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第三章

ドラゴンと戦闘

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「石化!」

 フィリムの目から放たれた光がドラゴンが飛ぶための翼だけを捉え一点集中でヒットする。

『ゴギャアアアアアア!!?』

 見事だ。
 無事に翼だけは石化され、飛行が不可能になったドラゴンが垂直に落ちていく。

 しかも、フィリムは落ちる先も考慮して、被害が出にくい場所を考えた上で放ってくれたのだ。

「ありがとうフィリム! 後は俺がなんとかする!」
「そう……無理しないでね……」

 フィリムはかなり疲れている様子だ。
 顔からは汗が出ているし、表情もよろしくない。
 相当無理してしまったのだろう。

「待っててくれ。倒したらすぐにフィリムに回復薬を与えるからな。とにかくまずはアイツをやってみるか」
「レイス……死んじゃ嫌よ!」

 それは俺のセリフだ。
 さっきまで命をかけて石化させようとしていたくせに……。

「大丈夫だ。魔眼の力はほんの少ししか使わない。アイツを転移させるだけの大きい門を出すだけだからな」
「何……? 大丈夫なの!?」
「まあ見ていろ」

 俺は距離が離れているドラゴンに向けて魔眼を使う体制をとった。

「転移!!」

 ドラゴンは相当な大きさだ。
 だが、それが今回は相手の弱点にもなる。

 ドラゴンの地面いっぱいに巨大な転移門を作った。
 そして、ドラゴンは抵抗もできずに門の中へ落ち、姿を消した。

「え!? 地面にもできるの!?」
 フィリムは目を開けるのがやっとの状況だ。

「ごめん、とりあえずヨハネスから貰っていたエリクサーだ」
「そんな高級なものを私なんかに……」
「良いから飲め。飲まないならこのまま捨てるぞ?」

 勿論そんなことをする気はないが、そうでも言わないとフィリムは受け取ってくれない。
 エリクサーは俺の知っている限りでは最強の回復薬で、主にギルドランクS級冒険者が持っている高級品である。
 フィリムは、ドラゴン本体に魔眼を限界近くまで使ってくれたんだから飲んで当然だ。

「ありがとう……」
 すぐに瓶を空けてゴクゴクと飲み干した。

 さすが怪我も疲労も魔力さえも全回復できるエリクサーだ。
 魔眼のエネルギーにも効くのかは半信半疑だったが、これにも効果があるようだな。
 みるみるうちに顔色が良くなっていくし、おそらく疲労も吹っ飛んだのだろう。

「もう大丈夫! でもねレイス……。どこに転移させたのよ? あんな奴放って置いたら他の場所でも被害が」
「あぁ、もうすぐ奴は帰ってくるだろうな」
「は!?」

 フィリムは驚きながらも不安と恐怖をあらわにしている。
「はるか上空を見てみろ」
「え!? 空!?」

 俺が指をさした方角の空を一緒に見上げる。

「そろそろだと思うが……」
「あーーー!!」

 フィリムが大声で驚くのも無理はないか。
 空からドラゴンが炎を無差別に吐きまくりながら落下しているのだから。

 やがて……。

 ──ドッグオオオォォォォォォォーーーーーーーン!!!!

 激しい地響きがこちらにまできた。
 まるでフリザス王子が放ったような拳の響きのようである。
 しばらくドラゴンが動かないことを確認した。


ーーーーーーーーーーーーー

ここまで長い間ご覧いただきありがとうございます。
更新が不定期になってしまいましたが、こちらは完結まで書く作品ですので、気長にお待ちいただけたら幸いです。

新作を投稿しましたのでお知らせ致します。

『無能聖女と呼ばれ婚約破棄された私ですが砂漠の国で溺愛されました』

こちらも是非宜しくお願い致します。
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