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13「奥の奥まで」★

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「最近、物価が高くなったわね」
 仕入れ品の請求書を見ながら、シーナは眉をひそめた。
 縄や手錠などは月に一度、卸売業者から購入し、それに魔法細工をして売っている。近年物価は安定していて、仕入れ価格もさほど急騰したりしなかったのだが、今回仕入れた品は軒並み値上がりしていた。
「今年は気候も穏やかで、目立った天災なんかなかったのに、どうしたのかしら?」
「ああ、それが最近盗賊が出るらしくて、流通用の荷馬車が襲われるんだと」
「なにそれ? 盗賊なんて昔からいたじゃない。物価が上がるくらい影響があるの?」
「それが、かなりの数の荷馬車が襲われているらしいんだ。食い物や宝石の馬車だけじゃなく、性具にも反映されるくらい手当たり次第襲ってくるらしいぜ。領主様は何をしているんだか……」
 領地を統治し、その治安を守るは領主の仕事だった。流通用の馬車が行きかう山道などには警備員を配置し、盗賊に襲われないように目を光らせる。
 領主が変わろうと、税金の額も変わらなければ、治安が変わるわけでもないので、領民たちは誰が領主でもいいと思っていた。たとえ領主が卑怯な手段で領地を奪い取っていても、自分たちの生活に影響がなければ構わないのだ。
 だが、領主が変わって治安が乱れるなど、シーナの知る限り初めてのことだった。
「ねえ。こういうことって、昔領主が変わった時にあったの?」
「俺の記憶では、過去に三回ほど領主が変わったが、こんなのは初めてだ。そりゃあ、天災で物価が跳ね上がったことはあったけど、まさか治安の乱れで物価が上がるなんてなぁ……」
「そうよね。私の小さい頃にも領主が変わったけど、治安が悪くなったなんて感じなかったし」
 仕入れ価格は高くなっているものの、目の前の男がピンハネするわけではない。難しい顔をしながらも、いつもより高い代金を払うと、ダグが配達にやってきた。
「こんにちはー! ……んっ? どうしたの二人とも、難しい顔をして」
 同じく商人仲間なので、ダグと卸売業者も顔見知りだ。男はダグに挨拶を返す。
「こんにちは、ダグ。物価が上がったって話をしていたんだ」
「ああ、それね。丁度うちの親父が王都に行く用事があって、その件について陳情してくるって」
「そうかいそうかい、それは良かった!」
 領民は領主が誰であろうと構わないが、領主が変わったせいで治安が悪くなったなど、正当な不満があればそれを王宮に陳情し、領主を替えて貰うことができる。国によって領主の座を追われた者は、領主になる資格を永久に剥奪されるので、いくら腕に自信があろうと、力づくで領地を取り戻すことはできない。
 領主が誰でもいいと思っているのはこういう仕組みがあるからで、領主が変わり治安が乱れた領地に住む者の陳情で領主が変わるのは珍しいことではなかった。
 また、こういう制度があるからこそ、領主は統治に励むのだが、今の領主はどこかおかしいようだ。
「ダグのお父さん、王都に行くのね。羨ましいわ」
「うん、商人の会合があるみたいで、親父以外にも陳情するって商人が結構いるみたいだぜ。数が多ければそれだけ早く対応して貰えるし、物価高騰も暫くの辛抱だな。ちなみに、おみやげ沢山買ってきてくれるってさ! シーナに似合いそうな髪飾りも頼んどいたよ」
「まあ、ありがとう」
 そんな会話を交わしていると、品物を卸した男は「じゃあな」と帰っていく。シーナもダグに代金を払うと、彼はふと商品の棚を見た。
「陳情が通れば物価も元に戻るけど、それまでは寝上がりするんだよな。じゃあ、今のうちに買っておこうかな」
「あら、欲しいものでもあるの?」
「うん」
 ダグは頷いて、棚の中からピンクローターを選び取った。
「あら、これが欲しいの?」
 小ぶりなピンクローターは女性に使う以外にも、自慰のお供として男性にも人気がある。シーナはてっきり彼がそういうつもりで使うのだと思って、割引して売り渡すと、彼は商品を受け取るなり外の木札を「準備中」にしてしまった。
「あらあら、ダグ?」
「今日は時間あるんだ。ちょっと試してみていいでしょ?」
「ふふっ。もう、仕方ないわね」
 シーナは微笑む。今は一番暇な時間帯なので、少しつきあうくらい良いかと思った。
 二人は奥の間に移動し、シーナはショーツを脱いでソファーに腰を下ろす。
「シーナ……」
 ダグはローターを使うことなく、まずはシーナの股間に顔を埋めた。秘裂を舌でなぞり、その上にある陰核にむしゃぶりつく。
「んうっ」
 アドルフがシーナの性つがいになるよりも前、ダグが彼女の股間を舐めることはよくあった。だから舌使いは慣れているものの、その時はシーナの中には指一本さえ挿れることが出来なかった。指を挿れたところで処女膜には影響がないものの、シーナが嫌がったので、ダグが愛撫していたのは表面だけだった。
 しかし今は、思う存分指を挿れることができる。
「あぁ……」
 ダグは陰核を舌先で転がしながら、彼女の中につぷりと指を埋めこんだ。指を曲げ、陰核の裏に当たる場所を撫でると、シーナの腰が跳ねる。
「んうっ! いきなりそこは……っはあん!」
「……んっ、気持ち良いんでしょ……?」
「あうっ、んうぅ……」
 気持ち良い場所を指で撫でられ、陰核をしゃぶられ、シーナがどんどん高みに昇りつめていくところでダグは体を離した。そして、買ったばかりのローターをシーナの中に埋めていく。
「あ……んう……」
 アドルフの巨根をいつも飲み込んでいる膣は、小さいローターを簡単に飲み込んだ。さあ、ここでスイッチを入れられると思ったのだが……。
「え……?」
 なんとダグは、ローターを挿れたシーナの中に男根を挿れてきたのだ。
「んっ、んうっ!」
 ダグの幼い肉棒に押しこまれ、ローターが奥においやられる。
「ダグ……っ!」
「……んっ、この前、あいつと3Pした時、奥まで届くって言ってて、悔しかった……。俺のはまだ物足りないかもしれないけど、道具を使えばちゃんとシーナを気持ち良くしてあげられるから……」
 そう言いながら、ダグはローターのボタンを押した。
「ひっ!」
 体の一番奥、子宮口付近でローターが震えだす。
「んんんっ! ひっ、ああああっ!」
「……ッ!」
 その振動はシーナには勿論、ダグにも強い刺激を与えた。彼は思わずボタンから手を離す。
「やあっ……ダメよダグ、これ……凄すぎる」
「凄いから、いいんじゃないか……ッ! あいつにできないことを、俺はするんだ……!」
 ダグは再びスイッチを押した。
「あああああっ!」
「クッ、……っああ」
 ダグはスイッチを押したまま、がむしゃらに腰を振る。振動するローターが膣内であちらこちらに押し当てられ、シーナはたまらず達してしまった。
「んうっ、あ――――――っ」
 しゃああああと、透明な水飛沫がダグを濡らす。しかし、ダグの腰の動きも、ローターの振動も止まらない。
「やうっ、ま、待って、ダグ! ひっ、んっ、あああっ!」
 ぴゅっ、ぴゅっと潮を噴きながら、シーナは細かく絶頂を迎え続けた。ダグはといえば、ローターの与えてくる振動は快楽を通り越して痛みになっており、いつもより達するのに時間がかかる。しかし、シーナが何度も達するのを見て気分が良くなってきた。
「あっ、やぁん! ダグ、ダグぅ……!」
「シーナ、シーナ……っ!」
 ダグはローターのスイッチから手を離し、シーナを抱きしめると思い切り口つける。舌を絡めあいながら、彼女の中に精を注ぎこんだ。
「んぅ……っ」
 自身の中に広がる熱い液体の感触に、シーナはまた達する。終わった後、男根と共にローターを引き抜くと、精液と共に潮もふき出た。
「あんっ」
「……シーナ、可愛い。前からも後ろからも出すの好きだよね」
「もう、ダグったら……」
 性交の疲れは有れど、心地よい疲労感だった。
「ねえ、これシーナが持っててよ。俺一人じゃ使うつもりないし、また一緒に使おう?」
「ええ、分かった。ふふっ、次を楽しみにしてるわね」
 シーナが微笑む。

 ――――――しかしそのローターが使われることは、二度となかった。
 王宮に陳情しようとしていたダグの父親と、その商人仲間が盗賊に殺されたという一報が入ったのは、それから一週間後のことだった。
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