魔法の国のプリンセス

中山さつき

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第二章:プリンセス、岐路に立つ

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 ステータスを確認しておけ。私を解放するときに天空王が言った言葉だ。私にしてやれるのはこれくらいしかない……と。
 与えられた部屋に戻り、アンを呼び出すと早速ステータスの確認をする事にした。


======

名前:キラリ・フロース・ヒストリア
種族:桃色魔族
性別:女
年齢:16
レベル:323(+34)
生命力:200/200(+100)
魔力:9999/9999
体力:20
筋力:20
敏捷力:120(+100)
知力:70(+50)
器用さ:40(+20)
精神力:20
運:55(+15)

基本スキル/名称:レベル
・礼儀作法:4
・魔法:100
・受胎制御:10
・魔狼招来:2
・魔法改変:2

パッシブスキル/名称:レベル
・耐性(快楽):-10
・誘惑:8
・依存(快楽):10
・属性(M):6(UP)
・百合の花園:5(UP)
・調教:3(UP)
・属性(人妻):1
・龍珠:1(NEW)

特殊スキル/名称:レベル
▲種族特性:桃色魔族
・依存(快楽)スキル取得
・耐性(快楽)スキル取得
・誘惑スキル取得
・受胎制御スキル取得
・特殊成長タイプ(愛)
・レベル限界突破

▲種族特性:スライム
・軟体
・吸収
・媚薬体液

▲魔狼王の加護
・敏捷力+100
・敏捷力限界突破
・魔狼招来スキル取得

▲百合の烙印
・器用さ+20
・百合の花園スキル取得

▲四神の洗礼(白帝)
・知力+50
・魔法改変スキル取得

▲黄龍の守護(NEW)
・ダメージ耐性上昇
・生命力+100
・生命力限界突破
・龍珠スキル取得

======


 新しいスキルが増えている。しかもかなり強力な加護だ。

「えっと……つまり、アレはこれを私に授けるため?」

 一晩中……というか一日半くらい天空王と肌を重ね続けた。四神を統べる王、すなわち天空王とは黄龍の力を受け継ぐ者ということか……。
 ゲームでははっきりとしなかった天空王の正体。
 魔狼王、天空王、そして海王。他にも妖精王や冥王だったかしら? この世界の頂点に君臨する王たち。
 そのさらに上に神様がいるんだろうけど、この世界の宗教は地球と同じような感じでいわゆるファンタジー世界のそれとは異なる。神様の実在が疑問視される所以だ。いるかもしれないし、いないかもしれない。現実世界と一緒ね。


 成り行きで始まったクエスト……緊急以外は自発的なソロクエストだけれど、やるべき事は済ませた。
 シーラくんをお家に送り届ける……というか、彼小さな子供じゃなかったし、気がつけば次代の天空王を決める継承の儀に関わっていたり……。
 お陰で幸運にも強力な加護を得ることができた。
 その絡みでレベルも結構上がっているという事はアレでクアラは私の事を大切に思ってくれていたという事だと思う……多分……。
 これまでの経験から愛あるセ◯クスの方が効率よくレベルアップしている気がする。
 だから成長タイプ『愛』なんでしょうね。
 出発する前にシーラくんともっとしておこう……。
 ……れ、レベリングは大切よね!?


それから数日。
旅の支度を済ませた私は再度天空城を訪れ天空王に別れの挨拶をしている。

「……そうか、行くのか……」
「はい。色々……ホントに色々お世話になりました」

 そう、あんな事やこんな事をたくさんね。なんでシーラくん以外の人とも毎日のように絡まなきゃいけなかったのかしら?
 強くはなれたけれど、少しだけ納得がいかないわ……。

「……これを持っていけ」

 布の袋を投げ渡された。中にはーー!?
 思わず床に投げつけそうになった。なったけど堪えた。

「……何のつもりですか?」

 こんなものを寄越す意図を確認してからでも遅くないかなと。
 こんなモノーースク水。新タイプキャミ型。何故か、ホントに何故か知らないけれどお尻のところに小さな丸い穴が開けてある。ちょうどシッポを通せそうなーーあっ!?

「……覗き!?」
「前にやったモノが色々と役だっておるようだからな新しいものを用意しておいた。何、礼はいらんぞ」

 以前の物よりも薄く透けるような、ピッタリとフィットしそうな感触にドキドキしながらストレージへ収納する。

「半分以上冗談で用意したのだが……投げ返されるどころか大切に収納するとは……」
「ーー何かの役にたつかもしれませんから……一応貰っておくだけです」
「そうか。まぁ是非着てくれ。それなりに魔法を付与した高価なアイテムだからな。下着がわりに使うといい」

 なんてバカな発想の物を作るのかしらね。どうせなら普通の下着にしてくれればよかったのに……。
 全く困った人だわホントに……。

「それとな、独り言だが……少し前に人族の男が来てな、色々と話をした」
「……??」
「その男には古くからの約定により一本の剣を与えた。天空の剣と言うのだがな……。そいつは世界の果てを目指しておるそうだ。なんでも平和な世界の為に対話を望んでいる……とな。いい男だったが変わっておるな……。まぁ独り言だ、気にするな」
「………………」

 世界の果てを目指す人族の男ーー勇者だ。ここでわざわざ魔族の私に聴こえる様に呟く独り言なんてそれ以外には考えられない。
 ……でも対話? 平和の為? そんな話を信じられる? 一方的に魔族を悪だとして攻め続けている人族の勇者が……? でもクアラが私に嘘をつく有用性はないし、勇者にもわざわざ天空王にその様な宣言をする必要もない。
 今代の勇者は色々と特殊らしい。そういえば今私がここにいるのもその勇者の特異性によるものと言えなくもない。本来ならキチンと成人年齢に達してからこの試練に挑むはずだったのに……。
 とにかく、人族の勇者は魔王を打ち倒す使命を授かり旅に出る。それなのに対話による和解なんてありえるのだろうか? 仮に勇者がそれを望んだとして人族は、人族の国々は納得するのだろうか?
 ……そうよね。俺くんの知識が答えをくれるわ。そんなことはあり得ないと。
 ならば私は私の目的に沿ってこれからも行動する。
 この旅の主目的は強くなる事。その上で期限までに魔王国へ帰還する事。そして、物凄い幸運に恵まれたなら……もう一つの目的を果たす。
 ーー強くなる前の勇者を倒すーー。
 予言の未来を回避できるのなら……私は……私は……この手を血に染めることも厭わない。

「ーーありがとうございました。それではそろそろ旅に戻ります」

 色々思うところはあるけれど、それはこれから先の道中に考えていこう。今すぐ答えは出ない。
 それに……万に一つの可能性がないとは言い切れない。私の浅慮でその可能性を摘み取ってしまわないようにーー出来る限りの事をしよう。
 魔王国の王女として。

「気をつけていけ……」
「はい。失礼します」

 さようならクアラ。お母様の事、少しだけれど話してくれてありがとう。




第二章:プリンセス、岐路に立つ

ーー完ーー
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