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9 カルダモン視点(中編)

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 どうやらクミンは待たされたことに怒っている様子はない。

「すまん、どうしても家を出れない状況が続いてしまったのだ」
「うん、なんとなくわかるから気にしないで」
 なんという優しいんだろう。ルフナも見習ってほしいものだ。

 さて、私の選択は真っ二つに分かれている。
 これもさっきまで学習していた影響だろう。

 一つは、使用人が帰ってくるまでの間にクミンと家で過ごす。
 もう一つは、予定通りに外出して頃合いを見て帰るというものだ。

 要は、絶対にバレないよう気をつければいいという結論になった。

「カルダモンさまぁ、この家に女の子がいるよね? あれは誰なの?」
「女の子? レミファのことか?」
「さっきその女に門前払いさせられたのよ!」
「何!?」
「その後ずっと家の前で張っていたら、その女と偉そうな顔したオッサンが出て行ったのよ。おかげでこうやって家に来れたんだけどね」

 私は全然気がつかなかった。
 おそらく勉強の妨げになるからレミファは報告しなかったのだろう。
 とても使用人とは思えんな。

「あいつらはルフナ、いや……その親であるアールグレイ伯爵が雇った使用人らしい。毎日煩くてかなわん……今日だってあいつらのせいでクミンに会いに行くことすらできなかったのだ。すまない……」
「そういうことだったのね。いつ帰ってくるかわかる?」
「夜に帰ると言っていたが……」

 クミンは満面の笑みで私の腕を掴んできた。

「なら夕方に帰ればいいのね。さ、カルダモンさまの部屋へ行きましょ」
「ちょっと待った、バレると大変なことに」
「バレなきゃいいんでしょ?」

 さすがクミンだ。私と考え方が同じだった。
 ならば心配はなさそうだ。

 ♢

 自室でひたすらクミンとイチャイチャしまくり、私の体力は力尽きた。
 時間が限られると思うと気合が入るもので、八回も頑張ってしまった。

「クミンよ、すまないな。使用人達が帰るまでの残り四日間は再び会えなくなるかもしれない。その分前倒しでやってしまったのだが、それでも足りない気がしてしまう……」
「ふふ……相変わらずの性欲魔神ね。これから私はボロ屋へ帰らなきゃいけないのに……もう動けないじゃないの」
「クミンのことをそれだけ愛しているのだ。順序は間違っているかもしれんが、いずれ第二夫人に迎えるのだから問題ないだろう?」

 私たちは相思相愛で愛し合っている。今後のことも考えて、そろそろ帰ってもらわないとまずいだろうと思いはじめた。
 しかし、とんでもないことが起きてしまうのだった。

「「ただいま戻りました」」
「旦那様、予定よりも早く帰りました」

 バカな! まだ夕方だぞ。しかもなぜルフナまでもが……。
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