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「ローズ。やっぱ俺は君じゃなきゃダメだ。婚約破棄は破棄だ」
結婚破棄をしてきた男が一時間も経たずに再び私の目の前に現れ、身勝手なことを言ってくるのだ。
「もうすでに父には婚約破棄を言い渡されたことも報告済みなんですけど」
「それでも構わないんだ。俺は迷走してしまっただけなんだ。でもマラリアに言われて気が付いた。俺はローズのことが大事なんだ」
折角のお茶会が、とんだ茶番劇になってしまっているではないか。
見ている周りの視線も痛いし、ドドンガに対する視線は恐い。
「まずはあなたのお父様とお話をするべきかと思いますが」
ドドンガの背後から現れ、ドドンガの肩を強く叩くのは彼の父、ポッカ男爵だ。
「お前と言う奴は……なんてことをしてくれたんだ……」
「父上! 痛いですよ! 急に背後から叩くなんて」
「私の心の方が痛い、それ以上にローズお嬢様の方が心を痛めておるわ! ドドンガよ、何故勝手に婚約破棄をしたのだ? これほど完璧で綺麗なローズお嬢様の何が不満だというのだ!」
「だから今こうやって婚約破棄を破棄してもらうよう頼んでいるんじゃないですか」
「馬鹿息子が……」
お茶会という状況じゃなくなった。完全に修羅場だ。
全員がこっちを向いて静観している。
「ローズ様、さっきも言ったけどごめんなさい……私のせいですわ」
「マラリアさん!?」
マラリアさんが目の前に現れて、ドドンガの表情が一気に青ざめていくように見えた。
「これ、ドドンガ様に返すの忘れてました。ごめんなさいねドドンガ様。私はローズ様を泣かせるような人とは結婚できませんので、何故か『ローズ』と彫刻されている指輪もお返し致します」
「わー、こんなところで返すな!」
マラリアさんは、ポッカ男爵も見ている前で指輪をドドンガに渡した。
勿論、わざとだろう……。
結婚破棄をしてきた男が一時間も経たずに再び私の目の前に現れ、身勝手なことを言ってくるのだ。
「もうすでに父には婚約破棄を言い渡されたことも報告済みなんですけど」
「それでも構わないんだ。俺は迷走してしまっただけなんだ。でもマラリアに言われて気が付いた。俺はローズのことが大事なんだ」
折角のお茶会が、とんだ茶番劇になってしまっているではないか。
見ている周りの視線も痛いし、ドドンガに対する視線は恐い。
「まずはあなたのお父様とお話をするべきかと思いますが」
ドドンガの背後から現れ、ドドンガの肩を強く叩くのは彼の父、ポッカ男爵だ。
「お前と言う奴は……なんてことをしてくれたんだ……」
「父上! 痛いですよ! 急に背後から叩くなんて」
「私の心の方が痛い、それ以上にローズお嬢様の方が心を痛めておるわ! ドドンガよ、何故勝手に婚約破棄をしたのだ? これほど完璧で綺麗なローズお嬢様の何が不満だというのだ!」
「だから今こうやって婚約破棄を破棄してもらうよう頼んでいるんじゃないですか」
「馬鹿息子が……」
お茶会という状況じゃなくなった。完全に修羅場だ。
全員がこっちを向いて静観している。
「ローズ様、さっきも言ったけどごめんなさい……私のせいですわ」
「マラリアさん!?」
マラリアさんが目の前に現れて、ドドンガの表情が一気に青ざめていくように見えた。
「これ、ドドンガ様に返すの忘れてました。ごめんなさいねドドンガ様。私はローズ様を泣かせるような人とは結婚できませんので、何故か『ローズ』と彫刻されている指輪もお返し致します」
「わー、こんなところで返すな!」
マラリアさんは、ポッカ男爵も見ている前で指輪をドドンガに渡した。
勿論、わざとだろう……。
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