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15 油断しました

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 全員を縛ったままギルドへ連行しました。
 ずっと引きずっていたので、流石に痛かったかもしれませんが、これからの罰と比べれば大したことはないでしょう。

「く……くそう……どうして俺がこんな目に」
「私はちょっと不倫しただけじゃないの。どうしてこんな酷い扱いをされるのよ!」

 犯罪を誤魔化そうとして、更に犯罪をしてしまう人のいい例ですね。
 仕組んだのは私かもしれませんが……。
 とはいえ、財産を盗まれた被害者ですし、勝手に罪を犯していったのは彼らですからね。

「ザグレームとシャーラよ、私は第一王子のレオンと申す。此度の其方らの行い、しかと見届けていたが、何か言いたいことはあるか?」

「殿下! 私は、元々横にいるシャーラと愛人関係で不倫をしていました。裁判で慰謝料を請求され、怖くなって逃げただけのことなのです!」
「わ……私だってちょっと不倫しただけなのですわ。それにそっちの三人とはなんの関係もないんですよー。決して爆弾に関与していませんので!」

「ほう、私はまだ爆弾の話はしていないが……なぜ知っているのだ?」
「あ……」

 シャーラが自滅してしまいました。
 どちらにしても、何を言っても情状酌量の余地はないかと思いますが……。

「話にならん、そちらの三人共々牢獄へ連れていけ。五人とも魔獣の餌の刑になるのは間違いないだろう」

「「な……!?」」

 これで解決ですね。
 十人がかりで警備兵が連行していきます。

 しかし、私の悪い癖で油断していました。


「どうせ死ぬなら最後の手段だ……! ゴニョゴニョゴニョ……」
 聞き取れませんでしたが、ザグレームの妙な発言の後、彼の足元からカチッカチッと不気味な音が鳴り始めました。

「何をした!?」
 警備兵が慌ててザグレームの全身を拘束し、足元を調べたところ、服の中から時限爆弾を発見してしまいました。

「使い方を教えてもらってたから操作はできるようにしていたからな……。これで俺たちを馬鹿にして罪を重くしたお前たちも一緒にドカンだ。こんな建物も近くにある王宮も木っ端微塵だろう。残り四分ちょいでドカンだ」

 なんということでしょうか。

 時限爆弾のことを知っていながらしっかりと確認しなかった私の責任でしょう……。

 せっかく詰みまでもっていったのに形勢逆転されてしまったようです。
 油断のしすぎでこんなことに……。
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