109 / 139
橋本里奈の章
第109話 ゾンビ捕縛作戦
しおりを挟む
「聞こえる?」
「はい聞こえます。」
あずさ先生がトランシーバーに向かって話している。
私達は大型バスに武器や回収道具を詰め込み、ゾンビから体液や血液を回収するために出発するところだった。以前のような失敗が無いように、トランシーバーであずさ先生が後ろの車に乗っている優美さんに連絡をしていた。
大型バスには13人が乗っている。後ろについているRV車には遠藤さんと優美さんと栞さんが乗っていた。ホテルには子供たちを面倒見る人と、妊娠している人が残った。
「とにかくメーターで1キロ過ぎたら連絡するわ。そしたら時速30キロで出発してくれる?」
「了解です。近頼も聞いてます。」
「了解。」
もしバスがどうしようも無くなったら、遠藤さんの車が走ってきて皆を助ける事になっていた。前回もきちんと保険をかけていたのだが、官邸の窓が開かないというアクシデントに見舞われたので、今回はそんなことにならないように念入りに確認している。
「皆さん!今回参加してくれてありがとうございます。」
あずさ先生はバスの中の人たちに向かって言う。
「半分は回収に不慣れな人だけど、志願してくださって本当に助かります。」
「いえ、私たちもなにか協力したいのです。」
「ええ。でも無理はしないで、危険を感じたらすぐに遠藤君を接近させるわ。」
「はい!」
皆が頷いたところで、愛菜さんが大型バスを発進させる。
「里奈ちゃんもメータを良く見ていてね。」
愛菜さんは私に言う。一走行距離と速度をドライバーと一緒に二重に確認する事になっている。
ブロロロロロ
バスが進んでいく。
メーターを見ていると1キロが過ぎた。
「あずさ先生!1キロです。」
「優美さん!1キロよ出発して!」
「了解。」
トランシーバーで連絡すると優美さんが答えてくる。
恐らく1キロ後ろを遠藤さんが運転するRV車がついて来ている頃だろう。
「出ますかね?ゾンビ。」
未華さんが言う。
「おそらく。ただしばらく拠点から離れないと難しいかも。」
あずさ先生が答えた。
「そうですよね。私たちがこの周りを散々動き回りましたからね。」
「ええ。だからかなり距離を稼がないと難しいかも。」
「はい。」
皆が緊張の面持ちだった。ゾンビに会いに行くという作戦自体怖いのに、ゾンビから体液を回収しなければならないのだ、固くなるのは当然だと思う。
「あれからゾンビが怖くなってしまって。」
菜子様が言う。
「私もです。」
私が答えた。
「でも今回は密室じゃないわ。しかもバスの中から確認しながら行えるからどうにかなるはず。」
「ですね。とにかく皆さん十分注意しましょう。」
私が言うと皆が頷く。私はすっかり慣れてしまった、みんなにおんぶにだっこが嫌で頑張っているうちに、こういう事に動じなくなってしまったのだ。
1時間ほど走った辺りで皇居組が言う。
「あそこに動いていたのがいたような気がします!」
「本当?」
華江が言う。
「優美さん!バスを止めるわ!そちらも止まって!」
「はい。」
トランシーバーで後方の車にも伝えた。
「どこ?」
「あそこのビルの中にいたような気がしました。」
「愛菜さん!クラクションを!」
「はい!」
ププー―――――
大型バスのクラクションが鳴る。
「‥‥‥。」
「‥‥‥。」
「‥‥‥。」
「‥‥‥。」
皆が沈黙して当たりを見ていた。
10分ほどたっても動きはなかった。
「見間違えでしょうか?」
見たと言っていた女の人が不安そうに言う。
「もしかしたら光の加減とか?いずれにせよ建物の中には危険だからいけないわ。」
「もう少し先に行って見ましょうか?」
愛菜さんが言う。
「そうね。出発しましょうか?」
「見間違えじゃなかったとしても、外に出てこないのでは危険だわ。出てくるところまで行った方が良いと思う。」
吉永さんもいう。
「優美さん!また出発するわ!」
「了解です。」
トランシーバーから返答が聞こえる。
ブロロロロロロロ
またバスが動き始めた。それからまた30分がたつ。
「いつもの私達の行動範囲の外に出ます。」
「そうね。そろそろ出て来る可能性があるわ。」
「いました!」
私が見つけた。
「本当だ!車を止めて!」
「はい!」
「優美さん!ストップ!」
「了解」
そしてバスを止める。
ゾンビだ‥‥間違いなくゾンビがいる。しかしそのゾンビは変わってからかなり立つようで、ようやく動いているような感じだった。
「1体だけかしら?」
「他に動いているのは見えないけど。」
あずさ先生と吉永さんが言う。
ゾンビは1体だけだった。他に動いているのは見えない。
プッ
軽くクラクションを鳴らすと、ゾンビはこちらに気が付いてゆるりと近づいて来る。
「き、来ました!」
菜子様が言う。
「落ち着いて!」
そしてみんながゾンビを押さえつけるための、さすまたを構えてバスの中で待つ。吉永さんと菜子様とあずさ先生が拳銃を構えている。
トン
ゾンビがバスの前に来た、フロントからバスの中を見ているが、ただ力なくボディを叩いている。
「この位置じゃあまだ危険ね。」
吉永さんが言う。
「みんなバスのドア側に集まって!」
皆がバスの中でドア側に移ると、それについてゾンビがバスの脇に移動して来た。
「捕縛する人以外は周りの様子を伺っていて。他のゾンビが来たらすぐに大声で知らせて!」
「「「「はい!」」」」
皆が恐怖に顔を引きつらせてゾンビを見ている。ゾンビは焦点があっているのかあっていないのかぼんやりした顔で人が居るほうへ動いた。
「愛菜さん!ドアを!」
「はい!」
プシュッ
外にゾンビがいる状態で、バスのドアが開いたのだった。
「はい聞こえます。」
あずさ先生がトランシーバーに向かって話している。
私達は大型バスに武器や回収道具を詰め込み、ゾンビから体液や血液を回収するために出発するところだった。以前のような失敗が無いように、トランシーバーであずさ先生が後ろの車に乗っている優美さんに連絡をしていた。
大型バスには13人が乗っている。後ろについているRV車には遠藤さんと優美さんと栞さんが乗っていた。ホテルには子供たちを面倒見る人と、妊娠している人が残った。
「とにかくメーターで1キロ過ぎたら連絡するわ。そしたら時速30キロで出発してくれる?」
「了解です。近頼も聞いてます。」
「了解。」
もしバスがどうしようも無くなったら、遠藤さんの車が走ってきて皆を助ける事になっていた。前回もきちんと保険をかけていたのだが、官邸の窓が開かないというアクシデントに見舞われたので、今回はそんなことにならないように念入りに確認している。
「皆さん!今回参加してくれてありがとうございます。」
あずさ先生はバスの中の人たちに向かって言う。
「半分は回収に不慣れな人だけど、志願してくださって本当に助かります。」
「いえ、私たちもなにか協力したいのです。」
「ええ。でも無理はしないで、危険を感じたらすぐに遠藤君を接近させるわ。」
「はい!」
皆が頷いたところで、愛菜さんが大型バスを発進させる。
「里奈ちゃんもメータを良く見ていてね。」
愛菜さんは私に言う。一走行距離と速度をドライバーと一緒に二重に確認する事になっている。
ブロロロロロ
バスが進んでいく。
メーターを見ていると1キロが過ぎた。
「あずさ先生!1キロです。」
「優美さん!1キロよ出発して!」
「了解。」
トランシーバーで連絡すると優美さんが答えてくる。
恐らく1キロ後ろを遠藤さんが運転するRV車がついて来ている頃だろう。
「出ますかね?ゾンビ。」
未華さんが言う。
「おそらく。ただしばらく拠点から離れないと難しいかも。」
あずさ先生が答えた。
「そうですよね。私たちがこの周りを散々動き回りましたからね。」
「ええ。だからかなり距離を稼がないと難しいかも。」
「はい。」
皆が緊張の面持ちだった。ゾンビに会いに行くという作戦自体怖いのに、ゾンビから体液を回収しなければならないのだ、固くなるのは当然だと思う。
「あれからゾンビが怖くなってしまって。」
菜子様が言う。
「私もです。」
私が答えた。
「でも今回は密室じゃないわ。しかもバスの中から確認しながら行えるからどうにかなるはず。」
「ですね。とにかく皆さん十分注意しましょう。」
私が言うと皆が頷く。私はすっかり慣れてしまった、みんなにおんぶにだっこが嫌で頑張っているうちに、こういう事に動じなくなってしまったのだ。
1時間ほど走った辺りで皇居組が言う。
「あそこに動いていたのがいたような気がします!」
「本当?」
華江が言う。
「優美さん!バスを止めるわ!そちらも止まって!」
「はい。」
トランシーバーで後方の車にも伝えた。
「どこ?」
「あそこのビルの中にいたような気がしました。」
「愛菜さん!クラクションを!」
「はい!」
ププー―――――
大型バスのクラクションが鳴る。
「‥‥‥。」
「‥‥‥。」
「‥‥‥。」
「‥‥‥。」
皆が沈黙して当たりを見ていた。
10分ほどたっても動きはなかった。
「見間違えでしょうか?」
見たと言っていた女の人が不安そうに言う。
「もしかしたら光の加減とか?いずれにせよ建物の中には危険だからいけないわ。」
「もう少し先に行って見ましょうか?」
愛菜さんが言う。
「そうね。出発しましょうか?」
「見間違えじゃなかったとしても、外に出てこないのでは危険だわ。出てくるところまで行った方が良いと思う。」
吉永さんもいう。
「優美さん!また出発するわ!」
「了解です。」
トランシーバーから返答が聞こえる。
ブロロロロロロロ
またバスが動き始めた。それからまた30分がたつ。
「いつもの私達の行動範囲の外に出ます。」
「そうね。そろそろ出て来る可能性があるわ。」
「いました!」
私が見つけた。
「本当だ!車を止めて!」
「はい!」
「優美さん!ストップ!」
「了解」
そしてバスを止める。
ゾンビだ‥‥間違いなくゾンビがいる。しかしそのゾンビは変わってからかなり立つようで、ようやく動いているような感じだった。
「1体だけかしら?」
「他に動いているのは見えないけど。」
あずさ先生と吉永さんが言う。
ゾンビは1体だけだった。他に動いているのは見えない。
プッ
軽くクラクションを鳴らすと、ゾンビはこちらに気が付いてゆるりと近づいて来る。
「き、来ました!」
菜子様が言う。
「落ち着いて!」
そしてみんながゾンビを押さえつけるための、さすまたを構えてバスの中で待つ。吉永さんと菜子様とあずさ先生が拳銃を構えている。
トン
ゾンビがバスの前に来た、フロントからバスの中を見ているが、ただ力なくボディを叩いている。
「この位置じゃあまだ危険ね。」
吉永さんが言う。
「みんなバスのドア側に集まって!」
皆がバスの中でドア側に移ると、それについてゾンビがバスの脇に移動して来た。
「捕縛する人以外は周りの様子を伺っていて。他のゾンビが来たらすぐに大声で知らせて!」
「「「「はい!」」」」
皆が恐怖に顔を引きつらせてゾンビを見ている。ゾンビは焦点があっているのかあっていないのかぼんやりした顔で人が居るほうへ動いた。
「愛菜さん!ドアを!」
「はい!」
プシュッ
外にゾンビがいる状態で、バスのドアが開いたのだった。
0
お気に入りに追加
99
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~
三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】
人間を洗脳し、意のままに操るスキル。
非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。
「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」
禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。
商人を操って富を得たり、
領主を操って権力を手にしたり、
貴族の女を操って、次々子を産ませたり。
リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』
王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。
邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
神様に転生させてもらった元社畜はチート能力で異世界に革命をおこす。賢者の石の無限魔力と召喚術の組み合わせって最強では!?
不死じゃない不死鳥(ただのニワトリ)
ファンタジー
●あらすじ
ブラック企業に勤め過労死してしまった、斉藤タクマ。36歳。彼は神様によってチート能力をもらい異世界に転生をさせてもらう。
賢者の石による魔力無限と、万能な召喚獣を呼べる召喚術。この二つのチートを使いつつ、危機に瀕した猫人族達の村を発展させていく物語。だんだんと村は発展していき他の町とも交易をはじめゆくゆくは大きな大国に!?
フェンリルにスライム、猫耳少女、エルフにグータラ娘などいろいろ登場人物に振り回されながらも異世界を楽しんでいきたいと思います。
タイトル変えました。
旧題、賢者の石による無限魔力+最強召喚術による、異世界のんびりスローライフ。~猫人族の村はいずれ大国へと成り上がる~
※R15は保険です。異世界転生、内政モノです。
あまりシリアスにするつもりもありません。
またタンタンと進みますのでよろしくお願いします。
感想、お気に入りをいただけると執筆の励みになります。
よろしくお願いします。
想像以上に多くの方に読んでいただけており、戸惑っております。本当にありがとうございます。
※カクヨムさんでも連載はじめました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる