上 下
15 / 24

15話 作戦内容が酷すぎてついていけない

しおりを挟む
「我国ではたとえ夫婦間であっても他人の封書を勝手に開封することは重罪になります。これも離婚の理由にできるかと思いましてね。あわよくば男爵が手紙の内容に惑わされ、私とソフィアが不倫関係にあると思い込んでくれれば更にいいのですが」

 ないない。百万歩譲って手紙を開封してしまったとしても、あの文章だけじゃ不倫だなんて思えるわけがない。しかも相手は王族だ。そもそも王族が私なんかと結婚やそういった類の関係になるほうがおかしい。
 そうは思っていても、お父様たちの対談はどんどん進んでいく。

「なるほど、ならば俺も次の策とラランカへの制裁も容易にできそうだ」
「お父様! 今度は何をするつもり!?」

 仮にもだ。お父様たちの怪しい制裁が本当に予定通りに進んだとしよう。ロミオ様はわからないけれど、お父様の仕打ちはきっとろくでもないことだ。
 この辺りまでやってれば、もう十分ではないか。

 それでもまだ何かやろうとしているので、流石についていけない。

「ラランカに関しては俺も経営者として被害者なんだ。金の持ち逃げは重罪だろ?」

 そりゃ窃盗なんだからそうだけど、ついでみたいだし、私はあんまり乗る気ではない。

「しかもあの娘は店で一番の人気者だったらしい。いきなり穴が空いたのは痛手だったそうだ。まぁこれは逆恨みだがな」
 ちょっと……お父様! 経営者でしょう。逆恨みで変なことをしたらダメでしょう……。

「ラランカもそうだが、サーヴィン君の本来の性格と行動なら、次に行いそうなことは概ね想像ができるじゃないか」

「何をする気!?」

「二人には、俺の関わっている店舗や施設は全面出入り禁止措置としよう」
「どうやって……?」

 王都内だけでも半数以上の店や施設がお父様が関わっている。
 その上、サーヴィンがどこを歩くかどこへ行くかもわからないのに、いきなり全てを出入り禁止にするのは難しいんじゃないのか。

「専用の警備員を千人規模で雇ってしまおう。日雇い派遣ということにでもするか」
「はぁ!?」

 無茶苦茶すぎる。しかもそんなことをすれば大赤字だろう。

「ソフィアよ、きっとそんなことしたら人件費の無駄遣いとでも思っているだろう?」
「えぇ。だから──」
「これはパパの趣味だ。如何にターゲットを困らせるか。見てて楽しいじゃないか! その為には少々の金の出費など拝観料に過ぎんよ」

 お父様の目が笑っている。これはマジなんだ……。

 仮にも、そんなことをすれば、サーヴィンたちの行き場はほぼなくなるだろう。
 たとえサーヴィン達がどんなにお金を持っていようとも、使える場所が大幅に減ってしまえば物が手に入り辛くなり、不便になるのは間違いない。

「こんなのは序の口だよ。まだこんなことはスタートに過ぎないのだからねぇ……。ま、パパに任せなさい」
「なるほど、レイン殿はそう出ますか。ならばそれに便乗し、私も次の手を打ちましょう」

 なんなのだこの二人は。どんどんと話を進めていってしまう。

 あの、そもそもの話ですが、私が一番の被害者なのだから会議に混ぜてください……。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

白い結婚はそちらが言い出したことですわ

来住野つかさ
恋愛
サリーは怒っていた。今日は幼馴染で喧嘩ばかりのスコットとの結婚式だったが、あろうことかバーティでスコットの友人たちが「白い結婚にするって言ってたよな?」「奥さんのこと色気ないとかさ」と騒ぎながら話している。スコットがその気なら喧嘩買うわよ! 白い結婚上等よ! 許せん! これから舌戦だ!!

あなたに愛や恋は求めません

灰銀猫
恋愛
婚約者と姉が自分に隠れて逢瀬を繰り返していると気付いたイルーゼ。 婚約者を諫めるも聞く耳を持たず、父に訴えても聞き流されるばかり。 このままでは不実な婚約者と結婚させられ、最悪姉に操を捧げると言い出しかねない。 婚約者を見限った彼女は、二人の逢瀬を両親に突きつける。 貴族なら愛や恋よりも義務を優先すべきと考える主人公が、自分の場所を求めて奮闘する話です。 R15は保険、タグは追加する可能性があります。 ふんわり設定のご都合主義の話なので、広いお心でお読みください。 24.3.1 女性向けHOTランキングで1位になりました。ありがとうございます。

理想の女性を見つけた時には、運命の人を愛人にして白い結婚を宣言していました

ぺきぺき
恋愛
王家の次男として生まれたヨーゼフには幼い頃から決められていた婚約者がいた。兄の補佐として育てられ、兄の息子が立太子した後には臣籍降下し大公になるよていだった。 このヨーゼフ、優秀な頭脳を持ち、立派な大公となることが期待されていたが、幼い頃に見た絵本のお姫様を理想の女性として探し続けているという残念なところがあった。 そしてついに貴族学園で絵本のお姫様とそっくりな令嬢に出会う。 ーーーー 若気の至りでやらかしたことに苦しめられる主人公が最後になんとか幸せになる話。 作者別作品『二人のエリーと遅れてあらわれるヒーローたち』のスピンオフになっていますが、単体でも読めます。 完結まで執筆済み。毎日四話更新で4/24に完結予定。 第一章 無計画な婚約破棄 第二章 無計画な白い結婚 第三章 無計画な告白 第四章 無計画なプロポーズ 第五章 無計画な真実の愛 エピローグ

聖女は妹ではありません。本物の聖女は、私の方です

光子
恋愛
私の双子の妹の《エミル》は、聖女として産まれた。 特別な力を持ち、心優しく、いつも愛を囁く妹は、何の力も持たない、出来損ないの双子の姉である私にも優しかった。 「《ユウナ》お姉様、大好きです。ずっと、仲良しの姉妹でいましょうね」 傍から見れば、エミルは姉想いの可愛い妹で、『あんな素敵な妹がいて良かったわね』なんて、皆から声を掛けられた。 でも違う、私と同じ顔をした双子の妹は、私を好きと言いながら、執着に近い感情を向けて、私を独り占めしようと、全てを私に似せ、奪い、閉じ込めた。 冷たく突き放せば、妹はシクシクと泣き、聖女である妹を溺愛する両親、婚約者、町の人達に、酷い姉だと責められる。 私は妹が大嫌いだった。 でも、それでも家族だから、たった一人の、双子の片割れだからと、ずっと我慢してきた。 「ユウナお姉様、私、ユウナお姉様の婚約者を好きになってしまいました。《ルキ》様は、私の想いに応えて、ユウナお姉様よりも私を好きだと言ってくれました。だから、ユウナお姉様の婚約者を、私に下さいね。ユウナお姉様、大好きです」  ――――ずっと我慢してたけど、もう限界。 好きって言えば何でも許される免罪符じゃないのよ? 今まで家族だからって、双子の片割れだからって我慢してたけど、もう無理。 丁度良いことに、両親から家を出て行けと追い出されたので、このまま家を出ることにします。 さようなら、もう二度と貴女達を家族だなんて思わない。 泣いて助けを求めて来ても、絶対に助けてあげない。 本物の聖女は私の方なのに、馬鹿な人達。 不定期更新。 この作品は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。

さようなら、家族の皆さま~不要だと捨てられた妻は、精霊王の愛し子でした~

みなと
ファンタジー
目が覚めた私は、ぼんやりする頭で考えた。 生まれた息子は乳母と義母、父親である夫には懐いている。私のことは、無関心。むしろ馬鹿にする対象でしかない。 夫は、私の実家の資産にしか興味は無い。 なら、私は何に興味を持てばいいのかしら。 きっと、私が生きているのが邪魔な人がいるんでしょうね。 お生憎様、死んでやるつもりなんてないの。 やっと、私は『私』をやり直せる。 死の淵から舞い戻った私は、遅ればせながら『自分』をやり直して楽しく生きていきましょう。

妹に婚約者を奪われ、屋敷から追放されました。でもそれが、私を虐げていた人たちの破滅の始まりでした

水上
恋愛
「ソフィア、悪いがお前との婚約は破棄させてもらう」 子爵令嬢である私、ソフィア・ベルモントは、婚約者である子爵令息のジェイソン・フロストに婚約破棄を言い渡された。 彼の隣には、私の妹であるシルビアがいる。 彼女はジェイソンの腕に体を寄せ、勝ち誇ったような表情でこちらを見ている。 こんなこと、許されることではない。 そう思ったけれど、すでに両親は了承していた。 完全に、シルビアの味方なのだ。 しかも……。 「お前はもう用済みだ。この屋敷から出て行け」 私はお父様から追放を宣言された。 必死に食い下がるも、お父様のビンタによって、私の言葉はかき消された。 「いつまで床に這いつくばっているのよ、見苦しい」 お母様は冷たい言葉を私にかけてきた。 その目は、娘を見る目ではなかった。 「惨めね、お姉さま……」 シルビアは歪んだ笑みを浮かべて、私の方を見ていた。 そうして私は、妹に婚約者を奪われ、屋敷から追放された。 途方もなく歩いていたが、そんな私に、ある人物が声を掛けてきた。 一方、私を虐げてきた人たちは、破滅へのカウントダウンがすでに始まっていることに、まだ気づいてはいなかった……。

(完)「あたしが奥様の代わりにお世継ぎを産んで差し上げますわ!」と言うけれど、そもそも夫は当主ではありませんよ?

青空一夏
恋愛
夫のセオは文官。最近は部署も変わり部下も増えた様子で帰宅時間もどんどん遅くなっていた。 私は夫を気遣う。 「そんなに根を詰めてはお体にさわりますよ」 「まだまだやらなければならないことが山積みなんだよ。新しい部署に移ったら部下が増えたんだ。だから、大忙しなのさ」 夫はとても頑張り屋さんだ。それは私の誇りだった……はずなのだけれど?

わたくしは、すでに離婚を告げました。撤回は致しません

絹乃
恋愛
ユリアーナは夫である伯爵のブレフトから、完全に無視されていた。ブレフトの愛人であるメイドからの嫌がらせも、むしろメイドの肩を持つ始末だ。生来のセンスの良さから、ユリアーナには調度品や服の見立ての依頼がひっきりなしに来る。その収入すらも、ブレフトは奪おうとする。ユリアーナの上品さ、審美眼、それらが何よりも価値あるものだと愚かなブレフトは気づかない。伯爵家という檻に閉じ込められたユリアーナを救ったのは、幼なじみのレオンだった。ユリアーナに離婚を告げられたブレフトは、ようやく妻が素晴らしい女性であったと気づく。けれど、もう遅かった。

処理中です...