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シャーリャ王女の相談

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 私にとってはタイミングが良すぎだった。
 シャーリャ王女から会いたいと連絡がきたのである。

 公爵様たちから感謝されてしまい、婚約破棄の環境が作りづらくなったことを報告しなければ。

「じゃ、行ってきます」
「ミリアナよ……、フィッカルオ公爵家については無事にことが済んだこと……いや、むしろ功績を作ったことについては認める。だが、あくまで公爵様が温厚なお方であるからこそだ」

 お父様が偉そうな態度でそう言ってくる。
 まるで、娘の手柄は俺のものだみたいなことを言いたげな感じだった。
 とは思っても、偶然そうなっちゃっただけだからあまり気にはしていない。

「今回は王女様からのご命令なのだぞ。絶対に粗相を起こさないように!」
「はい、最善は尽くします」
「はぁ……。私まで胃が痛くなりそうだ。しかも、サムマーリ男爵の娘と今も会っているそうではないか」
「アエルは私の親友なので、会うなと言われましても会います」

 このタイミングでお父様が口をだせそうな相手に照準を合わせてきた。
 王女やレインハルト様に関してはなにも言えないだろうけれど、アエルに関してとなると、途端に態度がでかくなる。
 こういうところが嫌なのだ。

「何度も言うが、底辺貴族の者と関わるくらいなら王族の人間と関係を深くなれるよう努力したまえ」
「約束の時間になっちゃうんで、行ってきます」

 命令は無視して話を切り上げた。
 シャーリャ王女の指定どおり王宮を目指して馬車に乗った。

 ♢

「ごきげんよう、ミリアナさん」
「このたびは、おまねきくださりアリガトウゴザイマス」

 感情は出さないようにしたが、心のこもってない挨拶をしてしまった。
 レインハルト様がシャーリャ王女のことが好きだと知った日と比べて、今の方がレインハルト様をもっともっと好きになってしまっている。
 本音としては王女に取られたくはない。
 そんな感情がもろに出てしまったのだ。

 だが、レインハルト様の幸せを考えたら私は身を引かなければならない。
 辛すぎて胃が痛くなりそうだ。
 特に、シャーリャ王女と直接対面しているときは、その感情がもろに出てしまう。

 さっさとシャーリャ王女の要件を聞いてから、こちらの相談をして早急に帰ることにした。

「さっそくですが、今日お招きしていただいた理由をお伺いしてもよろしいですか?」
「実は……」

 シャーリャ王女は言葉がつまり、長い沈黙が続いた。
 シャーリャ王女の様子が変だ。

「相談したいことがありますの」
「私にですか……。表情も悪そうですし、深刻な悩みなのでしょう……」

 そもそも、皇女様ともあろうお方が私を呼び出してまで相談なんてよほどのことなのだろう。
 私が相談する件については一旦後回しにしておくか。

「まずはミリアナさんに謝らないといけませんわね。この前は言いすぎました。申し訳ございません」
「へ!?」
「私が言ってしまった件は白紙にしたいのです」

 なんと、シャーリャ王女が頭を下げてきた。
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