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2章
強制的にAクラスに「才能ある者は、力を使う義務があります」
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「いったい何だよ……」
教師に呼び出されるようなことは、何もしていないはずだが。
「あいつ何やらかした?」
「いきなり呼び出しかよ」
「さすがクズ侯爵w」
周りの生徒たちも、気になっているようで。
目立ちたくなかったのに、注目を浴びてしまう。
俺が教員室へ向かうと、
「アルフォンス様っ! お久しぶりですっ!」
「ロゼリア先生!」
教員室で俺を待っていたのは、ロゼリア先生だった。
「ロゼリア先生……どうして学園に?」
「ヴァリエ侯爵に紹介してもらったんです。セプテリオン魔法学園の教師に」
ロゼリア先生の話によれば……
ロゼリア先生は俺の家庭教師を辞めたあと、
セプテリオン魔法学園の教師に就職した。
アルフォンスの父親、ヴァリエ侯爵が推薦して。
【キモデブのバカ息子を変えてくれたっ!】
と、圧倒的感謝をしたからで、
「で、ロゼリア先生。俺、何かしましたか?」
「ええ。アルフォンス様は、とっても悪い子です」
「悪い子?」
まったく身に覚えがないのだが……
「さっきの魔力測定で……アルフォンス様は実力を隠しましたね?」
「そのことですか……」
ロゼリア先生は、俺の「実力」を知っている。
だからさっきの魔力測定で、俺が自分の魔力を少なく見せたことに気づいた。
「どうして実力を隠したのですか? アルフォンス様の魔力は、ジーク・マインドより多いのに」
「それは……」
メインキャラからなるべく離れたいから——
ロゼリア先生に、本当の理由は言えない。
「Aクラスだといろいろ怠いかな……と思って」
「だ、怠い?」
ロゼリア先生が目を丸くする。
「ほ、ほら、Aクラスは特別授業とかいろいろあるし、令嬢に声をかけられたりとか、めんどくさいかなーなんて?」
「……そうですか」
もともと、アルフォンスは怠惰な奴だ。
Aクラスのような「意識の高い」場所は似合わない。
少しうつむく、ロゼリア先生。
(ガッカリさせたかな……?)
ロゼリア先生を失望させたのは残念だが、生き残るためには仕方ない。
「……私は、ヴァリエ侯爵家を去る時に誓いました。アルフォンス様の才能を、たくさんの人に知ってもらいたいと」
「へ……?」
なんだかロゼリア先生の様子がおかしい。
「アルフォンス様の才能は、Aクラス……それどころかAを超えるSクラス、いえ、SSクラスでも収まりきりません……っ! それに、」
ロゼリア先生は俺の肩を掴む。
「才能ある者は、力を使う義務があります。そして、生徒の才能を伸ばすのは、教師の義務です。ですので、」
俺の両手をぐっと掴んで、
「アルフォンス様をAクラスに入れるよう、学園長に話を通しました。アルフォンス様は、Aクラスへ行ってください」
(マジかよ。せっかくCクラスに入れたのに……っ!)
「でも、俺は——」
俺は断ろうとするが、
「異論、反論、文句は一切受け付けません。私はアルフォンス様の【先生】なんですからっ!」
教師に呼び出されるようなことは、何もしていないはずだが。
「あいつ何やらかした?」
「いきなり呼び出しかよ」
「さすがクズ侯爵w」
周りの生徒たちも、気になっているようで。
目立ちたくなかったのに、注目を浴びてしまう。
俺が教員室へ向かうと、
「アルフォンス様っ! お久しぶりですっ!」
「ロゼリア先生!」
教員室で俺を待っていたのは、ロゼリア先生だった。
「ロゼリア先生……どうして学園に?」
「ヴァリエ侯爵に紹介してもらったんです。セプテリオン魔法学園の教師に」
ロゼリア先生の話によれば……
ロゼリア先生は俺の家庭教師を辞めたあと、
セプテリオン魔法学園の教師に就職した。
アルフォンスの父親、ヴァリエ侯爵が推薦して。
【キモデブのバカ息子を変えてくれたっ!】
と、圧倒的感謝をしたからで、
「で、ロゼリア先生。俺、何かしましたか?」
「ええ。アルフォンス様は、とっても悪い子です」
「悪い子?」
まったく身に覚えがないのだが……
「さっきの魔力測定で……アルフォンス様は実力を隠しましたね?」
「そのことですか……」
ロゼリア先生は、俺の「実力」を知っている。
だからさっきの魔力測定で、俺が自分の魔力を少なく見せたことに気づいた。
「どうして実力を隠したのですか? アルフォンス様の魔力は、ジーク・マインドより多いのに」
「それは……」
メインキャラからなるべく離れたいから——
ロゼリア先生に、本当の理由は言えない。
「Aクラスだといろいろ怠いかな……と思って」
「だ、怠い?」
ロゼリア先生が目を丸くする。
「ほ、ほら、Aクラスは特別授業とかいろいろあるし、令嬢に声をかけられたりとか、めんどくさいかなーなんて?」
「……そうですか」
もともと、アルフォンスは怠惰な奴だ。
Aクラスのような「意識の高い」場所は似合わない。
少しうつむく、ロゼリア先生。
(ガッカリさせたかな……?)
ロゼリア先生を失望させたのは残念だが、生き残るためには仕方ない。
「……私は、ヴァリエ侯爵家を去る時に誓いました。アルフォンス様の才能を、たくさんの人に知ってもらいたいと」
「へ……?」
なんだかロゼリア先生の様子がおかしい。
「アルフォンス様の才能は、Aクラス……それどころかAを超えるSクラス、いえ、SSクラスでも収まりきりません……っ! それに、」
ロゼリア先生は俺の肩を掴む。
「才能ある者は、力を使う義務があります。そして、生徒の才能を伸ばすのは、教師の義務です。ですので、」
俺の両手をぐっと掴んで、
「アルフォンス様をAクラスに入れるよう、学園長に話を通しました。アルフォンス様は、Aクラスへ行ってください」
(マジかよ。せっかくCクラスに入れたのに……っ!)
「でも、俺は——」
俺は断ろうとするが、
「異論、反論、文句は一切受け付けません。私はアルフォンス様の【先生】なんですからっ!」
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