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第5章 女装男子と永遠に
25 動くside絽紀
しおりを挟む日本で起きた事件の真相を聞いてやりきれない気持ちになりつつも、僕は聞きたかった事をシンジさんに聞く。
「リアムは、どうしてあなたを…その、あまりよく思っていない…というか、どうしてリアムと母親だけ国に返したんですか?」
シンジさんはそれを聞いて少し驚いた様だったがすぐに真面目な顔に戻って口を開いた。
『本当は、私も妻について行きたかった…。妻と離れたくなかった。愛する家族を離れ離れになんて…。けれど、私にはそこまでの技量がなかった。』
シンジさんの奥さんは病気で、手術をしても命の速さが少しゆっくりになっただけだった。
これ以上の手術をするのは奥さんの負担になる。そういわれたシンジさんは、少しでも精神的にリラックスできるように奥さんの実家に戻る事を考えた。
けれど、シンジさんは会社の重役だ。急に国を抜けることはできなかった。
だから、自分の代わりに自分の愛息子を愛する妻を任せるいみで一緒に国へ帰したらしい。
「でも、リアムはそんなこと一言も…」
『あの時のリアムはとても落ち込んでいて、きっと私の言葉が入ってこなかったんでしょう。いや、私がもっとちゃんとしていれば…そもそも、こんな事には……』
「もう一つ、聞いても?」
『あぁ…えぇ、なんなりと』
「エカテリーナは、自分で望んであなたの手伝いをしているんですか?」
『え?……それは、勿論。あの子は、幼い内から私の手伝いをしてくれて…才能もあった。初めは、その才能をお金のために利用した時期もありました。…言い訳に聞こえるかもしれませんが、その時は妻の手術費用がなく、なりふりかまっていられなかったんです。』
だけど、それからはエカテリーナの意思だった。
僕は、それが確認できてほっとした。
「もう一度、近いうちに伺ってもいいですか?」
シンジさんは、僕の言葉に笑顔で頷いてくれた。
会社を出てすぐにホテルへ向かった。
リアムにシンジさんと話すように説得するためだ。
それを告げると、リアムは苦しそうな表情を浮かべて唇をかんだ。
「わかってるんです。話さないといけない。でも、私は、そうしたら私は…今まで…いや、違う。私は、光の先を知りたいのに……。」
葛藤するリアムの手をそっと掴む。
「大丈夫。」
静かにリアムの目を見る。
リアムは、僕の手を握りゆっくりと息を吸い込み吐き出した。
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