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森林の国、エルフの歴史

行動開始

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 ギルドの屋上で、レイは市街の様子を眺めていた。

 これ、何が起こってるんだろう……?

 ついさっきまでは何事も無かったはずだ。一日の終わりが近づき、仕事の終えようとする者、自宅に帰る者、急いで買い物を済ませようとする者。ただの日常だったはずだ。
 しかし今は違う。瞬きをしただけ。そう思うほど何の前触れも無く人々の動きが変わる。
 個々の目的を持って動いていた人々は、まるで同一の目標を見つけた様に動きを揃える。片付け始めた仕事道具を、自宅への帰路を、手に取った店先の野菜を。どれも捨て去りどこかへ向かっている。

 どう考えてもおかしい……。

 一先ず目立たないよう身を屈める。周囲にはギルドより高い建物は無く、下からの視線さえ遮ってしまえば見つかる可能性は減らせる。

 取り敢えずみんなに連絡……ん。

 共鳴石を取り出そうとして、離れた場所で何かが崩れる音を聞いた。そして共鳴石での連絡も反応が無いことから、先程の音は仲間が襲われたと判断した。

 今日はアリアとニナが外だったから……他のみんなかな。シーナはあんまり他の人等の集まりにはいかないから……それ以外かも。……そういえばエクシアがみんなで飲みに行くって言ってたっけ。お腹すいてないから断っちゃったけど、行けばよかったかな。

 まあ集まってるならなんとかなるかと、一旦音の発生地への心配はしないことにして、これからの自分の行動を考える。

 明らかにエルフの人達の様子がおかしい……あれかな、ガルシオのとこであった帝国の、えっと……操るやつ。アリアが行くって知ってたら私も行ったのに。ラウドのいじわる。
 その操るやつってこんなにいっぱい操れるのかな……でもやってるから出来るのか。じゃあ取り敢えずそうだとして……どうしようかな。

 これからの行動方針を考えようとして、そういえばいつも作戦などを考えるのは人任せにしていたことを思い出す。

 多分、殺しちゃダメだよね。この人達は悪くないんだし。……あ、そうだ。操られてるんだから、操ってる人を殺せば良いんだ。もうそろそろ来ちゃいそうだし、取り敢えずそうしよう。

 脇に置いていた刀を握り立ち上がる。背後の扉が開く音がし、虚ろな目をしたエルフの冒険者、ギルド職員がなだれ込んでくるが、しかしそこには既に誰の姿も無く、鋭い風だけが通り過ぎた。
 
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