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第三章:プリンセス、迷宮に囚わる
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普通のメイド服……いいえ、違うわ。これも普通じゃないわ。膝上ミニ丈のコスプレメイド服。下着は先程グッショリと濡れてしまったので常備してある物と取り替えた。メイド服も同様に……。
「……毎朝これしなくちゃいけませんか?」
そう、多少内容は違うけれど、大体朝からこうして抱かれる。朝の挨拶みたいな感じで……。
確かに私は快楽に弱い。スキルのせいですぐに感じてしまうし、一度スイッチが入るともう止まれないし、エ○チな誘惑にも弱い。
それは認める。認めるけど、そんな私が変態呼ばわりされるのなら、毎朝コスプレセ◯クスを所望するご主人様だって変態だ。そこは譲れない。私一人変態呼ばわりは納得できないーー。
ーーって違う、思考が脱線してるわ!
いい加減、この生活習慣を改めないと!!
「大体半々だぜ?」
「何がですか?」
「セ○クスを始めるきっかけを作ってる配分がだ」
「そんな事は……」
今日の事を思い出して言葉を続けられない。確かに今日は私が悪ふざけをしたのが始まりだけど……。
「昨日もお前が咥えてたよな……寝てる俺になぁ?」
「あぅ……」
そう言われると、そんな気もしてくる。何故か彼の寝てる姿を見ると邪魔したくなると言うか、悪戯したくなるというか……。
まるで好きな子にちょっかいをかける思春期の少年のような……。
「………………」
やめよう。この思考はあまりいい気がしない。
「どうした?」
「何でもありません」
「そうか? なら別にいいけどな……」
コンコンコン。
「何だ」
「陛下、一件ご報告したい事がございます。よろしいでしょうか」
「構わん、入れ」
あわわ……。
ちょっと待って、離してよ!?
入ってきたのは冥王の側近、とても凛々しいスーツが似合う女性。確か……レイチェルさん。冥王の秘書の一人だ。
「陛下、キラリ様、朝からお楽しみの所申し訳ございません。至急報告案件でしたのでご容赦ください」
冥王は予め報告すべき案件にランク付けをしていて、至急は上から二つ目に当たる。ちなみに最上位は緊急案件で、通常は起こりえない様な事柄が分類されている。なので至急案件というのはそれなりに重大な報告でもある。
さて、その内容は……。
「エリア18において冒険者がフロア40を突破しました。女性二名の冒険者チームです。そこまでの到達時間は……」
「どうした?」
「はっ、過去最速です。おそらく50層まで到達するかと」
「ほう……。やるなぁ……」
感心したように呟くと何故か私を見てにやけた表情になる。
何よ?
「エリア18っつうのはお前が降ってきた塔のことだ。それを過去最速で降りてくる奴らがいる。お前がとっ捕まった牛頭馬頭コンビも突破しそうだなぁ」
「何が言いたいんですか?」
妙に嬉しそうだけど……? 何がそんなに嬉しいのかしら……?
「無様に命乞いして男に媚びなくても突破できるみたいだぜ?」
「ーーなっ!?」
「ーー陛下!」
レイチェルさんが窘めようと声をあげたけれど……。少し遅かった。彼の言葉は……ちょっとカチンときちゃいましたよ?
「それは私を侮辱していると受け取って構いませんか?」
これでも私は魔王国の王女だ。明確な侮辱に対して黙っているわけにはいかない。例え身分を隠して一人の冒険者として旅をしていようとも……。
「侮辱じゃねぇぞ? 単なる事実だ」
「わかりました。そういう事でしたら私の実力を知っていただきましょう。冥王ハデス、私と決闘しなさい!」
腰に回されていた手を振り払いベッドサイドに立ち上がる。
「いいぜ、相手をしてやろう。ただし……条件がある」
「何ですか?」
「俺が勝ったら何でも一つ言う事を聞いてもらおうか。お前が勝ったら……何がいい?」
「私が勝ったら……」
ゲームで冥王に勝った時の報酬は禁呪の魔道書だった。アレは確かに魅力的な報酬だけど、使い所が難しい。でも他に何か欲しいものがあるかと言えば……。
「私が勝ったらあなたが秘蔵する魔道書を頂きます」
「ーーお前どこでそれを知った」
くっ……。冥王の冷たく低い声に僅かに恐怖心が湧き上がる。震えそうになるのを必死で堪えて眼に力を込める。
「覚えていません。ですが、あなたが強力な魔法の魔道書を持っていると、そのように聞いた覚えがあります。どうしますか? 止めておきますか? 自信がないのでしたらそれでも構いませんよ?」
少し挑発的に振る舞う。そうしなければ普段と違う彼の表情と雰囲気に飲まれてしまいそうだ。
さすがは世界の頂点に君臨する王たちの一人、冥王ハデス。並大抵の威圧感ではないわね。
「ーーいいぜ。その条件を受けてやろう」
まるで戦場に立っているかのような覇気を纏い冥王が承諾の言葉を口にした。
それは確かに王たる者の力強さを感じさせるものだったけれど、半裸でベッドに寝そべっている点だけがいまいち迫力に欠けていた。あ、アソコは立派にそそり勃っていたけれど……。
あら……? シリアスさんは何処へ……?
「……毎朝これしなくちゃいけませんか?」
そう、多少内容は違うけれど、大体朝からこうして抱かれる。朝の挨拶みたいな感じで……。
確かに私は快楽に弱い。スキルのせいですぐに感じてしまうし、一度スイッチが入るともう止まれないし、エ○チな誘惑にも弱い。
それは認める。認めるけど、そんな私が変態呼ばわりされるのなら、毎朝コスプレセ◯クスを所望するご主人様だって変態だ。そこは譲れない。私一人変態呼ばわりは納得できないーー。
ーーって違う、思考が脱線してるわ!
いい加減、この生活習慣を改めないと!!
「大体半々だぜ?」
「何がですか?」
「セ○クスを始めるきっかけを作ってる配分がだ」
「そんな事は……」
今日の事を思い出して言葉を続けられない。確かに今日は私が悪ふざけをしたのが始まりだけど……。
「昨日もお前が咥えてたよな……寝てる俺になぁ?」
「あぅ……」
そう言われると、そんな気もしてくる。何故か彼の寝てる姿を見ると邪魔したくなると言うか、悪戯したくなるというか……。
まるで好きな子にちょっかいをかける思春期の少年のような……。
「………………」
やめよう。この思考はあまりいい気がしない。
「どうした?」
「何でもありません」
「そうか? なら別にいいけどな……」
コンコンコン。
「何だ」
「陛下、一件ご報告したい事がございます。よろしいでしょうか」
「構わん、入れ」
あわわ……。
ちょっと待って、離してよ!?
入ってきたのは冥王の側近、とても凛々しいスーツが似合う女性。確か……レイチェルさん。冥王の秘書の一人だ。
「陛下、キラリ様、朝からお楽しみの所申し訳ございません。至急報告案件でしたのでご容赦ください」
冥王は予め報告すべき案件にランク付けをしていて、至急は上から二つ目に当たる。ちなみに最上位は緊急案件で、通常は起こりえない様な事柄が分類されている。なので至急案件というのはそれなりに重大な報告でもある。
さて、その内容は……。
「エリア18において冒険者がフロア40を突破しました。女性二名の冒険者チームです。そこまでの到達時間は……」
「どうした?」
「はっ、過去最速です。おそらく50層まで到達するかと」
「ほう……。やるなぁ……」
感心したように呟くと何故か私を見てにやけた表情になる。
何よ?
「エリア18っつうのはお前が降ってきた塔のことだ。それを過去最速で降りてくる奴らがいる。お前がとっ捕まった牛頭馬頭コンビも突破しそうだなぁ」
「何が言いたいんですか?」
妙に嬉しそうだけど……? 何がそんなに嬉しいのかしら……?
「無様に命乞いして男に媚びなくても突破できるみたいだぜ?」
「ーーなっ!?」
「ーー陛下!」
レイチェルさんが窘めようと声をあげたけれど……。少し遅かった。彼の言葉は……ちょっとカチンときちゃいましたよ?
「それは私を侮辱していると受け取って構いませんか?」
これでも私は魔王国の王女だ。明確な侮辱に対して黙っているわけにはいかない。例え身分を隠して一人の冒険者として旅をしていようとも……。
「侮辱じゃねぇぞ? 単なる事実だ」
「わかりました。そういう事でしたら私の実力を知っていただきましょう。冥王ハデス、私と決闘しなさい!」
腰に回されていた手を振り払いベッドサイドに立ち上がる。
「いいぜ、相手をしてやろう。ただし……条件がある」
「何ですか?」
「俺が勝ったら何でも一つ言う事を聞いてもらおうか。お前が勝ったら……何がいい?」
「私が勝ったら……」
ゲームで冥王に勝った時の報酬は禁呪の魔道書だった。アレは確かに魅力的な報酬だけど、使い所が難しい。でも他に何か欲しいものがあるかと言えば……。
「私が勝ったらあなたが秘蔵する魔道書を頂きます」
「ーーお前どこでそれを知った」
くっ……。冥王の冷たく低い声に僅かに恐怖心が湧き上がる。震えそうになるのを必死で堪えて眼に力を込める。
「覚えていません。ですが、あなたが強力な魔法の魔道書を持っていると、そのように聞いた覚えがあります。どうしますか? 止めておきますか? 自信がないのでしたらそれでも構いませんよ?」
少し挑発的に振る舞う。そうしなければ普段と違う彼の表情と雰囲気に飲まれてしまいそうだ。
さすがは世界の頂点に君臨する王たちの一人、冥王ハデス。並大抵の威圧感ではないわね。
「ーーいいぜ。その条件を受けてやろう」
まるで戦場に立っているかのような覇気を纏い冥王が承諾の言葉を口にした。
それは確かに王たる者の力強さを感じさせるものだったけれど、半裸でベッドに寝そべっている点だけがいまいち迫力に欠けていた。あ、アソコは立派にそそり勃っていたけれど……。
あら……? シリアスさんは何処へ……?
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