72 / 155
第4章 女装男子とラブラブに
26 君の隣side冬也
しおりを挟む
「絽衣君…俺、俺は…」
「冬…?」
軌良が近付いてきて心配そうに俺を見た。
俺の肩を触ろうとして軌良が左手をあげる。その手には、絽衣君と繋がる赤がある。
その瞬間、言葉が詰まった。
(駄目だ、考えるな…落ち着け、落ち着け…)
「冬也君。」
絽衣君が涙で掠れた声で静かに俺を呼んだ。
「…僕は、僕は…冬也君の友達なのかな…」
「…ぇ?」
「僕は、ただの友達?」
「…もし、そうなら…。なんで、なんで、あの時僕を抱きしめたの…?」
涙を堪えるように、苦しそうに絽衣君が言った。
「…っ、れは…」
触れずにはいられなかった。俺の知らない感情が先に動いて俺を置いていった。
「僕、僕は、2人が付き合ってるってなんとなく知ってたよ。だから、望みなんて無いって、なのに…」
「ろ、絽衣、知って」
軌良が少し狼狽えて言った。でも、絽衣君はそれに呆れたような顔をした。
「気が付かないわけないじゃ無いか!影坂は、僕の事嫌ってたし、冬也君だって!影坂といる時だけ雰囲気が全然違う!一緒にいたのに、僕の前では違う!そんなの、気が付かない方がおかしいだろ!」
「でも…それでも。」
絽衣君が僕を真っ直ぐ見た。
「望みがないって思ってても、駄目だってわかってても、それでも、僕は、僕は…」
「…冬也君が、好きだったんだよ!」
その瞬間、世界が弾けた気がした。
「抱き締められて、影坂にしか見せないような顔を僕にもしてくれて、僕に優しく笑いかけてくれて、僕が、どれだけ嬉しかったか、冬也君には分からないよ!」
弾けて、俺の中で何かが切れた。
「…俺は…俺は、駄目なんだよ!俺じゃ、俺じゃ駄目なんだよ!」
自分の気持ちを抑えるようになったのはいつからだろう。気付かないように、目を背け出したのはいつからだろう。
「傷付くのがわかってるのに、認められるわけないだろ!こんな、こんな気持ち、俺には無意味なのに!」
知らないふりは楽だった。分からないままなら、傷付かないで済むから。
傷付く事は怖いから。
「お前の隣は、俺じゃ無いんだよ!俺じゃ駄目なんだよ!」
受け入れたくなかった。
受け入れないで、友達のままでいた方がいいと思った。
だけど、心の中に咲いた蕾は何もしないでも花になって、見ないようにしたくても目に入ってきて、そこから逃げるように切れた赤の先を追いかけたのに、咲いた花は、俺の心を揺らす。
「絽衣君は、自分の気持ちが俺には分からないったよな。あぁ、わからねぇよ…!だって、俺が、俺がどんな思いでお前の隣にいたか、きっと、誰も分からないだろ!」
「望みがない?そんなもんじゃない!俺は!俺は…最初から、駄目だったんだよ…?」
「冬…?」
軌良が近付いてきて心配そうに俺を見た。
俺の肩を触ろうとして軌良が左手をあげる。その手には、絽衣君と繋がる赤がある。
その瞬間、言葉が詰まった。
(駄目だ、考えるな…落ち着け、落ち着け…)
「冬也君。」
絽衣君が涙で掠れた声で静かに俺を呼んだ。
「…僕は、僕は…冬也君の友達なのかな…」
「…ぇ?」
「僕は、ただの友達?」
「…もし、そうなら…。なんで、なんで、あの時僕を抱きしめたの…?」
涙を堪えるように、苦しそうに絽衣君が言った。
「…っ、れは…」
触れずにはいられなかった。俺の知らない感情が先に動いて俺を置いていった。
「僕、僕は、2人が付き合ってるってなんとなく知ってたよ。だから、望みなんて無いって、なのに…」
「ろ、絽衣、知って」
軌良が少し狼狽えて言った。でも、絽衣君はそれに呆れたような顔をした。
「気が付かないわけないじゃ無いか!影坂は、僕の事嫌ってたし、冬也君だって!影坂といる時だけ雰囲気が全然違う!一緒にいたのに、僕の前では違う!そんなの、気が付かない方がおかしいだろ!」
「でも…それでも。」
絽衣君が僕を真っ直ぐ見た。
「望みがないって思ってても、駄目だってわかってても、それでも、僕は、僕は…」
「…冬也君が、好きだったんだよ!」
その瞬間、世界が弾けた気がした。
「抱き締められて、影坂にしか見せないような顔を僕にもしてくれて、僕に優しく笑いかけてくれて、僕が、どれだけ嬉しかったか、冬也君には分からないよ!」
弾けて、俺の中で何かが切れた。
「…俺は…俺は、駄目なんだよ!俺じゃ、俺じゃ駄目なんだよ!」
自分の気持ちを抑えるようになったのはいつからだろう。気付かないように、目を背け出したのはいつからだろう。
「傷付くのがわかってるのに、認められるわけないだろ!こんな、こんな気持ち、俺には無意味なのに!」
知らないふりは楽だった。分からないままなら、傷付かないで済むから。
傷付く事は怖いから。
「お前の隣は、俺じゃ無いんだよ!俺じゃ駄目なんだよ!」
受け入れたくなかった。
受け入れないで、友達のままでいた方がいいと思った。
だけど、心の中に咲いた蕾は何もしないでも花になって、見ないようにしたくても目に入ってきて、そこから逃げるように切れた赤の先を追いかけたのに、咲いた花は、俺の心を揺らす。
「絽衣君は、自分の気持ちが俺には分からないったよな。あぁ、わからねぇよ…!だって、俺が、俺がどんな思いでお前の隣にいたか、きっと、誰も分からないだろ!」
「望みがない?そんなもんじゃない!俺は!俺は…最初から、駄目だったんだよ…?」
0
お気に入りに追加
63
あなたにおすすめの小説
男子中学生から女子校生になった僕
葵
大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。
普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。
強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!
ずっと女の子になりたかった 男の娘の私
ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。
ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。
そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
初恋の幼馴染の女の子の恰好をさせられメス調教もされて「彼女」の代わりをさせられる男の娘シンガー
湊戸アサギリ
BL
またメス調教ものです。今回はエロ無しです。女装で押し倒されいますがエロはありません
女装させられ、女の代わりをさせられる屈辱路線です。メス調教ものは他にも書いていますのでよろしくお願いいたします
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる