上 下
7 / 22

7 キャンベル視点(後編)

しおりを挟む
 ライアメンゾが気に入ったという店に案内されました。
 でも、ここは会員制で、会員以外の者は会員同伴の下一人のみしか入れません。貴族の人間でもなかなか入ることが出来ない店なのになんでライアメンゾは会員なのでしょうか。
 おそらくこの容姿で特別に会員になれたのですね、きっとそうなんです。

 奥の個室に案内され、ライアメンゾと二人っきりになりました。

「これがメニューです。どうぞお好きなものを注文してください」
 メニューを渡されて私は腰を抜かしそうになりました。

「たかっ!!」

 なんでジュースが一杯で一萬紙幣一枚必要なのでしょう!?
 こんな店で遠慮なく食べたら一萬紙幣百枚は飛んでいきそうです。

「あぁ、気にしないでください。お金だけはありますから」
 そう言って札束を三つほど鞄の中から取り出しました。

 一体何者なのか知りません。ですが、札束を見た瞬間に、意地でもこの男は私の手中に納めなければいけないと誓いました。

 ♢

 彼を落とすために、私はあえて控えめに注文をしました。
 そして、時々必殺の悩殺ポーズを何度か披露しましたが……。

 今までの男とはまるで違います。
 私が胸を強調したり、短いスカートの中を見せて誘惑すれば、すぐに次の段階へ進めました。ですが、ライアメンゾは全くのそ素振りがありません。
 どうやったらこの金持ちを落とせるのでしょう。

「これは私からのお願いなのだが……」
「な……何かしら?」
「また会いたいのですが。できれば国に滞在している間は毎日」
「も……もちろんですとも!」

 考えすぎでしたね。やはり色気作戦は成功だったようです。所詮は男。私の色気で落とせない男はいません。

 こうして私は、毎日ライアメンゾさんと会うことになり、夜は毎日札束で支払わなければいけないくらいの高い店で食事をさせてもらいました。
 ただ、それ以上の進展がありません。それでも食費で十分に貢いでくれるので満足でした。

 ですが、不思議と料理の味は普段食べているものとあまり変わらなかった気がします……。
 まぁ、あれだけ高いのですから、きっと高級品なのでしょう。
 私の味覚ももっとしっかりしてほしいですわね。

 数日の間で、私は一萬紙幣を大量に消費する食事が当たり前のことだと思うようになりました。
 だからこそ、昼間会っているブルラインからは豪華なことをしてくれるわけではなくて不満がたまっていきます。

 ついにブルラインにも貢いでもらいたくなって強請るようになりました。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】妹が旦那様とキスしていたのを見たのが十日前

地鶏
恋愛
私、アリシア・ブルームは順風満帆な人生を送っていた。 あの日、私の婚約者であるライア様と私の妹が濃厚なキスを交わすあの場面をみるまでは……。 私の気持ちを裏切り、弄んだ二人を、私は許さない。 アリシア・ブルームの復讐が始まる。

【完】ある日、俺様公爵令息からの婚約破棄を受け入れたら、私にだけ冷たかった皇太子殿下が激甘に!?  今更復縁要請&好きだと言ってももう遅い!

黒塔真実
恋愛
【2月18日(夕方から)〜なろうに転載する間(「なろう版」一部違い有り)5話以降をいったん公開中止にします。転載完了後、また再公開いたします】伯爵令嬢エリスは憂鬱な日々を過ごしていた。いつも「婚約破棄」を盾に自分の言うことを聞かせようとする婚約者の俺様公爵令息。その親友のなぜか彼女にだけ異様に冷たい態度の皇太子殿下。二人の男性の存在に悩まされていたのだ。 そうして帝立学院で最終学年を迎え、卒業&結婚を意識してきた秋のある日。エリスはとうとう我慢の限界を迎え、婚約者に反抗。勢いで婚約破棄を受け入れてしまう。すると、皇太子殿下が言葉だけでは駄目だと正式な手続きを進めだす。そして無事に婚約破棄が成立したあと、急に手の平返ししてエリスに接近してきて……。※完結後に感想欄を解放しました。※

欲に負けた婚約者は代償を払う

京月
恋愛
偶然通りかかった空き教室。 そこにいたのは親友のシレラと私の婚約者のベルグだった。 「シレラ、ず、ずっと前から…好きでした」 気が付くと私はゼン先生の前にいた。 起きたことが理解できず、涙を流す私を優しく包み込んだゼン先生は膝をつく。 「私と結婚を前提に付き合ってはもらえないだろうか?」

その令嬢は、実家との縁を切ってもらいたい

キョウキョウ
恋愛
シャルダン公爵家の令嬢アメリは、学園の卒業記念パーティーの最中にバルトロメ王子から一方的に婚約破棄を宣告される。 妹のアーレラをイジメたと、覚えのない罪を着せられて。 そして、婚約破棄だけでなく公爵家からも追放されてしまう。 だけどそれは、彼女の求めた展開だった。

【完結】結婚式前~婚約者の王太子に「最愛の女が別にいるので、お前を愛することはない」と言われました~

黒塔真実
恋愛
挙式が迫るなか婚約者の王太子に「結婚しても俺の最愛の女は別にいる。お前を愛することはない」とはっきり言い切られた公爵令嬢アデル。しかしどんなに婚約者としてないがしろにされても女性としての誇りを傷つけられても彼女は平気だった。なぜなら大切な「心の拠り所」があるから……。しかし、王立学園の卒業ダンスパーティーの夜、アデルはかつてない、世にも酷い仕打ちを受けるのだった―― ※神視点。■なろうにも別タイトルで重複投稿←【ジャンル日間4位】。

【完結】婚約者は自称サバサバ系の幼馴染に随分とご執心らしい

冬月光輝
恋愛
「ジーナとはそんな関係じゃないから、昔から男友達と同じ感覚で付き合ってるんだ」 婚約者で侯爵家の嫡男であるニッグには幼馴染のジーナがいる。 ジーナとニッグは私の前でも仲睦まじく、肩を組んだり、お互いにボディタッチをしたり、していたので私はそれに苦言を呈していた。 しかし、ニッグは彼女とは仲は良いがあくまでも友人で同性の友人と同じ感覚だと譲らない。 「あはは、私とニッグ? ないない、それはないわよ。私もこんな性格だから女として見られてなくて」 ジーナもジーナでニッグとの関係を否定しており、全ては私の邪推だと笑われてしまった。 しかし、ある日のこと見てしまう。 二人がキスをしているところを。 そのとき、私の中で何かが壊れた……。

あなたは旦那様にふさわしくないなんて側室ですらない幼馴染の女性にけなされたので、私は離婚して自分の幼馴染と結婚しようと思います

ヘロディア
恋愛
故郷に愛している男がいるのに、無理やり高貴な貴族に嫁がされた主人公。しかし、そこでの夫には、幼馴染を名乗る女が毎晩のようにやって来て、貴族の夫婦のすべき営みを平然とやってのけていた。 挙句の果てには、その女に「旦那様にふさわしくないし、邪魔」と辛辣な態度を取られ、主人公は故郷の男のもとへ向かう決意を固めたが…

愛する人の手を取るために

碧水 遥
恋愛
「何が茶会だ、ドレスだ、アクセサリーだ!!そんなちゃらちゃら遊んでいる女など、私に相応しくない!!」  わたくしは……あなたをお支えしてきたつもりでした。でも……必要なかったのですね……。

処理中です...