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最終話「魔女のつがい」★

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『これ以上、入るか入らないか。入ったら私の勝ち、入らなかったらあなたの勝ちよ』

 それはかつて、シーナがアドルフに告げた言葉だった。その時は「シーナの勝ち」であったが、シーナの体感時間にすると数か月前の出来事でも、アドルフにとっては三年近くも前の言葉である。
 その三年近く前の言葉を、彼はそっくりそのままシーナに返してきた。あの時の出来事は、まだ彼の中に根強く残っているのだ。
 懐かしい台詞を聞き、シーナは「負け」を認めた。
「……っあああ!」
 硬く滾った男根が、シーナの膣をめりめりと押し拡げて進んでくる。途中にあった肉の扉はあっけなく割り開かれ、アドルフの男根はシーナの最奥まで到着した。
「……ぐっ……」
 あまりの痛みにシーナは涙目で喚く。
 かつて経験したことのある痛みであったが、やはり耐えられないほど痛い。棚の角に足の小指をぶつけたとか、分厚い魔法書を足の上に落としたとか、そういった痛みとはまた違った種類の、独特な痛みであった。
 痛みのあまり涙目になっていたシーナだが、彼女に覆いかぶさっていたアドルフもまた泣きそうな顔をしていた。
「ああ、シーナ……」
 アドルフは乱れたシーナの髪を優しく指で梳く。
「これで君は、僕のものだ……。君は、君だけは、絶対に僕を必要としてくれる」
 アドルフの弱々しく震える声が耳に届く。泣きたいのはこっちのほうだと彼を殴りたくなったが、痛みのあまり、そんな力もわいてこなかった。
「受け入れてくれて、ありがとう」
 シーナはアドルフを受け入れたわけではない。彼に好意を抱いていたわけでもないし、正直、「性つがい」は欲しかったけれど、「魔女のつがい」はいらなかった。目が覚めた時に最初に会ったのがダグだったら、間違いなく彼を性つがいにしていただろう。
 だが、一言で言えば――――ほだされた。
 それ以外に言いようがない。自分に迫ってくるアドルフは失禁するくらい怖かったけれど、それと同時に、自分をそこまで強く求める男を拒みきれなかった。
 アドルフと出会うまで、シーナは長年にわたり性つがいを求めていた。ダグに求められることはあっても、人生経験の浅い子供は対象外だったので、シーナはいつも求める一方だった。
 勿論、皆が性つがいになるのを嫌がり、誰一人としてシーナを求めてくれる男はいなかった。アドルフだって、シーナが無理矢理性つがいにしたようなものだった。
 そんな風に求めるだけだったシーナは、求められることに慣れていない。そして、強く求められ……怖かったけれど、それ以上に、彼の熱にほだされてしまったのだ。
 シーナが眠りについている間、アドルフに何があったのか分からない。
 果たして、アドルフはイーノックを討つことができたのか? 何故イーノックの弟が領主となり、アドルフの妹と結婚しているのか。どうしてアドルフは領主城に住み、領主ではなく補佐として働いているのか。
 なぜか分からないが、それが結果としてアドルフを追いつめることになったに違いない。

『僕がしたことは、何の意味も無かった。誰も、僕を必要としていなかったんだ』
『性つがいになれば、少なくとも君は僕を必要としてくれる』

 数分前の彼の台詞から、彼は「絶対的な存在」を求めていることが分かった。その依存先がシーナなのだ。
 父や兄を殺され、領主城を追われた彼をかくまったが、そう時間が経たないうちにシーナはアドルフを性つがいにしてしまった。その時はまだ彼の心の中で復讐の炎が燻っていたのだろう。当時の彼はとても復讐できるような力も方法もなかったが、そんな彼の衝動の矛先は、結果としてシーナとの性交に向けられた。
 彼の中のやり場のない激情は性欲に姿を変え、その欲望はシーナに注がれた。アドルフの性交があんなに荒々しかったのも、そのせいだろう。
 しかしシーナが眠りについたあと、アドルフに何かがあった。彼を支えてくれるような優しい女性が現れたのなら、違っていたのかもしれない。だが、そんな女性は現れなかったのか、それとも彼が心を閉ざして拒絶していたのか、彼はひたすらシーナが目覚めるのを待ったのだろう。
 そしてシーナが目覚め――――彼はシーナの性つがいになろうとし、結果として「つがい」になった。
 本当であれば、シーナはアドルフから逃げたかった。だが、これは仕方のないことだ。かつて、性つがいが欲しい、性交をしてみたいと、アドルフを無理やり性つがいにしたことが事の発端なのだ。大人しくダグが大人になるのを待てばよかったのに、性欲に負けたのはシーナだった。
 あの時は、こんなことになるなんて予想もしていなかったけれど、結局はシーナの責任なのだ。色々な感情を抱えていたアドルフを、性交という形で発散させ、結果的に自分に依存させてしまったのだ。
 だから今、こうして彼と「つがい」になってしまったのは、まさに自業自得だ。かつてシーナがアドルフに無理強いをして性つがいをしたように、今度はシーナが無理やりつがいにさせられた。全ては自分の責任だ。
 だからこそ、それが分かっているからこそ、シーナはほだされた。アドルフを拒みきれず、魔女膜は効果を発しなかった。
「……っ、う……」
 太い楔に拡げられた膣はぴりぴりと痛む。以前のように乱暴に腰を振られるのかと思っていたが、アドルフは意外にも腰を動かそうとはしなかった。痛みは継続しているものの、中の凶器が動かないおかげで、なんとか耐えられる。
「アドル……、……んっ!」
 突如、シーナの唇が彼のそれで塞がれた。唇は言葉を発しようと薄く開いていたので、彼の舌がするりと滑りこんでくる。アドルフの舌はシーナの歯列をなぞり、口内をまさぐり、舌の根元をつついてきた。痛みで縮こまっているシーナの舌をからめとり、擦りあう。
「……んむっ、んぅ……」
 下肢は痛みを訴えているが、口づけは気持ち良かった。はて、彼はこんなにもキスが上手かっただろうか?
 舌を嬲られ、口内を蹂躙されると、強張っていた体の力が抜けてくる。すると、下肢から感じる痛みも和らいできた。もしかしたら、麻痺しているのかもしれない。
 しかしアドルフはいつまでたっても腰を動かそうとはしなかった。このままでは終わらないのではと思うが、それを伝えようとしても、ねっとりとした口づけをやめて貰えず、何も言うことができない。
「んうっ、んん……!」
 濡れた舌がからみ合い、溢れる唾液をすすられる。じゅるっと音を立ててすすられると、シーナの背筋がぞくりとした。
 ようやく長い口づけから解放され、アドルフがシーナの顔を覗きこんでくる。先程までとは違い、とても優しい眼差しだった。
「動かないの……?」
「大丈夫だ、動かなくてもイける。ああ、気持ち良いよ、シーナ……」
 処女の状態に戻ったシーナの膣肉は狭く、何もしなくてもきゅうきゅうにアドルフのものに絡みついてくる。それに、口づけに呼応するかのように柔肉はペニスに纏わりついてきて、その感覚も気持ち良かった。なにより、シーナを手に入れたという事実が、彼の心を満たしていた。
「出してもいいか?」
 そう言われて、シーナははっとした。そう、彼は「性つがい」ではなく「つがい」になったのだ。中に出されれば妊娠する可能性がある。
「だめ、赤ちゃんできちゃう!」
 魔女になる前の生理周期など忘れてしまったし、今が安全日なのか危険日なのか分からない。だが、今シーナの体は、アドルフの精子で妊娠できるようになってしまったのだ。もしかしたらこれで子供ができてしまうかもしれない。
「お願い、出すときは抜い……んうっ」
 反論の言葉は、口づけに飲みこまれる。
「シーナ、僕の子供を産んでくれ。僕の子供を孕んでくれ……」
「やっ、んっ、だ、だめ、だめぇぇぇ!」
 シーナは首を振るが、無意識のうちに体に力が入り、彼のものを締めつけてしまう。すると、シーナの中でアドルフの欲望がはじけた。ぶるぶると砲身を震わせながら、熱い液体が体の中に撒き散らされていく。
「……っ、あ、あぁああっ!」
 一回ではすまない。一体どれほど出すのかと思うくらい、何度も何度も精を注がれる。そのあまりにも長い射精に、シーナは思わず達してしまった。
 快楽などない。けれど、自らを孕ませる液体を大量に注がれていると思うと、それを嫌だと思う一方で、興奮してしまう自分もいたのだ。
 ……そう、シーナはもともと妄想壁があり、処女だったころは凌辱輪姦される妄想をしながら自慰をしていた。今まさに凌辱されているわけで、こんな状況なのに興奮してしまう。
「ああ、射精されてイったのか……? 君はやっぱり、淫乱だな」
 掠れた声でアドルフは微笑む。
「そんなに良かったのなら、また出すよ」
「だ、だめぇ……! できちゃうの! 赤ちゃん、できちゃう……!」
「ああ、孕め」
 命令形で言うと、アドルフはシーナの唇を貪る。それから暫く後、彼はまた腰を動かすことなく、再びシーナの中に精を放つのだった。



「まったく、やってられないわよね」
 街の片隅にあるバーで、シーナはやけ酒を煽っていた。その隣に座っているのは、今や立派な青年となったダグだ。シーナより身長が低かった彼は、今はアドルフより背が高い。彼がこんなにいい男になると分かっていたなら待っていたのに……とシーナはこっそりと思った。
 シーナが目覚めてから、一ヶ月が経った。
 ダグはシーナの性つがいになるつもりで待っていてくれたようだが、アドルフから事情を聞かされたあと、静かにアドルフを殴りつけるとそれで水に流した。シーナが魔女である以上、強姦は成立しない。シーナがアドルフを受け入れない限り性交はできないので、仕方ないと諦めるしかなかった。
「まあ、仕事が忙しいからって毎日シーナの様子を見に行けなかった俺も悪いしな。シーナの性つがいになりたかったけど、俺もよくよくは跡継ぎを作らなければならないだろうし。親父がいた頃はそこまで気にしてなかったけど、跡を継いでからは、やっぱり血縁者が後を継ぐことの重要さが分かった気がするよ」
 ダグはそう言って、度数の強い酒を飲む。ジュースしか飲めなかった少年は、今や顔色一つ変えずに酒を飲む青年となっていた。
 二人で酒を飲んでいると、以前のシーナの店の常連だった男が、「やあ、シルヴィーナちゃん!」と声をかけてきた。
「こんにちは」
「今日もカワイイね! お姉さんは元気?」
「ええ、元気よ」
 シルヴィーナと呼ばれて、シーナはにこりと微笑んだ。
 実はつがいを作った魔女は、今まで住んでいた土地から出ていかなければいけない。「魔女のつがい」の存在はトップシークレットであり、年を取る魔女の存在は普通の人間に知られてはいけないのだ。それが知られれば、結果的に性つがい選びがやりなおしできることバレてしまうし、身体能力を上げるためだけに魔女に近づこうとする男を排除するためにも、守らなければいけないことだった。
 しかし、アドルフは「二年半も会わなければ、顔なんてはっきりと覚えていない。シーナにそっくりな妹だと言えばいい」と言いきった。確かにシーナは街外れの丘に住んでいて、客以外ではダグとしか交流を持っていなかった。街の中心部に住んでいたならば、「そっくりではなく同一人物だろう」と怪しむ者もいただろうが、性具屋の客の数なんてたかが知れているし、客の頭の中は性的なことでいっぱいだ。
 それに、魔女は年をとらないという先入観があるし、シーナは長年性具屋をしていたが、容姿はずっと変わらなかった。これからシーナは年を取っていくわけだし、シーナが「シーナによく似た妹で人間」だという嘘は、疑われないだろう。
 よってシーナは、かつてのシーナを知る人間にはシルヴィーナと名乗っていた。勿論、姉と同じ名のシーナという愛称で呼ばれることがあるとも添えて。
 結局、シーナとシルヴィーナが同一人物であることを知っているのは、アドルフとダグと岩男だけだ。彼らは皆口が堅く、秘密を洩らさないだろう。
 そしてシルヴィーナことシーナは、性つがいと共に遠くの地に越していった姉の性具をダグの店に卸すという名目で、ダグと会っていた。勿論、卸しているのはシーナが趣味で作った性具だ。この街から性具屋が消え、一部の人は悲しんでいたものの、再び性具が流通するようになり、性欲旺盛な男たちは喜んでいた。勿論、ダグも儲かるので喜んでいる。
 本来ならシーナは自分で店を開きたかったが、そこまでしてはバレるかもしれないと、品物を卸すだけにした。だから今日も、ダグに品物を卸し、そのついでにバーで飲んでいるのだ。シーナは今、アドルフの婚約者として城で丁重にもてなされているものの、こうして下町で飲んでいるほうが気が抜けてよかった。
 常連だった男が離れたあと、シーナはカクテルを口に含むが全然酔った気がしない。
「おかしいわね、私、お酒に強くなったのかしら?」
「おかしくないよ。それ、アルコールじゃないから」
「えっ?」
 シーナはグラスを眺めた。カラフルなカクテルだと思っていたが、まさかノンアルコールカクテルだったとは。
「間違えて頼んじゃったのかしら?」
「違うよ、俺がノンアルコールにしてって店員に言っといた。シーナ、子供できるかもしれないんだろ? 酒は控えたほうがいい」
 自分は強い酒を飲みながら、ダグは言い放つ。
「そんな……! まだできてないと思うし、ちょっとくらい大丈夫よ」
「ダメだよ」
 窘めるように言ったダグは、とてもいい男に見えた。逃した魚は大きかったとシーナは後悔する。そして、彼の嫁になる女性は幸せだろうなと思った。

 ――――――ちなみに、彼が嫁を迎えるのは、これから十数年後のことである。
 三十半ばのダグの元に嫁いできた娘は若干十六歳。シーナによく似た意志の強い眼差しを持つ、綺麗な金の髪をした娘だった。



「んっ、んんっ……!」
 アドルフに抱かれ、シーナはくぐもった声を上げる。それが綺麗な音にならないのは、口づけられているからだ。
 アドルフとつがいになったシーナは、彼以外の男を体を重ねることはできない。膣に魔女膜が現れ、挿入できなくなるからだ。
 しかしそれは膣を使った性交に限るだけで、口淫やアナルセックスは普通にできる。ダグに性具を卸し、バーで飲んでから帰ってきたシーナに、「遅かったじゃないか。まさか、ダグと楽しんできたのか?」と、アドルフはいきなり襲い掛かってきた。
 魔女のつがいになってからというもの、アドルフは優しくなった。以前のようにシーナを荒々しく抱くことは無かったし、破瓜の後もシーナが痛がるような真似をしなかった。
 一ヶ月が経ち、ようやくシーナの体もアドルフの巨根に馴染んで快楽を感じるようになったが、今日の彼はご機嫌斜めなようで、やや乱暴にシーナを抱いてきた。けれど、痛みを伴うほどではなかった。
「んむぅ、ん……!」
 シーナの膣には根元までずっぽりとペニスを突き挿れられていた。そのすぐ後ろの窄まりには、彼の指が二本も入れられている。口内は彼の舌に侵されているし、片方の耳の穴には彼の人差し指が入っていて、もう片方の耳からはくちゃくちゃという水音と、互いの吐息が聞こえてきた。鼻には雄の匂いが届き、汗ばんだ肌はぴったりと密着している。
 膣、後孔、耳、鼻、肌。シーナは全てをアドルフに支配されている感覚に陥った。上も下も、前も後ろも。その全てで快楽を感じている。
 アドルフの形を覚えこまされた膣がきゅうきゅうとしまると、後孔の指がずぼずぼと抜き差しされる。抜かれる瞬間に合わせたように、最奥を突かれると、快楽が体をかけめぐった。踵がシーツの上を滑り、ぴんと足が伸びる。痙攣したように体を震わせると、
「七回目だ。またイったのか?」
とアドルフは嬉しそうに笑っていた。シーナは三回目を超えた時点で数えるのを止めたが、彼は律儀にシーナが達した回数を数えているようだ。それが恥ずかしくて、バレないように達してみようと思ったものの、彼には分かってしまうようだ。
「んむぅ、んーっ!」
 何度達しても、唇を離して貰えない。執拗に舌をからめとられ、何も考えられなくなる。けれど、シーナはこんな状態だというのに、アドルフはまだ一度も射精してはいなかった。
「……っ?」
 ふと、アドルフが顔を離した。後孔から指を抜き、耳から手を離し、ペニスを引き抜き、体を離す。自らを満たしていたものが少しずつ離れて行って、シーナは切なくなった。
「あ……」
 広いベッドの上、少し離れた場所でアドルフは胡坐をかいていた。シーナはもぞもぞと彼に近寄る。
「やめないで……」
「どうして? あんなに達したのに、まだ足りないのか?」
「……っ、それは……」
「したいなら、自分でするといい」
 一度も出していないアドルフのものは天を向き、太い筋が浮き立っている。シーナは彼の体を跨ぐと、腰を下ろして巨大な砲身を受け入れていった。
「んっ、ふぅ……あぁ……」
 何度も達している膣は、彼のペニスを簡単に飲みこむ。そしてシーナは夢中で腰を振った。まるで、シーナが彼を求めているかのように。
 アドルフは時折、このようにわざと性交をやめ、シーナに自分を求めさせる。そうすることで、シーナが自分を必要としていると実感したいみたいだった。
 愚かな男だと、シーナは思う。そんなことをする必要はないのに、と。
 シーナを手に入れて落ち着いたものの、アドルフは時折寂しそうな表情を見せる。シーナにはやはり、彼の心の傷が理解できない。けれど、彼の心を満たせるのは自分しかいないということも分かっていた。
「はぁっ、んっ、はぁあ……」
 夢中になって腰を上下すると、アドルフが口を開いて舌を出してくる。シーナは引き寄せられるように舌を合わせた。
「んむぅ、ん……」
 膣が満たされ、口が満たされ。ふと、アドルフの手が尻に伸び、再び後孔に指が挿れられた。頬にあてられた指先が耳に届く。汗の匂いもする。
 再び体を彼で満たされると、快楽のあまり、シーナは上手に動けなくなった。その代わり、アドルフが下から腰を突き上げてくる。
 こんこん、と、まるで子宮口をノックされているかのようだった。孕む準備はできていますか、と。
「あ……、んむぅ、んっ……、ちょうだい……。精子、欲しいの……」
 シーナがそう言うと、ようやく彼は腰の動きを速める。そして子種を惜しみなくシーナの中に注ぎこんだ。



 それから二度、アドルフはシーナの中に欲望を放った。そのまま二人は眠ったが、シーナはふと夜中に目を覚ましてしまった。いつもなら疲れきって朝まで目が覚めないのだが、たまたま夜に目覚めてしまったのだ。気のせいか、子宮がほんのり温かい気がする。
 シーナは隣で眠っているアドルフの顔を見る。アドルフに二度目の処女を奪われたあと、暫くして生理がきた。そして、その生理から二週間が経ち……そろそろ排卵日が来る。この調子だったら、孕む日も遠くないだろう。
 魔女になった時には、自分が子供を産むなんて想像もしていなかった。性つがいを作り、妊娠を気にせず色々ヤりまくる自分は想像していても、「つがい」を手にいれる未来は想定していなかった。だから、こうして精液を注がれて「妊娠するかも」と思うのは、不思議な気分だった。
 シーナももういい歳だ。肉体は若いが、もう子供がいてもおかしくない。子供ができるというのは不思議な気分だが、大きい子供は既に目の前に一人いるし、もう一人増えるだけだ。嫌ではない。
 シーナはそっと手を伸ばすと、目の前の大きな子供の金の髪を撫でる。
 全ては、シーナが彼を性つがいにしたことの結果だ。彼を性つがいにしてしまったからこそ、こうなった。
 だが、性交は気持ち良いし、城の中は窮屈だがいい暮らしをさせて貰っている。
 こんな人生も悪くないかと、シーナは魔女のつがいにそっと口づけた。
 ――――――が。
 ぱちり、と、アドルフの目が開く。
「あ……! 起こしちゃった?」
 まさか彼が起きるとは思わず、シーナは驚く。アドルフは寝ぼけ眼のまま、シーナを抱き寄せると、深い口づけをしてきた。
「んむっ……!」
「寝こみを襲うなんて、足りなかったのか?」
「違うわ! 十分足りてるし、襲ったつもりも……んうっ」
 まだ大量の精が入っている膣を指でかき混ぜられ、じゅくじゅくという水音が響き渡る。
「やぁ……、やめ……んうぅ」
 反論はアドルフの唇に飲みこまれる。そして再び、シーナはアドルフに抱かれた。



 魔女の性つがい 完
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みんなの感想(2件)

ポリアナ
2024.03.15 ポリアナ

ピッコマで『誇り高き王女がとろける辺境伯の豹変蜜事』を読ませていだきました。番外編『二百年前の真実』で号泣いたしました。まさかエロ描写のある小説でここまで感動するとは…これからも素晴らしい作品期待しております‼️

解除
ポリアナ
2024.03.15 ポリアナ

この作品はコメディタッチで楽しく読ませていただきました。先生の作品がもっと読みたくてピッコマで『誇り高き王女がとろける辺境伯の豹変蜜事』の番外編『二百年前の真実』を読ませていだきました。
一言で言って号泣いたしました。まさかエロ描写のある小説でここまで感動するとは…
これからも素晴らしい作品期待しております‼️

解除

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