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華やぐ青春の香り
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「誓先輩めっちゃかわいいですね。」
「冰澄くん!かっこいいといいたまえ!この俺が!このイケメンが猫耳なおかつウエイターなのだから!」
「あ、はい、かっこいいです。」
「冰澄くん!引かないで!」
丸いお盆を二人持ったままそんな会話をしていると不意に横からカシャっというカメラの音がした。
「明人、撮影料金取るぞ。」
「かわいい、のが二匹いる。」
「そういえば明人先輩、動物とかぬいぐるみ好きですもんね。」
「かわいい」
「やーめーろー!くっつくなー!!」
誓先輩に抱きついた明人先輩は離す様子はなく誓先輩を抱きくるめていた。
___西乃芽山学園、学園祭当日、天気は暑いくらいの晴天。
「先輩たち大丈夫か……?」
教室に残してきた先輩二人を思いながら校舎の人がごった返す中を看板を支えながら歩く、この時間帯、俺は呼び込み当番に当たっているため一人別行動になっている。
「はぁ……よし!2-A二階でケモミミカフェやってますー!自称イケメンの人もいますよー!」
俺が勇気を出してそう叫べば女子数人が振り返った。
そして俺の方にかけてきた。
「あの二階のどの辺ですか?」
「そこの階段を上がってすぐ右手の教室です」
「ありがとうございます!」
「いえいえ」
女子数人グループは、きゃっきゃと言いながら階段を上がっていった。
結構自称イケメンは効果があるらしい。
人がごった返してきた廊下を見て俺は校門のあるグラウンドに足を進めた。
「わ!かわいいー、ケモミミカフェだって行こー!」
「あの子すっごい可愛いわね。」
俺を見て女の人2人が校舎に入っていった。会話が聞こえてきたので少し照れくさい。
「2-Aー!二階でケモミミカフェやってまーす!自称イケメンもいますよー!」
「冰澄お前どんな宣伝文句だよ」
「お疲れ~」
「お疲れ!買い出し?」
クラスの男子が両手にスーパーのレジ袋を下げながら声をかけてきた。たしか調理グループだ。
「おう。結構繁盛してるぞ。いきなり客増えてびくったけど」
「客も増えるわけだ、なんてたって冰澄が呼び込みしてんだもんな。」
「もう冷やかすな!」
「がんばれよー」
「そっちもな」
クラスメイトに手を振って別れてから、グラウンドに出た。各店の呼び込みと屋台が出ている。
「2-Aケモミミカフェしてます!二階階段右手でーす!」
暑いなと思いながら声を張り上げた。ウサギの耳はピンと立っているからマシだ。たしかクラスメイトの一人がウサギの垂れ耳をやってて暑そうにしてた。
「2-Aケモミミカフェやって…」
「わ!めっちゃかわいー。」
「うさぎかぁ、いいね。」
「やっぱ西乃芽山レベルたけぇわ。」
「こんにちわー」
男の人三人が声をかけてきたのでとりあえず挨拶をした。
「男の子~?にしてはすごいかわいいね。」
「男です。」
「細いねー」
「今は呼び込み中?休憩とかないの?」
話してて、少しおかしいなと思った。そういえば誓先輩から休憩時間と休憩の有無について聞かれたら軽く流して逃げろと、ナンパだからと。
……ナンパ!?
まさか男にナンパされるなんて。
とは言え、ぼーっと突っ立ってるわけにもいかない。
「えっと休憩はほとんどないです。」
「大変だね。サボっちゃおうとか思わないの?」
一人の男の人が俺の腰に手を回してきた。
内心すごく気持ち悪い。
さっと顔から血の気が引いていくのが自分でもわかった。張り倒して問題を起こせばクラスの皆にも迷惑が掛かってしまう。
「せっかくの学園祭なんだしさ。」
「そうそうせっかくの…」
「そぉね。せっかくの学園祭なんだからね。
てめぇらだってどっかの骨おりたくねーよな?」
短い悲鳴の後、ビキビキという音が聞こえた。俺の腰に回されていた手は消えていた。
「おいコラァ、てめぇら捻り倒すぞゴラァ」
「梅さん、楓さん!?」
すごい形相の梅さんが来た瞬間男の人三人は逃げるように走り去った。
「あらぁ、根性のないガキどもね。まったく。」
「冰澄大丈夫か?お前そんなかわいい格好で歩いてたらナンパされるに決まってんだろ。」
「俺呼び込み係ですから。」
「じゃあきっと大繁盛ね。」
楓さんは相変わらずスラットした体型で男だなんて微塵も思わない。
「お二人ともきたんですね。」
「ああ、軽音部みねーとな。楓はちょっと理由が違うけどよ。」
「うふふ、あたしだってもちろん軽音部とケモミミカフェのために来たのもあるわよ。でも一番は今年あの子が西乃芽山受験するから下見にね。」
「あの子?」
楓さんの言葉に首をかしげると大きな手が俺の頭を撫でた。
「うちの子よ。この前話した養子の。今年受験なの。西乃芽山に入って軽音部に入りたいんですって。」
「うちにですか?」
「ええ。今日は学校の勉強会で来れなかったけど。あの子去年からあなたたちのファンなのよ。」
「……嬉しいな」
「嬉しそうな顔しやがって。かわいいなクソ」
「やだっ!店長セクハラ!」
「頭撫でてただけだっつーの!!」
二人の会話に思わず笑みがこぼれた。
「誓くんたちは教室?」
「はい!二階の中央階段右手です!」
「ありがと。行ってみるわ。ほら店長行くわよ。」
「また冰澄がナンパされたらどうすんだ!」
「冰澄くんは仕事でしょぉー。邪魔しないのぉ」
楓さんにひきづられて校舎の中に消えていった店長に小さく手を振っておいた。
もう時間は11時を回っている。今から一番混む時間だし、2時からは軽音部のライブがある。
今日は疲れそうだ。
「冰澄くーん、お疲れ~」
「お疲れ様ですー!」
通りすがった担任に軽く頭を下げてから看板を持ち直した。
「2-Aでケモミミカフェやってまーす!自称イケメンもいますよー!休憩したい方はどうぞ二階中央階段右手の2-Aへ!」
「冰澄くん!お疲れ~。めっちゃ似合ってる!」
「わぁ冰澄くんかわいい!」
「ありがとう、二人は休憩?」
「うんそうだよー!」
クラスの女子だ。一人は副委員長をやっててもう一人も風紀委員をしている。持っている紙皿を見る限りお店を回ってたんだ。
「どう?今年は去年よりお店多いでしょ?」
「うんすっごい多いよ!あ!からあげあーんしてあげる!」
「ちょっと栞ずるい!あたしポテトあーんする!」
「ありがとう順番にしてくれたら嬉しい」
結局先に副委員長からからあげを貰ってそのあと風紀委員の吉田さんからポテトを貰った。
「疲れたら遠慮なく休憩してね!」
「ちゃんと水分もとってね!」
「うん、ありがと。二人も頑張ってね」
「「やだ!もうかわいい!!」」
二人はそう叫ぶと駆け足で校舎に入っていった。
呼び込み係をしていると本当にいろんな人に出会う。結構楽しいけどみんな呼び込み係はあまりやりたくない。
その一つの理由は、ナンパで、もう一つは、
そう今俺の前でも泣いてる子供のよう迷子だ。
「どうしたの?大丈夫?」
まだ4、5歳くらいだろう、女の子が目一杯に涙をためて泣いている。この人の多さできっと親と離れたんだろう。
「お母さんと来たの?」
目線までしゃがんでみると少しは泣き止んだみたいだ。
「お兄ちゃんときたの」
「お兄ちゃん?そっかお兄ちゃんはここの学校の人?」
「うん、でもいっしょにきたのはそつぎょーせいのお兄ちゃん」
どうやら在学生にも兄がいるらしい。
「じゃあ3人兄弟?」
「うん」
女の子は少しだけ笑みをこぼした。
こんなに小さい子とはぐれたなら一緒に来たお兄さんは、きっと血相変えて探してるはずだ。
一度探してみようかな。
「じゃあ、お兄ちゃん探しに行く?俺もついて行ったげるから」
「ありがとうウサギさん!」
「ウサ……どういたしまして」
看板を片手に抱え女の子と手をつなぐ。
「おにいちゃんはね、髪が短いの」
「背はどのくらい大きい?俺くらい?」
「ううん、ウサギさんより大きいよ!」
なんだろうすごく自分が小さいと言われた気がした。
女の子は、きょろきょろ見渡しているが見つからないらしい。
「おにいちゃんいない」
「大丈夫だよ。お兄ちゃんきっと探してるよ。」
声をかけるがそれでもやはり寂しいらしく泣きそうになっている。
どうしようか迷った挙句、とりあえず綿菓子を買ってみた。
「はい、泣かないでいい子だから」
「わたがしだー!ありがとうウサギさん!ウサギさんやさしいしかっこいいー!」
「あ、ありがとう」
かっこいいなんて今日はじめて言われたからちょっと心がくすぐられてしまった。
「あ!お兄ちゃん!!」
「咲!ああよかった…」
「お兄さんですか?迷子になってたみたいなので」
「すみません本当にありがとうございます。」
「いえいえ。」
「お兄ちゃん!ウサギさんねわたがしくれた!」
「え!?すみませんお金払います!」
「いえいえいいですよ。生徒は五枚くらいは無料券持ってるんで気にしないでください!あ!でも今から昼にかけて人が多くなってきますので妹さんの手はしっかり握ってあげてください。」
「本当にすみません。ありがとうございました。」
「ウサギさんありがとー!」
「いえいえどういたしまして」
お兄さんに手を引かれながら去っていく咲ちゃんに手を振った。
最後の最後で名前を知れた。
「さ!頑張ろう」
看板を持ち直しながら小さく呟いた。
「冰澄くん!かっこいいといいたまえ!この俺が!このイケメンが猫耳なおかつウエイターなのだから!」
「あ、はい、かっこいいです。」
「冰澄くん!引かないで!」
丸いお盆を二人持ったままそんな会話をしていると不意に横からカシャっというカメラの音がした。
「明人、撮影料金取るぞ。」
「かわいい、のが二匹いる。」
「そういえば明人先輩、動物とかぬいぐるみ好きですもんね。」
「かわいい」
「やーめーろー!くっつくなー!!」
誓先輩に抱きついた明人先輩は離す様子はなく誓先輩を抱きくるめていた。
___西乃芽山学園、学園祭当日、天気は暑いくらいの晴天。
「先輩たち大丈夫か……?」
教室に残してきた先輩二人を思いながら校舎の人がごった返す中を看板を支えながら歩く、この時間帯、俺は呼び込み当番に当たっているため一人別行動になっている。
「はぁ……よし!2-A二階でケモミミカフェやってますー!自称イケメンの人もいますよー!」
俺が勇気を出してそう叫べば女子数人が振り返った。
そして俺の方にかけてきた。
「あの二階のどの辺ですか?」
「そこの階段を上がってすぐ右手の教室です」
「ありがとうございます!」
「いえいえ」
女子数人グループは、きゃっきゃと言いながら階段を上がっていった。
結構自称イケメンは効果があるらしい。
人がごった返してきた廊下を見て俺は校門のあるグラウンドに足を進めた。
「わ!かわいいー、ケモミミカフェだって行こー!」
「あの子すっごい可愛いわね。」
俺を見て女の人2人が校舎に入っていった。会話が聞こえてきたので少し照れくさい。
「2-Aー!二階でケモミミカフェやってまーす!自称イケメンもいますよー!」
「冰澄お前どんな宣伝文句だよ」
「お疲れ~」
「お疲れ!買い出し?」
クラスの男子が両手にスーパーのレジ袋を下げながら声をかけてきた。たしか調理グループだ。
「おう。結構繁盛してるぞ。いきなり客増えてびくったけど」
「客も増えるわけだ、なんてたって冰澄が呼び込みしてんだもんな。」
「もう冷やかすな!」
「がんばれよー」
「そっちもな」
クラスメイトに手を振って別れてから、グラウンドに出た。各店の呼び込みと屋台が出ている。
「2-Aケモミミカフェしてます!二階階段右手でーす!」
暑いなと思いながら声を張り上げた。ウサギの耳はピンと立っているからマシだ。たしかクラスメイトの一人がウサギの垂れ耳をやってて暑そうにしてた。
「2-Aケモミミカフェやって…」
「わ!めっちゃかわいー。」
「うさぎかぁ、いいね。」
「やっぱ西乃芽山レベルたけぇわ。」
「こんにちわー」
男の人三人が声をかけてきたのでとりあえず挨拶をした。
「男の子~?にしてはすごいかわいいね。」
「男です。」
「細いねー」
「今は呼び込み中?休憩とかないの?」
話してて、少しおかしいなと思った。そういえば誓先輩から休憩時間と休憩の有無について聞かれたら軽く流して逃げろと、ナンパだからと。
……ナンパ!?
まさか男にナンパされるなんて。
とは言え、ぼーっと突っ立ってるわけにもいかない。
「えっと休憩はほとんどないです。」
「大変だね。サボっちゃおうとか思わないの?」
一人の男の人が俺の腰に手を回してきた。
内心すごく気持ち悪い。
さっと顔から血の気が引いていくのが自分でもわかった。張り倒して問題を起こせばクラスの皆にも迷惑が掛かってしまう。
「せっかくの学園祭なんだしさ。」
「そうそうせっかくの…」
「そぉね。せっかくの学園祭なんだからね。
てめぇらだってどっかの骨おりたくねーよな?」
短い悲鳴の後、ビキビキという音が聞こえた。俺の腰に回されていた手は消えていた。
「おいコラァ、てめぇら捻り倒すぞゴラァ」
「梅さん、楓さん!?」
すごい形相の梅さんが来た瞬間男の人三人は逃げるように走り去った。
「あらぁ、根性のないガキどもね。まったく。」
「冰澄大丈夫か?お前そんなかわいい格好で歩いてたらナンパされるに決まってんだろ。」
「俺呼び込み係ですから。」
「じゃあきっと大繁盛ね。」
楓さんは相変わらずスラットした体型で男だなんて微塵も思わない。
「お二人ともきたんですね。」
「ああ、軽音部みねーとな。楓はちょっと理由が違うけどよ。」
「うふふ、あたしだってもちろん軽音部とケモミミカフェのために来たのもあるわよ。でも一番は今年あの子が西乃芽山受験するから下見にね。」
「あの子?」
楓さんの言葉に首をかしげると大きな手が俺の頭を撫でた。
「うちの子よ。この前話した養子の。今年受験なの。西乃芽山に入って軽音部に入りたいんですって。」
「うちにですか?」
「ええ。今日は学校の勉強会で来れなかったけど。あの子去年からあなたたちのファンなのよ。」
「……嬉しいな」
「嬉しそうな顔しやがって。かわいいなクソ」
「やだっ!店長セクハラ!」
「頭撫でてただけだっつーの!!」
二人の会話に思わず笑みがこぼれた。
「誓くんたちは教室?」
「はい!二階の中央階段右手です!」
「ありがと。行ってみるわ。ほら店長行くわよ。」
「また冰澄がナンパされたらどうすんだ!」
「冰澄くんは仕事でしょぉー。邪魔しないのぉ」
楓さんにひきづられて校舎の中に消えていった店長に小さく手を振っておいた。
もう時間は11時を回っている。今から一番混む時間だし、2時からは軽音部のライブがある。
今日は疲れそうだ。
「冰澄くーん、お疲れ~」
「お疲れ様ですー!」
通りすがった担任に軽く頭を下げてから看板を持ち直した。
「2-Aでケモミミカフェやってまーす!自称イケメンもいますよー!休憩したい方はどうぞ二階中央階段右手の2-Aへ!」
「冰澄くん!お疲れ~。めっちゃ似合ってる!」
「わぁ冰澄くんかわいい!」
「ありがとう、二人は休憩?」
「うんそうだよー!」
クラスの女子だ。一人は副委員長をやっててもう一人も風紀委員をしている。持っている紙皿を見る限りお店を回ってたんだ。
「どう?今年は去年よりお店多いでしょ?」
「うんすっごい多いよ!あ!からあげあーんしてあげる!」
「ちょっと栞ずるい!あたしポテトあーんする!」
「ありがとう順番にしてくれたら嬉しい」
結局先に副委員長からからあげを貰ってそのあと風紀委員の吉田さんからポテトを貰った。
「疲れたら遠慮なく休憩してね!」
「ちゃんと水分もとってね!」
「うん、ありがと。二人も頑張ってね」
「「やだ!もうかわいい!!」」
二人はそう叫ぶと駆け足で校舎に入っていった。
呼び込み係をしていると本当にいろんな人に出会う。結構楽しいけどみんな呼び込み係はあまりやりたくない。
その一つの理由は、ナンパで、もう一つは、
そう今俺の前でも泣いてる子供のよう迷子だ。
「どうしたの?大丈夫?」
まだ4、5歳くらいだろう、女の子が目一杯に涙をためて泣いている。この人の多さできっと親と離れたんだろう。
「お母さんと来たの?」
目線までしゃがんでみると少しは泣き止んだみたいだ。
「お兄ちゃんときたの」
「お兄ちゃん?そっかお兄ちゃんはここの学校の人?」
「うん、でもいっしょにきたのはそつぎょーせいのお兄ちゃん」
どうやら在学生にも兄がいるらしい。
「じゃあ3人兄弟?」
「うん」
女の子は少しだけ笑みをこぼした。
こんなに小さい子とはぐれたなら一緒に来たお兄さんは、きっと血相変えて探してるはずだ。
一度探してみようかな。
「じゃあ、お兄ちゃん探しに行く?俺もついて行ったげるから」
「ありがとうウサギさん!」
「ウサ……どういたしまして」
看板を片手に抱え女の子と手をつなぐ。
「おにいちゃんはね、髪が短いの」
「背はどのくらい大きい?俺くらい?」
「ううん、ウサギさんより大きいよ!」
なんだろうすごく自分が小さいと言われた気がした。
女の子は、きょろきょろ見渡しているが見つからないらしい。
「おにいちゃんいない」
「大丈夫だよ。お兄ちゃんきっと探してるよ。」
声をかけるがそれでもやはり寂しいらしく泣きそうになっている。
どうしようか迷った挙句、とりあえず綿菓子を買ってみた。
「はい、泣かないでいい子だから」
「わたがしだー!ありがとうウサギさん!ウサギさんやさしいしかっこいいー!」
「あ、ありがとう」
かっこいいなんて今日はじめて言われたからちょっと心がくすぐられてしまった。
「あ!お兄ちゃん!!」
「咲!ああよかった…」
「お兄さんですか?迷子になってたみたいなので」
「すみません本当にありがとうございます。」
「いえいえ。」
「お兄ちゃん!ウサギさんねわたがしくれた!」
「え!?すみませんお金払います!」
「いえいえいいですよ。生徒は五枚くらいは無料券持ってるんで気にしないでください!あ!でも今から昼にかけて人が多くなってきますので妹さんの手はしっかり握ってあげてください。」
「本当にすみません。ありがとうございました。」
「ウサギさんありがとー!」
「いえいえどういたしまして」
お兄さんに手を引かれながら去っていく咲ちゃんに手を振った。
最後の最後で名前を知れた。
「さ!頑張ろう」
看板を持ち直しながら小さく呟いた。
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