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1 婚約破棄
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「ジューリーよ、お前に大事な話がある」
「はい、何でしょうか義父様」
突然、私の父として接しているニッシモ=アルファード男爵の部屋に呼ばれたのです。
既に私の体は緊張で震えています。
今度は何を言い渡されるのか恐怖でしかないのですから……。
「お前、ファイファン男爵家のダルムと婚約をしていただろう? あれを取り消しにしてほしいのだ」
「な……なぜですか? 私とダルム様はお茶会で知り合い結婚を前提でお付き合いさせていただいてますが」
アルファード家からは、嫁ぎの縁談の話など一切ありませんでした。
訳あって男爵家で育てられてきたとはいえ、私の恋愛は自由にさせてもらっていたはずです。
「実はな、マーヤの嫁ぎ先だったはずの子爵家から縁談を断られてしまったのだ」
マーヤとは私の一個下の女の子で、本当の妹のように仲良くしています。
私はこの家ではここの両親といえる二人から酷い仕打ちを受け続けていました。
それでもなんとかこの家で頑張ってこれたのは、可愛いマーヤがいて仲良くしていたからです。
「縁談がなくなってしまったのは初耳ですね……。ですが、何故私の婚約までなくそうとするのですか?」
「相変わらず頭が悪いな。つまりマーヤをダルムと婚約させるのだよ」
「え……!?」
マーヤはこのことを知っているのでしょうか。いえ、そんなことはありえません。
だって……。
「お言葉ですが、私とマーヤは仲がいいのですよ。そんなことマーヤが納得するはずがありません」
「本当に何も知らぬバカ女なのだな。そこまで疑うのならば本人に直接聞けばいいだろう」
普段はトンチンカンな発言ばかりをしてくるのですが、ニッシモ様が自信に満ち溢れているような口調で言ってくるときは大概事実です。
ですが、今回ばかりはとても信じられませんでした。
私はさらに問い詰めます。
「絶対に信じません。それにダルム様だって納得するわけがありませんよ!」
「論より証拠。己自身で確かめるんだな。俺はただ事実を伝えただけだ。何しろ俺は優しい父親代わりなのだからな」
優しいと思ったことは一度もありません。
家では使用人の代わりと言ってあれやこれとコキ使われ、せっかく掃除した場所をわざと汚して再度掃除させるような下衆さです。
それでも食事だけは最低限与えてくれてはいたので、私が我儘女なのでしょうか……。
とにかく、ここまで言われてしまっては納得もできませんので、早速部屋を出てマーヤがいる部屋へ向かいました。
「はい、何でしょうか義父様」
突然、私の父として接しているニッシモ=アルファード男爵の部屋に呼ばれたのです。
既に私の体は緊張で震えています。
今度は何を言い渡されるのか恐怖でしかないのですから……。
「お前、ファイファン男爵家のダルムと婚約をしていただろう? あれを取り消しにしてほしいのだ」
「な……なぜですか? 私とダルム様はお茶会で知り合い結婚を前提でお付き合いさせていただいてますが」
アルファード家からは、嫁ぎの縁談の話など一切ありませんでした。
訳あって男爵家で育てられてきたとはいえ、私の恋愛は自由にさせてもらっていたはずです。
「実はな、マーヤの嫁ぎ先だったはずの子爵家から縁談を断られてしまったのだ」
マーヤとは私の一個下の女の子で、本当の妹のように仲良くしています。
私はこの家ではここの両親といえる二人から酷い仕打ちを受け続けていました。
それでもなんとかこの家で頑張ってこれたのは、可愛いマーヤがいて仲良くしていたからです。
「縁談がなくなってしまったのは初耳ですね……。ですが、何故私の婚約までなくそうとするのですか?」
「相変わらず頭が悪いな。つまりマーヤをダルムと婚約させるのだよ」
「え……!?」
マーヤはこのことを知っているのでしょうか。いえ、そんなことはありえません。
だって……。
「お言葉ですが、私とマーヤは仲がいいのですよ。そんなことマーヤが納得するはずがありません」
「本当に何も知らぬバカ女なのだな。そこまで疑うのならば本人に直接聞けばいいだろう」
普段はトンチンカンな発言ばかりをしてくるのですが、ニッシモ様が自信に満ち溢れているような口調で言ってくるときは大概事実です。
ですが、今回ばかりはとても信じられませんでした。
私はさらに問い詰めます。
「絶対に信じません。それにダルム様だって納得するわけがありませんよ!」
「論より証拠。己自身で確かめるんだな。俺はただ事実を伝えただけだ。何しろ俺は優しい父親代わりなのだからな」
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家では使用人の代わりと言ってあれやこれとコキ使われ、せっかく掃除した場所をわざと汚して再度掃除させるような下衆さです。
それでも食事だけは最低限与えてくれてはいたので、私が我儘女なのでしょうか……。
とにかく、ここまで言われてしまっては納得もできませんので、早速部屋を出てマーヤがいる部屋へ向かいました。
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