あの日の2人はもういない

終わり

覚醒後の彼は必死にクレアの世話をした。
認識して貰えなくても語り掛け、仕事以外はそばに寄り添い、家事も手伝った。

最初は怪訝そうな顔していたが、次第によく会う知人くらいは判る様になってきてたまに微笑んでくれる様になった。

ヨシュアは凄く時間をかけて少しずつ彼女の声を取り戻して行った。
しかしまだ、夫としては思い出して貰えてない。

頑張って頑張って、それでも思い出してすら貰えない。
それだけクレアの心は崩壊してしまったのだとヨシュアは思った。

それから何年もクレアに向かいあってきたヨシュアはもう昔のような輝きは無く年をとり、疲れ果てていた。

そして未だ自分を忘れたままのクレアに
いらして叫んでしまった。

「いつまで僕を消すんだ、僕の存在を無視しないでくれ」

泣きながら彼はクレアの肩を掴みその瞳を見つめた。
すると色のなかった瞳に感情の様なものが揺らめいた。
ヨシュアはその揺らめきに歓喜した、たとえ嫌われていてもこれから大事にして愛して行けば関係も変わって行けると思った。
そして次の瞬間彼女の発した言葉に固まった。

「ようやく、あの時の私の気持ちが分かったんですね。
私の気持ちを見ないふりをして傷つけて女性として妻として見られず、まるで家政婦の様に扱われて、別れる事さえゆるされず、私に原因の全てを擦りつけた。」

クレアは息を吸い続ける


「そしてあなたは、キチンと説明することもせず、あまつさえ嘘をついて約束といって彼女にせっかく別れたのに会いに行った。
私との約束はすべてやぶったのに」

「クレアたとえ君と一緒になれなくとも僕が君を自由にしてあげる」


「世界中の全てが君に苦しみを与えても僕が君に幸せを送ると誓うよ」


「10年の記念日には、君に愛の花言葉の花をおくるよ。
それまではずっと君に愛を伝えるよ
恥ずかしくて言えないって良く周りは言うけど本物の気持ちは自然と言葉に手出てるものだから」


「貴方の言葉は嘘だらけ、もう信じるのは無理よ、でも本当がそこに少しでもあるなら１つだけ守って、私を自由にしてください」

クレアはもう一度大きく息を吸い言った

「ヨシュア私と離婚して下さい」

数日後、クレアは家を出て行った凄くスッキリとした顔で、彼女の心は回復したのだ夫に終わりを告げることで。


もう昔の2人はいない