1 / 28
ルリナは動物が大好き
しおりを挟む
公爵邸の庭には、木がたくさん茂った森のようなところがある。
ここは公爵家の人間もほとんど管理していないため、昼間は私ルリナの憩いの場として使っている。
「あー、あったあった! これでしばらく生きていける~」
森の中でごちそうを見つけた。
美味しい食べ物もたくさん眠っている。
よいしょ、と木に登って木の実を回収した。
あまりにも美味しそうだったため、私の口からはよだれが出てしまう。
今にも千切れてしまいそうなボロボロの服でよだれを拭いてから、木の実をそのまま口の中へ入れた。
少し堅いが、あまりにも感動してしまいつい声に出てしまった。
「うんまーーー! あ、小鳥さんもこんにちは」
『ピイイイイイーー!!』
どうやら木の実を食べたがっているようだったため、回収した木の実を小鳥に分けた。
すると、勢いよくクチバシで突っついて美味しそうに食べている。
友達の楽しそうな顔を見れたし、今日はなんて良い日なのだろう。
私のお腹も少しは満たされたため、木から降りたときだった。
「やっと見つけた。まったく……、ルリナ義姉様ったらこんなところでなにをしているのかしら……」
義妹のシャインは腕を組みながら、まるで害虫を見るような表情で私を見てきた。
まさか木の実をコッソリ食べていたことがバレてしまったのではないかと思い、私は青ざめる。
与えられた食事以外を食べてることに対して怒られたらどうしよう。
「え、えぇと、体力づくり」
「はぁん? こーんなところで運動するしかできないなんて、おかわいそうなこと。それに公爵令嬢が木登りだなんて、はしたないったらありゃしない」
公爵令嬢の立場って言われてもピンとこない。
私の住処は、物心がついたころからずっと庭にあるゴミ捨て場。
毎日一度だけ家で働いている人が食事を運んでくれているが、全然お腹が満たされない。
そこで、この広い庭のどこかでおいしいご飯がないか探すようになったところ、森の中でごちそうを発見したのだ。
木登りだって生きていくためだから許してほしい。
「ところで、シャインは元気にしていた? ずいぶんと背が伸びたよね」
「バカにしないでほしいですわ」
それを聞いてホッとした。
私はお父様から『事情によって大人になるまでは家に入れることはできぬ、公爵邸の庭で好き勝手に生活せよ』と命じられていた。
その証拠にご飯だってしっかり届けてくれている。
ただ、最近食料不足なのかな……。
肉の骨だったり、魚の身が削られてこれもまたほとんど骨だったり……。
誰かの食べ残しみたいなものが毎回提供されるようになった。
「ルリナ義姉様ほど無能なおバカさんは傑作モノですわ。きっと明日の交流会で大恥をかいて噂以上の女だったとバカにされるといいですわ」
「こうりゅーかい?」
「詳しくはお父様から聞けばよろしいですわ。私は家の中へ案内するように命じられて仕方なく来てあげただけなので」
おぉ、私はいつの間にか大人になっていたのか。
ついに公爵邸の家の中へ入れるんだ。
一体なにがあるんだろう。
ワクワクしながらシャインのあとをついていく。
ここは公爵家の人間もほとんど管理していないため、昼間は私ルリナの憩いの場として使っている。
「あー、あったあった! これでしばらく生きていける~」
森の中でごちそうを見つけた。
美味しい食べ物もたくさん眠っている。
よいしょ、と木に登って木の実を回収した。
あまりにも美味しそうだったため、私の口からはよだれが出てしまう。
今にも千切れてしまいそうなボロボロの服でよだれを拭いてから、木の実をそのまま口の中へ入れた。
少し堅いが、あまりにも感動してしまいつい声に出てしまった。
「うんまーーー! あ、小鳥さんもこんにちは」
『ピイイイイイーー!!』
どうやら木の実を食べたがっているようだったため、回収した木の実を小鳥に分けた。
すると、勢いよくクチバシで突っついて美味しそうに食べている。
友達の楽しそうな顔を見れたし、今日はなんて良い日なのだろう。
私のお腹も少しは満たされたため、木から降りたときだった。
「やっと見つけた。まったく……、ルリナ義姉様ったらこんなところでなにをしているのかしら……」
義妹のシャインは腕を組みながら、まるで害虫を見るような表情で私を見てきた。
まさか木の実をコッソリ食べていたことがバレてしまったのではないかと思い、私は青ざめる。
与えられた食事以外を食べてることに対して怒られたらどうしよう。
「え、えぇと、体力づくり」
「はぁん? こーんなところで運動するしかできないなんて、おかわいそうなこと。それに公爵令嬢が木登りだなんて、はしたないったらありゃしない」
公爵令嬢の立場って言われてもピンとこない。
私の住処は、物心がついたころからずっと庭にあるゴミ捨て場。
毎日一度だけ家で働いている人が食事を運んでくれているが、全然お腹が満たされない。
そこで、この広い庭のどこかでおいしいご飯がないか探すようになったところ、森の中でごちそうを発見したのだ。
木登りだって生きていくためだから許してほしい。
「ところで、シャインは元気にしていた? ずいぶんと背が伸びたよね」
「バカにしないでほしいですわ」
それを聞いてホッとした。
私はお父様から『事情によって大人になるまでは家に入れることはできぬ、公爵邸の庭で好き勝手に生活せよ』と命じられていた。
その証拠にご飯だってしっかり届けてくれている。
ただ、最近食料不足なのかな……。
肉の骨だったり、魚の身が削られてこれもまたほとんど骨だったり……。
誰かの食べ残しみたいなものが毎回提供されるようになった。
「ルリナ義姉様ほど無能なおバカさんは傑作モノですわ。きっと明日の交流会で大恥をかいて噂以上の女だったとバカにされるといいですわ」
「こうりゅーかい?」
「詳しくはお父様から聞けばよろしいですわ。私は家の中へ案内するように命じられて仕方なく来てあげただけなので」
おぉ、私はいつの間にか大人になっていたのか。
ついに公爵邸の家の中へ入れるんだ。
一体なにがあるんだろう。
ワクワクしながらシャインのあとをついていく。
11
お気に入りに追加
1,361
あなたにおすすめの小説
【完結】中継ぎ聖女だとぞんざいに扱われているのですが、守護騎士様の呪いを解いたら聖女ですらなくなりました。
氷雨そら
恋愛
聖女召喚されたのに、100年後まで魔人襲来はないらしい。
聖女として異世界に召喚された私は、中継ぎ聖女としてぞんざいに扱われていた。そんな私をいつも守ってくれる、守護騎士様。
でも、なぜか予言が大幅にずれて、私たちの目の前に、魔人が現れる。私を庇った守護騎士様が、魔神から受けた呪いを解いたら、私は聖女ですらなくなってしまって……。
「婚約してほしい」
「いえ、責任を取らせるわけには」
守護騎士様の誘いを断り、誰にも迷惑をかけないよう、王都から逃げ出した私は、辺境に引きこもる。けれど、私を探し当てた、聖女様と呼んで、私と一定の距離を置いていたはずの守護騎士様の様子は、どこか以前と違っているのだった。
元守護騎士と元聖女の溺愛のち少しヤンデレ物語。
小説家になろう様にも、投稿しています。
貧乏男爵令嬢のシンデレラストーリー
光子
恋愛
私の家は、貧乏な男爵家だった。
ツギハギだらけの服、履き潰した靴、穴の空いた靴下、一日一食しか出ない食事……でも、私は優しい義両親と、笑顔の可愛い義弟に囲まれて、幸せだった。
――――たとえ、家の為に働きに出ている勤め先で、どんな理不尽な目に合おうと、私は家族のために一生懸命働いていた。
貧乏でも、不幸だと思ったことなんて無い。
本当の両親を失い、孤独になった私を引き取ってくれた優しい義両親や義弟に囲まれて、私は幸せ。だけど……ほんの少しだけ、悔しいと……思ってしまった。
見返したい……誰か、助けて欲しい。なんて、思ってしまったの。
まさかその願いが、現実に叶うとは思いもしなかったのに――
いかにも高級で綺麗なドレスは、私だけに作られた一点もの。シンデレラのガラスの靴のような光輝く靴に、身につけるのはどれも希少で珍しい宝石達で作られたアクセサリー。
いつもと違う私の装いを見たご令嬢は、目を丸くして、体を震わせていた。
「な……なんなんですか、その格好は……!どうして、キアナが……貴女なんて、ただの、貧乏男爵令嬢だったのに―――!」
そうですね。以前までの私は、確かに貧乏男爵令嬢でした。
でも、今は違います。
「今日ここに、我が息子フィンと、エメラルド公爵令嬢キアナの婚約を発表する!」
貧乏な男爵令嬢は、エメラルド公爵令嬢、そして、この国の第二王子であるフィン殿下の婚約者になって、貴方達とは住む世界が違ってしまいました。
どうぞ、私には二度と関わらないで下さい。
そして――――罪を認め、心から反省して下さい。
私はこのまま、華麗なシンデレラストーリーを歩んでいきます。
不定期更新。
この作品は私の考えた世界の話です。魔物もいます。魔法も使います。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
転生令嬢の婚約者様〜冷酷皇帝陛下が私を溺愛してきます
みおな
恋愛
目が覚めたら、そこは私が生きていた時代から五百年後の世界でした。
かつて男爵令嬢だった私は、子爵家の令息の幼馴染と婚約し、幸せになるはずでした。
ですが、私を見染めたという王太子殿下に、私は凌辱されました。
彼を愛していた私は殿下を許せず、舌を噛んで死んだはずなのです。
なのに、どうして私は生きているのでしょうか。
辺境伯聖女は城から追い出される~もう王子もこの国もどうでもいいわ~
サイコちゃん
恋愛
聖女エイリスは結界しか張れないため、辺境伯として国境沿いの城に住んでいた。しかし突如王子がやってきて、ある少女と勝負をしろという。その少女はエイリスとは違い、聖女の資質全てを備えていた。もし負けたら聖女の立場と爵位を剥奪すると言うが……あることが切欠で全力を発揮できるようになっていたエイリスはわざと負けることする。そして国は真の聖女を失う――
冷遇されている令嬢に転生したけど図太く生きていたら聖女に成り上がりました
富士山のぼり
恋愛
何処にでもいる普通のOLである私は事故にあって異世界に転生した。
転生先は入り婿の駄目な父親と後妻である母とその娘にいびられている令嬢だった。
でも現代日本育ちの図太い神経で平然と生きていたらいつの間にか聖女と呼ばれるようになっていた。
別にそんな事望んでなかったんだけど……。
「そんな口の利き方を私にしていいと思っている訳? 後悔するわよ。」
「下らない事はいい加減にしなさい。後悔する事になるのはあなたよ。」
強気で物事にあまり動じない系女子の異世界転生話。
※小説家になろうの方にも掲載しています。あちらが修正版です。
わたしを嫌う妹の企みで追放されそうになりました。だけど、保護してくれた公爵様から溺愛されて、すごく幸せです。
バナナマヨネーズ
恋愛
山田華火は、妹と共に異世界に召喚されたが、妹の浅はかな企みの所為で追放されそうになる。
そんな華火を救ったのは、若くしてシグルド公爵となったウェインだった。
ウェインに保護された華火だったが、この世界の言葉を一切理解できないでいた。
言葉が分からない華火と、華火に一目で心を奪われたウェインのじりじりするほどゆっくりと進む関係性に、二人の周囲の人間はやきもきするばかり。
この物語は、理不尽に異世界に召喚された少女とその少女を保護した青年の呆れるくらいゆっくりと進む恋の物語である。
3/4 タイトルを変更しました。
旧タイトル「どうして異世界に召喚されたのかがわかりません。だけど、わたしを保護してくれたイケメンが超過保護っぽいことはわかります。」
3/10 翻訳版を公開しました。本編では異世界語で進んでいた会話を日本語表記にしています。なお、翻訳箇所がない話数には、タイトルに 〃 をつけてますので、本編既読の場合は飛ばしてもらって大丈夫です
※小説家になろう様にも掲載しています。
聖人の番である聖女はすでに壊れている~姉を破壊した妹を同じように破壊する~
サイコちゃん
恋愛
聖人ヴィンスの運命の番である聖女ウルティアは発見した時すでに壊れていた。発狂へ導いた犯人は彼女の妹システィアである。天才宮廷魔術師クレイグの手を借り、ヴィンスは復讐を誓う。姉ウルティアが奪われた全てを奪い返し、与えられた苦痛全てを返してやるのだ――
『完結』孤児で平民の私を嫌う王子が異世界から聖女を召還しましたが…何故か私が溺愛されています?
灰銀猫
恋愛
孤児のルネは聖女の力があると神殿に引き取られ、15歳で聖女の任に付く。それから3年間、国を護る結界のために力を使ってきた。
しかし、彼女の婚約者である第二王子はプライドが無駄に高く、平民で地味なルネを蔑み、よりよい相手を得ようと国王に無断で聖女召喚の儀を行ってしまう。
高貴で美しく強い力を持つ聖女を期待していた王子たちの前に現れたのは、確かに高貴な雰囲気と強い力を持つ美しい方だったが、その方が選んだのは王子ではなくルネで…
平民故に周囲から虐げられながらも、身を削って国のために働いていた少女が、溺愛されて幸せになるお話です。
世界観は独自&色々緩くなっております。
R15は保険です。
他サイトでも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる