12 / 61
【視点】リリアを追放したあと2
しおりを挟む
「ラファエルよ。パーティーは盛況だったようだの。まずその点は褒めよう」
「当然です! 最後の最後まで心までどん底にしてやりましたからね。これで砂漠の国へ行って己が無能聖女であることを知れれば、我々の行為も当然なんだと納得がいくでしょう」
「ふむ。力もなき女が聖女と偽った件は問題だった。財宝まで手に入れ他国に渡す判断をしたお前の功績は素晴らしい」
ラファエルは珍しく褒められ、頭を下げながらニヤニヤと笑っていた。
ウィンド皇帝もラファエルが手柄を立てたことを微笑んでいた。
今まで国務以外では問題ばかりを起こしていて頭を悩まされていたからである。
唯一褒めていた国務も、リリアに無理やりやらせていたことをウィンド皇帝は知らなかった。
「これからは父上に褒められるよう努力して参ります!」
「そうか。一時期はどうしたものか悩んだが、お前の新たな婚約相手を探すため他国へ出向き交渉して正解だったようだ。お前も成長したな」
「こ……婚約相手!?」
ラファエルは考えもしなかった言葉を聞いて驚いていた。
「そうだ。デインゲル王国の第二王女だ。今回も交渉のために私自ら頼みに行ってきたのだよ」
評判の悪かったリリアとの婚約によってラファエルの評判が下がってしまっていた。
だからこそ汚名返上のつもりでわざわざ他国まで足を運び、ラファエルと国のために無理をして交渉したのだ。
「あ……あの、実は婚約相手はもう……」
「何か不満か?」
パーティーでマーヤと婚約したことを話しはじめた。
「私はデインゲル王国へ出張する前に伝えたはずだが……。お前の新たな婚約者を見つけ出すと……」
「そう言われてみれば……」
ウィンド皇帝が伝言をしたときのラファエルは、マーヤのことで頭がいっぱいだった。
聞いているようで、全く聞いていなかったのである。
何度も叱られてきたラファエルは、今回も怒られると思っていた。
だからこそ、すぐに言い訳を思いついたのだった。
「えーと……、結婚相手などそう簡単に見つけ出せると思わなかったので……。それにほら、マーヤは実力もありますし、父上もお喜びになると思いましたし」
「つまりお前は私に何も断りもせず、私を信用せずに勝手に婚約を結び、大規模なパーティーで公言までしたというのだな?」
「は、はい。しかしながらマーヤは……」
ウィンド皇帝は、すぐにラファエルの胸ぐらを掴み、投げ飛ばした。
「当然です! 最後の最後まで心までどん底にしてやりましたからね。これで砂漠の国へ行って己が無能聖女であることを知れれば、我々の行為も当然なんだと納得がいくでしょう」
「ふむ。力もなき女が聖女と偽った件は問題だった。財宝まで手に入れ他国に渡す判断をしたお前の功績は素晴らしい」
ラファエルは珍しく褒められ、頭を下げながらニヤニヤと笑っていた。
ウィンド皇帝もラファエルが手柄を立てたことを微笑んでいた。
今まで国務以外では問題ばかりを起こしていて頭を悩まされていたからである。
唯一褒めていた国務も、リリアに無理やりやらせていたことをウィンド皇帝は知らなかった。
「これからは父上に褒められるよう努力して参ります!」
「そうか。一時期はどうしたものか悩んだが、お前の新たな婚約相手を探すため他国へ出向き交渉して正解だったようだ。お前も成長したな」
「こ……婚約相手!?」
ラファエルは考えもしなかった言葉を聞いて驚いていた。
「そうだ。デインゲル王国の第二王女だ。今回も交渉のために私自ら頼みに行ってきたのだよ」
評判の悪かったリリアとの婚約によってラファエルの評判が下がってしまっていた。
だからこそ汚名返上のつもりでわざわざ他国まで足を運び、ラファエルと国のために無理をして交渉したのだ。
「あ……あの、実は婚約相手はもう……」
「何か不満か?」
パーティーでマーヤと婚約したことを話しはじめた。
「私はデインゲル王国へ出張する前に伝えたはずだが……。お前の新たな婚約者を見つけ出すと……」
「そう言われてみれば……」
ウィンド皇帝が伝言をしたときのラファエルは、マーヤのことで頭がいっぱいだった。
聞いているようで、全く聞いていなかったのである。
何度も叱られてきたラファエルは、今回も怒られると思っていた。
だからこそ、すぐに言い訳を思いついたのだった。
「えーと……、結婚相手などそう簡単に見つけ出せると思わなかったので……。それにほら、マーヤは実力もありますし、父上もお喜びになると思いましたし」
「つまりお前は私に何も断りもせず、私を信用せずに勝手に婚約を結び、大規模なパーティーで公言までしたというのだな?」
「は、はい。しかしながらマーヤは……」
ウィンド皇帝は、すぐにラファエルの胸ぐらを掴み、投げ飛ばした。
1
お気に入りに追加
3,813
あなたにおすすめの小説
【完】聖女じゃないと言われたので、大好きな人と一緒に旅に出ます!
えとう蜜夏☆コミカライズ中
恋愛
ミレニア王国にある名もなき村の貧しい少女のミリアは酒浸りの両親の代わりに家族や妹の世話を懸命にしていたが、その妹や周囲の子ども達からは蔑まれていた。
ミリアが八歳になり聖女の素質があるかどうかの儀式を受けると聖女見習いに選ばれた。娼館へ売り払おうとする母親から逃れマルクト神殿で聖女見習いとして修業することになり、更に聖女見習いから聖女候補者として王都の大神殿へと推薦された。しかし、王都の大神殿の聖女候補者は貴族令嬢ばかりで、平民のミリアは虐げられることに。
その頃、大神殿へ行商人見習いとしてやってきたテオと知り合い、見習いの新人同士励まし合い仲良くなっていく。
十五歳になるとミリアは次期聖女に選ばれヘンリー王太子と婚約することになった。しかし、ヘンリー王太子は平民のミリアを気に入らず婚約破棄をする機会を伺っていた。
そして、十八歳を迎えたミリアは王太子に婚約破棄と国外追放の命を受けて、全ての柵から解放される。
「これで私は自由だ。今度こそゆっくり眠って美味しいもの食べよう」
テオとずっと一緒にいろんな国に行ってみたいね。
21.11.7~8、ホットランキング・小説・恋愛部門で一位となりました! 皆様のおかげです。ありがとうございました。
※「小説家になろう」さまにも掲載しております。
Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.
ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)
婚約破棄をしてくれた王太子殿下、ありがとうございました
hikari
恋愛
オイフィア王国の王太子グラニオン4世に婚約破棄された公爵令嬢アーデルヘイトは王国の聖女の任務も解かれる。
家に戻るも、父であり、オルウェン公爵家当主のカリオンに勘当され家から追い出される。行き場の無い中、豪商に助けられ、聖女として平民の生活を送る。
ざまぁ要素あり。
冤罪を受けたため、隣国へ亡命します
しろねこ。
恋愛
「お父様が投獄?!」
呼び出されたレナンとミューズは驚きに顔を真っ青にする。
「冤罪よ。でも事は一刻も争うわ。申し訳ないけど、今すぐ荷づくりをして頂戴。すぐにこの国を出るわ」
突如母から言われたのは生活を一変させる言葉だった。
友人、婚約者、国、屋敷、それまでの生活をすべて捨て、令嬢達は手を差し伸べてくれた隣国へと逃げる。
冤罪を晴らすため、奮闘していく。
同名主人公にて様々な話を書いています。
立場やシチュエーションを変えたりしていますが、他作品とリンクする場所も多々あります。
サブキャラについてはスピンオフ的に書いた話もあったりします。
変わった作風かと思いますが、楽しんで頂けたらと思います。
ハピエンが好きなので、最後は必ずそこに繋げます!
小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。
精霊の加護を持つ聖女。偽聖女によって追放されたので、趣味のアクセサリー作りにハマっていたら、いつの間にか世界を救って愛されまくっていた
向原 行人
恋愛
精霊の加護を受け、普通の人には見る事も感じる事も出来ない精霊と、会話が出来る少女リディア。
聖女として各地の精霊石に精霊の力を込め、国を災いから守っているのに、突然第四王女によって追放されてしまう。
暫くは精霊の力も残っているけれど、時間が経って精霊石から力が無くなれば魔物が出て来るし、魔導具も動かなくなるけど……本当に大丈夫!?
一先ず、この国に居るとマズそうだから、元聖女っていうのは隠して、別の国で趣味を活かして生活していこうかな。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
【完結】慰謝料は国家予算の半分!?真実の愛に目覚めたという殿下と婚約破棄しました〜国が危ないので返して欲しい?全額使ったので、今更遅いです
冬月光輝
恋愛
生まれつき高い魔力を持って生まれたアルゼオン侯爵家の令嬢アレインは、厳しい教育を受けてエデルタ皇国の聖女になり皇太子の婚約者となる。
しかし、皇太子は絶世の美女と名高い後輩聖女のエミールに夢中になりアレインに婚約破棄を求めた。
アレインは断固拒否するも、皇太子は「真実の愛に目覚めた。エミールが居れば何もいらない」と口にして、その証拠に国家予算の半分を慰謝料として渡すと宣言する。
後輩聖女のエミールは「気まずくなるからアレインと同じ仕事はしたくない」と皇太子に懇願したらしく、聖女を辞める退職金も含めているのだそうだ。
婚約破棄を承諾したアレインは大量の金塊や現金を規格外の収納魔法で一度に受け取った。
そして、実家に帰ってきた彼女は王族との縁談を金と引き換えに破棄したことを父親に責められて勘当されてしまう。
仕事を失って、実家を追放された彼女は国外に出ることを余儀なくされた彼女は法外な財力で借金に苦しむ獣人族の土地を買い上げて、スローライフをスタートさせた。
エデルタ皇国はいきなり国庫の蓄えが激減し、近年魔物が増えているにも関わらず強力な聖女も居なくなり、急速に衰退していく。
婚約破棄から聖女~今さら戻れと言われても後の祭りです
青の雀
恋愛
第1話
婚約破棄された伯爵令嬢は、領地に帰り聖女の力を発揮する。聖女を嫁に欲しい破棄した侯爵、王家が縁談を申し込むも拒否される。地団太を踏むも後の祭りです。
【完結】無能な聖女はいらないと婚約破棄され、追放されたので自由に生きようと思います
黒幸
恋愛
辺境伯令嬢レイチェルは学園の卒業パーティーでイラリオ王子から、婚約破棄を告げられ、国外追放を言い渡されてしまう。
レイチェルは一言も言い返さないまま、パーティー会場から姿を消した。
邪魔者がいなくなったと我が世の春を謳歌するイラリオと新たな婚約者ヒメナ。
しかし、レイチェルが国からいなくなり、不可解な事態が起き始めるのだった。
章を分けるとかえって、ややこしいとの御指摘を受け、章分けを基に戻しました。
どうやら、作者がメダパニ状態だったようです。
表紙イラストはイラストAC様から、お借りしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる