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14話 嘘はついていないんで

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「ソフィアの考えていることはよくわかっているつもりだ。離婚前にサーヴィン君が重大な責任を追うようなことがあれば、連帯責任を負わなければならないとでも思っているのだろ?」

「ご名答……」
「それは全くもって問題ない。それも事前に手は打ってある。むしろこのまま進めればソフィアの評価も若干上がる。多分」

 私の評判だったら、元々ヤンチャだしどう思われているかなんて分かってはいるから良い。ただ、お父様が何を企んでいるのかが全くわからない。
 ロミオ様も首を傾げているくらいだ。

「……これはそれなりの情報共有が必要かもしれませんな」
「そうだろう、そのためにきたのだ。まず、娘から聞いたのだが、ロミオ君名義でソフィア宛に送ったという手紙、あれはもうサーヴィン君の元へ届いているのか?」
「早朝には届いているかと。ソフィア令嬢の心境を本人に語っていただき私が自筆した文章になりますがね」

 確か、このように書いてもらったはずだ。

『ソフィアへ
 私は真剣に色々と考えている。
 そこでだ。
 そろそろ愛人としての関係は止めよう。
 男爵とは離婚できないだろうか?
 勿論、男爵が立派なのは承知の上だが、私はもう考えるだけで我慢ができない。
 返答は王宮にて待つ。
 ソフィア……』

 だが、これは断片的な文章であって、最初の宛名以外を要約するとこうなる。

『私は真剣にサーヴィンの考え方や女たらしに許せない。更に愛人として堂々とラランカを連れてこられたことで、考えている。
 そこでだ。
 サーヴィンとラランカとの愛人関係をやめて欲しいと願う。
 それもダメなら私はサーヴィンと離婚できないだろうか?
 勿論、あなたが表向きには立派な男爵として偽り続けているのは承知の上だが、私はもう考えるだけで我慢ができない。
 もしもこの手紙をサーヴィンが法を破り読んでしまうようならば、あなたの返答は王宮で待とうではないか。
 ソフィア=ハイマーネ』


 自分宛に考えた文章はかなり雑だが、偽りはない。

 何度も口説くいうが、これは私宛への手紙だし、そもそも何を書こうが自由だ。

 私がこのとき、サーヴィンとは離婚したいという気持ちでしたという日記のような形で書いただけに過ぎない。

 勿論、サーヴィンが開封するなど想定はしていないということにしている。

「はっはっは! 書いた文章をソフィアにも教えてもらったが、全くもって面白いことをする……。おそらくは何も知らずにあの男は封を開けて読むだろう……」

 流石にいくらなんでも他人の郵送物を勝手に開封するとは思わないが……。
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