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「────二つ、教えてくれ」
木の葉の囁きも、鳥の囀ずりも、意識を奪うにはまるで足りない。アスモデウスはベリト、否、ルシウスを。ルシウスはアスモデウスだけを見ていた。
「仮におまえを殺して、俺は人間に戻れるのか」
「まさか。俺が、そんな中途半端な術をかけるとでも?」
アスモデウスがせせら笑う。本来の魔族とは在り方が少し異なる生態と化したが、その肉体はもはや人間のそれではない。一度変じてしまった以上、ルシウスが人間に戻ることはないのだ。
その事実を知った彼は、己を詰るだろうか、涙を流すだろうか。だが、予想に反して「そうか」と呆気ない反応だった。
「もう一つだ。何故、俺の記憶はこんなにも容易く戻った? おまえほどの魔族ならば、俺の記憶が一生戻らないようにできたのではないか」
痛いところを突く、とアスモデウスは内心で嘆息する。
ルシウスの言うように、彼の記憶を固く封じることはできた。彼が思い出さない限り、アスモデウスの傍らにいてくれる。奥底に押し込んで、封じ込めて、いっそ消してしまうのも良いかもしれないとまで思って、できなかったのだ。
「……それじゃあ面白くないから」
ルシウスが、欲しかった。欲しくて欲しくてどうしようもなかった。彼を手に入れる為ならば、どんな禁忌を犯しても構わないと、世界を壊したって良いと思ったほどに。
けれど、ルシウスがアスモデウスを選ぶことはないと分かっていたから、彼の生を陵辱することを選んだ。
禁忌を犯してまで彼を手に入れようとしたくせに、ルシウスの記憶の蓋を簡単に開けられるようにしたのは、何のことはない、思い出してほしかったのだ。
アスモデウスの罪を思い出したが最後、彼の心がもう二度と得られなくなるとしても。
結末が破滅でしかなかったとしても、ルシウスの瞳に写りたかったから。
「……質問はおしまい? なら、次は君が願いを口にする番だよ。何が良い? 俺を八つ裂きにしたい? お父様の馘が欲しい?」
欲しい、欲しくない。そばにいてほしい、そばにいてほしくない。気が狂いそうなほどの矛盾を重ねて、果てに辿り着いた結末がこれだ。
愚かしいと言うより他にないけれど、それでも彼と出逢ったことが間違いだったとは思いたくなかった。
「っ、おまえは、どうしてそう……!」
苛立ちを隠そうともせず、ルシウスがくしゃりと顔を歪めた。
そして、伸ばされる腕。剣を振るっていた腕は、アスモデウスのそれよりもずっと逞しい。殴られるのか、あっさりと殺されてしまうのか。
結果はどれも違っていた。何が起きたのかを理解するまで、数秒を要した。
「な、んで」
身体は、ルシウスの腕の中にすっぽりと収まっていた。抜け出そうと身動ぎをするも、許さないとばかりにルシウスの腕に力がこもった。
「身体が勝手に動いた。こんな予定では、なかったんだが」
「じゃ、じゃあ離して……」
「断る。おまえが泣きそうな顔をするのが悪い」
「は、」
「あのときも、泣きそうな顔をしていた。抱きしめたかったのに、おまえは人の話を聞きやしない」
あのときとはいつのことだ。泣きそうな顔をした覚えは今もそして振り返ってみても、ない。
どうして、抱き締めたいなどと血迷ったことを思ったのか。相手は、彼の誇りや生を蹂躙した世界の敵だと言うのに。
「おまえが、俺たちの旅路にちょっかいをかけていたことについては、腹は立っていない」
「な、なんで……」
「人々の貧困の一因は魔族にもあるのかもしれないが、多くは国が何もしなかったことに因るものだ。俺が何も知らなかったことも否定はできない。俺の前で、悪意をもって人間を傷付けたことはなかっただろう?」
ルシウスが、アスモデウスの身体を離した。けれど、逃がすつもりはないのか、両肩に手を置かれたままだ。
深い青の瞳が、じっと見据えてくる。押し隠した何もかもを暴かれそうな心地にかられ、アスモデウスは顔を伏せる。
「俺を、魔族にした本当の理由を教えてくれ」
「だ、だから、」
「アスモデウス」
窘めるような声だった。反射的に、肩が跳ねる。結末が変わる訳でなし、わざわざ明かす理由などない。じくじくと痛む傷口に、自ら爪を立てるようなものだ。アスモデウスにとっても、きっとルシウスにとっても意味がない。むしろ、苦痛ばかり重ねることになる。
「っ、聖騎士様はニンゲンで、聖騎士だから、魔族の俺のそばにいてくれないから……」
分かっているのに、口から零れ落ちていた。目頭が熱い。頬を濡らす感触を意識から追い出した。
だって、涙を流す資格などない。自分がしたことは、ルシウスという人間の尊厳を無視した行いだ。手に入れたいだけならば、いくらでもあった。わざわざ禁忌を犯す理由などない。
「────誰にも、奪われたくなかった」
分かっていたのに、止められなかった。禁忌を犯してまで、彼の心を踏み躙ってまで、魔族の身体へと変成させたのは、誰にも奪われないようにする為だ。
彼が魔族になれば、あの勇者と添い遂げる未来は潰えるだろう。たとえ殺されても、ルシウスがこの先誰かに奪われる可能性は限りなく低い。
自分のモノにならない彼はいらない。自分のモノにならないのなら、せめて誰のモノにもならないで。
「だったら、俺の記憶を永劫封じておけば良かったのに、おまえは妙なところで甘いな」
彼の何もかもを奪いたいと、自分のモノにしてしまいたいと思いながら、ルシウスという人間がこの世から消えてしまうことが堪えられなかった。
この激情は常に矛盾と言う名の毒を孕んでいる。臓腑を爛れさせ、正しい判断がつかなくなる。そして、毒に冒された末路がこれだ。
「ここに向かう道すがら、ずっと考えていた。俺が許せるおまえであって欲しい、と」
「許せる、って」
「腹は立っている。少しは俺の話を聞いて欲しがった。そうしたら、こんな回り道をすることもなかったんだ」
「まっ、まって、意味が……」
堪らず、伏せていた顔を持ち上げた。ルシウスの言わんとしていることが分からない。視界に飛び込んできた彼の表情には、憎悪や憤怒の色がひとつもない。仕方がないな、と苦笑が滲んでいた。
「おまえの真名を知れば、俺のモノにできるのか?」
木々の囁きも鳥の囀ずりも遠く、世界から音が消えた。時が止まったかのような錯覚を抱いた。
呆然とするアスモデウスに、ルシウスは「それで相子だろう」と素知らぬ顔で言う。
「欲しかったのは、俺も同じだ。でなければ、聖騎士の身で魔族のおまえと姦淫などするものか」
「欲しかった……? 聖騎士様が、俺を?」
「そうだと言っている。おまえのその言葉が聞けていたなら、聖騎士の称号を返上していただろう」
「は!?」
一瞬にして血の気が失せた。血の滲むような努力をして得た地位を返上するとか言わなかったか。あまりの衝撃に愕然とするアスモデウスとは対照的に、ルシウスは涼しい顔。
「力なき人々を守るためだけならば、聖騎士という地位は不要だ。むしろ、視野を狭めることを思い知った」
「だ、だからって、俺がしたことは」
「そうだな。なら、俺を魔族にした責任を取って、俺のモノになってくれ」
意地の悪い言い方だが、責任を取らせるつもりなどないことくらい、彼の顔を見ていれば分かる。悪戯が成功した子供のような顔で笑っているのだから。
「────やだ」
驚きの余りに引っ込んだ涙が、また溢れてくる。きっと許してくれないと思っていた。だから、ルシウスが自分と同じように求めてくれていたことは嬉しい。
けれど、素直に受け入れるな、と囁く声がまとわりついて離れない。
「勇者様は……?」
清くあれ正しくあれと生きてきた彼だからこそ、生半可な気持ちで魔族に手を出すとは思っていない。もしかしたら、と淡い夢想を一度も抱かなかったと言ったら嘘になる。
けれど、何も告げず何も問わなかったのは、ひとえに勇者の存在があったからだ。
勇者は、ルシウスに恋をした。自らの生まれ故郷とは何ら関わりのない世界の為に戦いを強いられた勇者が、ただひとつ望んだものがルシウスの愛。果たして、ルシウスが健気な彼の望みを無視できるだろうか。すまない、と断れるだろうか。
「おまえ、まさか見ていたのか?」
「……たまたまだよ。覗き見するつもりはなかったし」
「トモヤ殿の告白は断っている。彼に負い目があるのは事実だが、彼を選ぶつもりはない」
ルシウスの目がすっと細められた。どこか不満げな様子に、アスモデウスはそわそわと落ち着かなくなる。彼がそんな顔をする理由が分からない。
「おまえこそ、かつての勇者に並々ならぬ感情を向けているくせに」
「え?」
「今も忘れられないくらい大事なのだろう。あの日、様子が違っていたのはそれが原因じゃないのか?」
ルシウスの言うように、かつての勇者────律と言う名の人間のことは、今でも忘れられないでいる。アスモデウスに限った話ではなく、《魔の王》や彼と関わった魔族すべてに言えることだ。
だが、この感情はルシウスに向ける感情とは別物だと言うことくらい自覚している。
律に抱いた感情は、ある種の憧憬だ。彼の鮮やかで眩い在り方に心惹かれはしたが、彼の意志をねじ曲げてでも欲したことは一度としてない。
「あ、あれは……聖騎士様と勇者様のやり取りを見ちゃったからで」
「友人とやらと、何もなかったのか?」
「あるわけないでしょ! 俺だって……」
その先を告げる勇気は、まだない。
ルシウスに抱いている感情は、さながら刃だ。苦痛をもたらすと分かっていながら、刃を握り締めたまま手放せない。欲しくて欲しくて、あらゆるすべてを引き換えにしても良いとさえ思うのに、自分のものにならないなら彼を壊して良いとさえ思ってしまう、おぞましい矛盾を孕む。
この激情が、世間一般の愛とやらなのか。こんなにも醜悪で罪深い感情がそれだとは思えず、本当に彼に向けて良いのだろうか。
「俺の《真名》を渡せば、信じてくれるか?」
「え」
「しかし、俺の名前は皆が知っているんだが……その場合、どうしたら良い?」
「……そうまでして、俺が欲しいの?」
「世界のすべてを引き換えにしても」
心臓が、大きく高鳴った。身体中がじわりと熱を帯びる。
彼の尊厳を踏み躙っておいて、彼を得ても良いのだろうか。見上げた先のルシウスは、気恥ずかしいのか目許をほんのり朱に染めて、ふいっと視線をそらした。
「家族や仲間に裏切者と罵られることになっても?」
「ああ」
「罪人と謗りを受けることになっても?」
「おまえが共にいてくれるなら」
清廉潔白な聖騎士はもはやどこにもない。目の前にいるのは、ただ一人を求めて狂った哀れな魔族だ。
この結果は正しかったのだろうかという疑問が脳裏に過る。それ以上に嬉しくて嬉しくて、涙が溢れそうになった。
「《ダリア》」
「ダリア?」
「俺の、名前。俺の全部をあげるから……聖騎士様の全部をちょうだい」
故に、答えはひとつだ。たとえこの先いかなる罰が下ろうとも、たとえこの身が泡となろうとも、彼を諦めることだけは有り得ない。
ルシウスは安堵にも似た笑みを浮かべて、アスモデウスを抱き締めた。
「ああ、やっと言わせてやれた」
◇
「……今、なんて言った?」
リツの墓標の前で抱き合ってキスをして、さすがにそれ以上ってなるとまずいから、俺の部屋まで一気に移動して、いざ事を進めようとしたとき、彼は言った。
それはとても奇妙で、信じがたくて、俺が聞き間違えたのかな? いっそ聞き間違えであって欲しいという願望を込めて、問い返したほどに。
残念ながら、聞き間違えでもなんでもなかったんだけど!
「だから、俺にやらせてくれと言った」
聖騎士様は俺の手首をしっかり掴んで離さない。掴まれている手で持っているのは、肛門性交に必要な潤滑剤。ただの排泄器官を解すだけじゃなくて、中をきれいにする効能がある優れもの。
自分に使うのも他人に使うのも慣れている俺が、以前のようにさくっと終わらせてしまおうとしたら、聖騎士様が「やりたい」と言い出して。
これを? 《聖騎士様》が? 俺の孔に? 入れる?
「────やだ!」
想像した瞬間、全身がぶわっと熱を持った。悲しいかな、上半身は既に準備万端な為、羞恥でほんのり赤くなった肌を隠す術がない。
俺の反応を見て、聖騎士様はちょっと不思議そうに目を丸くしたけれど、すぐに人を食ったような笑みを浮かべる。
「生憎だが、折れてやるつもりはないからな。前回、散々目の前で煽られた俺の身になってみろ」
「煽っ……いやでも、経験があんまりない聖騎士様に任せられる訳がないっていうか!」
瞬間、聖騎士様がきゅっと眉間に皺を寄せる。「まあ、それは否定しないが」と呟いた声音はどこか苛立ちが混じっているように聞こえた。
「……その辺りも追々話さないとな」
「え?」
「ともかく、俺がやる」
「い、いやいやいや! どこに指突っ込むか分かってる!? 孔だよ!? 男の尻だからね!?」
「言われなくても分かってる。あまり言われると萎えそうになるから黙ってくれ」
萎えそうと言いながらも、聖騎士様の立派なナニはしっかり芯を持っていて、俺の太股に押し付けてくる。その熱さと固さにうっかり声が溢れてしまって、情けないやら恥ずかしいやらで、まともな思考なんてできない。
「諦めろ」
「……我にかえって、止めたりしない?」
「その程度で止めると思われてるのは心外だな」
目の縁に唇が落ちる。駄々っ子を宥めるようでもあり、けれど聖騎士様の青い目は痛いほどに鋭い。俺を、求めてる目。
俺が嫌がったところで、聖騎士様が折れてくれる様子はない。下手をして、別の液体──精液とか唾液に気付かれたらどうしよう──で解されるより、潤滑剤を諦めて渡した方が精神衛生的にマシだから、と俺は渋々、本当に渋々腹を括った。
「……すごいな。前も言ったかもしれないが、この小さな孔に、俺のが入るのか」
「ま、まじまじと見ないでくんない……!?」
「何故今さら照れる?」
「そんなの、俺だってわかんない……ッ」
俺の顔を見せたくないし、聖騎士様の顔を見る勇気もなく、両腕で視界を覆い隠す。
弾力性に富んだ潤滑剤が、俺のナカに入ってきた。人肌より少し高い温度で溶けるそれを指に絡ませて、聖騎士様が俺の孔をぐちゅぐちゅと解していく。
「痛くはないのか?」
「な、ない、けど……!」
初めて他人の尻の孔に指を突っ込んだからか、聖騎士様の指からは気遣いが伝わってきた。痛みはない。ない、けど。視界を塞いだ結果、粘性のある液体の音とか、俺のナカで蠢く聖騎士様の指がよく分かってしまって、動揺がすごい。
「すごい締め付けてくるな」
「んッ……」
「指を増やして良いんだな」
「か、解説、しなくて、良いから……ッ!」
羞恥のあまりに泣きそうになってきたんだけど! なにこれ、言葉責め!?
「……あの夜に比べて、少し様子が違わないか?」
「お、俺だって訳分かんないしっ、こんな予定じゃ……!」
もっも冷静でいられると思ってた。何もかも聖騎士様の所為だ。世界の敵を相手に気遣ったり、優しく触れたりするから、俺はいつの間にか聖騎士様に別の感情を抱くようになってしまった。この人の隣にいたいと、思うようになってしまった。
「こんな風になったの、聖騎士様の所為だから……!」
ひゅっと小さく息を飲む音。何が、と確かめるよりも先に、貪るように口付けられた。熱くて、気持ちが良くて、もっと欲しくて、どうにかなってしまいそうだった。
「……早く、おまえのナカに入りたい」
熱を孕んだ息が、深く長く吐かれる。足に押し付けられている聖騎士様のそれは先程よりも固さを増しているような気がした。そのくせ、俺に触れる手はやっぱり優しくて。
「きて、ルシウス」
「っ、おまえは、こういう時ばかり……!」
「ふふ」
ルシウスの首に腕を回す。一分の隙間も作らないように。やっと手に入れた温もりを、俺はもうきっと手放せない。
他のことを考えられたのはそこまでだった。後はもう、押し寄せる快楽の波に揺られて溺れるだけ。
◇
人間と魔族の違いは、何なのだろう。目に見える違いはいくらでも思い付くけれど、魔族の精神も人間の精神もさほど違わないのでないか、と思うようになったのはいつの頃からだったか。
初めは、愕然とした。魔族は世界の敵だ。人間をただ徒に踏み躙る種族と人間が同じである筈がない、と。
けれど、旅をするうちに、人間とて美しいだけの存在ではないと見せ付けられた。人間が善性でのみ生きる生物ではないと、理解しているつもりだったが、やはりつもりでしかなかったのだろう。悪性を露わにする人間を見る度に、魔族との違いはますます分からなくなっていった。
その最たる理由は、この男────アスモデウスにある。アスモデウスは、人間を無力だと嘲笑い、無邪気笑いながら傷付けられるような男だ。
けれど、無邪気に笑いながら、人間の子供を救いもした。ルシウスには出来なかったことを、呆気なくやってのけた。
アスモデウスと言葉を重ねるうちに、人間と魔族の違いが分からなくなり────いつの間にか目を離せなくなっていた。
「……ルシウス?」
潤んだ薔薇色の瞳が、ぱしぱしと不思議そうに瞬いた。ほんのりと汗ばむ肌のあちこちには赤い痕が散っていて、自分の欲深さに苦笑が滲んだ。清廉潔白を求められ、剣と神に身を捧げた聖騎士が聞いて呆れる。
だが、ルシウスはもはや聖騎士などではない。きっかけこそルシウスの意志は関与しなかったが、アスモデウスの隣を選んだのはルシウス自身だ。
「……おまえは、なんというか毒のような男だな」
「なぁに、それ」
「ずっと抱き締めたかったし、口付けたかった」
「せっかく名前あげたんだから、そこは名前で呼んでよ」
むう、と不満そうに唇を尖らせるアスモデウスに、胸の辺りに熱が灯った。
この熱の名は、何と言うのだろう。世間一般の情と照らし合わせても、ルシウスに宿った感情は、ずいぶんと激しさを孕んでいて、自分の世界とアスモデウスを天秤に掛けて、後者を選ぶような激情をそうと言って良いのか分からない。
「────ダリア。やっとおまえを手に入れた」
これは、王子様とお姫様の物語ではない。
これは、魔族を愛した騎士と、騎士を愛した魔族の物語。
木の葉の囁きも、鳥の囀ずりも、意識を奪うにはまるで足りない。アスモデウスはベリト、否、ルシウスを。ルシウスはアスモデウスだけを見ていた。
「仮におまえを殺して、俺は人間に戻れるのか」
「まさか。俺が、そんな中途半端な術をかけるとでも?」
アスモデウスがせせら笑う。本来の魔族とは在り方が少し異なる生態と化したが、その肉体はもはや人間のそれではない。一度変じてしまった以上、ルシウスが人間に戻ることはないのだ。
その事実を知った彼は、己を詰るだろうか、涙を流すだろうか。だが、予想に反して「そうか」と呆気ない反応だった。
「もう一つだ。何故、俺の記憶はこんなにも容易く戻った? おまえほどの魔族ならば、俺の記憶が一生戻らないようにできたのではないか」
痛いところを突く、とアスモデウスは内心で嘆息する。
ルシウスの言うように、彼の記憶を固く封じることはできた。彼が思い出さない限り、アスモデウスの傍らにいてくれる。奥底に押し込んで、封じ込めて、いっそ消してしまうのも良いかもしれないとまで思って、できなかったのだ。
「……それじゃあ面白くないから」
ルシウスが、欲しかった。欲しくて欲しくてどうしようもなかった。彼を手に入れる為ならば、どんな禁忌を犯しても構わないと、世界を壊したって良いと思ったほどに。
けれど、ルシウスがアスモデウスを選ぶことはないと分かっていたから、彼の生を陵辱することを選んだ。
禁忌を犯してまで彼を手に入れようとしたくせに、ルシウスの記憶の蓋を簡単に開けられるようにしたのは、何のことはない、思い出してほしかったのだ。
アスモデウスの罪を思い出したが最後、彼の心がもう二度と得られなくなるとしても。
結末が破滅でしかなかったとしても、ルシウスの瞳に写りたかったから。
「……質問はおしまい? なら、次は君が願いを口にする番だよ。何が良い? 俺を八つ裂きにしたい? お父様の馘が欲しい?」
欲しい、欲しくない。そばにいてほしい、そばにいてほしくない。気が狂いそうなほどの矛盾を重ねて、果てに辿り着いた結末がこれだ。
愚かしいと言うより他にないけれど、それでも彼と出逢ったことが間違いだったとは思いたくなかった。
「っ、おまえは、どうしてそう……!」
苛立ちを隠そうともせず、ルシウスがくしゃりと顔を歪めた。
そして、伸ばされる腕。剣を振るっていた腕は、アスモデウスのそれよりもずっと逞しい。殴られるのか、あっさりと殺されてしまうのか。
結果はどれも違っていた。何が起きたのかを理解するまで、数秒を要した。
「な、んで」
身体は、ルシウスの腕の中にすっぽりと収まっていた。抜け出そうと身動ぎをするも、許さないとばかりにルシウスの腕に力がこもった。
「身体が勝手に動いた。こんな予定では、なかったんだが」
「じゃ、じゃあ離して……」
「断る。おまえが泣きそうな顔をするのが悪い」
「は、」
「あのときも、泣きそうな顔をしていた。抱きしめたかったのに、おまえは人の話を聞きやしない」
あのときとはいつのことだ。泣きそうな顔をした覚えは今もそして振り返ってみても、ない。
どうして、抱き締めたいなどと血迷ったことを思ったのか。相手は、彼の誇りや生を蹂躙した世界の敵だと言うのに。
「おまえが、俺たちの旅路にちょっかいをかけていたことについては、腹は立っていない」
「な、なんで……」
「人々の貧困の一因は魔族にもあるのかもしれないが、多くは国が何もしなかったことに因るものだ。俺が何も知らなかったことも否定はできない。俺の前で、悪意をもって人間を傷付けたことはなかっただろう?」
ルシウスが、アスモデウスの身体を離した。けれど、逃がすつもりはないのか、両肩に手を置かれたままだ。
深い青の瞳が、じっと見据えてくる。押し隠した何もかもを暴かれそうな心地にかられ、アスモデウスは顔を伏せる。
「俺を、魔族にした本当の理由を教えてくれ」
「だ、だから、」
「アスモデウス」
窘めるような声だった。反射的に、肩が跳ねる。結末が変わる訳でなし、わざわざ明かす理由などない。じくじくと痛む傷口に、自ら爪を立てるようなものだ。アスモデウスにとっても、きっとルシウスにとっても意味がない。むしろ、苦痛ばかり重ねることになる。
「っ、聖騎士様はニンゲンで、聖騎士だから、魔族の俺のそばにいてくれないから……」
分かっているのに、口から零れ落ちていた。目頭が熱い。頬を濡らす感触を意識から追い出した。
だって、涙を流す資格などない。自分がしたことは、ルシウスという人間の尊厳を無視した行いだ。手に入れたいだけならば、いくらでもあった。わざわざ禁忌を犯す理由などない。
「────誰にも、奪われたくなかった」
分かっていたのに、止められなかった。禁忌を犯してまで、彼の心を踏み躙ってまで、魔族の身体へと変成させたのは、誰にも奪われないようにする為だ。
彼が魔族になれば、あの勇者と添い遂げる未来は潰えるだろう。たとえ殺されても、ルシウスがこの先誰かに奪われる可能性は限りなく低い。
自分のモノにならない彼はいらない。自分のモノにならないのなら、せめて誰のモノにもならないで。
「だったら、俺の記憶を永劫封じておけば良かったのに、おまえは妙なところで甘いな」
彼の何もかもを奪いたいと、自分のモノにしてしまいたいと思いながら、ルシウスという人間がこの世から消えてしまうことが堪えられなかった。
この激情は常に矛盾と言う名の毒を孕んでいる。臓腑を爛れさせ、正しい判断がつかなくなる。そして、毒に冒された末路がこれだ。
「ここに向かう道すがら、ずっと考えていた。俺が許せるおまえであって欲しい、と」
「許せる、って」
「腹は立っている。少しは俺の話を聞いて欲しがった。そうしたら、こんな回り道をすることもなかったんだ」
「まっ、まって、意味が……」
堪らず、伏せていた顔を持ち上げた。ルシウスの言わんとしていることが分からない。視界に飛び込んできた彼の表情には、憎悪や憤怒の色がひとつもない。仕方がないな、と苦笑が滲んでいた。
「おまえの真名を知れば、俺のモノにできるのか?」
木々の囁きも鳥の囀ずりも遠く、世界から音が消えた。時が止まったかのような錯覚を抱いた。
呆然とするアスモデウスに、ルシウスは「それで相子だろう」と素知らぬ顔で言う。
「欲しかったのは、俺も同じだ。でなければ、聖騎士の身で魔族のおまえと姦淫などするものか」
「欲しかった……? 聖騎士様が、俺を?」
「そうだと言っている。おまえのその言葉が聞けていたなら、聖騎士の称号を返上していただろう」
「は!?」
一瞬にして血の気が失せた。血の滲むような努力をして得た地位を返上するとか言わなかったか。あまりの衝撃に愕然とするアスモデウスとは対照的に、ルシウスは涼しい顔。
「力なき人々を守るためだけならば、聖騎士という地位は不要だ。むしろ、視野を狭めることを思い知った」
「だ、だからって、俺がしたことは」
「そうだな。なら、俺を魔族にした責任を取って、俺のモノになってくれ」
意地の悪い言い方だが、責任を取らせるつもりなどないことくらい、彼の顔を見ていれば分かる。悪戯が成功した子供のような顔で笑っているのだから。
「────やだ」
驚きの余りに引っ込んだ涙が、また溢れてくる。きっと許してくれないと思っていた。だから、ルシウスが自分と同じように求めてくれていたことは嬉しい。
けれど、素直に受け入れるな、と囁く声がまとわりついて離れない。
「勇者様は……?」
清くあれ正しくあれと生きてきた彼だからこそ、生半可な気持ちで魔族に手を出すとは思っていない。もしかしたら、と淡い夢想を一度も抱かなかったと言ったら嘘になる。
けれど、何も告げず何も問わなかったのは、ひとえに勇者の存在があったからだ。
勇者は、ルシウスに恋をした。自らの生まれ故郷とは何ら関わりのない世界の為に戦いを強いられた勇者が、ただひとつ望んだものがルシウスの愛。果たして、ルシウスが健気な彼の望みを無視できるだろうか。すまない、と断れるだろうか。
「おまえ、まさか見ていたのか?」
「……たまたまだよ。覗き見するつもりはなかったし」
「トモヤ殿の告白は断っている。彼に負い目があるのは事実だが、彼を選ぶつもりはない」
ルシウスの目がすっと細められた。どこか不満げな様子に、アスモデウスはそわそわと落ち着かなくなる。彼がそんな顔をする理由が分からない。
「おまえこそ、かつての勇者に並々ならぬ感情を向けているくせに」
「え?」
「今も忘れられないくらい大事なのだろう。あの日、様子が違っていたのはそれが原因じゃないのか?」
ルシウスの言うように、かつての勇者────律と言う名の人間のことは、今でも忘れられないでいる。アスモデウスに限った話ではなく、《魔の王》や彼と関わった魔族すべてに言えることだ。
だが、この感情はルシウスに向ける感情とは別物だと言うことくらい自覚している。
律に抱いた感情は、ある種の憧憬だ。彼の鮮やかで眩い在り方に心惹かれはしたが、彼の意志をねじ曲げてでも欲したことは一度としてない。
「あ、あれは……聖騎士様と勇者様のやり取りを見ちゃったからで」
「友人とやらと、何もなかったのか?」
「あるわけないでしょ! 俺だって……」
その先を告げる勇気は、まだない。
ルシウスに抱いている感情は、さながら刃だ。苦痛をもたらすと分かっていながら、刃を握り締めたまま手放せない。欲しくて欲しくて、あらゆるすべてを引き換えにしても良いとさえ思うのに、自分のものにならないなら彼を壊して良いとさえ思ってしまう、おぞましい矛盾を孕む。
この激情が、世間一般の愛とやらなのか。こんなにも醜悪で罪深い感情がそれだとは思えず、本当に彼に向けて良いのだろうか。
「俺の《真名》を渡せば、信じてくれるか?」
「え」
「しかし、俺の名前は皆が知っているんだが……その場合、どうしたら良い?」
「……そうまでして、俺が欲しいの?」
「世界のすべてを引き換えにしても」
心臓が、大きく高鳴った。身体中がじわりと熱を帯びる。
彼の尊厳を踏み躙っておいて、彼を得ても良いのだろうか。見上げた先のルシウスは、気恥ずかしいのか目許をほんのり朱に染めて、ふいっと視線をそらした。
「家族や仲間に裏切者と罵られることになっても?」
「ああ」
「罪人と謗りを受けることになっても?」
「おまえが共にいてくれるなら」
清廉潔白な聖騎士はもはやどこにもない。目の前にいるのは、ただ一人を求めて狂った哀れな魔族だ。
この結果は正しかったのだろうかという疑問が脳裏に過る。それ以上に嬉しくて嬉しくて、涙が溢れそうになった。
「《ダリア》」
「ダリア?」
「俺の、名前。俺の全部をあげるから……聖騎士様の全部をちょうだい」
故に、答えはひとつだ。たとえこの先いかなる罰が下ろうとも、たとえこの身が泡となろうとも、彼を諦めることだけは有り得ない。
ルシウスは安堵にも似た笑みを浮かべて、アスモデウスを抱き締めた。
「ああ、やっと言わせてやれた」
◇
「……今、なんて言った?」
リツの墓標の前で抱き合ってキスをして、さすがにそれ以上ってなるとまずいから、俺の部屋まで一気に移動して、いざ事を進めようとしたとき、彼は言った。
それはとても奇妙で、信じがたくて、俺が聞き間違えたのかな? いっそ聞き間違えであって欲しいという願望を込めて、問い返したほどに。
残念ながら、聞き間違えでもなんでもなかったんだけど!
「だから、俺にやらせてくれと言った」
聖騎士様は俺の手首をしっかり掴んで離さない。掴まれている手で持っているのは、肛門性交に必要な潤滑剤。ただの排泄器官を解すだけじゃなくて、中をきれいにする効能がある優れもの。
自分に使うのも他人に使うのも慣れている俺が、以前のようにさくっと終わらせてしまおうとしたら、聖騎士様が「やりたい」と言い出して。
これを? 《聖騎士様》が? 俺の孔に? 入れる?
「────やだ!」
想像した瞬間、全身がぶわっと熱を持った。悲しいかな、上半身は既に準備万端な為、羞恥でほんのり赤くなった肌を隠す術がない。
俺の反応を見て、聖騎士様はちょっと不思議そうに目を丸くしたけれど、すぐに人を食ったような笑みを浮かべる。
「生憎だが、折れてやるつもりはないからな。前回、散々目の前で煽られた俺の身になってみろ」
「煽っ……いやでも、経験があんまりない聖騎士様に任せられる訳がないっていうか!」
瞬間、聖騎士様がきゅっと眉間に皺を寄せる。「まあ、それは否定しないが」と呟いた声音はどこか苛立ちが混じっているように聞こえた。
「……その辺りも追々話さないとな」
「え?」
「ともかく、俺がやる」
「い、いやいやいや! どこに指突っ込むか分かってる!? 孔だよ!? 男の尻だからね!?」
「言われなくても分かってる。あまり言われると萎えそうになるから黙ってくれ」
萎えそうと言いながらも、聖騎士様の立派なナニはしっかり芯を持っていて、俺の太股に押し付けてくる。その熱さと固さにうっかり声が溢れてしまって、情けないやら恥ずかしいやらで、まともな思考なんてできない。
「諦めろ」
「……我にかえって、止めたりしない?」
「その程度で止めると思われてるのは心外だな」
目の縁に唇が落ちる。駄々っ子を宥めるようでもあり、けれど聖騎士様の青い目は痛いほどに鋭い。俺を、求めてる目。
俺が嫌がったところで、聖騎士様が折れてくれる様子はない。下手をして、別の液体──精液とか唾液に気付かれたらどうしよう──で解されるより、潤滑剤を諦めて渡した方が精神衛生的にマシだから、と俺は渋々、本当に渋々腹を括った。
「……すごいな。前も言ったかもしれないが、この小さな孔に、俺のが入るのか」
「ま、まじまじと見ないでくんない……!?」
「何故今さら照れる?」
「そんなの、俺だってわかんない……ッ」
俺の顔を見せたくないし、聖騎士様の顔を見る勇気もなく、両腕で視界を覆い隠す。
弾力性に富んだ潤滑剤が、俺のナカに入ってきた。人肌より少し高い温度で溶けるそれを指に絡ませて、聖騎士様が俺の孔をぐちゅぐちゅと解していく。
「痛くはないのか?」
「な、ない、けど……!」
初めて他人の尻の孔に指を突っ込んだからか、聖騎士様の指からは気遣いが伝わってきた。痛みはない。ない、けど。視界を塞いだ結果、粘性のある液体の音とか、俺のナカで蠢く聖騎士様の指がよく分かってしまって、動揺がすごい。
「すごい締め付けてくるな」
「んッ……」
「指を増やして良いんだな」
「か、解説、しなくて、良いから……ッ!」
羞恥のあまりに泣きそうになってきたんだけど! なにこれ、言葉責め!?
「……あの夜に比べて、少し様子が違わないか?」
「お、俺だって訳分かんないしっ、こんな予定じゃ……!」
もっも冷静でいられると思ってた。何もかも聖騎士様の所為だ。世界の敵を相手に気遣ったり、優しく触れたりするから、俺はいつの間にか聖騎士様に別の感情を抱くようになってしまった。この人の隣にいたいと、思うようになってしまった。
「こんな風になったの、聖騎士様の所為だから……!」
ひゅっと小さく息を飲む音。何が、と確かめるよりも先に、貪るように口付けられた。熱くて、気持ちが良くて、もっと欲しくて、どうにかなってしまいそうだった。
「……早く、おまえのナカに入りたい」
熱を孕んだ息が、深く長く吐かれる。足に押し付けられている聖騎士様のそれは先程よりも固さを増しているような気がした。そのくせ、俺に触れる手はやっぱり優しくて。
「きて、ルシウス」
「っ、おまえは、こういう時ばかり……!」
「ふふ」
ルシウスの首に腕を回す。一分の隙間も作らないように。やっと手に入れた温もりを、俺はもうきっと手放せない。
他のことを考えられたのはそこまでだった。後はもう、押し寄せる快楽の波に揺られて溺れるだけ。
◇
人間と魔族の違いは、何なのだろう。目に見える違いはいくらでも思い付くけれど、魔族の精神も人間の精神もさほど違わないのでないか、と思うようになったのはいつの頃からだったか。
初めは、愕然とした。魔族は世界の敵だ。人間をただ徒に踏み躙る種族と人間が同じである筈がない、と。
けれど、旅をするうちに、人間とて美しいだけの存在ではないと見せ付けられた。人間が善性でのみ生きる生物ではないと、理解しているつもりだったが、やはりつもりでしかなかったのだろう。悪性を露わにする人間を見る度に、魔族との違いはますます分からなくなっていった。
その最たる理由は、この男────アスモデウスにある。アスモデウスは、人間を無力だと嘲笑い、無邪気笑いながら傷付けられるような男だ。
けれど、無邪気に笑いながら、人間の子供を救いもした。ルシウスには出来なかったことを、呆気なくやってのけた。
アスモデウスと言葉を重ねるうちに、人間と魔族の違いが分からなくなり────いつの間にか目を離せなくなっていた。
「……ルシウス?」
潤んだ薔薇色の瞳が、ぱしぱしと不思議そうに瞬いた。ほんのりと汗ばむ肌のあちこちには赤い痕が散っていて、自分の欲深さに苦笑が滲んだ。清廉潔白を求められ、剣と神に身を捧げた聖騎士が聞いて呆れる。
だが、ルシウスはもはや聖騎士などではない。きっかけこそルシウスの意志は関与しなかったが、アスモデウスの隣を選んだのはルシウス自身だ。
「……おまえは、なんというか毒のような男だな」
「なぁに、それ」
「ずっと抱き締めたかったし、口付けたかった」
「せっかく名前あげたんだから、そこは名前で呼んでよ」
むう、と不満そうに唇を尖らせるアスモデウスに、胸の辺りに熱が灯った。
この熱の名は、何と言うのだろう。世間一般の情と照らし合わせても、ルシウスに宿った感情は、ずいぶんと激しさを孕んでいて、自分の世界とアスモデウスを天秤に掛けて、後者を選ぶような激情をそうと言って良いのか分からない。
「────ダリア。やっとおまえを手に入れた」
これは、王子様とお姫様の物語ではない。
これは、魔族を愛した騎士と、騎士を愛した魔族の物語。
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