あの日の2人はもういない

出会った頃

ヨシュアと出会った頃のクレアは家族に疎まれ、悪い人間達と関わっていた両親せいでひどい生活を送っていた。

働かない両親のせいで飲み屋で働き、小さな妹達を養い。
家の事もしない母親の代わりに家事全般をこなしながら、昼は父親が親から受け継いだ小さな商会を切り盛りしていた。
父親はいつも店にはおらず売り上げを勝手にもっていき女遊びにふけっていた。

そんなある日父親が手を出してはいけない女性に手を出してその人の恋人が乗り込んできた。

「娘を一晩好きにしていいので許して下さい」

父親は自分が助かりたい為に娘を簡単にうった。

「なにいってるの？お父さん」

クレアは大きな声で父親に問い詰めた。
父親は

「お前が言う事を聞いてくれないとお父さんがアイツに殺されるんだ。お前が一晩辛抱してくれれば助かるんだ。
まだ妹たちもいるのに死ねないんだ、だから助けると思って頼む」

クレアは理不尽だと怒りたかった、でも妹たちの事を思うと我慢するしかなかった。
諦めたクレアを乗りこんだ男が舌舐めずりをしながら見てくるといきなりクレアの胸を鷲掴みにしてきた。クレアはびっくりして逃げようとしたが、

「逃げて良いのか？
お前が逃げるなら妹に相手させようか？」

そう言って家族の前で上の服をまくりあげ品定めをするかのように触ってきた。
クレアは、あまりの仕打ちにただ涙が流れた。
男は満足そうに服をもどすと

「良いだろう、こっちに来い
近くに俺の家があるそこで朝まで俺の相手をしろ、そしたら許してやるよ」

クレアは絶望したが妹達を守る為についていった。
しかしクレアの表情があまりにおかしかったのか相手の家に向かう途中、巡回していた騎士に声をかけられた。

「すいません、第一騎士団の者ですが少しお話し聞いてよろしいですか？」

騎士に声をかけられて、男は動揺していてそんな様子に騎士が眉をしかめた。

「俺は何もしてねえよおっさんがくれるっていうから貰っただけだ」

何も聞いてないのに勝手に喚いて逃げていった。
クレアはホッとしてハッとした、このままだと妹達に被害がでるのでは？
そう思うとどうしたらいいか分からず泣き出した。

「どうしたんですか？大丈夫ですか？」

騎士はいきなり泣き出したクレアに驚き声をかける。

「僕は第一騎士団のものです。
決して貴方が不安を抱くようなことはしません、良かったら話て下さい。必ず力になりますから」

そうして声をかけてくれたのがヨシュアだった。
クレアは自分ではどうしようもないので助けて欲しいとすがった。

「このままでは妹たちがあいつに狙われます、お願いします私はほっておいても構いません妹達をたすけて」

クレアは必死にすがりヨシュアは事情をずっと聞きながら背中をさすってくれた。
しばらくして落ち着いたクレアを連れて妹達のいる家に行き彼は妹ともども私たちを保護してくれた。

それからは騎士団の宿舎で家政婦として働き、食事や洗濯や掃除などを任された。忙しい仕事だけど親に巻き上げられ朝から晩まで働かされていた家に比べれば天国だった。

妹達を養いながらしばらくは共にすごし妹達に里親を探した。
両親がずっと私達を返せと騒いでいるので役所に届けて親権を取り上げた。
あの人達は自分達の道具がいなくなるのがいやなだけだ。
その為の手続きの保証人にもなり助けてくれたのがヨシュアだった。

数ヶ月後妹達は子供のいない貴族に全員まとめて引き取って貰えた。
妹達が引き離されなくて良かったと思った。

クレアだけは自分で生計を立てていける年齢なので養子にはならずそのまま騎士団で働いた。

それからも助けてくれた彼は気にかけてくれてマメに見にきてくれた。