7 / 23
歪んだように廻り出した歯車は、
歪んだように廻り出した歯車は、#06
しおりを挟む◇◆◇
あれから、ふた月。真澄の暮らしは一変した。
残っていた元々の使用人も、少しでも変な行動を取れば即座に殺され、その代わりに来た新しい使用人達は愛想もなく、まるで創の操り人形のようだった。
真澄も今までの部屋を追われ、屋敷の一番奥の部屋へと軟禁される事になった。
ずっと使われていなかった部屋だったが、何代か前の当主が妾を囲うために作らせた部屋、という事もあってか縁台から見る坪庭と、天気のいい日に見上げる空はとても綺麗だった。
その部屋から他の部屋へと続く廊下には、元々二部屋あったが、そのうちの部屋の一つを改築し厠と風呂場が作られ、その先には新たに鍵付きの扉が付いた。その鍵は、特定の人間しか持つ事すら許されなかった。
そして、もう一つ大きく変わった事――。
「はっ……ああっ……んっ、ぐっ」
「ははっ! こりゃぁ、いい。男を抱くなんざぁ、まっぴら御免だと思っていたが、こいつぁ別格だ」
「そうだなぁ。しかも……こいつ、そんじょそこらの女より濡れるし、感度もいいときたもんだ」
真澄が、部屋に軟禁されて数日後の夜。
創が数人の男を連れて、部屋に現れた。暗がりで男達の顔はよく見えないけれど、うっすらと血の臭いがしたから、少なくとも善良な人間ではないだろう。腰には刀を差している。
あの日の恐怖が全身を支配して、真澄の身体はかたかたと震えだす。
「へへっ……、本当にヤっちまっていいんですかい? こいつぁ、あんたの〝兄様〟なんだろ?」
「……ふん。我が周防家に不幸を招く、忌み子さ。それは、女より濡れるし孔の具合もいいが、大事な商品だ。間違っても、壊してくれるなよ」
そう言って創は、こちらを見向きもせず部屋を出て行ってしまった。
それからというもの夜になると毎日の様に、見知らぬ男達が真澄を抱きにやってくるようになった。腕っぷしの男達に、真澄が敵うはずもなかった。
『首筋を噛まれると、感度が落ちるらしい』という、風の噂を聞いた創に言われ、首輪を付け、代わり映えしない庭を見て、夜は抵抗する事も諦め、毎夜違う男達に大人しく抱かれる日々。
それに自分が創に逆らわなければ、周防家元々の使用人達がこれ以上殺される事もきっとない。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
フェロモンで誘いたいかった
やなぎ怜
BL
学校でしつこい嫌がらせをしてきていたαに追われ、階段から落ちたΩの臣(おみ)。その一件で嫌がらせは明るみに出たし、学校は夏休みに入ったので好奇の目でも見られない。しかし臣の家で昔から同居しているひとつ下のαである大河(たいが)は、気づかなかったことに責任を感じている様子。利き手を骨折してしまった臣の世話を健気に焼く大河を見て、臣はもどかしく思う。互いに親愛以上の感情を抱いている感触はあるが、その関係は停滞している。いっそ発情期がきてしまえば、このもどかしい関係も変わるのだろうか――? そう思う臣だったが……。
※オメガバース。未成年同士の性的表現あり。
僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載
完結・虐げられオメガ妃なので敵国に売られたら、激甘ボイスのイケメン王に溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
イケメンがご乱心すぎてついていけません!
アキトワ(まなせ)
BL
「ねぇ、オレの事は悠って呼んで」
俺にだけ許された呼び名
「見つけたよ。お前がオレのΩだ」
普通にβとして過ごしてきた俺に告げられた言葉。
友達だと思って接してきたアイツに…性的な目で見られる戸惑い。
■オメガバースの世界観を元にしたそんな二人の話
ゆるめ設定です。
…………………………………………………………………
イラスト:聖也様(@Wg3QO7dHrjLFH)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる