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11 ロイス様の勉強
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ハイマーネ家でメイドとして働き始めてから一ヶ月がたちました。
仕事もすっかり慣れて今ではロイス様の勉強係も勤めています。
「すげぇ! こんな計算式があったのか! すっげぇ簡単に解けちまった!」
「34×87+66×87のような場合なら、暗算でも簡単に解けるやり方の更に応用したパターンですよ」
「俺勉強苦手だからな。親父には将来継ぐならもっと勉強しろって言われてたんだよ。お前の教え方だったら俺、もう少し勉強やれる気になりそうだぜ?」
「ありがとうございます」
ロイス様は口が相当悪いが、素直です。
勉強も苦手というよりは、やらず嫌いのような感じでしょう。
なので、クイズのような感じで楽しく会話しながらなら、勉強するかと思いました。
ザーレムさんにも許可をいただき、実際に試してみたらやる気になってくれたのです。
「ずらずら本見たってわかんなかったんだよなー。でも、お前の教え方だったらおもしれーからやる気になれるわな」
「好きなことや夢中になれることだったら集中しやすくなるので、覚えもよくなりますからね」
「なぁ、お前男爵家に引き取られて生活していたんだろ? どうしてお前みたいに優秀な奴を他の貴族の連中が目つけなかったんだ? 身分は違えど下手すりゃあ侯爵だってお前の良さに気づけば縁談の話だってあり得たかもしんねぇのに」
ロイス様がペンをクルクル回しながら不思議そうな表情をして私に聞きます。
侯爵は言い過ぎかと思いますけど、どちらにしても私には限られた人からしか縁談の話はなかったかと思いますね。
「お茶会にも参加は滅多にできなかったので。外へも食材や日用品の買い出しくらいしか出させてもらえませんでしたので」
「マジか……」
「その分、家の仕事をやらされた後に本を読んだりしていたので、勉強がそこそこできるようにはなりましたけど……」
「お前はそうとう苦しい生活を強いられてたんだな」
何かを考えているようです。
今は勉強のことを考えてほしいところですが。
「よし! 決めた!」
いきなり椅子から立ち上がり、私の手をギュッと握ってきました。
「え? どうしたのですか!?」
「お前、俺と一日デートしろ」
「はい?」
「デートだデート! 別に恋人同士じゃなくたっていいだろ」
「あまりそういう知識はないので良いのか悪いのかの判断はできませんが……」
ロイド様は私の手を握ったまま離そうとしてくれません。
私自身、そんなに嫌な気持ちではないので特に抵抗はしませんでしたが。
「いいかジューリー! お前に足りないものがあるとすれば、楽しむことだ! だったら俺がデートの楽しさを教えてやる。これだけ勉強の楽しさを教えてくれたんだ。俺はお礼がしたい」
「そういうことなら……ありがとうございます」
「当たり前だろ! お前は俺の友達なんだからな!」
その言葉を聞いて、何故か違和感がありました。
友達と言われて心がモヤモヤとしていたのです。
なんでかはわかりませんが。
仕事もすっかり慣れて今ではロイス様の勉強係も勤めています。
「すげぇ! こんな計算式があったのか! すっげぇ簡単に解けちまった!」
「34×87+66×87のような場合なら、暗算でも簡単に解けるやり方の更に応用したパターンですよ」
「俺勉強苦手だからな。親父には将来継ぐならもっと勉強しろって言われてたんだよ。お前の教え方だったら俺、もう少し勉強やれる気になりそうだぜ?」
「ありがとうございます」
ロイス様は口が相当悪いが、素直です。
勉強も苦手というよりは、やらず嫌いのような感じでしょう。
なので、クイズのような感じで楽しく会話しながらなら、勉強するかと思いました。
ザーレムさんにも許可をいただき、実際に試してみたらやる気になってくれたのです。
「ずらずら本見たってわかんなかったんだよなー。でも、お前の教え方だったらおもしれーからやる気になれるわな」
「好きなことや夢中になれることだったら集中しやすくなるので、覚えもよくなりますからね」
「なぁ、お前男爵家に引き取られて生活していたんだろ? どうしてお前みたいに優秀な奴を他の貴族の連中が目つけなかったんだ? 身分は違えど下手すりゃあ侯爵だってお前の良さに気づけば縁談の話だってあり得たかもしんねぇのに」
ロイス様がペンをクルクル回しながら不思議そうな表情をして私に聞きます。
侯爵は言い過ぎかと思いますけど、どちらにしても私には限られた人からしか縁談の話はなかったかと思いますね。
「お茶会にも参加は滅多にできなかったので。外へも食材や日用品の買い出しくらいしか出させてもらえませんでしたので」
「マジか……」
「その分、家の仕事をやらされた後に本を読んだりしていたので、勉強がそこそこできるようにはなりましたけど……」
「お前はそうとう苦しい生活を強いられてたんだな」
何かを考えているようです。
今は勉強のことを考えてほしいところですが。
「よし! 決めた!」
いきなり椅子から立ち上がり、私の手をギュッと握ってきました。
「え? どうしたのですか!?」
「お前、俺と一日デートしろ」
「はい?」
「デートだデート! 別に恋人同士じゃなくたっていいだろ」
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「いいかジューリー! お前に足りないものがあるとすれば、楽しむことだ! だったら俺がデートの楽しさを教えてやる。これだけ勉強の楽しさを教えてくれたんだ。俺はお礼がしたい」
「そういうことなら……ありがとうございます」
「当たり前だろ! お前は俺の友達なんだからな!」
その言葉を聞いて、何故か違和感がありました。
友達と言われて心がモヤモヤとしていたのです。
なんでかはわかりませんが。
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