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橋本里奈の章
第122話 米軍基地の武器庫
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こんな終末の世界に平和なんてありえない。
そんなことはとっくの昔に分かっていると思っていた。
吉永さんに言われて武装を強化したほうがいいという話になり、神奈川の米軍基地へやって来た。いざ来てみると足がすくんでしまいそうだ。
「基地の中はボロボロみたいですね。」
「おそらく大量のゾンビと最後まで戦ったんじゃないかしら?」
「生きている人は皆無みたいだけど。」
私とあずさ先生と翼さんが話している。
吉永さんの指揮の下で私とあずさ先生と翼さん、遠藤さんと栞さんと優美さん、皇居組3人の10人で大型のバスに乗って米軍基地にやってきたのだった。
外側から基地を観察していたが、どうやら人が居る気配は無かった。だがもし軍人がいて攻撃されたら私たちはひとたまりもない。
「どうします?」
「入り口までいってみましょう。」
バスを回して米軍基地の入口へと来るがひとけも無く、静かなものだった。
「人間はいますかね?」
「遠藤君。エンジンはかけたままでいてね。」
「はい。」
プシュー
吉永さんがバスを降りて門の所に立つ。おもむろにショットガンを基地の方向に向けた。
ズドン!
いきなりショットガンを撃つ。
しばらくそのままの状態で待つことになったが、基地の中に何ら動きは無かった。吉永さんがバスに戻ってくる。
「動きは無いわね。」
「シェルターとか無いんですかね?」
「あると思うけど、さすがに籠ったままはいられないんじゃないかしら。」
「入ってみますか?」
「いえ私一人で行くわ。」
吉永さんが言う。
「いやダメです。人間だけじゃなくゾンビがいる可能性だってあるんですよ。俺も一緒に行きます。」
「そうですよ吉永さん。無理は禁物です。」
「でも…。」
「じゃあ半分に分かれたらどうかしら?」
あずさ先生が提案した。
「半分に?」
「潜入している間にこっちがやられることだってあるんじゃない?」
「確かに…。」
結局、吉永さん、遠藤さん、私、翼さん、皇居組が一人が基地に潜入。
そして二人目を懐妊している優美さん、あずさ先生、栞さん、皇居組二人が残る事になった。皆で妊娠中の優美さんを守る形になる。
基地の中には容易に入る事が出来、荒れ放題の基地の中を歩いている。
「不謹慎ですけど、初めて入ったのでいろいろ見てしまいますね。」
遠藤さんが言う。
「確かに珍しいわよね。」
翼さんが答えた。
「とにかく基地の中に入って火器類を探しましょう。」
私たちは吉永さんについて中に入っていく。設備の中は暗く皆の懐中電灯であたりを照らす。
「争った跡がありますね。」
「恐らく最後まで徹底抗戦したんじゃないかしら?」
私はふと警視庁の事を思い出した。あの時は感染していない人たちがシェルターの中で白骨化していた。もしかしたら米軍基地にも外に出る事が出来ずに死んだ人が居るかもしれない。もしそんなことがあったなら見たくは無かった。
「人の気配はしません。」
「そうね。この状態では生存者などいないかもしれない。」
私たちの鼻にはあのゾンビ独特の死臭がしていた。この状況で人間がいるとは思えない。
「そろそろ銃を構えておいた方が良いと思う。翼さんと里奈ちゃんがあたりを照らしてくれるかしら?」
吉永さんは懐中電灯で前を照らしながらショットガンを構えているが、遠藤さんと皇居組の一人は照らしながらは上手く銃を扱えないようだった。そのため私と翼さんが銃を肩に吊り下げ、辺りを懐中電灯で照らすようにした。
「でも窓からの光である程度照らされているので助かりましたね。」
「そうね。」
「武器庫はどっちなんでしょう?」
「恐らく武器庫があるとしたらこっちかしら。」
吉永さんは自衛隊や米軍の基地で訓練を受けたことがあるらしく、武器がある場所にある程度察しが付くらしい。
「シェルターがあるとすればやはり地下ですかね?」
「ええ、無理に探す必要はないと思うわ。」
吉永さんのその言葉に、どこかホッとしてしまう。白骨化した死体を見なくて済むからだ。
「目的は武器ですからね。」
「ええ。」
しかし武器庫はなかなか見つからず、数棟探し回る事になった。
「ごめんなさいね、似ている風景があるものだから。」
「始めて訪れたところなので仕方がないと思います。」
「そうですよ。」
3つ目の建物を探してようやく武器庫を見つける事が出来た。金網と厳重な鍵で扉が封をされており中に入るにはこれを壊さなければならない。
吉永さんは鍵の場所に向けてショットガンを向けた。
ズドン!
ズドン!
2カ所の鍵を壊すと中に入る事が出来た。
「恐らくこの奥だわ。」
ショットガンの弾を装填しながら答える吉永さん。手慣れた感じで頼もしかった。
「では行きます。」
吉永さんを先頭に中に入っていく。
やはり中は薄暗くて怖かった。自然と額に汗が浮き出てくるのが分かる。皆も緊張しているらしく口数が減って来た。
もう一つの扉をショットガンで壊して開ける。
「ここだわ。」
吉永さんについて中にはいると武器庫だった。銃がたくさん立てかけてある。しかも今まで見た拳銃やショットガンとは違う、ライフルのような形のものだった。
「里奈ちゃん、これは自動小銃よ。」
「は、はい…。」
皆が緊張した面持ちで周りを見る。
「あの、あそこに台車が置いてあります。」
翼さんが言う方向を見るとものを運ぶ用の台車が置いてあった。
「できるだけ運び出しましょう。」
吉永さんが言う。
黒くて冷たく光る武器を見て私は震えてしまうのだった。もしかしたらこの武器で撃つ相手はゾンビではないかもしれない。むしろ私たちはゾンビを撃つ必要が無い。
私たちは黙って吉永さんに従い、武器を大量に運び出していくのだった。
そんなことはとっくの昔に分かっていると思っていた。
吉永さんに言われて武装を強化したほうがいいという話になり、神奈川の米軍基地へやって来た。いざ来てみると足がすくんでしまいそうだ。
「基地の中はボロボロみたいですね。」
「おそらく大量のゾンビと最後まで戦ったんじゃないかしら?」
「生きている人は皆無みたいだけど。」
私とあずさ先生と翼さんが話している。
吉永さんの指揮の下で私とあずさ先生と翼さん、遠藤さんと栞さんと優美さん、皇居組3人の10人で大型のバスに乗って米軍基地にやってきたのだった。
外側から基地を観察していたが、どうやら人が居る気配は無かった。だがもし軍人がいて攻撃されたら私たちはひとたまりもない。
「どうします?」
「入り口までいってみましょう。」
バスを回して米軍基地の入口へと来るがひとけも無く、静かなものだった。
「人間はいますかね?」
「遠藤君。エンジンはかけたままでいてね。」
「はい。」
プシュー
吉永さんがバスを降りて門の所に立つ。おもむろにショットガンを基地の方向に向けた。
ズドン!
いきなりショットガンを撃つ。
しばらくそのままの状態で待つことになったが、基地の中に何ら動きは無かった。吉永さんがバスに戻ってくる。
「動きは無いわね。」
「シェルターとか無いんですかね?」
「あると思うけど、さすがに籠ったままはいられないんじゃないかしら。」
「入ってみますか?」
「いえ私一人で行くわ。」
吉永さんが言う。
「いやダメです。人間だけじゃなくゾンビがいる可能性だってあるんですよ。俺も一緒に行きます。」
「そうですよ吉永さん。無理は禁物です。」
「でも…。」
「じゃあ半分に分かれたらどうかしら?」
あずさ先生が提案した。
「半分に?」
「潜入している間にこっちがやられることだってあるんじゃない?」
「確かに…。」
結局、吉永さん、遠藤さん、私、翼さん、皇居組が一人が基地に潜入。
そして二人目を懐妊している優美さん、あずさ先生、栞さん、皇居組二人が残る事になった。皆で妊娠中の優美さんを守る形になる。
基地の中には容易に入る事が出来、荒れ放題の基地の中を歩いている。
「不謹慎ですけど、初めて入ったのでいろいろ見てしまいますね。」
遠藤さんが言う。
「確かに珍しいわよね。」
翼さんが答えた。
「とにかく基地の中に入って火器類を探しましょう。」
私たちは吉永さんについて中に入っていく。設備の中は暗く皆の懐中電灯であたりを照らす。
「争った跡がありますね。」
「恐らく最後まで徹底抗戦したんじゃないかしら?」
私はふと警視庁の事を思い出した。あの時は感染していない人たちがシェルターの中で白骨化していた。もしかしたら米軍基地にも外に出る事が出来ずに死んだ人が居るかもしれない。もしそんなことがあったなら見たくは無かった。
「人の気配はしません。」
「そうね。この状態では生存者などいないかもしれない。」
私たちの鼻にはあのゾンビ独特の死臭がしていた。この状況で人間がいるとは思えない。
「そろそろ銃を構えておいた方が良いと思う。翼さんと里奈ちゃんがあたりを照らしてくれるかしら?」
吉永さんは懐中電灯で前を照らしながらショットガンを構えているが、遠藤さんと皇居組の一人は照らしながらは上手く銃を扱えないようだった。そのため私と翼さんが銃を肩に吊り下げ、辺りを懐中電灯で照らすようにした。
「でも窓からの光である程度照らされているので助かりましたね。」
「そうね。」
「武器庫はどっちなんでしょう?」
「恐らく武器庫があるとしたらこっちかしら。」
吉永さんは自衛隊や米軍の基地で訓練を受けたことがあるらしく、武器がある場所にある程度察しが付くらしい。
「シェルターがあるとすればやはり地下ですかね?」
「ええ、無理に探す必要はないと思うわ。」
吉永さんのその言葉に、どこかホッとしてしまう。白骨化した死体を見なくて済むからだ。
「目的は武器ですからね。」
「ええ。」
しかし武器庫はなかなか見つからず、数棟探し回る事になった。
「ごめんなさいね、似ている風景があるものだから。」
「始めて訪れたところなので仕方がないと思います。」
「そうですよ。」
3つ目の建物を探してようやく武器庫を見つける事が出来た。金網と厳重な鍵で扉が封をされており中に入るにはこれを壊さなければならない。
吉永さんは鍵の場所に向けてショットガンを向けた。
ズドン!
ズドン!
2カ所の鍵を壊すと中に入る事が出来た。
「恐らくこの奥だわ。」
ショットガンの弾を装填しながら答える吉永さん。手慣れた感じで頼もしかった。
「では行きます。」
吉永さんを先頭に中に入っていく。
やはり中は薄暗くて怖かった。自然と額に汗が浮き出てくるのが分かる。皆も緊張しているらしく口数が減って来た。
もう一つの扉をショットガンで壊して開ける。
「ここだわ。」
吉永さんについて中にはいると武器庫だった。銃がたくさん立てかけてある。しかも今まで見た拳銃やショットガンとは違う、ライフルのような形のものだった。
「里奈ちゃん、これは自動小銃よ。」
「は、はい…。」
皆が緊張した面持ちで周りを見る。
「あの、あそこに台車が置いてあります。」
翼さんが言う方向を見るとものを運ぶ用の台車が置いてあった。
「できるだけ運び出しましょう。」
吉永さんが言う。
黒くて冷たく光る武器を見て私は震えてしまうのだった。もしかしたらこの武器で撃つ相手はゾンビではないかもしれない。むしろ私たちはゾンビを撃つ必要が無い。
私たちは黙って吉永さんに従い、武器を大量に運び出していくのだった。
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