18 / 47
8分の1の生き甲斐
1
しおりを挟む
(視点:誓)
「ちっ」
華麗な舌打ちを吐いた冰澄を俺は、ふっと笑ってみた。
「いや、どうしたお前」
「ああ、先輩、衣装合わせできました?」
「え?…ああ、うん。てか早退じゃなかったのか?」
つい先ほど20時まで準備をしようと決定した瞬間、冰澄が少し苛立った様子で教室に入ってきた。
「クソみたいな用事でしたよ。」
珍しく冰澄が憤慨だ。
いつもはゆったりのほほんと生きてる冰澄だが、切れたらそれなりに男子高校生だ。
暴言だって吐くし…。
憤慨のまま衣装決めされてる冰澄に首をかしげた。
「冰澄…どうしたんだ?」
「さぁ、とにかくああなった冰澄は刺激しないほうがいいかも。マジギレしたら怖いし」
「?、わかった」
俺の注意を聞いた明人は、首をかしげたママクラスの輪に入っていった。
クラスの輪から少し離れた場所に冰澄が突っ立っている。
久々に寒気がした。
_____冰澄と初めて会った日、彼は窓の外の人間を見下ろして、ひどく冷たい目をしていた。そして小さく嘲笑したその声はまるで氷だったのだ。
一年にすごい歌が上手い奴がいるというから行ってみたものの、予想を超えたやつだった。冰澄はそういうやつだ。
冷たい目は、限度を知らない。
「……なんだかなぁ」
政宗とかいうやつと出会って、いい方に進むかと思ったのに、まるで悪いのが勢いを増して冰澄を食いつぶそうとしているみたいだ。
___彼の冷たい目に映っていた一台の車を見て俺はガシガシと頭を掻いた。
***********
「誓、冰澄、部室寄っていいか」
準備もそれなりに完了して教室を出たところで、明人が思い出したように声をかけた。
「おー、別にいいけど」
「忘れ物ですか?」
「あぁ……ちょっとな」
頭一個分でかい明人の横顔はどことなく楽しそうだった。
「こういうことね…」
俺は手元の真新しい、いや新品のギターに目をやりつつ、ふっと微笑んだ。
「明人ありがとぉお!!」
「先輩大好きですぅう!!」
俺と冰澄は同時に明人に飛びついた。
そしてひたすら頭を明人になすりつける。
愛情表現だ。
「あぁ、気にするな」
「明人マジ男前!」
「誓先輩の彼氏男前!」
「おい!」
冰澄は、俺と明人に同時に抱きつきながらそう言った。冗談を言えるようになったからもうそこまで憤慨じゃないらしい。
兎にも角にも、冰澄の憤慨が収まったのは、明らかに明人の持ってきたギターにある。
部室に来た瞬間、明人がプレゼントと言っては俺たち二人に一つずつ新しいギターを渡したのだ。
「ああぁ…明人、ところでこのギターはどうやって手に入れたんだ?」
早速アンプに繋いでギュイーンとか鳴らしてる冰澄を横に俺は明人に尋ねた。
「親父がやれって」
「おやっさんー!」
「親父さんありがとうございます!」
俺たちはひたすら感謝の気持ちも込めてギターを鳴らした。
「ちっ」
華麗な舌打ちを吐いた冰澄を俺は、ふっと笑ってみた。
「いや、どうしたお前」
「ああ、先輩、衣装合わせできました?」
「え?…ああ、うん。てか早退じゃなかったのか?」
つい先ほど20時まで準備をしようと決定した瞬間、冰澄が少し苛立った様子で教室に入ってきた。
「クソみたいな用事でしたよ。」
珍しく冰澄が憤慨だ。
いつもはゆったりのほほんと生きてる冰澄だが、切れたらそれなりに男子高校生だ。
暴言だって吐くし…。
憤慨のまま衣装決めされてる冰澄に首をかしげた。
「冰澄…どうしたんだ?」
「さぁ、とにかくああなった冰澄は刺激しないほうがいいかも。マジギレしたら怖いし」
「?、わかった」
俺の注意を聞いた明人は、首をかしげたママクラスの輪に入っていった。
クラスの輪から少し離れた場所に冰澄が突っ立っている。
久々に寒気がした。
_____冰澄と初めて会った日、彼は窓の外の人間を見下ろして、ひどく冷たい目をしていた。そして小さく嘲笑したその声はまるで氷だったのだ。
一年にすごい歌が上手い奴がいるというから行ってみたものの、予想を超えたやつだった。冰澄はそういうやつだ。
冷たい目は、限度を知らない。
「……なんだかなぁ」
政宗とかいうやつと出会って、いい方に進むかと思ったのに、まるで悪いのが勢いを増して冰澄を食いつぶそうとしているみたいだ。
___彼の冷たい目に映っていた一台の車を見て俺はガシガシと頭を掻いた。
***********
「誓、冰澄、部室寄っていいか」
準備もそれなりに完了して教室を出たところで、明人が思い出したように声をかけた。
「おー、別にいいけど」
「忘れ物ですか?」
「あぁ……ちょっとな」
頭一個分でかい明人の横顔はどことなく楽しそうだった。
「こういうことね…」
俺は手元の真新しい、いや新品のギターに目をやりつつ、ふっと微笑んだ。
「明人ありがとぉお!!」
「先輩大好きですぅう!!」
俺と冰澄は同時に明人に飛びついた。
そしてひたすら頭を明人になすりつける。
愛情表現だ。
「あぁ、気にするな」
「明人マジ男前!」
「誓先輩の彼氏男前!」
「おい!」
冰澄は、俺と明人に同時に抱きつきながらそう言った。冗談を言えるようになったからもうそこまで憤慨じゃないらしい。
兎にも角にも、冰澄の憤慨が収まったのは、明らかに明人の持ってきたギターにある。
部室に来た瞬間、明人がプレゼントと言っては俺たち二人に一つずつ新しいギターを渡したのだ。
「ああぁ…明人、ところでこのギターはどうやって手に入れたんだ?」
早速アンプに繋いでギュイーンとか鳴らしてる冰澄を横に俺は明人に尋ねた。
「親父がやれって」
「おやっさんー!」
「親父さんありがとうございます!」
俺たちはひたすら感謝の気持ちも込めてギターを鳴らした。
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
王様のナミダ
白雨あめ
BL
全寮制男子高校、箱夢学園。 そこで風紀副委員長を努める桜庭篠は、ある夜久しぶりの夢をみた。
端正に整った顔を歪め、大粒の涙を流す綺麗な男。俺様生徒会長が泣いていたのだ。
驚くまもなく、学園に転入してくる王道転校生。彼のはた迷惑な行動から、俺様会長と風紀副委員長の距離は近づいていく。
※会長受けです。
駄文でも大丈夫と言ってくれる方、楽しんでいただけたら嬉しいです。
無自覚両片想いの鈍感アイドルが、ラブラブになるまでの話
タタミ
BL
アイドルグループ・ORCAに属する一原優成はある日、リーダーの藤守高嶺から衝撃的な指摘を受ける。
「優成、お前明樹のこと好きだろ」
高嶺曰く、優成は同じグループの中城明樹に恋をしているらしい。
メンバー全員に指摘されても到底受け入れられない優成だったが、ひょんなことから明樹とキスしたことでドキドキが止まらなくなり──!?
それはきっと、気の迷い。
葉津緒
BL
王道転入生に親友扱いされている、気弱な平凡脇役くんが主人公。嫌われ後、総狙われ?
主人公→睦実(ムツミ)
王道転入生→珠紀(タマキ)
全寮制王道学園/美形×平凡/コメディ?
華麗に素敵な俺様最高!
モカ
BL
俺は天才だ。
これは驕りでも、自惚れでもなく、紛れも無い事実だ。決してナルシストなどではない!
そんな俺に、成し遂げられないことなど、ないと思っていた。
……けれど、
「好きだよ、史彦」
何で、よりよってあんたがそんなこと言うんだ…!
さがしもの
猫谷 一禾
BL
策士な風紀副委員長✕意地っ張り親衛隊員
(山岡 央歌)✕(森 里葉)
〖この気持ちに気づくまで〗のスピンオフ作品です
読んでいなくても大丈夫です。
家庭の事情でお金持ちに引き取られることになった少年時代。今までの環境と異なり困惑する日々……
そんな中で出会った彼……
切なさを目指して書きたいです。
予定ではR18要素は少ないです。
理香は俺のカノジョじゃねえ
中屋沙鳥
BL
篠原亮は料理が得意な高校3年生。受験生なのに卒業後に兄の周と結婚する予定の遠山理香に料理を教えてやらなければならなくなった。弁当を作ってやったり一緒に帰ったり…理香が18歳になるまではなぜか兄のカノジョだということはみんなに内緒にしなければならない。そのため友だちでイケメンの櫻井和樹やチャラ男の大宮司から亮が理香と付き合ってるんじゃないかと疑われてしまうことに。そうこうしているうちに和樹の様子がおかしくなって?口の悪い高校生男子の学生ライフ/男女CPあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる