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28 ポップスさんの正体

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「久しぶり、会いたかったぞ」
 声はポップスさんかと思ったのだが、雰囲気も顔もまるで別人。
 ただ、しっかりと見てみると、間違いなくポップスさんであると思えたのだ。

「あの方……誰ですか?」

 私の発言に周りがガヤガヤと笑い出した。
「何言ってるのですシェリル様。このお方はレオログニス王国の王子、ロック=レオログニス第一王子殿下ですよ」
「えええぇぇぇぇぇーーーーーー!?」

 私は驚きのあまり叫んでしまった。
「私ったらとんでもないご無礼を……申し訳ございませんでした殿下」

 慌てて跪いた。
 むしろ土下座でも良かった気がするくらいだ。

「はっはっは、顔をあげてくれシェリルさん」

 状況がわからない。
 ロック殿下の声はポップスさんとソックリだ。
 更に、殿下の着ている服装が私にとってはわけがわからなかった。

「その服は……どこで手に入れたのですか……?」
 間違いなく私がポップスさんにプレゼントしたデザインなのだ。

「君からデザインしてもらった服だろう」
「と……いうことは!?」
「はっはっは……すまなかった。ポップスとは外に出ているときの名だよ。変装するマスクを装着していたからわからないのも無理はない」

 なんということだろう……。今まで私が公園で会っていたのは目の前にいるロック殿下だったなんて夢にも思わなかった。

 しかもこの話を聞いていた他の男性たちが黙っていなかった。

「おぉ……殿下が着られているものはシェリル様が作られたものだったのか」
「さすが世界一のデザイナーだ」
「もしもあの服が販売されるのなら私は十着は買うぞ」

「この服装は目の前にいるシェリル=アルブライデがデザインしたものなのだ。しかも、私だとわからぬよう変装をし、民間人になり切っているときに作ってもらえた。シェリルの器の広さが偉大なのだ」

 聞いていた貴族の皆様からは、盛大な拍手をされてしまった。
 でも、こればっかりはロック殿下が勘違いしているんです。
 あのときの見た目が如何にもお金を持ってなさそうで、デザインしても作れないだろうし、おまけに悪用もされないように対策もしていたのだ。

 決して私の器が広いわけではない。


「ともあれシェリルさんよ、今まで正体を偽ってしまいすまなかった」
「ポップ……いえ、ロック殿下、驚きはしましたが謝ることではないかと。ですが、ポップス様のときの殿下についてお尋ねしたいこともございますので、この後少々お時間をいただけませんか?」
「無論だ。シェリルさんのためならばいくらでも時間を作ろう。パーティーの後、私の部屋へ案内しよう。今はパーティーを楽しむがいい」

 楽しみたくても衝撃が大きかったのでその後何を食べていたのか、誰と喋ったかよく覚えていなかった。
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