る処を吸い上げて、白くきめ細かな肌に自分の印を穿つ。喉の突起を甘噛みして下降、右胸の小さな尖りを口に含んだ。舌で転がしながら片手でもう一方の突起を嬲る。ハイファはしなやかに背を反らして喘いだ。

「あっ、ふ……っん……ああん」

　執拗に胸を嬲られて炎を灯された細い躰が悶える。シドを欲して腰が浮いてしまうのをハイファ自身止められない。躰の中心は成長しきって蜜を零していた。知られるのも恥ずかしいくらい溢れさせてしまっているが、これも止められるものではない。

「ハイファ、愛してる……ハイファ」
「んっ、あ……シド、僕も愛してる……ああっ！」

　胸を噛まれてハイファは小さく躰を跳ねさせた。身を起こしたシドはそんなハイファを眺める。うねる白い躰に胸が赤く凝ってエロティックな光景だった。

　端正なポーカーフェイスでじっと観察されハイファは吐息を浅く速くする。見られるだけでぞくりと疼きが背筋を駆け下り、堪え難いまでに昂ぶってくる。

「ねえ、シド……はあっ……お願い、もう――」

　気付いた時には甘く乞うていた。ふっ、とシドが笑む。
　しどけなく割っていた膝を立てたまま更に深く広げられ、枕を腰の下に置かれるという敏感な色づきも露わな格好をさせられて頬に血が上った。指先で蕾を嬲られる。

「あっ、や……そんな……あっ、ああんっ」
「ここは嫌なんて言ってねぇぞ」

　己の溢れさせた蜜を指先に絡めてシドは色づきをなぞり、固く閉じたままひくつく蕾を弄った。挿れず何度も指先で嬲り、白い肌が悶えながら桜色に上気していくのを見守る。羞恥に若草色の瞳が潤みを湛え、今にも零れそうになっていた。

「んんっ、シド……意地悪、しないでよ」
「すまん、分かった」

　もう一度濡らすためにハイファのものを扱く。先端を濡れそぼらせたハイファは身を揺らし、次には蕾に指を挿し込まれて背を仰け反らせた。
　構わずシドはきつく締まるそこをこじ開け、深く中指を食い込ませる。

「はぁん……あっ、あっ……はぅんっ！」

　奥まで届かせた指先で充血した内襞を抉るように掻くとハイファの甘い声は一層高くなる。淫らに振られる細い腰を片手で押さえ撫でて宥めるも動きは止まらない。

「そんなに動くなよ、傷つけちまうぞ」
「だって……いい、傷つけて……んっ、引き裂いて」
「煽るなよ。チクショウ、色っぽいな」

　掻き回しほぐす指を徐々に増やしシドは愛しくて堪らない存在を存分に鳴かせた。だからといって余裕がある訳ではない。自分の数指を咥え込んだハイファの妖艶なまでの乱れ方と自身の高熱とで吐息は荒くなり、思考は白く灼けている。

　中がぬるむと早々に全ての指を抜いた。快感を追う仕草にまた胸の奥が焦げつきそうな愛しさを覚えながら、片手を添えて己の滾ったものをそこにあてがう。

「ハイファ、俺を入れてくれ」
「いいよ、きて……あっ、ああっ……あぅんっ！」

　蜜を塗り広げるように動かしたのち、シドはハイファが不規則な息を吐いた瞬間、ひと息でまさに引き裂くように突き入れていた。
　だがほぐした筈のそこにきつく締めつけられて細い躰とひとつになったまま、身動きも取れない。

「くっ、う……ハイファ、力、抜いてくれ」
「あっん、ふ……無理、目茶苦茶にして、いいから――」

　その言葉でシドは理性を飛ばす。細い躰を思いやることさえも忘れて離れてしまう寸前まで引き出すと、思い切り突き上げた。激しく腰をスライドさせて粘膜を挿し貫く。
　内襞が絡み付き堪らない快感がシドを包み込んだ。

「ああんっ、シド……いい……はうんっ！」
「うっく……ハイファ、すっげぇいい……くっ！」

　激しく揺らされ、擦られて、ハイファは叫ぶような喘ぎを洩らし続けた。のしかかり抽挿入に没頭するシドの背にしがみつく。爪を立てて容赦ない攻めに耐えた。
　幾らもしないうちに疼きが溢れ出し背筋を駆け上がってくる。

「もう、シド……だめ……んっ」
「俺も、いくからな……待ってろ」

　ハイファの熱いものをシドが握り込んだ。腰の律動に合わせて強く扱く。
　手と粘膜で互いの変化を知った。ハイファは痛いような疼きに耐えきれず訴える。

「んっ、お願い、早く、シド……ああんっ！」
「ハイファ……くっ……あっ、あうっ！」

　シドの手の中にハイファが弾けさせた。同時にシドはハイファの中をずぶ濡れにしている。だが放ってなおシドは治まらず張り詰めさせたままだ。
　目にしたハイファがうつ伏せになり、上体をベッドに這わせた。細い腰を高く掲げ全てを露わにした、煽情的な姿態で肩越しに振り向く。

「シド、いいよ。好きなだけして」

　若草色の瞳がとろりと潤み乱れた明るい金髪が滝のように流れて、それこそ魅入られそうな美しさだった。シドは誘われるがままに細い腰を掴み己の放ったものが溢れ出しているそこに、張り詰めたものを思い切り捩じ込んだ。

「う、っく……ハイファ、俺の、ハイファ！」
「シド、ああん……僕の、シド！」

　飽くことなく二人して快感を貪る。淫らに乱れてなおハイファは美しく、そんな白い躰にのめり込み溺れきったシドは更なる蹂躙を重ねる。限界まで律動を速めた腰を叩き付けるように突き上げた。

「ああっ……すごい、シド、あうんっ！」
「ハイファ……くっ、すまん、止めらんねぇ――」
「いいから、壊しても……あんっ、はぁんっ！」

　目茶苦茶に攻められハイファは気の遠くなるような思いで悲鳴じみた喘ぎを絶え間なく洩らす。そうしていないと意識が保てないほどの強烈な快感だった。

　幾度も名を呼び自分を欲するシドが愛しくて愛しくて何処までも受け入れることが悦びとなり、快感を増している。抉り出されるような快感に腰が蕩けそうだった。

　頭の芯が痺れたようにシドに酔い、やがては何も考えられなくなって口をつく。

「シド、もう、おかしく、なっちゃいそう……ああんっ！」
「分かった、いかせてやる――」

　シーツに蜜を零しているハイファのものにシドは手を伸ばした。前後を攻められて堪らない快感にハイファは眩暈を覚える。もはや体内を荒れ狂い、きつくも巧みに扱き上げてくれるシドだけが世界の全てだった。

「もう、シド、いく……いっちゃう、あうっ！」
「あっく……ハイファ……くうっ！」

　何度も身を震わせてハイファはシドの手の中に放ち、同時にシドはハイファの中にたっぷり注ぎ込んでいる。途端にハイファは頽れた。放心したかのような数秒間ののちシドは手早く二人分の後始末をしてハイファにいつもの左腕の腕枕を差し出す。

　柔らかに微笑んでみせるハイファをシドは抱き締めた。

「ねえ、シド……熱、下がった？」
「ああ、たぶんな。大丈夫か？」

「平気、ちょっと動けないけどね。……じつは居住区じゃなくて病室が良かった？」
「ふん、お見通しか。あの端末に夜通しでも張り付いていたいのは確かだけどな」

「そっか、ごめんね」
「いや、お前が考えてくれたのはちゃんと解ってるからさ」

　ハイファの長い後ろ髪を指で梳きながらシドはそのさらさらの感触に、よく撫でてやった志都の髪を思い出す。

「アンドロイドが増えたら拙いことは何となく分かったが、それとは別に……あいつらは人だよな？　人を殺すことは罪なんじゃねぇのか？」
「人の定義ねえ……ううん、シド。今日はもう考えないで、明日にしようよ」

「ん、ああ、そうだな。すまん、つい」
「まあ、仕方ないけどサ。眠ってよ、じゃないと僕も寝ないからね」
「睡眠不足は美容の敵か。脅迫だな、それは。……よし、寝る」

　そう宣言したものの、昼間に受けた衝撃の数々に神経はこれ以上なく鋭敏化していて、容易に寝付けはしなかった。

　目を瞑ったシドが狸寝入りをしているのに気付いて鼻を摘んだりしてじゃれ合い、結局また愛し合った二人が疲れ果てて眠ったのは、日付も変わって随分経ってからだった。