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能ある鷹は爪を隠す
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政宗さんとの奇妙な同居?をし始めて、早一ヶ月という月日が経った。
さして困ることもなく円満な生活ができていたと思う。
けれど今俺は目の前の政宗さんと対峙していた。
「政宗さんそこを退いてください」
「無理だ」
「突進しますよ」
「かまわん」
「突進しますからね!嘘じゃないですからね!」
「…かまわんと言っただろ」
ドーンと、俺の目の前の道-玄関への廊下を塞ぐ政宗さんの体は結構筋肉質で俺みたいなやつが突進したところでたぶん、揺らぎもしないと思う。
なぜ頑なに政宗さんがここを退いてくださらないと言われると、つまりバイトだ。政宗さんがするのではなくて、俺をバイトに行かせたくないのだ。
「政宗さん!早く退いてください遅刻します!」
「遅刻すればクビになるのか?」
「なりますよ!……!!ずるいですよ政宗さん!」
「ずるくなくちゃやってらんねぇよ俺らの世界は。」
この人は正真正銘ヤクザのドン(?)だ。
俺は時計と政宗さんを交互に見て、ぐっと拳に力を入れた。
「す、みません!!政宗さん!!」
「な……!?」
政宗さんの横めがけて走り抜ける。俺を捕まえようとした腕を寸前で避け、軽く手首にチョップ(?)を下ろし、そのまま靴を履いて飛び出した。
「冰澄!!!」
怒声が飛ぶのを耳にエレベーターではなく階段を一段など構ってられず勢いよくジャンプして全ての段差を飛び越えていく。
すみません!政宗さん!!
俺、合気道と柔道と空手やってたんです!
昔近所のお兄さんにその道の達人がいたので少しばかり手ほどきを受けた。その時の技は今も身についていて喧嘩したら、百発百中、勝手に手が出るほどである。
マンションの入り口に、たぶん政宗さんが連絡したんだと思うけど、ちょうど入ってくるところだった北谷さんが立ちはだかった。
何人かの部下さんを連れて。
「冰澄さん……、おとなしく戻ってください。あなたに怪我があればそれこそ組長の緒がきれますよ」
「バイトはさぼれません!」
「やめてください」
「変わりが見つかるまで働きます!のでそこを退いてください」
「無理です。」
ガーっと後ろのエレベーターが開く音がした。
「冰澄さーん」
片桐さんの声が聞こえて、俺は「はぁ゛ぁ゛…」と思いため息をついてから、俺に向かってくる部下さんに走り出す。
「なっ!」
北谷さんの驚く声とほぼ同時に、部下さんを背負い投げした。
「すみませんんん!!!!」
謝りながら、どんどん技を繰り出していき、北谷さんに向かって走る。
北谷さんも構えてるけど多分叶わない。
「…ずるくてすみませんん!!!」
「…は!?」
技を出すふりをして出さず横を駆け抜けた。
そして俺は全力を出して走る。生まれつき運動神経はよく、特待生制度のために体育を落とせなかったので努力して、50mを6~7前後で頑張っていた。
俺は心の中で何度も部下さんたちに謝りながらバイト先まで駆け抜けた。
さして困ることもなく円満な生活ができていたと思う。
けれど今俺は目の前の政宗さんと対峙していた。
「政宗さんそこを退いてください」
「無理だ」
「突進しますよ」
「かまわん」
「突進しますからね!嘘じゃないですからね!」
「…かまわんと言っただろ」
ドーンと、俺の目の前の道-玄関への廊下を塞ぐ政宗さんの体は結構筋肉質で俺みたいなやつが突進したところでたぶん、揺らぎもしないと思う。
なぜ頑なに政宗さんがここを退いてくださらないと言われると、つまりバイトだ。政宗さんがするのではなくて、俺をバイトに行かせたくないのだ。
「政宗さん!早く退いてください遅刻します!」
「遅刻すればクビになるのか?」
「なりますよ!……!!ずるいですよ政宗さん!」
「ずるくなくちゃやってらんねぇよ俺らの世界は。」
この人は正真正銘ヤクザのドン(?)だ。
俺は時計と政宗さんを交互に見て、ぐっと拳に力を入れた。
「す、みません!!政宗さん!!」
「な……!?」
政宗さんの横めがけて走り抜ける。俺を捕まえようとした腕を寸前で避け、軽く手首にチョップ(?)を下ろし、そのまま靴を履いて飛び出した。
「冰澄!!!」
怒声が飛ぶのを耳にエレベーターではなく階段を一段など構ってられず勢いよくジャンプして全ての段差を飛び越えていく。
すみません!政宗さん!!
俺、合気道と柔道と空手やってたんです!
昔近所のお兄さんにその道の達人がいたので少しばかり手ほどきを受けた。その時の技は今も身についていて喧嘩したら、百発百中、勝手に手が出るほどである。
マンションの入り口に、たぶん政宗さんが連絡したんだと思うけど、ちょうど入ってくるところだった北谷さんが立ちはだかった。
何人かの部下さんを連れて。
「冰澄さん……、おとなしく戻ってください。あなたに怪我があればそれこそ組長の緒がきれますよ」
「バイトはさぼれません!」
「やめてください」
「変わりが見つかるまで働きます!のでそこを退いてください」
「無理です。」
ガーっと後ろのエレベーターが開く音がした。
「冰澄さーん」
片桐さんの声が聞こえて、俺は「はぁ゛ぁ゛…」と思いため息をついてから、俺に向かってくる部下さんに走り出す。
「なっ!」
北谷さんの驚く声とほぼ同時に、部下さんを背負い投げした。
「すみませんんん!!!!」
謝りながら、どんどん技を繰り出していき、北谷さんに向かって走る。
北谷さんも構えてるけど多分叶わない。
「…ずるくてすみませんん!!!」
「…は!?」
技を出すふりをして出さず横を駆け抜けた。
そして俺は全力を出して走る。生まれつき運動神経はよく、特待生制度のために体育を落とせなかったので努力して、50mを6~7前後で頑張っていた。
俺は心の中で何度も部下さんたちに謝りながらバイト先まで駆け抜けた。
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