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13 デート

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「お嬢様、フェブラーリ殿下がお見えです」
「わかりました。すぐ向かいます」

 フェブラーリ様との初デートです。
 この日を楽しみにしていたので、昨晩はほとんど眠れていません。

「お待たせして申し訳ありません」
「なんの問題もない。それよりもこの日を楽しみにしていた。ジュリーンよ、今日はこんな格好だがよろしく頼む」

 フェブラーリ様は変装をしています。
 私も今日は、普段着ないような私服でお出かけです。

 流石に王都内を王子がフラフラと歩いたら騒ぎになってしまいますからね。
 私もフェブラーリ様の服装に合わせています。

「あの……何度も確認してしまいますが、本当に護衛なしで大丈夫ですか?」

 民間人になりきって移動しているのですが、護衛なしで歩くという習慣が私には無いのです。
 ましてや王子に護衛がいない状態など心配で仕方ありません。

「大丈夫だ。むしろ私が護衛を援護するようなこともあったくらいだ。何かあっても私がジュリーンを守る」
「ありがとうございます」

 にこりと笑った顔を見て、私も赤らめてしまいます。
 流石に『刃物も通さない肉体を持っている』というわけではないとは思いますが、『護身術、格闘術、剣術は王都で一番強いぞ』とマーチル殿下が仰っていましたので、最低でもフェブラーリ様自身の自己防衛は大丈夫でしょうか。
 それでも念のために、こっそりと尾行という形で我が家からは護衛をつけています。
 これは殿下には秘密です。



 さて、王都を護衛なしで異性と二人きりというハードルの高い行動をしているわけですが、思ったとおり私の心臓が大変なことになっています。

「緊張しているのか?」
「はい……男女二人きり、更に相手がフェブラーリ様だと考えてしまうと余計に……」

「そうか、実は私もだ。ジュリーンとこうして歩いているだけで走った後のような心拍数になっている。触ってみるかい?」
 悪戯に私の手を誘導しようとしてきます。

「め……滅相もございません! 安易に触れては私の心臓が耐えられませんので……」
「恥ずかしがる顔も可愛い」

 この後食事の予定ですが、果たしてしっかり食べられるか不安になってきました。

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