83 / 139
長尾栞の章
第83話 これからも
しおりを挟む
私達が田舎に遠征して気が付いた事。それはこれから私達の生きる場所として自給自足を考えた場合、地方や田舎に移る事は得策ではないという事だった。
エネルギー問題。今の場所に住めなくなった場合の施設の問題。
そしてここに来て私たちが気づいた生存者の問題。
田舎に行けば、人が生きている確率は上がるという事に気が付いたのだが…
しかし…それがかなり危険だったのだ。
すでに数年がたち人々の生存競争が始まっているようで、地方のコンビナートに行った時に銃で発砲されてしまったからだ。
そのため遠藤さんと子供の能力がある私たちは、都会で生きた方が良いということになった。
それはゾンビの絶対数が都会の方が多い為、普通の能力の人間は都会で生きようとは思わない。
しかし私たちは皮肉なことに、その能力の為ゾンビが多い事が自分たちを守る事になるのだった。
「またこの前のチームで行った方が良さそうね。」
あずさ先生が言う。
「はい。一度動いているので要領も得ていますしその方が良いかと。」
私が言う。
「でもリスクは分散したほうがいいと思うのだけど。」
華江先生が言う。
「先生。でもなんとなくですけど、あずさ先生の言うとおり慣れみたいなものがついた気がします。」
「訓練通りにはいかないというか。とにかく麻衣さんや奈美恵さんみたいに、たくさんの子供の面倒を見れる人と妊婦さんは行かない方が良いと思いますし、先生は除外かなと。」
愛菜さんが言う。
「愛菜さんはまだ子供もいないわ。それでいいの?」
「まだ時間的な猶予はあるかなと。」
「私は施設を見なければならないため、遠征組には絶対必要ですし。」
未華さんが言う。
「里奈!里奈は残ってもいいと思う。代わりに私が行くから。」
「ううんあゆみ。私ね役に立ってる事が嬉しいんだ。そして一度危険な目にあってるでしょ、危機感とか肌感覚でわかると思うんだ。」
「だからこそ。」
「いや、だからこそよ。私がいち早く気がつけばみんなの助かる率も上がると思うし。」
「じゃあ私が行って、栞ちゃんは残ってもいいんじゃない?」
みなみ先輩が言う。
「いえ先輩。この拠点にも身体能力の高い人は残らなければいけないと思います。」
「ここはある程度安全だと思うのよ。」
「いえ、以前里奈ちゃんがさらわれてレイプされそうになりましたし、完全に安全とは言い難いと思いますよ。」
いろいろと話をした結果、前回の遠征チームが視察しに行く事になった。
これから私たちはこの地を去り、更に次の場所に移ってもまた拠点を移らねばならないかもしれない。
まずは皇居が最初の視察場所となった。
「では決まりですね。」
私たちはこれからも生きて行かねばならない。子供たちを守るために…
《正直、人類の未来のためになんて考えていなかった。》
「みんな本当に強くなったわね。」
華江先生が言う。
「確かにそうね。」
瞳さんが言う。
「俺達は本当に変わりましたよね。特に最年少の二人里奈ちゃんとあゆみちゃんは最初高校生だったんです。良くここまで耐えましたよ。」
「まったくだわ。」
優美さんが言う。
「でも優美さんは良いんですか?遠藤さんと離れますけど。」
私が言う。
「いいのよ。近頼の子供たちがここにはいるわ、私にはあの子達を守る義務があると思っているの。」
「俺がそうお願いしているってのもある。」
遠藤さんが言う。
「そうなんですね。」
やはり優美さんは正妻なんだ。
「しおりん。私も一緒に行きたいんだ。」
「なっちゃんは産んだばかりなんだからダメだよ。」
「そうね、夏希さんが動き回るのはまだ良くないわ。」
華江先生が言う。
「そして、沙織さんと梨美ちゃんと翼さんは妊婦さんだしね。」
あずさ先生が言う。
「すみません。」
「謝らないでよ。皆が同じ条件なんだから。」
「はい。」
私達は運命共同体だった。今の立場や遠藤さんとの事、華江先生の研究の事、そして子供たちの事。それらを理解したうえでお互いを尊重しながら生きている。
これからも私たちはこうして生きていく。
信頼する仲間と一緒に。
エネルギー問題。今の場所に住めなくなった場合の施設の問題。
そしてここに来て私たちが気づいた生存者の問題。
田舎に行けば、人が生きている確率は上がるという事に気が付いたのだが…
しかし…それがかなり危険だったのだ。
すでに数年がたち人々の生存競争が始まっているようで、地方のコンビナートに行った時に銃で発砲されてしまったからだ。
そのため遠藤さんと子供の能力がある私たちは、都会で生きた方が良いということになった。
それはゾンビの絶対数が都会の方が多い為、普通の能力の人間は都会で生きようとは思わない。
しかし私たちは皮肉なことに、その能力の為ゾンビが多い事が自分たちを守る事になるのだった。
「またこの前のチームで行った方が良さそうね。」
あずさ先生が言う。
「はい。一度動いているので要領も得ていますしその方が良いかと。」
私が言う。
「でもリスクは分散したほうがいいと思うのだけど。」
華江先生が言う。
「先生。でもなんとなくですけど、あずさ先生の言うとおり慣れみたいなものがついた気がします。」
「訓練通りにはいかないというか。とにかく麻衣さんや奈美恵さんみたいに、たくさんの子供の面倒を見れる人と妊婦さんは行かない方が良いと思いますし、先生は除外かなと。」
愛菜さんが言う。
「愛菜さんはまだ子供もいないわ。それでいいの?」
「まだ時間的な猶予はあるかなと。」
「私は施設を見なければならないため、遠征組には絶対必要ですし。」
未華さんが言う。
「里奈!里奈は残ってもいいと思う。代わりに私が行くから。」
「ううんあゆみ。私ね役に立ってる事が嬉しいんだ。そして一度危険な目にあってるでしょ、危機感とか肌感覚でわかると思うんだ。」
「だからこそ。」
「いや、だからこそよ。私がいち早く気がつけばみんなの助かる率も上がると思うし。」
「じゃあ私が行って、栞ちゃんは残ってもいいんじゃない?」
みなみ先輩が言う。
「いえ先輩。この拠点にも身体能力の高い人は残らなければいけないと思います。」
「ここはある程度安全だと思うのよ。」
「いえ、以前里奈ちゃんがさらわれてレイプされそうになりましたし、完全に安全とは言い難いと思いますよ。」
いろいろと話をした結果、前回の遠征チームが視察しに行く事になった。
これから私たちはこの地を去り、更に次の場所に移ってもまた拠点を移らねばならないかもしれない。
まずは皇居が最初の視察場所となった。
「では決まりですね。」
私たちはこれからも生きて行かねばならない。子供たちを守るために…
《正直、人類の未来のためになんて考えていなかった。》
「みんな本当に強くなったわね。」
華江先生が言う。
「確かにそうね。」
瞳さんが言う。
「俺達は本当に変わりましたよね。特に最年少の二人里奈ちゃんとあゆみちゃんは最初高校生だったんです。良くここまで耐えましたよ。」
「まったくだわ。」
優美さんが言う。
「でも優美さんは良いんですか?遠藤さんと離れますけど。」
私が言う。
「いいのよ。近頼の子供たちがここにはいるわ、私にはあの子達を守る義務があると思っているの。」
「俺がそうお願いしているってのもある。」
遠藤さんが言う。
「そうなんですね。」
やはり優美さんは正妻なんだ。
「しおりん。私も一緒に行きたいんだ。」
「なっちゃんは産んだばかりなんだからダメだよ。」
「そうね、夏希さんが動き回るのはまだ良くないわ。」
華江先生が言う。
「そして、沙織さんと梨美ちゃんと翼さんは妊婦さんだしね。」
あずさ先生が言う。
「すみません。」
「謝らないでよ。皆が同じ条件なんだから。」
「はい。」
私達は運命共同体だった。今の立場や遠藤さんとの事、華江先生の研究の事、そして子供たちの事。それらを理解したうえでお互いを尊重しながら生きている。
これからも私たちはこうして生きていく。
信頼する仲間と一緒に。
0
お気に入りに追加
99
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜
墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。
主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。
異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……?
召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。
明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。
俺のスキル『性行為』がセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした
宮富タマジ
ファンタジー
アレンのスキルはたった一つ、『性行為』。職業は『愛の剣士』で、勇者パーティの中で唯一の男性だった。
聖都ラヴィリス王国から新たな魔王討伐任務を受けたパーティは、女勇者イリスを中心に数々の魔物を倒してきたが、突如アレンのスキル名が原因で不穏な空気が漂い始める。
「アレン、あなたのスキル『性行為』について、少し話したいことがあるの」
イリスが深刻な顔で切り出した。イリスはラベンダー色の髪を少し掻き上げ、他の女性メンバーに視線を向ける。彼女たちは皆、少なからず戸惑った表情を浮かべていた。
「……どうしたんだ、イリス?」
アレンのスキル『性行為』は、女性の愛の力を取り込み、戦闘中の力として変えることができるものだった。
だがその名の通り、スキル発動には女性の『愛』、それもかなりの性的な刺激が必要で、アレンのスキルをフルに発揮するためには、女性たちとの特別な愛の共有が必要だった。
そんなアレンが周りから違和感を抱かれることは、本人も薄々感じてはいた。
「あなたのスキル、なんだか、少し不快感を覚えるようになってきたのよ」
女勇者イリスが口にした言葉に、アレンの眉がぴくりと動く。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる