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痴漢と痴態と変態と
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「うわあああああああああああああ!!!」
朝起きたら、既に家を出なければならない時間だった。
急いで布団から飛び起きて、朝飯も食わずに激チャリ。
そうしたら、曲がり角で音楽を聴きながら歩く他校の生徒とぶつかってしまった。
「うわ、す、すみません! 大丈夫ですか!?」
高校生は、道路に伏したままピクリとも動かない。
ぶつかる直前に減速したので、死んではいないと思うが、この状況はヤバイ。
この道は人通りが非常に少なく、周りに助けを求められない。
それにこれって、怪我とかしてたら慰謝料払わないと駄目なんじゃ……?
しかも問題起こして、部活の試合や総体、出場停止になったりしないだろうか。
と、無意識のうちにその人の無事よりも自分の心配をしてしまう俺。
逃げてしまおうか、などという方向に思考が傾き始めていると、ふいに腕を掴まれた。
「ちょっと」
「ぎゃあああああああああ!!!」
「どうしてくれんの。自己記録更新中だったのに今ので一気に萎えちゃったじゃん」
「は……?」
腕を掴んできたのは、俺が撥ねた高校生だった。
立ち上がって俺の背後にいた。
よかった、生きてたみたいだ。
「本当にすみません! 怪我は無いですか?」
「無いけど、責任とってくれんのー?」
責任……慰謝料のことか。
やっぱり警察に行かなきゃ駄目だよなこれは。
部活せっかく頑張ったけど、次の試合は諦めよう……。
「わかってます……あの、こういうのっていくら位払わなきゃ駄目なんですかね?」
「払う?」
「え?」
なんかこの人、さっきからおかしくないか?
微妙に話がかみ合ってないような気がするんだが。
その高校生を見ると、やたら猫背だが、背はかなり高い。
顔は綺麗で整っているが、不健康そうな印象を受けた。
さっきぶつかったので頭がどうにかなってたとかだったら、どうやって責任とったらいいんだ。
「あの、大丈夫ですか? マジで」
「だーかーら。怪我は無いけど身体は問題アリなんだってば」
「いや、それどういう……」
長い前髪からチラリと覗く片目は不気味で、黒くどんよりとしており、まるで何も映していないようにも見える。
「俺、何分勃起状態を持続出来るかやってて、今自己新記録更新中だったんだけど」
「……」
しかも変態だった。
本当に、わけがわからなかった。
「んじゃ、行こうか」
「え?」
「俺んちー」
「は?」
「責任とってくれるんでしょ? 俺の記録止めた罪はすっごい重いよ?」
高校生は俺の腕を掴んだまま、ぐいぐいと学校とは逆の方向へ歩き出す。
俺は必死で抵抗した。
「おかしいだろ! 責任って、何するつもりなんだよ!」
「大丈夫だって酷いことしないしー。てかそれよりさ、そんなこと言っていいの?」
「え……」
口調は軽いのに、声が低いせいで妙にアンバランスだ。力も強く、ビクともしない。
それが変で不気味なのだが。本当に高校生か? こいつ。
「君さあ、さっき俺が倒れてる時逃げようとか考えてたでしょ。べつに今から警察行ってもいいんだけど」
「……」
こればっかりは、俺が悪かった。やっぱり警察が一番怖いし嫌だ。だから何も言い返すことが出来ない。
まあ、殺されるわけじゃないし大丈夫だろう……。
「わかった。だから責任? ちゃんととったら、どうかこのことは秘密にしてくださいませんか」
「ふふ、楽しみ~。あ、逃げないでね。念のため生徒手帳貸して」
俺の言葉なんか耳に入っていないのか、男は鼻歌を歌いながら歩いた。
俺はしぶしぶ鞄から生徒手帳を取り出し男に手渡した。
こんなことになるなら、遅刻してでもゆっくり行くべきだった。
朝起きたら、既に家を出なければならない時間だった。
急いで布団から飛び起きて、朝飯も食わずに激チャリ。
そうしたら、曲がり角で音楽を聴きながら歩く他校の生徒とぶつかってしまった。
「うわ、す、すみません! 大丈夫ですか!?」
高校生は、道路に伏したままピクリとも動かない。
ぶつかる直前に減速したので、死んではいないと思うが、この状況はヤバイ。
この道は人通りが非常に少なく、周りに助けを求められない。
それにこれって、怪我とかしてたら慰謝料払わないと駄目なんじゃ……?
しかも問題起こして、部活の試合や総体、出場停止になったりしないだろうか。
と、無意識のうちにその人の無事よりも自分の心配をしてしまう俺。
逃げてしまおうか、などという方向に思考が傾き始めていると、ふいに腕を掴まれた。
「ちょっと」
「ぎゃあああああああああ!!!」
「どうしてくれんの。自己記録更新中だったのに今ので一気に萎えちゃったじゃん」
「は……?」
腕を掴んできたのは、俺が撥ねた高校生だった。
立ち上がって俺の背後にいた。
よかった、生きてたみたいだ。
「本当にすみません! 怪我は無いですか?」
「無いけど、責任とってくれんのー?」
責任……慰謝料のことか。
やっぱり警察に行かなきゃ駄目だよなこれは。
部活せっかく頑張ったけど、次の試合は諦めよう……。
「わかってます……あの、こういうのっていくら位払わなきゃ駄目なんですかね?」
「払う?」
「え?」
なんかこの人、さっきからおかしくないか?
微妙に話がかみ合ってないような気がするんだが。
その高校生を見ると、やたら猫背だが、背はかなり高い。
顔は綺麗で整っているが、不健康そうな印象を受けた。
さっきぶつかったので頭がどうにかなってたとかだったら、どうやって責任とったらいいんだ。
「あの、大丈夫ですか? マジで」
「だーかーら。怪我は無いけど身体は問題アリなんだってば」
「いや、それどういう……」
長い前髪からチラリと覗く片目は不気味で、黒くどんよりとしており、まるで何も映していないようにも見える。
「俺、何分勃起状態を持続出来るかやってて、今自己新記録更新中だったんだけど」
「……」
しかも変態だった。
本当に、わけがわからなかった。
「んじゃ、行こうか」
「え?」
「俺んちー」
「は?」
「責任とってくれるんでしょ? 俺の記録止めた罪はすっごい重いよ?」
高校生は俺の腕を掴んだまま、ぐいぐいと学校とは逆の方向へ歩き出す。
俺は必死で抵抗した。
「おかしいだろ! 責任って、何するつもりなんだよ!」
「大丈夫だって酷いことしないしー。てかそれよりさ、そんなこと言っていいの?」
「え……」
口調は軽いのに、声が低いせいで妙にアンバランスだ。力も強く、ビクともしない。
それが変で不気味なのだが。本当に高校生か? こいつ。
「君さあ、さっき俺が倒れてる時逃げようとか考えてたでしょ。べつに今から警察行ってもいいんだけど」
「……」
こればっかりは、俺が悪かった。やっぱり警察が一番怖いし嫌だ。だから何も言い返すことが出来ない。
まあ、殺されるわけじゃないし大丈夫だろう……。
「わかった。だから責任? ちゃんととったら、どうかこのことは秘密にしてくださいませんか」
「ふふ、楽しみ~。あ、逃げないでね。念のため生徒手帳貸して」
俺の言葉なんか耳に入っていないのか、男は鼻歌を歌いながら歩いた。
俺はしぶしぶ鞄から生徒手帳を取り出し男に手渡した。
こんなことになるなら、遅刻してでもゆっくり行くべきだった。
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