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【ラファエル視点】皇帝陛下へ昇格
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【前書き】
久々の更新になります。
展開の都合上、以前投稿していた直近2話は消去し、展開を変更しています。
申し訳ありません。
完結まで執筆済みのため、今後は来週以降毎週水曜日18:30固定で更新予定です。(予約済です)
----------
「父上よ、どうか安らかにお眠りください」
父上は病気で亡くなった。
私は表向きには悲しんでいるが、内心喜んでいる。
父上はいつも私に対して無駄に怒鳴ることが多く、必要もなさそうな教育まで押し付けてきていたのだ。
マーヤの一件でもそうだった。
マーヤに無理強いで王族の嗜みを教育しようとしていた。
だが、そんなものは私の政策には無用。
最低限のマナーを持って接していればそれでよい。
もう少し楽に考えるべきなのだ。
「マーヤよ、父上は亡くなった。よって、遺言に従い今日から私が皇王となる」
「つまり、私は王妃ってことですか?」
「そういうことだ。今後忙しくなるかもしれんぞ」
「あぁ、これが夢にまでみた王妃というポジションなのね……」
マーヤの夢を叶えることができて、父上の天国で御喜びになっていることだろう。
「はっきり申してよろしいですか? ラファエル様には大変失礼な発言になってしまいますけれど」
「かまわんよ。今は二人きりだし」
「不謹慎ですけど、陛下が亡くなって地獄から解放された気分なんです」
「はっはっは……、マーヤは正直なのだな。黙っていたが実は私もなのだよ」
「まぁ! 親子なのにひどい人ですねー」
「お互い様だ」
私とマーヤは、父上の死で笑い合ってしまった。
だが王族貴族界では、よくあることだと思っている。
ようやく私の政権が開始できると思うとワクワクが止まらないのだ。
しかも、私の側近には超一流の魔導士マーヤまでいてくれる。
無敵なのだ。
「ところで、ラファエル様に申し訳ない報告がありますの」
「なんだ?」
「実は……、ここ最近魔法が発動できなくなってしまって……」
「ほは⁉︎ なんと言った?」
聞き間違えだろうか。
あまりにも信じられない発言を聞き、飲んでいた飲み物を吹き出してしまった。
「魔法が出せないんです……。どうしましょう」
「私は魔法はあまり詳しくない……。いずれ回復できるものなのか?」
「ど、どうでしょうか。こんなこと初めてなので。まぁいずれは……」
魔法が使えないと色々と困る。
せっかく私が皇王になれたというのに、いきなり問題が起きてしまった。
だが、焦ることもないか。
いずれ回復できるような言い方だし、それまでの間魔法が必要なら別の魔導士を雇っておけばよいのだから。
「マーヤよ、気にすることもない。その程度ならば、新皇王にとっては何の問題もない!」
「頼もしいですわぁー!」
よし、これでまた私の株が大幅に上がっただろう。
そう思っていた翌日に、早速問題が起きてしまった。
「皇王陛下! 就任早々ですが、大至急問題解決していただきたい件が……」
「ほう、大臣が私に申すようになったか。私は頼られる立場だからな。私にかかればなんでも解決して見せよう。申してみよ」
「兼ねて問題になってきていた水不足問題が深刻なものになってきています。今のうちにマーヤ王妃の魔法で水の恵みをお願いしたい」
「へ⁉︎ ママママーヤの魔法⁉︎」
なんとか冷や汗だけで止まるように頑張った。
本当は全身ガクブル状態になってしまいそうなくらい緊張していたのだから。
マーヤの魔法が使えなくなったなんて、誰にも言えるわけがない。
そんなことがバレてしまえば、すぐに結婚すら帳消しにするようにデモになりかねないのだ。
「実はマーヤは体調が悪くてな。緊急を要するのなら、私が自腹で魔導士を雇おうではないか」
「陛下自らですか⁉︎」
「当然だ。私は誰よりも国のことを思って行動している。妻を休ませてやりたいが故、自費で魔導士を雇うなどあたりまえだろう?」
「陛下はそこまで……」
よし、これで大臣からの評価もうなぎ登りだ。
本音としては国費を使いたいところだが、マーヤの任務放棄で国費を使ってしまえば私の地位までもが危うくなってしまう。
それに、父の遺産を引き継いでいるのだから当面の間は問題なく豪遊すら可能だ。
私は、マーヤの魔力に匹敵するくらいの魔導士を雇うことにした。
水不足解消のために、五十人も雇うことになるとは想定外だったが……。
「所詮は一時凌ぎ。そう長く水不足になることもないだろう」
雨よ、早く降ってくれ……。
久々の更新になります。
展開の都合上、以前投稿していた直近2話は消去し、展開を変更しています。
申し訳ありません。
完結まで執筆済みのため、今後は来週以降毎週水曜日18:30固定で更新予定です。(予約済です)
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「父上よ、どうか安らかにお眠りください」
父上は病気で亡くなった。
私は表向きには悲しんでいるが、内心喜んでいる。
父上はいつも私に対して無駄に怒鳴ることが多く、必要もなさそうな教育まで押し付けてきていたのだ。
マーヤの一件でもそうだった。
マーヤに無理強いで王族の嗜みを教育しようとしていた。
だが、そんなものは私の政策には無用。
最低限のマナーを持って接していればそれでよい。
もう少し楽に考えるべきなのだ。
「マーヤよ、父上は亡くなった。よって、遺言に従い今日から私が皇王となる」
「つまり、私は王妃ってことですか?」
「そういうことだ。今後忙しくなるかもしれんぞ」
「あぁ、これが夢にまでみた王妃というポジションなのね……」
マーヤの夢を叶えることができて、父上の天国で御喜びになっていることだろう。
「はっきり申してよろしいですか? ラファエル様には大変失礼な発言になってしまいますけれど」
「かまわんよ。今は二人きりだし」
「不謹慎ですけど、陛下が亡くなって地獄から解放された気分なんです」
「はっはっは……、マーヤは正直なのだな。黙っていたが実は私もなのだよ」
「まぁ! 親子なのにひどい人ですねー」
「お互い様だ」
私とマーヤは、父上の死で笑い合ってしまった。
だが王族貴族界では、よくあることだと思っている。
ようやく私の政権が開始できると思うとワクワクが止まらないのだ。
しかも、私の側近には超一流の魔導士マーヤまでいてくれる。
無敵なのだ。
「ところで、ラファエル様に申し訳ない報告がありますの」
「なんだ?」
「実は……、ここ最近魔法が発動できなくなってしまって……」
「ほは⁉︎ なんと言った?」
聞き間違えだろうか。
あまりにも信じられない発言を聞き、飲んでいた飲み物を吹き出してしまった。
「魔法が出せないんです……。どうしましょう」
「私は魔法はあまり詳しくない……。いずれ回復できるものなのか?」
「ど、どうでしょうか。こんなこと初めてなので。まぁいずれは……」
魔法が使えないと色々と困る。
せっかく私が皇王になれたというのに、いきなり問題が起きてしまった。
だが、焦ることもないか。
いずれ回復できるような言い方だし、それまでの間魔法が必要なら別の魔導士を雇っておけばよいのだから。
「マーヤよ、気にすることもない。その程度ならば、新皇王にとっては何の問題もない!」
「頼もしいですわぁー!」
よし、これでまた私の株が大幅に上がっただろう。
そう思っていた翌日に、早速問題が起きてしまった。
「皇王陛下! 就任早々ですが、大至急問題解決していただきたい件が……」
「ほう、大臣が私に申すようになったか。私は頼られる立場だからな。私にかかればなんでも解決して見せよう。申してみよ」
「兼ねて問題になってきていた水不足問題が深刻なものになってきています。今のうちにマーヤ王妃の魔法で水の恵みをお願いしたい」
「へ⁉︎ ママママーヤの魔法⁉︎」
なんとか冷や汗だけで止まるように頑張った。
本当は全身ガクブル状態になってしまいそうなくらい緊張していたのだから。
マーヤの魔法が使えなくなったなんて、誰にも言えるわけがない。
そんなことがバレてしまえば、すぐに結婚すら帳消しにするようにデモになりかねないのだ。
「実はマーヤは体調が悪くてな。緊急を要するのなら、私が自腹で魔導士を雇おうではないか」
「陛下自らですか⁉︎」
「当然だ。私は誰よりも国のことを思って行動している。妻を休ませてやりたいが故、自費で魔導士を雇うなどあたりまえだろう?」
「陛下はそこまで……」
よし、これで大臣からの評価もうなぎ登りだ。
本音としては国費を使いたいところだが、マーヤの任務放棄で国費を使ってしまえば私の地位までもが危うくなってしまう。
それに、父の遺産を引き継いでいるのだから当面の間は問題なく豪遊すら可能だ。
私は、マーヤの魔力に匹敵するくらいの魔導士を雇うことにした。
水不足解消のために、五十人も雇うことになるとは想定外だったが……。
「所詮は一時凌ぎ。そう長く水不足になることもないだろう」
雨よ、早く降ってくれ……。
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