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8 家事と炊事
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私の常識外のことになってくると、どう判断したら良いのか分からなくなってしまいます。
「使用人の皆に判断を任せているだけに、生憎全員がロイスの願いを聞き入れられなかったんだ。まぁ無理もない……。だからこそあいつは真っ先にジューリーにお願いしたんだろうね。ロイスはああいう口調だが真っ直ぐで根はとても良い子なんだ。先ほどは構わないとは言ったが、もちろんこの判断もジューリーに任せるよ」
「わかりました。では、ロイス様とは主従の関係は築きつつも友人として接していくようにします」
「良かった」
ロイス様とは友人関係になるよう心がけ、それ以外では私ができる限りですが、メイドとして屋敷内の家事や料理を徹底的に行うようになりました。
♢
「ジューリーさん! ここの刺繍がうまくいかないのですが……」
「はい、確認します。……えーと……、あぁこれはここの縫い目に絡みが少しあるからですね。なので、ここを……こうして……」
使用人さんの作業が上手く進んでいなかったので手伝いました。
「これでどうでしょうか?」
「すごい!! 完璧じゃないですか! ありがとうございますジューリーさん!!」
「いえ、私にできることで良かったです」
使用人さんにとても感謝されてしまいました。
しかも、これで何度目なのやら……。
『ジューリーさーん! いたらすぐに調理場へ来てくださーい!』
遠くから大声で呼ばれたのですぐに向かいます。
「お待たせしました。お手伝いですか?」
「違うんです! ジューリーさんに教えてもらったレシピを作ろうとしたんですが、どうも上手くいかなくて……」
「薪が多すぎで火の威力が強いかと……これはじっくりコトコト弱火で長時間やった方が良いので、一旦薪の一部に水をかけて火力を弱めたら良いかと」
「助かりました! ありがとうございます!」
使用人さんたちに最初は色々と教えてもらっていました。
ですが、わずか数日の間になぜか私がここの使用人さんたちに色々と教える側になってしまったのです。
「ジューリーさん、どうやったらそんなに料理もできて家事も完璧にこなせるのです!?」
「完璧でしょうか……適当だと毎日叱責されていましたので……」
「はぁ!? おかしいでしょう!」
今までは両親から全ての家事を毎日強引にやらされていました。
料理では少しでも味が不味かったり、掃除では埃一つ残っただけで一日中怒られていました。
なるべくそうならないように私も毎日必死になって丁寧かつ確実にこなせるように意識するようにしていましたが……。
「お恥ずかしい話ですが、ジューリーさんの方が我々よりも使用人としての精度ははるかに上ですよ! メイド長になって欲しいくらいですから!」
「いえいえ、メイド長はあなたですよね……!?」
「かつては王宮でメイドを行っていましたが、大商人様のお誘いで陛下にも許可をいただきこちらに仕えて修行をしてきました。正直申しますと王都内ではできる方かと思っていましたよ。ですが、ジューリーさんにはとても敵いません」
私はただ毎日家でこき使われて地獄のような家事をさせられてきただけです。
やり方も自己流ですし、とてもメイド長というような立場にはなれないと思います。
「メイド長は遠慮したいですね……」
「残念です。ですが、おそらく近いうちに……」
「え?」
「いえ、なんでもありませんよ」
メイド長は両手で口を押さえていました。
嫌な予感しかしません。
「使用人の皆に判断を任せているだけに、生憎全員がロイスの願いを聞き入れられなかったんだ。まぁ無理もない……。だからこそあいつは真っ先にジューリーにお願いしたんだろうね。ロイスはああいう口調だが真っ直ぐで根はとても良い子なんだ。先ほどは構わないとは言ったが、もちろんこの判断もジューリーに任せるよ」
「わかりました。では、ロイス様とは主従の関係は築きつつも友人として接していくようにします」
「良かった」
ロイス様とは友人関係になるよう心がけ、それ以外では私ができる限りですが、メイドとして屋敷内の家事や料理を徹底的に行うようになりました。
♢
「ジューリーさん! ここの刺繍がうまくいかないのですが……」
「はい、確認します。……えーと……、あぁこれはここの縫い目に絡みが少しあるからですね。なので、ここを……こうして……」
使用人さんの作業が上手く進んでいなかったので手伝いました。
「これでどうでしょうか?」
「すごい!! 完璧じゃないですか! ありがとうございますジューリーさん!!」
「いえ、私にできることで良かったです」
使用人さんにとても感謝されてしまいました。
しかも、これで何度目なのやら……。
『ジューリーさーん! いたらすぐに調理場へ来てくださーい!』
遠くから大声で呼ばれたのですぐに向かいます。
「お待たせしました。お手伝いですか?」
「違うんです! ジューリーさんに教えてもらったレシピを作ろうとしたんですが、どうも上手くいかなくて……」
「薪が多すぎで火の威力が強いかと……これはじっくりコトコト弱火で長時間やった方が良いので、一旦薪の一部に水をかけて火力を弱めたら良いかと」
「助かりました! ありがとうございます!」
使用人さんたちに最初は色々と教えてもらっていました。
ですが、わずか数日の間になぜか私がここの使用人さんたちに色々と教える側になってしまったのです。
「ジューリーさん、どうやったらそんなに料理もできて家事も完璧にこなせるのです!?」
「完璧でしょうか……適当だと毎日叱責されていましたので……」
「はぁ!? おかしいでしょう!」
今までは両親から全ての家事を毎日強引にやらされていました。
料理では少しでも味が不味かったり、掃除では埃一つ残っただけで一日中怒られていました。
なるべくそうならないように私も毎日必死になって丁寧かつ確実にこなせるように意識するようにしていましたが……。
「お恥ずかしい話ですが、ジューリーさんの方が我々よりも使用人としての精度ははるかに上ですよ! メイド長になって欲しいくらいですから!」
「いえいえ、メイド長はあなたですよね……!?」
「かつては王宮でメイドを行っていましたが、大商人様のお誘いで陛下にも許可をいただきこちらに仕えて修行をしてきました。正直申しますと王都内ではできる方かと思っていましたよ。ですが、ジューリーさんにはとても敵いません」
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やり方も自己流ですし、とてもメイド長というような立場にはなれないと思います。
「メイド長は遠慮したいですね……」
「残念です。ですが、おそらく近いうちに……」
「え?」
「いえ、なんでもありませんよ」
メイド長は両手で口を押さえていました。
嫌な予感しかしません。
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