97 / 139
橋本里奈の章
第97話 ゾンビから逃れる打開策
しおりを挟む
ドアの隙間から外にいるゾンビの頭を銃で撃ち抜く吉永さん。
しかしその銃声を聞きつけて、どこからともなくゾンビが集まってきているようだった。ドアの向こうはゾンビでひしめき合っているようで、どうする事も出来ない状態になりつつある。
「もう…弾が切れるわ。」
吉永さんが絶望的なセリフを吐く。
「いろいろと失敗してしまいましたね。トランシーバーを持ってきてさえいれば良かったです…」
愛菜さんが過失を後悔する。
「いまさら言っても仕方がないわよ。」
あずさ先生が言った。
ここにいる全員のミスだった。状況からすれば持ってこなければいけない物を忘れてしまった。武器の調達に頭がいっぱいで抜けていたのだ。
「とにかく、バリケードを押さえるしかないわ!」
「はい!」
「わかりました!」
「ええ。」
吉永さん以外の全員がバリケードを押さえ更なる侵入を防ぐ。吉永さんは銃を使うのを止めホウキを使って一生懸命、侵入しようとするゾンビをひっぱたいていた。しかしまったく効果をなさないようだった。
バギン!
バリケードの上側のドアがまた大きな音をさせてひしゃげる。
「どうやらドアの前に積みあがったゾンビを足掛かりにして、上の方に上がってしまったみたい。」
吉永さんが言った。
「乗り越えて来ようとしているのかしら?」
菜子様が言う。
「いえ、彼らに知性はないわ。恐らくただ詰みあがってしまった屍の上に乗ってしまったのね。」
「私が撃ち殺したから…。」
吉永さんが言う。
「いえ違うわ。そうしなければ既に侵入されていた可能性もある。」
「他に…方法がなかったかしら?」
「吉永さんは最善を尽くしたと思います!」
私が言う。
「そうですよ。吉永さん!吉永さんは全力を尽くしました。」
あずさ先生もきっぱりと言った。
「すみません…。」
吉永さんはホウキでバサバサとゾンビを叩きながら言うが、既に絶望しているようだった。見れば菜子様も真っ青な顔をしている。
「私がここにウイルスに関する情報があるなんて言ったばっかりに…。」
「菜子様!菜子様のせいではありませんよ。」
華江先生が言う。
「だって。」
「とにかく今はここを切り抜ける事だけを考えましょう!」
愛菜さんが言う。
そうだ。菜子様や吉永さんはこんな窮地を乗り越えたことが無いのかもしれない。しかし私たちは更に究極の状況から生き残った経験があった。
それがここにきて強さとして現れる。
「名案があります!」
私が言う。
「名案?どんな?」
華江先生が言う。
「あの隠しカメラの場所は壁が薄い。あそこに穴を開けましょう!」
「できるかしら?」
「やらねば死にますよ!」
「そうね!」
ドアの向こう側にはゾンビが倒れて積み上がり、それもバリケードの役割をしているらしかった。今入ろうとしているゾンビは上に乗っている奴ら。
「じゃあ私が肩車を。」
吉永さんが言う。
「どうやって壁を?」
あずさ先生が聞く。
「消火器をぶつけます!」
私が言う。
「分かったわやってみましょう!」
私が消火器をもって、吉永さんが私を肩車して壁に手を当てながらゆっくり立ち上がる。
「よいしょ!」
ガン!
「よいしょ!」
ガン!
ボロ
「よし!」
このまま続ければどうやら穴が開きそうだった。
「急いで!」
あずさ先生が言うので振り向くと、ドアの上側が更に折れかかってゾンビが見え始めた。
ガン!
ガン!
ガン!
ガン!
とにかく無我夢中で殴った。おそらく火事場のくそ力と言うやつらしい、消火器の重さも忘れてガンガンと壁を叩きまくる。
ボゴオ
「空きました!」
「それでどうするの!」
華江先生が言う。
「じゅ、銃を!」
私が言うと意外な返事が返って来た。
「す、すみません。銃は全て撃ち尽くしました。」
「え…。」
「すみません。」
吉永さんがこれ以上無いような悲壮な声で言う。
「そ、そんな…。」
あずさ先生が呆然とした。
「3丁とも無いのですか!?」
菜子様が言う。
「はい。」
この穴から銃を撃って知らせようと思っていたが、既に銃の弾丸は切れてしまっていたようだった。
「どうしましょう。」
愛菜さんが言う。
せっかく見つかった突破口がまた無くなってしまったかに思えた。
その時
「大丈夫です!」
私が叫んだ。
「えっ!」
「里奈ちゃん?」
「どうやって。」
「声では無理よ。」
「なにを?」
私は吉永さんの肩に乗せられたまま、消火器のノズルを穴に突っ込んだ。そしてピンを外して思いっきり消火器を握りこむ
プシュー!!!
消火器は壁の外に向かって吹き出した。
「どうです?」
私の方からは角度で見えなかったが、バリケードを押さえている菜子様が窓を見て答える。
「白い薬剤が外に噴出してます!」
「やった!遠藤さん!見つけて!」
私は祈りを捧げるように叫んだ。
その時!
バギン
ドアがとうとう壊れてしまった。
のそりのそり
壊れたドアの上部からずるずるとゾンビが入り込んできたのだった!
「きゃあぁああああ」
「入って来た!」
「こ、こないで!」
「わああああ。」
菜子様、華江先生、愛奈さん、あずさ先生がバリケードを押さえるのをやめて、部屋の反対側へ後ずさりして来た。消火器を出し尽くした私は吉永さんの肩を降りる。
「くるなぁぁぁ!」
そして消火器を振りかざしてゾンビに向かって行く。
「わぁぁぁぁ」
シュッ
ゴン!
消火器は這い出て来るゾンビの頭に直撃した、頭がバックり割れるが動きを止めなかった。私は錯乱してなりふり構わず消火器を振り下ろす。
ゾンビは頭が潰れて動かなくなった。
しかし…
次々とゾンビがドアの上部分から入り込もうとしているのだった。
しかしその銃声を聞きつけて、どこからともなくゾンビが集まってきているようだった。ドアの向こうはゾンビでひしめき合っているようで、どうする事も出来ない状態になりつつある。
「もう…弾が切れるわ。」
吉永さんが絶望的なセリフを吐く。
「いろいろと失敗してしまいましたね。トランシーバーを持ってきてさえいれば良かったです…」
愛菜さんが過失を後悔する。
「いまさら言っても仕方がないわよ。」
あずさ先生が言った。
ここにいる全員のミスだった。状況からすれば持ってこなければいけない物を忘れてしまった。武器の調達に頭がいっぱいで抜けていたのだ。
「とにかく、バリケードを押さえるしかないわ!」
「はい!」
「わかりました!」
「ええ。」
吉永さん以外の全員がバリケードを押さえ更なる侵入を防ぐ。吉永さんは銃を使うのを止めホウキを使って一生懸命、侵入しようとするゾンビをひっぱたいていた。しかしまったく効果をなさないようだった。
バギン!
バリケードの上側のドアがまた大きな音をさせてひしゃげる。
「どうやらドアの前に積みあがったゾンビを足掛かりにして、上の方に上がってしまったみたい。」
吉永さんが言った。
「乗り越えて来ようとしているのかしら?」
菜子様が言う。
「いえ、彼らに知性はないわ。恐らくただ詰みあがってしまった屍の上に乗ってしまったのね。」
「私が撃ち殺したから…。」
吉永さんが言う。
「いえ違うわ。そうしなければ既に侵入されていた可能性もある。」
「他に…方法がなかったかしら?」
「吉永さんは最善を尽くしたと思います!」
私が言う。
「そうですよ。吉永さん!吉永さんは全力を尽くしました。」
あずさ先生もきっぱりと言った。
「すみません…。」
吉永さんはホウキでバサバサとゾンビを叩きながら言うが、既に絶望しているようだった。見れば菜子様も真っ青な顔をしている。
「私がここにウイルスに関する情報があるなんて言ったばっかりに…。」
「菜子様!菜子様のせいではありませんよ。」
華江先生が言う。
「だって。」
「とにかく今はここを切り抜ける事だけを考えましょう!」
愛菜さんが言う。
そうだ。菜子様や吉永さんはこんな窮地を乗り越えたことが無いのかもしれない。しかし私たちは更に究極の状況から生き残った経験があった。
それがここにきて強さとして現れる。
「名案があります!」
私が言う。
「名案?どんな?」
華江先生が言う。
「あの隠しカメラの場所は壁が薄い。あそこに穴を開けましょう!」
「できるかしら?」
「やらねば死にますよ!」
「そうね!」
ドアの向こう側にはゾンビが倒れて積み上がり、それもバリケードの役割をしているらしかった。今入ろうとしているゾンビは上に乗っている奴ら。
「じゃあ私が肩車を。」
吉永さんが言う。
「どうやって壁を?」
あずさ先生が聞く。
「消火器をぶつけます!」
私が言う。
「分かったわやってみましょう!」
私が消火器をもって、吉永さんが私を肩車して壁に手を当てながらゆっくり立ち上がる。
「よいしょ!」
ガン!
「よいしょ!」
ガン!
ボロ
「よし!」
このまま続ければどうやら穴が開きそうだった。
「急いで!」
あずさ先生が言うので振り向くと、ドアの上側が更に折れかかってゾンビが見え始めた。
ガン!
ガン!
ガン!
ガン!
とにかく無我夢中で殴った。おそらく火事場のくそ力と言うやつらしい、消火器の重さも忘れてガンガンと壁を叩きまくる。
ボゴオ
「空きました!」
「それでどうするの!」
華江先生が言う。
「じゅ、銃を!」
私が言うと意外な返事が返って来た。
「す、すみません。銃は全て撃ち尽くしました。」
「え…。」
「すみません。」
吉永さんがこれ以上無いような悲壮な声で言う。
「そ、そんな…。」
あずさ先生が呆然とした。
「3丁とも無いのですか!?」
菜子様が言う。
「はい。」
この穴から銃を撃って知らせようと思っていたが、既に銃の弾丸は切れてしまっていたようだった。
「どうしましょう。」
愛菜さんが言う。
せっかく見つかった突破口がまた無くなってしまったかに思えた。
その時
「大丈夫です!」
私が叫んだ。
「えっ!」
「里奈ちゃん?」
「どうやって。」
「声では無理よ。」
「なにを?」
私は吉永さんの肩に乗せられたまま、消火器のノズルを穴に突っ込んだ。そしてピンを外して思いっきり消火器を握りこむ
プシュー!!!
消火器は壁の外に向かって吹き出した。
「どうです?」
私の方からは角度で見えなかったが、バリケードを押さえている菜子様が窓を見て答える。
「白い薬剤が外に噴出してます!」
「やった!遠藤さん!見つけて!」
私は祈りを捧げるように叫んだ。
その時!
バギン
ドアがとうとう壊れてしまった。
のそりのそり
壊れたドアの上部からずるずるとゾンビが入り込んできたのだった!
「きゃあぁああああ」
「入って来た!」
「こ、こないで!」
「わああああ。」
菜子様、華江先生、愛奈さん、あずさ先生がバリケードを押さえるのをやめて、部屋の反対側へ後ずさりして来た。消火器を出し尽くした私は吉永さんの肩を降りる。
「くるなぁぁぁ!」
そして消火器を振りかざしてゾンビに向かって行く。
「わぁぁぁぁ」
シュッ
ゴン!
消火器は這い出て来るゾンビの頭に直撃した、頭がバックり割れるが動きを止めなかった。私は錯乱してなりふり構わず消火器を振り下ろす。
ゾンビは頭が潰れて動かなくなった。
しかし…
次々とゾンビがドアの上部分から入り込もうとしているのだった。
0
お気に入りに追加
99
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~
三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】
人間を洗脳し、意のままに操るスキル。
非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。
「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」
禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。
商人を操って富を得たり、
領主を操って権力を手にしたり、
貴族の女を操って、次々子を産ませたり。
リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』
王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。
邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!
俺のスキル『性行為』がセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした
宮富タマジ
ファンタジー
アレンのスキルはたった一つ、『性行為』。職業は『愛の剣士』で、勇者パーティの中で唯一の男性だった。
聖都ラヴィリス王国から新たな魔王討伐任務を受けたパーティは、女勇者イリスを中心に数々の魔物を倒してきたが、突如アレンのスキル名が原因で不穏な空気が漂い始める。
「アレン、あなたのスキル『性行為』について、少し話したいことがあるの」
イリスが深刻な顔で切り出した。イリスはラベンダー色の髪を少し掻き上げ、他の女性メンバーに視線を向ける。彼女たちは皆、少なからず戸惑った表情を浮かべていた。
「……どうしたんだ、イリス?」
アレンのスキル『性行為』は、女性の愛の力を取り込み、戦闘中の力として変えることができるものだった。
だがその名の通り、スキル発動には女性の『愛』、それもかなりの性的な刺激が必要で、アレンのスキルをフルに発揮するためには、女性たちとの特別な愛の共有が必要だった。
そんなアレンが周りから違和感を抱かれることは、本人も薄々感じてはいた。
「あなたのスキル、なんだか、少し不快感を覚えるようになってきたのよ」
女勇者イリスが口にした言葉に、アレンの眉がぴくりと動く。
異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!
夜間救急事務受付
ファンタジー
仕事中、気がつくと知らない世界にいた 佐藤 惣一郎(サトウ ソウイチロウ)
安く買った、視力の悪い奴隷の少女に、瓶の底の様な分厚いメガネを与えると
めちゃめちゃ強かった!
気軽に読めるので、暇つぶしに是非!
涙あり、笑いあり
シリアスなおとぼけ冒険譚!
異世界ラブ冒険ファンタジー!
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる