サクラメント[赦しの秘跡]～楽園15～

第23話（BL特有シーン・回避可）

　濃厚なキスから顎先、喉元へと舐め下ろされ、その温かな舌と零れ落ちた長い髪の感触にシドは深い安堵を得る。
　それとともに重なり合った下半身を揺らされて、甘い痛みに思わず喘ぎを洩らした。

「んっ……うっく……はあっ」
「何だかシド、昨日からすごく感じやすいね」
「お前が……くっ、そんなに、するからだ――」

　白くきめ細かな肌で擦られる躰の中心はもう熱く硬く張り詰めている。ハイファのものも成長してシドの大腿部に当たっていた。
　互いを刺激しながらハイファはシドの肩口に顔を埋める。鎖骨から首筋までを何度も舐めねぶり、キスを落としては赤い印を刻み込んだ。

　象牙色の滑らかな肌を強く吸い上げるたびにシドは躰を反らせ、愛撫に敏感に反応して熱い吐息と甘く低い喘ぎを洩らす。
　腹で勃ち上がりきったものを擦ると腰を悶えさせた。そんな愛し人の常にない乱れ方に堪らなくなり、ハイファは耳朶を甘噛みして囁く。

「シド……もう我慢できないよ」
「あっ、ふ……何を――」

　素早くハイファはヘッドボードから備え付けのローションを取り掌に出すと、身を起こしてシドの熱いものに塗りつけた。

　乾かないうちに膝立ちでシドを跨ぐ。馴らされぬままハイファがあてがうのを見て、熱と疼きでぼうっとしつつもシドは焦った。

「ちょっと待て。だめだ、ハイファ、傷つける」
「いいから……我慢できないって言ったでしょ……んっ」
「ハイファ、こら……あっ、あっ……あうっ！」

　止めようもなくハイファはシドの上に座り込むように、細い腰を落としてしまう。ローションの助けを借りて太いものを収めきったものの、やはりすぐには動けないようだ。苦しげな呼吸を繰り返している。

　きつく締めつけられ、堪えているのはシドも同じだった。

「くっ……無茶、しやがって」
「んっ、無茶じゃない……シド、頂戴」

　甘く囁いたハイファが腰を浮かし始める。ゆっくりとだが最初から深々と、離れてしまう寸前まで腰を浮かし引き抜いては、熱い楔で自らを貫きだした。

　温かく、きつくも柔らかな粘膜に何度も押し包まれ、シドは眩暈のような快感に襲われる。目に映るのは長い髪を乱し、太いものを自らに打ち込むことにのめり込んでいるハイファだ。妖艶な美しさに堪らなくなり、思い切り腰を突き上げた。

「ああっ、シド……んっ、はぁんっ！」
「うっ、あ……ハイファ……っく！」

　突き上げて更に湧いた強烈な快感にシドは理性を飛ばす。細い躰を下から目茶苦茶に貫いては掻き回した。ただでさえ深く届かせていたハイファは喘ぐことすらできなくなって、身を仰け反らせる。そんなハイファにシドは容赦なく快感を注ぎ込んだ。

　粘膜を切っ先で抉り二人分の快感を生みながらシドは夢中で愛しい名を呼ぶ。

「ハイファ……うっく、ハイファ！」
「……んっ、シ、ド……ああんっ！」

　白い手を彷徨わせたハイファはシドの両手を掴んだ。絡ませた指が爪を立てる。苦痛と紙一重の快感はハイファを一気に押し上げた。涙を零しながら訴える。

「シド、もうだめ、一緒に、お願い……あっ、はうっ！」
「あっ、く……ハイファ……あうっ！」

　ハイファがシドの胸から喉元までに飛び散らせると同時に、思い切り締めつけられたシドも欲望を弾けさせていた。ハイファを熱く濃いものでたっぷりと濡らす。
　幾度も身を震わせたのち、途端に頽れそうになった細い躰をシドは素早く支え隣に寝かせた。様子を窺っているとグリーンに見える目が見開かれる。睨まれて怯んだ。

「……何だよ？」
「僕がしてあげるって言ったのに、またそんなにして！」
「悪かった……でもほら、熱は下がったぞ」

　長めの前髪をかき上げてみせる。ハイファが優しく額に手を触れた。

「本当だね。じゃあ今度はよく眠れそう？」
「寝る寝る。いい夢、視られそうだぜ。悪かったな」

　いつも通りにシドは左腕の腕枕を差し出してやる。金髪頭がことんと載せられた。

「何も悪くないよ……おやすみ――」

　温かなハイファを抱き締め長い髪を梳きながら、シドも柔らかな眠りに誘われる。