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15 順序のために

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 フェブラーリ殿下が持ち合わせていた解毒剤をこっそりと飲み、マーチル殿下は助かったようです。
 それでも少々顔色が悪くなっています。大丈夫でしょうか。

「俺を敵に回したらどうなるか思い知らせてやろう。この店を調べる。まずは客の中で毒を喰らったものがいないか確認からか」

 一体何故毒が入っていたのでしょうか。
 それに先ほど運んできた人は言っていましたね。新人の新メニューだと……。更にこの記憶がある匂い。

「あ!!」
「どうしたジュリーン?」
 思わず声に出してしまいました。
 迷わずに厨房の方へ向かいました。


 ♢

「やはりあなたでしたか!! ザザンガさん!!」
「げ! ジュ……ジュリーン。何故お前までここに!?」

 あのスープは以前にザザンガさんのオリジナルメニューで自信満々に用意してもらったことがあるものでした。
 ザザンガさんは料理のセンスが抜群でしたからね……。

「ちょっと君君……勝手に入ってくるのは困るよ」
「この子は今日入った新人でね。絶対の自信があるメニューがあると言い張ってたから作ってもらって我々も食べてみた。文句もない満点で早速裏メニューで提供しているんだ。邪魔はしないでくれ」

「そのスープに毒が入っていたのですよ!」
「「「「「は!?」」」」」

 ザザンガさんはすでに体が固まったように動いていません。
 確認のためでしょうか。厨房にいたコックさんが慌てて客席の方へ飛び出ていきます。


 その隙にザザンガさんは逃げ出そうとしましたが、駆けつけたフェブラーリ様が難なく捕まえました。

「くそう……絶対にうまくいくと思ったのに……」
「貴様、私の弟を殺害しようとした罪は処刑に値するぞ!」

「違う! 殺そうとはしていない。ただ永久に目が覚めなくなる程度の毒に調整した」
「同じことだ」

「おいジュリーン! お前も何か言ってくれ!」
「何故殺そうとしたのですか?」
「いや、そういうことじゃなくて!」

 必死にもがこうとしますがフェブラーリ様の力の前には手も足も出せないようです。

 やがて、コックさんが顔を真っ青にしながら戻ってきました。

「おい新人、どういうことか説明しろ。他のメニューにも毒を盛ったのか!?」
「違う! 俺は婚約の順番を守れないような奴らを懲らしめようとしただけで──」

「そうか! 俺に毒を盛ったのは貴様だったのか。言い訳は王宮の取り調べ室でゆっくり聞こう」

 私はすぐにこっそりとついてきてもらった護衛達に事情を簡単に説明しました。
 早速店に入り、ザザンガさんを拘束して王宮へ連れていきました。

 仲が良くなったマーチル殿下を殺そうとしたことは当然許せませんし、王族に危害を加えた罪で当然死刑になるでしょう。
 それに加え、デートを台無しにされて私は相当苛立っています。

 とはいえ、デートがあったからこそ、マーチル殿下を救えたのも事実です。
 もしもフェブラーリ様が一緒にいなかったらと思うと恐ろしくなりますね。
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