密室プレイ

ソラ

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続編

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いいあだ名なのになぁ、と朋久はからから笑う。
そんなふざけた呼び名冗談じゃねぇ。
熨斗付けてくれてやる。

「じゃあ、将人(まさと)くん、っていうのは?」

朋久の口から出たその名前に、俺は思わず髪を掻き混ぜていた手を止めた。
確かにそれは俺の本名だし、淫乱ちゃんだの兎ちゃんだの、おおよそ成人男性が付けられるべきではないあだ名に比べれば遥かにましだ。
でも、今このタイミングまで朋久に呼ばれる事がなかった呼び掛けなだけに、ちょっとだけ戸惑う。
困惑しながらもリアクションを返してやろうと、俺は同様に奴の名を口にしようとしたが、寸ででその単語を飲み込んだ。

「……おい」

代わりに、ドスの効いた声が出た。
ピロートークの最中みたいな反応を期待していたらしき顔をした朋久は、ぱちぱちと瞬き。

「……へ?」
「いいか、正直に言え。――俺、お前に名乗ったか?」
「…………エーット」

棒読みの相槌を無意味に呟いた朋久の目が、通報を受けてやってきた警察に現行犯の決定的瞬間を捕らえられた空き巣でさえもうちょいそれっぽく誤魔化すだろうと思われる程、挙動不審に泳ぎまくる。
俺が情事直後で相応にぎこちない身体で朋久に詰め寄ると、奴は上手い弁解を諦めて項垂れた。

「ごめんなさい、白状します。前回のラブホデビューで淫乱ちゃんが気絶した時、その、実は定期券を盗み見ました」
「ほほう?」

俺のこめかみがぴくぴくしているのに気付いたんだろう、愛想笑いを浮かべた犯罪者は潔くベッドの上で土下座。

「ごめんなさい、二度としません将人様!」
「……まあ、」

仕方ないから許してやるよ。
ただし、次のホテル代も、朋久、お前持ちな。


Fin.
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