幼馴染みは鬼畜変態男子

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#08 ナスのハチミツレモン煮のように

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 翌日の昼休み。

 私はいつも一緒にお弁当を食べてる友達に断りを入れ、旧校舎へと向かっていた。

 橘くんに呼び出されていたからだ。

 橘くんはすでに校舎前に来て私を待っていた。腕時計をちらりと見て、「遅かったね」と目線だけで威圧してくる。

「ご、ごめんなさい。四時間目が少し長引いちゃって…」

「いいよ。後でたっぷりお仕置きするから」

 橘くんは私の手を掴み、旧校舎へと誘った。

 彼に連れられ、前回と同じ教室へと入る。

 三つ並んだ机はそのままだった。

「言わなくても、わかるよね?」

 両手に赤い縄を構えながら、橘くんは愉しそうに言う。

 私は黙って制服を脱ぎ、生まれたままの姿で机に上がった。

 まず橘くんは、足首に縄を掛けた。膝を折り曲げた状態でぐるぐるとさらに巻き付けられる。

 膝の裏に通された縄はそれぞれ左右の手首に括り付けられ、四肢の自由は完全に奪われた。

 それだけでも充分に無防備な体勢だというのに、さらに縄を通され、両脚を大きく開脚した状態でテーブルの脚に固定される。

 閉じようとしても閉じることができない――――秘部を晒け出した、この上なく恥ずかしいポーズだ。

「ああ…いいね。やっぱり花宮の白い肌には赤い縄がよく似合う」

 橘くんは一息つき、今度は手持ちのトートバッグからスクエア型のお弁当箱を取り出した。

「花宮は、アレルギーのある食べ物はある?」

「……ううん」

「苦手な食べ物は?」

「特にないけど…」  

「それならよかった」

 お弁当箱の蓋が開かれる。そこには色取り取りのおかずが詰まっていた。

 橘くんは蓋をお皿代わりにしながら、箸でおかずを掴んで私の口元へと近付けてきた。

「これはナスにレモンと蜂蜜を入れて煮込んだものだよ。美味しいから食べてみて」

 なぜこの状態で食事をしなければならないのか……。

 言いたい文句は山ほどあるが、拒否という選択肢はないような気がした。

 どうせいくら足掻いても最終的には彼の筋書き通りの結果になるのだから……。

 ナスのレモン漬けとやらは、想像していたものとは全く違う味だった。

 ナスをナスたらしめる要素がまったくといっていいほど感じられない、果物のような不思議な美味しさ。桃の缶詰に近いかもしれない。

「どう?美味しい?」

 私は素直に頷いた。

 普通に着衣で椅子に座って食べればもっと美味しく感じたかもしれないという感想は敢えて伏せた。

「これ、本当にナスなの?全然ナスっぽくないけど…」

「元々ナスは味にクセがないし、果肉もスポンジ状でスカスカしてるから他の調味料の味に染まりやすいんだよ」

 橘くんは意味ありげに微笑し、私の唇を指でなぞる。

「ふふ…花宮にそっくりの野菜だね」

 橘くんは、私の本質を見抜いていた。

 私は彼にナスみたいに調理されて、彼好みの味にされてしまうんだろうか…。

「じゃあ、食事の続きをしようか」

 橘くんは他のおかずも次々と私に食べさせた。

 冷静になって考えてみれば、テーブルに全裸で拘束されたまま幼馴染みの男子にお弁当を食べさせてもらうなんて、相当異常なプレイだ。

 自分の品位のなさが愚かしい…。

 そして……こんなプレイで下半身を熱くさせてしまう自分の変態性につくづく嫌気が差す。

 一体どれほどの時間が経ったのだろう。恥ずかしさのあまり時間の感覚などすっかり薄れてしまったが、胃袋の膨れ具合からして相当時間が経っているはずだ。

「橘くん…私、もうお腹いっぱいだよ」

 口元に運ばれようとしていた大根サラダから私は顔を背けた。

 橘くんが途中で手を止めたので、サラダから滴ったドレッシングが私の胸元に数滴垂れた。

「ごめん。汚しちゃったね」

 橘くんは箸とお弁当箱を脇によけると、躊躇いもなく私の体に舌を這わせ、落ちた液体を余さず絡めとった。

 いやらしく蠢く舌の感触に体は敏感に反応してしまう。

「……やっ!」

 私の喘ぎを聞いてスイッチが入ってしまったのか、彼はテーブルに身を乗り出し、強く唇を吸ってきた。

「んっ…ふ」

「……花宮」

 橘くんの左手が私の頬に添えられる。優しく撫でてきたかと思えば、唇の隙間に親指を捩じ込んできた。

「んぐっ…」

「口、もっと開けて」

 黙って指示に従うと、彼の口内から唾液がだらりと流れ落ちてきた。

――――嘘……。唾液、送り込まれてる……?

 口を開けたまま静止している私に、橘くんは冷ややかに命じる。

「ほら。ちゃんと飲み込んで」

 戸惑いつつも、どうにかそれを飲み込んだ。

「さてと…」

 橘くんが上体を起こし、ベルトの留め金を外し始める。

「そろそろご褒美をあげようか」

 ゆるゆるとズボンを下ろし、どこからか取り出した避妊具の袋を開封する橘くん。

「ゴム、着けなくてもいいよ?外に出してくれれば……」

「そんなわけにはいかないよ。君を妊娠させて退学になるのはごめんだからね」

 卑劣で冷酷で狡猾な橘くんらしい言葉だ。

 固くそそり立った彼のモノが蜜口に突き立てられる。充分すぎるほど濡れた秘洞は彼の剛棒を容易く飲み込んだ。

 橘くんが腰を打ち付けてくる。

「……ぁっ!」

 ペニスの根元から先端までを扱くような大きなストローク。否応なしに与えられる暴力的な快感。心地よい従属感。

 “被虐の悦び”は私からプライドを根こそぎ奪い、快楽の泥沼へと沈めていく。

 最奥を抉るように何度も突き上げられ、気も遠のくほどの快楽の波がゆるりと押し寄せてくる。

「……あ、イクっ…!あ゛ああああっ!」

 あられもない叫び声を上げながら、私はカラダ全体で悦びを露にした。

「僕も……そろそろ射精すよ」

 彼は机に身を乗り出し、結合したまま私を強く抱きすくめた。

 首筋を強く噛まれ、吸われる。所有物の証を刻むように――――

 その直後に吐精したようだった。

「僕のモノだ……桜」

 初めて名前で呼んでくれた…。ただそれだけで、ゾクリと痺れが駆け上がる。

 もっと支配されたい。雁字搦めに束縛されたい。

 これから先の未来を妄想しながら、私はうっとりと目を閉じた…。



《終わり》
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