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呆れながらため息を吐いたのだが、この行為がドルチャ家の人間の怒りを買ったのだった。
「この真面目人間が!! シャロンは大事な娘なのだ! 我々は何があろうともシャロンを守る。それだけのことなのになぜわからぬのだ!?」
ついに仮病を知っていることを認めるような発言をした男爵。
この時を待っていたのだ。
「シャロンさんの仮病と知りながらかくまったことを認めるのですか?」
「うるさいわジュリエル! あんたがハーベストと婚約なんかするから私は……絶対に許さないんだから!」
ほら元気じゃないか。
さっきまで激しく咳をしていた身体はどこへいったのやら。
「私は悪人の肩入れをする気はありませんので……」
「おのれ……このクソ人間が!!」
突然男爵と使用人が、アイスピックのようなものを取り出し、私に刃をむけてきた。
流石にこれには驚いた。
恐怖で震えてしまう。
「ふん、シャロンを悪く言う人間などたとえハーベストの婚約者とはいえゴミ同然。素直に聞かぬと言うのならここで消してもいいのだが」
「そ……そんなことしたら罪が重くなるだけだと思いますが……」
必死に震えを堪えながら、精一杯反論した。
ここで逃げ出してしまえば今までの作戦も無意味になってしまうのだから。
「バカめ。ハーベストだけを外に出させた理由にまだ気が付かないのか。貴様を消すか利用するかの選択をさせるときにあいつがいては邪魔だったまでだ」
「最初から私をそのつもりで……」
「気がつくのが遅かったようだな……安心しろ。殺した場合の対策は万全なのだから」
これは流石にまずい。
しかし、恐怖で身体がうまく動かせなくて逃げ出せないでいた。
──義兄様……。
「この真面目人間が!! シャロンは大事な娘なのだ! 我々は何があろうともシャロンを守る。それだけのことなのになぜわからぬのだ!?」
ついに仮病を知っていることを認めるような発言をした男爵。
この時を待っていたのだ。
「シャロンさんの仮病と知りながらかくまったことを認めるのですか?」
「うるさいわジュリエル! あんたがハーベストと婚約なんかするから私は……絶対に許さないんだから!」
ほら元気じゃないか。
さっきまで激しく咳をしていた身体はどこへいったのやら。
「私は悪人の肩入れをする気はありませんので……」
「おのれ……このクソ人間が!!」
突然男爵と使用人が、アイスピックのようなものを取り出し、私に刃をむけてきた。
流石にこれには驚いた。
恐怖で震えてしまう。
「ふん、シャロンを悪く言う人間などたとえハーベストの婚約者とはいえゴミ同然。素直に聞かぬと言うのならここで消してもいいのだが」
「そ……そんなことしたら罪が重くなるだけだと思いますが……」
必死に震えを堪えながら、精一杯反論した。
ここで逃げ出してしまえば今までの作戦も無意味になってしまうのだから。
「バカめ。ハーベストだけを外に出させた理由にまだ気が付かないのか。貴様を消すか利用するかの選択をさせるときにあいつがいては邪魔だったまでだ」
「最初から私をそのつもりで……」
「気がつくのが遅かったようだな……安心しろ。殺した場合の対策は万全なのだから」
これは流石にまずい。
しかし、恐怖で身体がうまく動かせなくて逃げ出せないでいた。
──義兄様……。
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